多すぎて選べない…SaaSの比較どうやる?ポイントや考え方まとめ

  • | 公開 2021年06月30日
SaaS
多すぎて選べない…SaaSの比較どうやる?ポイントや考え方まとめ

いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。選びにくいSaaSを選ぶポイントと注意点をまとめています。

「SaaSを選びたいけど内容が似てるから、どれがいいのか分からない…。」

機能も似てる、金額も同じくらい、この状態で比較サイトを使ったり比べて見ても、選び方が分からないですよね。

似ているものを選ぶほど難しいことはありません。

だからこそ、SaaSを選ぶ際のポイントや判断軸が、あなたの中で作れるよう、参考になる情報をまとめたので、お役に立てられれば嬉しいです。

こんな方にお勧め
・SaaSの選び方が分からない
・上司を納得させるポイントが分からない
・選ぼうと思ってるSaaSを本当に選んでいいか分からない

時間がなくても美しい資料が作れるパワポのテンプレート・素材・ノウハウ
時間がなくても美しい資料が作れるパワポの…

SaaSを比較する3つのポイント

システムの数も多く、その中から一つを導入しようと思ったら、あなたなら何を基準に考えますか?

  • 機能
  • 金額
  • サポート面

多くはこれらの認識しやすいポイントが、比較の対象となりやすいですが、どのシステムも機能が似ており価格帯も同じことから、単純比較を難しくさせているのがSaaS。

そんな中でも、一つを選ぶためのポイントが3つあるため、詳しく見てみましょう。

企業体力(安定性)

SaaSの開発は、企業体力がものを言います。

  • 開発自体が難しい(作ったからといってうまくいかない)
  • ずっとお客様の想いに応え続けていかないといけない
  • 開発だけでなく販促や社内維持も同時進行
  • 競合他社の参入がしやすいため品質向上が欠かせない
  • 競合によって比較対象が増えるとさらなる努力が必要

冷静になって考えてみると、SaaSを開発し続けることって、かなり難しいですよね。

開発力だけでなく、社内維持や販促力向上など、企業自体の体力を維持できないと戦っていけないため、もし導入したとしても数年後には撤退や倒産となり、使っていたSaaSが使えなくなる場合もあります。

テレワークやリモートワークなど、在宅勤務が一般化しつつある今、SaaSへの需要がさらに伸び、各社生き残りや儲け話を聞いて、参入してくることは必須。

そう考えると"今のタイミングで魅力的なSaaS"でも、今後は違うかもしれないため、将来的な安定性まで考えて、比較検討する必要があります。

安定性とは?

SaaS企業の安定性を見極めるのは難しく、今や大企業だとしてもSaaS事業が必ず成功するわけではなく、むしろどの企業も苦戦を強いられています。

スタートアップが一気に成長して、市場の覇者になることも珍しくない。

こんなSaaS業界で『企業体力』に該当する安定性を判断するのは難しいかもしれませんが、ポイントとしてはそのSaaSが開発されて継続的にお客様の利用が進んでいること。

どの会社さんも開発に力をいれていますが、市場に合わないと判断したら切り替えて、別テーマのSaaSを作ることもあり、会社としての年数が当てにならない場合も多いです。

そのため、SaaSを展開して継続されているのか?継続してお客様に選ばれているのかを確認するのがお勧めです。

企業体力のまとめ
会社年数ではなく、事業年数と継続的な顧客獲得(事例などを見る)によって判断する。

成長性

SaaSの成長は、市場(お客様)に求められなければしないものなので、必然的に成長している=顧客満足度が高いと言えます。

また、資金調達があれば、それは投資家から将来性を見込まれた結果なので、成長性があると判断してもいいですが、期待であり成果ではないため判断が難しいところ。

しかし、SaaSのいいところは、開発会社の開発力が高まれば高まるほど、便利になっていくため、開発力を高めつつ企業体力を維持する事と連動してくる部分があります。

成長性とは?

利用社数や売上の伸びを成長性としてもいいと思いますが、一時的に調達した資金を使ってCMや広告に投資をしている場合は、それがなくなれば成長率が下がる可能性も。

そのため、堅実的なところで言えば利用社数を軸に成長性を見極められるといいと思いますが、将来的に「この企業の製品を使いたい」と思える期待も判断軸の一つにして頂くのがお勧めです。

成長性のまとめ
堅実的な利用社数と、継続してその製品を使いたいと感じる部分で判断する。

時間がなくても美しい資料が作れるパワポのテンプレート・素材・ノウハウ
時間がなくても美しい資料が作れるパワポの…

「らしさ」(ビジョン・ミッションや風土・文化など)

SaaS企業の「らしさ」は、選ぶうえで重要なポイントです。

機能も金額も似てる、さらに選びたいカテゴリーのSaaSは数十種類もある。このような状況では、単純な比較では選べません。

その製品がどのようにして生まれたのか、または企業としてお客様に対するスタンスはどうなのか、こういった企業の「らしさ」を確かめることも、今後のお付き合いを考えると重要です。

「らしさ」とは?

「らしさ」は一言で表わせられるものではないのですが、法人格(法人を一人の人として見た場合の印象など)をイメージすると分かりやすいかもしれません。

スタッフさんはたくさんいますが、それぞれが同じ意識で同じ目的に向かって動いていると、誰とコミュニケーションをとっても印象が同じになる。

同じ意識・目的も、社内でのビジョン浸透・教育体制・働き方など、会社活動の方向性が全て同じだからこそ「らしさ」を感じられます。※ 例としては、スタッフさんみんなが使う言葉の選択が同じだったり。

もし「らしさ」を感じない、またはバラバラな印象だと、社内の意思統一もバラバラでSaaSの運用体制も、ボロボロになっている場合もあるため、見極めたいポイントの一つです。

「らしさ」のまとめ
ビジョンから始まり、社内文化やお客様に対する対応品質など、単純な機能・金額比較ではない部分も、きちんと感じて判断軸の一つにするのがお勧めです。

SaaSの選び方まとめ

結論:単純な機能・金額比較では決められない

① 企業体力
② 成長性
③ 「らしさ」

この3つのポイントも考えないと、SaaSの乗り換えが発生したり、期待していた事と実態が違うことで、不憫な思いをするかもしれません。

単純な比較で選ぶのではなく、SaaSとSaaS提供企業の内面も含めて、検討頂くのがお勧めです。

時間がなくても美しい資料が作れるパワポのテンプレート・素材・ノウハウ
時間がなくても美しい資料が作れるパワポの…

SaaS比較の失敗パターン

SaaSの比較検討で失敗してしまうパターンがいくつかあるので、事前に確認しておきませんか?

あなたの状況に必ず当てはまるとは言えませんが、事前に失敗パターンを把握しておくことで、少しでも選択を間違う確率を減らすことができます。

① 判断軸が少なく金額で決めたら現場で使えなかった

失敗パターン①
機能が似ている

選べず判断軸が分からない

分かりやすい金額で決めた

現場で必要な機能が足りない

機能が多すぎ、または他SaaSとも似ていて選べないと、どうしても自分自身で一番分かりやすい「金額」に頼ってしまいます。

比較検討が十分にされず金額で決められてしまった場合、実際に使う現場で足りない機能があとで発覚したり、現場の業務フローの中に組み込めない場合もあり、典型的なSaaS比較の失敗パターンとなります。

② 営業主導で決めたら現場からクレームが

失敗パターン②
営業から提案受ける

キャンペーンや値引きで導入を決めた

実際に使う現場からクレームが…

SaaS企業の営業さんから熱心な営業を受けて、その上キャンペーンや値引きも提案されて、決めてしまった場合、現場からクレームをもらってしまうことも。

営業を受けたのが、実際にSaaSを使う現場スタッフさんであればいいですが、実際に使わない上役の人が決めてしまうと、このような事態が起こります。

③ 口コミで選んだら合わなかった

失敗パターン③
口コミでの評価が高い

評価が高い他人の意見で導入を決める

現場に合わなくて切り替えを余儀なくされた

掲載されている口コミの多くは、実は良いことがたくさん書いてある状態であり、なかなか悪い口コミを、そのまま掲載しているとこは少ない…。

そのため、他人の評価を参考にして、何も考慮せずにSaaSを導入してしまうと、現場が求めている使い方に合わず、結果的に新しく別のSaaSを契約し直す場合もあるため、注意が必要です。

時間がなくても美しい資料が作れるパワポのテンプレート・素材・ノウハウ
時間がなくても美しい資料が作れるパワポの…

SaaS比較は失敗しやすい状況が存在している?

SaaSの比較検討、実は選び間違えや失敗が起きやすい状態が、比較する前から存在している状態です。

忘れがちなことなので、比較検討の前にご確認頂くのがお勧めです。

最安で表示されているため年間金額を見落とす

例えば、勤怠管理システムで言えば、一人あたり約300円ほどで利用ができるため「安い!」と一瞬思いますが、しっかり考えると実は大きなお金が動くことになります。

これを年間で考えてみると、
車を買う  10年分  100万円
家を買う  60年分  4000万円
SaaSを買う 2年分   150万円

SaaSは月額で示されることが多く、金額×年数で一度導入すれば100~500万円かかる場合も。

一人当たり300円だった場合のシミュレーション
300円 × 200人 × 2年(24ヶ月) = 144万円

一人あたりの単価は小さいですが、年額を考えたらビックリするほど高くなっていることもあるため、導入前の金額シミュレーションは大事だと思います。

SaaSを使用せず、今のアナログな働き方の方がコストはかかり、そこと比較をすれば費用対効果を高いと感じるはず。

しかし、このままの働き方で継続するよりコスト安になるのは事実として、システム利用だけでしっかり費用は発生しますので、この意識を忘れないようにしましょう。

安さで導入したのに値上げがされたので切り替え発生

月額が安いことを理由に導入した場合、月額が高くなったら使う意味がなくなってしまいます。

SaaSは永遠のベータ版(未完成の状態)とも呼ばれており、常に進化し続けており、開発会社の戦略やターゲットの市場も変化し、機能の追加もどんどん行われていくため、付加価値が高くなって最初の価格を改定する場合も多いです。

安さのみで選ぶと、あとで値上げが入った場合、切り替えを余儀なくされるため、金額比較を判断軸に入れる場合は気をつけましょう。

種類が多すぎて本来比較できる状態ではない

SaaSを単純に、社内業務の効率化ツールとして導入を考えている場合、少し考えを改めないといけないかもしれません。

実は導入すれば済む話ではなく、部分的な作業を置き換えたとしても、社内の業務フローを変えたり、関係各所への調整も必要になります。

業務フローのどのポイントにSaaSを導入するのか、どんな課題を解決したいのか、それによっても必要なSaaSが違うんです。

勤怠勤怠管理システム・入室管理システム
人事人事評価システム・組織診断ツール・従業員満足度・RPA・eラーニング・労務管理システム・給与計算ソフト・グループウェア
採用採用管理システム
法務文書管理・電子契約
経理経費精算システム
営業SFA・web会議システム・名刺管理・メール配信
マーケティングチャットボット・CRM・web接客・MA・BI・SNS管理システム
制作プロジェクト管理・タスク管理・スケジュール管理
セキュリティウイルス対策
その他ビジネスチャット・オンラインストレージ・ナレッジマネジメント

この他にもたくさんありますが、職種ごとにSaaSは存在しているため、何をどう選べばいいのか難しい状況で、さらに同じカテゴリーだけでも数十種類のSaaSがある状態。

25種類:MAツール
28種類:RPAツール
28種類:組織診断ツール・サービス
27種類:従業員満足度調査(ES調査)
95種類:CRMツール
45種類:WEB接客ツール
29種類:勤怠管理システム
55種類:人事評価システム
30種類:web会議システム
52種類:チャットボット

大まかに分けていますが、それぞれのSaaSで微妙にできることが違うので、本当に何を選べば良いのか…。

SaaSを入れすぎて管理しきれなくなる

業務を効率化できるSaaSは、働き方改革の救世主とも呼べる存在ですが、便利だからこそ「あれも」「これも」と導入が増えてしまう場合もあります。

1つの会社で10や20なんて普通、もっと入れている場合だってあります。

また、社内スタッフ全体に対してなのか、もっと小さい特定のチームなのか、適用範囲も違うため管理が難しくなってくる。

解除を忘れて退職者の分まで払い続けている場合もあるため、導入のしすぎで管理できない状態は、意識しつつ避けていけるといいと思います。

開発思想・設計による違いがある

SaaSの開発思想・設計によって、たとえ機能として用意されていても、あなたの状況によっては対応できない場合があります。

例えば、開発段階で少人数のみを想定して作られていた場合、大人数での利用になった途端システムが動かなくなったり、使い物にならないことも。

サーバーが負荷に耐えられない、機能としては動くけど計算処理が間に合わなくて頻繁に作業が止まる場合もあり、このような部分は単純な機能比較では分かりません。

SaaSによっては、見た目は同じなのに中身(性質)が全く異なる場合もあるため、機能だけの比較には落とし穴があるんです。

時間がなくても美しい資料が作れるパワポのテンプレート・素材・ノウハウ
時間がなくても美しい資料が作れるパワポの…

機能が追加されて既存の別SaaSの解約が必要になることも

SaaSの開発初期は、必要最低限の使い出せる機能のみ、さらに特定カテゴリーに対する課題解決のために開発されるため、用途は絞られていることが多いです。

しかし、現在SaaSはお客様満足度を向上させるため、どんどん機能拡張の道へ進んでいます。

別用途で使っていたSaaSの機能まで侵食して、一つのシステムで広い範囲を対応できるようになってきているため、今まで使っていたSaaSを一部解約する場合もでてくる。

そのため、今使っているSaaSをずっと使い続ける意識でいると、状況の変化やSaaSの進化に対して対応遅れがでるかもしれないため、切り替えが発生する状況も意識しておきましょう。

特化か連携か

最初は1分野に特化することの多いSaaSですが、顧客や市場の状況に合わせて様々な機能を増やしていきます。

しかし、開発力を担保するには、並大抵の努力では難しく、そこまで広げられる企業は多くありません。

使っているSaaSが今後、独自で機能追加されていくものか、それとも他社SaaSとの連携によって機能拡張する方針なのか、それにより選ぶべきSaaSも変わってきます。

今の働き方へ無理に合わせようとしてしまう

何かしらの作業をSaaSに置き換えて業務効率化を図ろうとする場合、まずは自社の業務フローの中に取り入れられるかを考えますよね。

たしかに、現在の業務フローの中にSaaSを組み込めればいいですが、ぴったりハマってくれるSaaSがないかもしれません。

そもそも今の業務フローそのものが変えるべき内容かもしれないので、本来であれば無理にSaaSを導入するのではなく、そんな時は自社の業務フローの整備から。

また、SaaS=万能として捉えてしまい、何でもかんでも解決できると思ってしまうと、無駄にハイスペックな金額の高いSaaSを入れてしまって、使えない機能・使わない機能ばかりなのにお金がかかる状態にもなります。

働き方を変えるには、SaaSに合わせて自社の働き方を見直していく柔軟性も求められています。

倒産したりM&Aによって経営者が変わる場合もある

今、絶大な人気を誇っているSaaSでも、その先5年10年と継続できるかは誰にも分かりません。

SaaSは年間契約や継続契約を前提にしているため、収益計画が立てやすく投資がしやすいため、経営力をもつ方が率いていれば、どんどん成長していく。

しかし、事業がうまくいかなくなって倒産したり、M&Aが行われて買収され経営者が変わる。こんな可能性もあります。

一つのSaaSだけに頼っていると、それが使えなくなった時のトラブルが大きいため、使う側としてリスク分散も考えておくのがお勧めです。

誰かが新しい業界をこじ開けると他社が追従してくる

主にSaaSは業務効率化を促してくれるシステムですが、業務にまつわる効率化の課題は多種多様なので、必然的にSaaSも多種多様になっています。

今まで無かったような着眼点で作られたSaaSは、最初人気は出ないものの、市場で認知されその有効性が示されるとあっという間に広まっていく。

そうなると、先駆社は当然成長していきますが、そこを逃すまいと他社もどんどん新しい市場に入ってきて、似たようなSaaSが増えていくこともあります。

同じ課題解決に対するSaaSが増えやすい状況であり、比較を難しくさせています。

特殊なSaaSは数年後に無くなってしまう場合もある

あなたの会社にとっては、非常に便利なSaaSだったとしても、他社にとっては必要ない場合もあります。

これは企業によって課題や、課題が発生する状況がそれぞれ違ってくるため、利用会社が少なければ売上が作れず、撤退せざる得ない状況に。

突然無くなってしまうこともあるため、業務フローは常に見直して、SaaSへ頼り切らない状況にしておくのがお勧めです。

SaaSの比較でお悩みのあなたへ

SaaSは機能や金額で比較検討されることも多いですが、実はその比較の仕方はとても難しいことだと思っています。

機能はどの開発会社さんも追加できますが、その裏側の仕組みであったり設計思想の違いなどもあり、見た目は同じでも中身がまったく違う。

そうなった時、やはり比べてほしいのが、その開発会社さんがどのような想いで開発してきたのか、今後どうなりたいのか、内面を見て頂くことが大事です。

比較は悩んで悩んで…悩むものですが、単純な機能・金額比較で決まらない場合は、想いや企業の理念なども踏まえて、見比べてほしいです。

SaaSは便利な半面、選ぶのがとても大変なので、少しでも検討する際に役立てる情報となれれば嬉しいです。

著者:エンプレス編集部 sugiyama(運営会社ファングリー
住所:東京都渋谷区南平台町15-13 帝都渋谷ビル5F
2012年よりwebデザイナーとしてデジタルマーケティングの支援を開始。その後はマッチングプラットフォームの立ち上げ、売上ゼロからグロースに携わり黒字化後に事業譲渡。現在は「エンプレス」にてプロジェクトマネージャーを務め、コンテンツ制作から運用、100社以上のお客様支援を通して得たノウハウもコラムで投稿中。
Twitter

貴社の製品・サービスをエンプレスへ掲載しませんか?

※ 掲載の手間はかからないのでご安心ください