「分かりそう」で「分からない」SaaSとは?意味や特徴を解説

  • | 公開 2022年01月24日
SaaS
「分かりそう」で「分からない」SaaSとは?意味や特徴解説

いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。SaaSって何だろう?と思ったら、まずは基本的な情報から見て頂くのがオススメです。

SaaSとは、Software as a Service(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)を略した言葉で、簡単に訳すとサービス化したソフトウェアを提供すること。※ 読み方は「サース」「サーズ」と読みます。(どちらでも可)※ サービス化とは、お客様へ提供できる状態にすること。

もっと分かりやすく言えば、ある一定のサービス・機能を、たくさんの人がすぐに利用できる状態で開発されたソフトウェア(プログラム)。

SaaSはパソコン・スマートフォンを使い、インターネット経由でソフトウェアに接続して使うため、最低限インターネットと端末が必要です。

似たような言葉やサービスがたくさんあり、「分かりそう」で「分からない」SaaSについて、もっと理解できるよう必要な情報をまとめました。

こんな状況の方に見てほしい!
・SaaSが何かを知りたい
・SaaSを使いたいと考えている
・社内でSaaSを説明するために情報が必要

カオスマップと元データ
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SaaSとは?

SaaSは、インターネット上でサービスとして利用できるソフトウェアのことで、個人向けSaaSもあれば企業向けSaaSもあり、かなり私たちの生活に入り込んでいます。

ソフトウェアとは?
コンピューターに指示を出して、特定の動作をさせるプログラム。

今までは、買い切りのソフトウェアを購入して誰もが使っていましたが、テクノロジーの発展スピードが凄まじく、お客様の要望もどんどん変わっていく世の中において、所有を前提として販売のままだと、お客様にも競合他社にも置いてかれてしまう。

そのため、誰もが同時に使えるようインターネット上にソフトウェアを設置して、機能を更新すればすぐに反映できる状態を作ったのがSaaSです。

個人間で広まっている「所有から利用」の流れが、ソフトウェアにも起こっています。

イメージしやすいSaaSの例
Twitter:SNSサービス
Gmail :メールサービス
アメブロ:ブログサービス

SaaSを図解

言葉の説明だけでは、やはりSaaSがどんなものかイメージできないと思うので、覚えておきたいSaaS情報を図解にしてみました。

ビジネスモデルの変化

SaaSのビジネスモデルを図解

SaaSを知るために、昔と今の流れを確認しておきましょう。

昔:パッケージ売り
➡ソフトウェア単体を直接お客様へ販売(売り切り)

今:SaaS
➡インターネットを介してサービス化したソフトウェアを提供(継続)

インターネットによって、ソフトウェアの販売方法が大きく変わりました。

固定費用・従量課金

SaaSを導入するなら、支払い方法も確認しておきましょう。

主な方法は下記の2つ

  • 月額費用(毎月固定)
  • 従量課金(使った分だけ発生)

どちらか片方、または組み合わせてプランが組まれていることが多いです。

お互いにメリット・デメリットありますが、SaaSを導入するならあなたの状況にあったプランを選ぶのがオススメです。

オンプレミス・クラウドとの違い

オンプレミス・クラウドとの違いを図解

SaaSを知る上で、オンプレミスとクラウドの、2つの単語の意味は知っておく必要があります。

オンプレミスとは
➡企業内に設置したサーバーにソフトウェアを組み込み社内のみで使用

クラウドとは
➡インターネットを介して様々な方へ提供(場所は関係ない)

SaaSは主に、クラウドでの提供となるため、提供方法に違いがあることは覚えておきましょう。

SaaSの種類

SaaSの種類を図解
ホリゾンタル(Horizontal)SaaSとは

ホリゾンタル(Horizontal)SaaSとは
➡業種・業界問わず広い範囲で使えるSaaSのこと※ 上記の図は営業に焦点を当てていますが業種関係なく広い業界で利用できます

代表例

勤怠管理:KING OF TIME、ジョブカン勤怠管理、HRMOS勤怠 by IEYASUなど
電子契約:GMOサイン、クラウドサイン、freeeサイン(旧NINJA SIGN by freee)など
人事評価:HRBrain、wevox、カオナビなど

バーティカル(Vertical)SaaSとは

バーティカル(Vertical)SaaSとは
➡特定の業種・業界に合わせて開発されたSaaSのこと

代表例

建設業界:ANDPAD、SPIDERPLUS、Photoructionなど
医療業界:AI受診相談ユビー、カナミッククラウド、ファーマクラウドなど
飲食業界:ユビレジ、Airレジ、スマレジなど

デスクレスSaaS

その他、バーティカルSaaSと同じような意味の、デスクレスSaaSもあります。

デスクレスSaaSは、工場や運送などデスク仕事をしない方々に対して提供しているSaaS。

代表例

ペーパーレス:カミナシなど

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SaaSとサブスクリプションの違い

SaaSと聞けば、もしかしたらサブスクリプションを思い浮かべるかもしれませんね。

似ている部分もあるのですが、厳密には違ってきます。

たしかにSaaSは、月額費用(または従量課金)で定期的に一定金額を支払うプランが多いのですが、SaaSはサービスの提供方法を指している。

サブスクリプションは、お客様とサービス提供者が継続的な関係性を築いて、収益性を高め続けるビジネスモデルのことになります。

似ているようで、意味が違ってくるため、間違えないようにしましょう。

SaaSの特徴

SaaSは便利で少額でも取り入れやすいため、色々な方が使っています。

なぜ使われているのか、その特徴を見てみましょう。

インターネットに接続できれば使える

社内じゃないと使えない、特定の場所でしか使えない。セキュリティや情報漏えいなどの問題もあって、仕事で使うシステムは出社が必要でした。しかし、SaaSはセキュリティも担保され、インターネットに接続できる端末(PC/SP)があれば、どこでもソフトウェアに接続できるため、場所問わず使えます。

常に最新状態を使える

買い切りのソフトウェアを使っていると、古いバージョンをずっと使い続けて、使いづらさを感じ続けている場合も。SaaSの場合は、大元のソフトウェアを更新すれば、接続するみんなに反映できるため、常に最新状態でソフトウェアを使えます。

試用期間があり試してから導入できる

SaaSを組織へ導入する場合、いきなり購入するわけではなく、試用期間と呼ばれる一部の機能を使えるお試し期間をもらえます。一度試して、組織・チームの状況に合うのか合わないのか確認した上で、導入を決められるので、選択を間違えることは減らせる。

「所有」から「利用」へ

日本企業の傾向としては、自前主義が多いため、ソフトウェアに多額の費用をかけて買い取る、または内製で開発することが多くありました。しかし、初期コストや開発の難しさ、その後のメンテナンスなども不十分になりやすいため、リスクが少ない利用(レンタル)へと移しやすいSaaSに人気が集まっています。

システムエンジニア・プログラマーがいなくても使える

今まで社内のデータを集めたり、集計してグラフ化したくても、エンジニア・プログラマーなど、専門職の方に頼んでデータをもらっていませんでしたか?SaaSはすでに、特定の行動が起こせるようにプログラムが組み込んであるため、誰かにお願いしなくても、自分だけで完結させることが可能です。

売り切りではなく長期的な関係を続けていく

1度しか使わないのであれば、ソフトウェアを使う必要性も高くないですが、何度も作業することや、日常業務で使うのであれば、継続的な利用が求められます。SaaSの多くはお客様に使い続けてもらうこと前提で開発されるため、一度切りの関係ではなく長期的な関係性が築けるようにサポートも続いていきます。

アナログ作業をデジタル化

何度も繰り返し発生する作業…または二度手間になるような作業…実はやらなくてもいい仕事ってたくさんありますよね。SaaSを使うと、ソフトウェアによって自動的に集計してくれたり、操作エラー・アラートを出して注意を促してくれる。今まで手間のかかっていた手作業を、パソコンに置き換えることで、毎日の仕事が楽になります。

SaaSのメリット(魅力)・デメリット

「生活」を「ビジネス」をすごく助けてくれるSaaSですが、何でもできるわけではないため、SaaSを深く知るにはどんな事ができて、何ができないのか一緒に確認してみましょう。

メリット

利用側
場所・時間からの開放

インターネットに繋がる端末があれば、場所を選ばず利用できます。さらに、ソフトウェアに計算をしてもらったり、今まで手間がかかっていた作業が自動化されるため、使える時間も増えていく。

社内状況・企業ステージによって変えやすい

一度大きな費用を払って導入してしまうと、もったいないと感じて切り替えしにくいですよね。SaaSはコストを抑えて導入できるため、自社の状況に合わせながら切り替えていけます。

初期費用・月額が安くて現金が残せる

初期費用や毎月かかる費用が安い、または一気に支払いが発生しないため、いざという時に経営側で使えるよう、手元に現金を残しておけます。

企業価値が高まっていく

SaaSを使うことで、時間短縮の恩恵を受けられます。そうすると、使える時間が増えるため、さらに価値を生み出す仕事に回せていける。結果的に企業自体の競争力が高まっていきます。

身体的・精神的な余裕の確保

今まで手書きをしていたり、Excelなど煩雑な作業になっていた場合は、業務に対して「負」の感情を感じやすかった。しかし、業務効率が高まるためムダな作業が減り、体も心も健全な状態となります。

提供側
継続的な利益が入ってくる

毎月少額であるものの、SaaSはたくさんの方に使ってもらうソフトウェアサービスなので、加入数が増えるほど利益が高まります。さらに、継続的な利用を前提にしているため、毎月安定的に利益が入る健康経営が可能。

計画が立てやすい

SaaSを導入する際、半年や1年といった継続した契約を結ぶことが多いです。そのため、数カ月先まで売上・利益を予測できるため、投資・人員計画などもしやすいです。

お客様との継続的な付き合いから企業間の関係値が高まりやすい

1度のお付き合いでお別れになってしまう企業さんも多い中、継続利用を前提としているSaaSは、付き合い続けることによってお互いの信頼関係が高まりやすい。ちょっとしたことでも相談できる間柄にもなり、さらに共創が進んでいきます。

ネットを使って製品(ソフトウェア)が提供できる

昔はCD-ROMなど物質的な販売がメインで、制作してその人の手に渡らないと使用できませんでした。しかし、インターネット上でダウンロードせずとも、そのまま使い出せるため、企業側としては提供がすごく楽になります。

社会の課題解決のため熱い人たちが集まる

SaaSを提供している企業さんの中には、スタートアップと呼ばれる急成長を目指す企業さんもいます。このような方々は特に、社会に対して、自分たちが感じた世の中の「不満」「不便」「不安」などを解決するために集まっており、その熱気がさらに人を集めていきます。

  

デメリット

利用側
自社のためだけに合う設定ができない(決められた範囲の中で調整する)

SaaSは1社だけが使うソフトウェアではなく、数百社・数千社・数万社とたくさんの企業さんに使ってもらう前提で開発していきます。そのため、ある程度決められた範囲の機能でやりくりしていく必要があります。自社に合わせるのではなく、SaaSに組み込まれた機能に合わせて自社を変えていく場合が多い。

同じカテゴリ内で似ているSaaSが多く存在している

営業用のSaaS・人事向けのSaaS・制作系のSaaSなど、職種や業務ごとにSaaSを各会社さんが開発してくれています。そのため、選ぼうと思ったら同じカテゴリの中でも、複数似たようなSaaSが存在しており、選びづらい状況になっています。

テクノロジーの進歩によって機能が似てくるので選びづらい

テクノロジーの進歩によって、開発力は格段に高まってきました。しかし、開発力の向上によって、開発できる範囲も広くなったため、各SaaSで似ている機能が入り、選びづらくなっています。

半年~1年間など契約の縛りが多い

売り切りとは違い、SaaSは継続的に利用してもらうことを前提にしたサービスなので、1日や1ヶ月ごとに更新できる場合もありますが、多くは半年や1年契約にしている企業さんが多いです。

SaaSの利用数が増えて管理しきれなくなる

職種や業務ごとでSaaSが利用できるため、効率化しようとどんどんSaaSを導入すると、数が多くなりすぎて管理しきれない問題も出てきます。そのため、SaaS自体を管理するSaaSも生まれているほどです。

機能が増えて品質が上がると値段も上がる

SaaSは永遠のβ版とも呼ばれており、常に進化し続けていきます。機能や性能が上がったのであれば、SaaSの価値が上がるだけでなく提供側のメンテナンスや管理コストも増えるため、今の値段では適正な運用ができなくなる。そのため、アップデートされたら値段の見直しが入り、どんどん値上げされていく場合もあります。

提供側
競合他社にテクノロジーで追い抜かれないよう常に進化し続ける必要がある

テクノロジーの進歩が早く、競合他社はどんどん先を目指すため、現状維持でいると追い抜かれてしまう。常に進化し続けなければ戦っていけません。

少額であるため初期は赤字が続く

少額でたくさんの企業さんに使ってもらうSaaSは最初、加入企業さんが少なくて売上を作れません。最初はどうしても赤字になり、加入企業さんが一定ラインまで増えることで初めて黒字になります。

開発者の争奪戦

ソフトウェア開発が必要なので、エンジニア・プログラマーなどが必要ですが、どの企業さんもSaaSへ乗り出しているため、開発者の争奪戦になっている状況。

機能・金額で比較されやすい(リプレイスされやすい)

同じカテゴリに属するSaaSの場合、お客様が求める機能はだいたい似ているため、各SaaSも似てきます。似たようなSaaSであれば、機能・金額で単純に比較されて決められてしまう。

新しい市場やブランド名は大衆に認知されにくい

新しいソフトウェアが開発されても、誰も名前を知らない状態。そこから新たに認知してもらうのはすごく大変。時間もお金もかかります。

市場が大きくなると真似されやすい

儲かっている市場だと見られれば、参入してくる企業さんも増えていきます。常に競合他社との競争が発生している。

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SaaSの代表例・具体例の一覧

「SaaS」という言葉を見ていても、どんなものがSaaSなのか分かっていないと、イメージできないと思うので、分かりやすいようにSaaSの代表例を見てみましょう。

日本海外
ECサイト・楽天
・BASE(ベース)
・STORES(ストアーズ)
・メルカリShops
・Amazon(アマゾン)
・Shopify(ショッピファイ)
映像・U-NEXT(ユーネクスト)
・WOWOWオンライン
・FODプレミアム
・Amazon Prime video
・Netflix(ネットフリックス)
・Hulu(フールー)
web会議・bellFace(ベルフェイス)
・V-CUBE ミーティング
・jinjerミーティング
・ZOOM(ズーム)
・Whereby (ウェアバイ)
・Cisco Webex
チャット・ChatWork(チャットワーク)
・LINE(ライン)
・Typetalk(タイプトーク)
・Slack(スラック)
・Facebook Messenger(メッセンジャー)
・Discord(ディスコード)

どうですか?あなたも普段からお世話になっているITツール・サービスがあると思いますが、これらはインターネットを介してサービス化されたソフトウェアなので、SaaSと呼べる存在。

上記はほんの一部ですが、私生活にもビジネスにも、深く入り込んでいます。

もっとSaaSをお知りになりたい場合は、下記の情報もオススメです。

参考:国内SaaSのカオスマップ(約1,600社分)
参考:【業界別】バーティカルSaaS一覧
参考:β版の注目SaaSリストまとめ

SaaSへ切り替えて大成功した企業

「SaaSってそんなのいいものなの?」と、あなたの疑いはまだ晴れていないかもしれませんね。

売り切り型の「所有」から、SaaS化した「利用」へとビジネスモデルを変化させて、大成功している企業をご紹介したいと思います。

企業:Adobe(アドビ)
特徴:クリエイティブツールの販売・企画・運用
変化:ソフトウェアをパッケージ売りからクラウド型のSaaSへ
売上:2015年度に47億9600万ドルから2018年度には90億3000万ドルへ参考:売り上げ1兆円突破、アドビがサブスク化に成功した理由。幹部が語った「データ重視経営」の核心
参考:クラウド化に大成功!Adobeのクラウド比率いえますか?

1億ドルを日本円に換算すると約100億円なので、たった3年で5,000億円ぐらいの売上増加を実現しています。

今まではクリエイター向けに提供していたソフトウェアですが、一般消費者の方々もデザインツールを使ってもらえるよう、価格を抑えてインターネット上にて提供することで、「クリエイティブの民主化」を実現。

売り切りのパッケージ販売からSaaS化へ切り替え、もっとも成功した企業と言えます。

「SaaS」という言葉の使われ方(例)

SaaSという言葉は、かなり広い範囲を網羅している言葉になっているため、状況や人によって使われ方が変わってきます。

SaaS型サービス
意味:インターネットを介して提供するサービス化したソフトウェア

SaaS型ビジネス
意味:インターネットを介して提供するソフトウェアを使ったビジネス

SaaS型プラットフォーム
意味:インターネットを介して提供するサービス化したソフトウェアの環境のこと

SaaS型システム
意味:インターネットを介して提供するシステムのこと

全部、インターネット上でソフトウェアを使えるようにすることは同じですが、状況によって言われ方は変わってくるんです。

世の中的な定義も定まっていませんので「SaaS」が付けられたサービスは、同じだと思って頂くのが分かりやすいかもしれません。

SaaS提供企業さんによって言い方が変わる
それぞれのSaaS代表例を書こうと思ったのですが、各社さんで自社SaaSの定義がバラバラなので難しい…下手なことを書いて怒られるかもしれませんので、ご了承ください。

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SaaSに必要なPaaS・IaaSとは?

SaaSはインターネットを介して提供されるサービス化されたソフトウェアですが、ソフトウェアだけでは機能しないため、サーバーとプログラムを実行するミドルウェアを連携させて、ソフトウェアを動かす必要があります。

サーバーなど設備関連のクラウドサービスをIaaS(イアース)、プログラムを実行するミドルウェアのクラウドサービスがPaaS(パース)と呼ばれており、そこにソフトウェアを組み合わせて実際にはSaaSが提供されている。

SaaSを知るには、SaaS・PaaS・IaaSの3種類が必要です。

ミドルウェアとは?
サーバーに組み込まれたOSと連携し、ソフトウェアを動かすための役割を担っている。

対象読みがな説明
SaaSサースサービス化したソフトウェアを提供
PaaSパースサービス化したプラットフォームを提供
IaaSイアースサービス化した設備・基盤などを提供

PaaS・IaaSの特徴や代表例なども見ていきましょう。

SaaS・PaaS・IaaSの関係性

SaaSはソフトウェア単体でサービスが提供されているわけではなく、ソフトウェアを動かすプログラム・精密機器なども必要です。

そのため、SaaS・PaaS・IaaSの3つを組み合わせますが、どのような関係性になっているのか、まずは下記の図を見てほしいです。

SaaS・PaaS・IaaSの関係性を図解
対象SaaSPaaSIaaS
アプリケーション(ソフトウェア)
ミドルウェア
OS
ハードウェア(サーバー/メモリ/CPUなど)
ネットワーク
自由度
専門性
利用範囲全部ミドルウェアまでインフラまで

SaaS:すべて揃っているためすぐに使い出せる
PaaS:ソフトウェアを乗せないと使えない
IaaS:ミドルウェアとソフトウェアを乗せないと使えない

SaaSを提供するにはソフトウェア以外にも、ミドルウェア・OS・ハードウェア・ネットワークなどが必要になるため、SaaS・PaaS・Iaasはセットで考えます。

もう少しPaaS・IaaSについて特徴などを確認してみましょう。

サービス範囲は似ているのに、なんで呼び方が違うの?
同じくクラウド上で提供するサービスですが、それぞれ提供範囲が異なるため、名称が分かれています。

PaaSの特徴

PaaSとはPlatform as a Service(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)の略で、データベース・OS・ネットワーク・フレームワークなどクラウドで提供しているサービス。

メリット
  • 最新バージョンを常に使える
  • 初期コストが抑えられる
  • すぐに使い出せる

環境を用意するのに時間も手間もかかっていましたが、そのままクラウド上で利用ができるため、スピーディーにプログラム開発へ進めます。また、一人で多くが対応できるため、OS・ネットワーク・データベースなど、それぞれ専門職を雇わなくても済み、人件費のコストカットが可能。

デメリット
  • ミドルウェアの知識がないと扱えない
  • 専門性が高くなるため人員確保が難しい
  • 従量課金でコストがかさむ場合もある

メンテナンスなども一つずつ行わずに済むため、手間をかけずに使えるPaaSですが、ずっと使っていると自社で用意するよりコストが増えてしまうことも。

代表例

データベース  :Amazon Relational Database Service(RDS)
プラットフォーム:Azure App Service
仮想マシン   :Azure Virtual Machines

IaaSの特徴

IaaSとはInfrastructure as a Service(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)の略で、ハードウェア(精密機器関係)・インフラをクラウド上で用意できるサービス。

IaaS単体ではプログラムが動かせないので、PaaS利用者はミドルウェア・ソフトウェアを組み合わせて、サービス提供を行います。

メリット
  • 短い時間で構築できる
  • 保守のコストが軽くなる
  • 災害時に強い

サーバーを自社ではなく別のところで利用しているため、万が一災害にあったとしてもサーバーが生き残る可能性が高く、リスクヘッジできます。他にも、物理的ではなくインターフェイス上で自由に組み替えることが可能なので、臨機応変に対応がしやすい。

デメリット
  • 外部にデータを保存
  • セキュリティを提供会社に任せることになる
  • 激安サービスの場合は対応品質に問題が出てくる

心配なのは、データが守られるのか、セキュリティは強固なのか。セキュリティに関しては、利用側の設計も関わってきますが、提供会社がどこまでサービス品質を保証してくれるのかが大事です。

サービスの品質保証(SLA:Service Level Agreement)
物理サーバーならすぐに見れますが、クラウド上で仮想サーバーを動かすことになるため、すぐに対処ができない。そのため、トラブルがあった場合はすぐに対応してもらえるか、サービスの品質保証を確認しておきましょう。

代表例

仮想サーバー:AmazonEC2(Amazon Elastic Compute Cloud)
仮想サーバー:Google Compute Engine
ストレージ :Amazon S3(Simple Storage Service)

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SaaS以外にもある?◯aaSの違い

SaaSのほかにも似たような言葉がたくさんあります。

たとえば、デスクトップ環境をネット上に構築するDaaS(ダース)、配車サービスを行っているUber(ウーバー)はMaaS(マース)などと呼ばれていたりします。

◯aaSが複数あるため、それぞれどんな特徴があるのか見てみましょう。

◯aaS読みがな説明
DaaSダースサービス化したデスクトップを提供
FaaSファースサーバーを意識せずにアプリケーション開発が行えるサービス
MaaSマース交通機関・乗り物を一つのサービスとして提供

SaaSだけでも情報量が多かったのに、実は他にも◯aaSってあるんですね。

基本的にはどれもサービス化して提供されているのですが、SaaSとは違ってソフトウェアではない別の対象でのサービス化。

それぞれどんな特徴があるのか見てみましょう。

DaaSの特徴

DaaSとはDesktop as a Service(デスクトップ・アズ・ア・サービス)の略で、OSやアプリケーションなどデスクトップ環境をすべてネット上で用意して、インターネットを経由して繋げるだけで仮想デスクトップが利用できるサービス。

これがあれば、パソコンにOSや特別なアプリケーションをいれずとも、ネットさえ繋がればデスクトップ環境が再現でき、データもすべてクラウド保存されているので、画面が表示される端末さえあれば使えます。

メリット
  • 高機能なパソコンを持ち歩く必要がない
  • 画面表示できる端末があればデスクトップが再現できる
  • 資料もクラウド上に保存できるので荷物にならない
デメリット
  • インターネットに接続できないと使えない
  • 自由なカスタマイズができない
  • 同時に接続している人が多いため動作が重い
代表例

Windows Virtual Desktop
IBM Smart Business Desktop
Citrix XenDesktop

Faasの特徴

FaaSとはFunction as a Service(ファンクション・アズ・ア・サービス)の略で、サーバーがすでに用意されている状態のため、すぐにアプリケーション開発へ進められるサービスです。

メリット
  • 一つの処理が終われば止まるため余計なコストがかからない
  • インフラもOSもミドルウェアの管理も不要になる
  • サーバーレス(不要ではなく管理せずとも使える状態になること)
デメリット
  • 常時起動したプログラムは使えない
  • 利用できるフレームワークに制限あり
  • 依存度が高いため切り替え時がたいへん
代表例

Microsoft Azure Functions
Google Cloud Functions

MaaSの特徴

MaaSとはMobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)の略で、移動に対する検索・予約・決済など統合した移動サービスを提供すること。

個人移動の観光だけでなく、物流などの移動ニーズも含めて、すべでの移動に対する課題を解決するサービス。

メリット
  • 新しい生活様式に合うサービス(対面を減らしたり)
  • 移動サービスの一元化による生活水準の向上
  • 移動前に費用が分かる
デメリット
  • 法律によって進めづらい
  • MaaSが進むと車が売れなくなる
  • 車を運転する人が少なくなる日本
代表例

カーシェアリング
シェアサイクル
配車アプリ

企業のSaaS活用事例

SaaSはあらゆる業界・業種で利用されていますが、あなた自身の仕事にどう影響しているのか、まだイメージが付いていないかもしれませんね。

企業内でSaaSがどう活用されているのか、例を見てみましょう。

業界別

建設

現場で撮影するたくさんの写真を、メールで大量に送ったり、スキャンしてFAX。または作業報告をするためにわざわざ会社へ戻るなど、このような現場の手間を一気に解決するためSaaSが使われています。

参考
施工管理:ダンドリワーク
業務管理:AnyONE
報告管理:Qosmosレポート

不動産

対面ではなく非対面で接客がしたい、管理数が多すぎて一元管理ができない、部署ごとでお客様の情報がバラバラなので手厚いサポートができないなど、このような現場の問題を解決すべくSaaSが使われています。

参考
賃貸管理:カクシンクラウド
顧客管理:nomad cloud
自動追客:KASIKA

医療

体調が悪いけど病名が分からず不安になる、支店がたくさんあり情報連携ができてない、昔ながらの紙作業で煩雑な仕事になっているなど、医療現場の課題解決のためにSaaSが使われています。

参考
IC支援  :MediOS
教務効率化:HealtheeOneクラウド
電子カルテ:CLIPLA

工場・倉庫

在庫の管理ができておらず現場が混乱、Excel管理だと限界がきている、既存システムが古くて困っているなど、在庫管理が必要な業界のためにSaaSが使われています。

参考
在庫管理:ロジザードZERO
倉庫管理:ci.Himalayas/wms
作業支援:Kitting-One

飲食

手書きの注文だと抜け漏れがある、スマートフォン注文を取り入れたい、リアルタイムに売上を把握したいなど、飲食業の課題を解決するためにSaaSが使われています。

参考
POSレジ:POS+
デジタルオーダー:SpiceUp Order
顧客台帳:トレタ

宿泊

宿泊予約サイトがありすぎて管理できない、当日ではなく事前決済にしたい、宿泊客からの問い合わせが多くて効率化したいなど、宿泊業の課題を解決するためにSaaSが使われています。

参考
一元管理:TEMAIRAZU
民泊管理:m2m Systems
業務改善:TradFit

製造

見積もりが多すぎて管理できない、紙を必要とした作業が多くて手間になっている、受発注に時間が取られているなど、製造業の課題を解決するためにSaaSが使われています。

参考
見積管理:RFQクラウド
業務管理:Othello Connect
受発注 :CADDi

業種別

営業

ノウハウが社内で溜まらない、見込管理ができずにチャンスを逃している、営業マンの稼働状況が把握できずにいるなど、営業課題を解決するためにSaaSが使われています。

参考
営業支援:Senses(センシーズ)
名刺管理:Sansan(サンサン)
フォーム営業:SalesNow Form(セールスナウフォーム)

人事

退職者の増加に歯止めがかからない、採用がうまくいかない、社内の不満をよく聞くようになってきたなど、人事課題を解決するためにSaaSが使われています。

参考
勤怠管理:TeamSpirit
人事評価:あしたのクラウド
1on1支援:TeamUp(チームアップ

情報システム

使っている社内ツールが多すぎる、セキュリティが不十分、ログインIDやパスワードが多すぎて管理できてないなど、社内の情報システム部の課題解決をするためにSaaSが使われています。

参考
IT資産管理:ISM CloudOne(アイエスエム クラウドワン)
シングルサインオン:トラスト・ログインbyGMO

労務

入退者の手間が多すぎる、社内人材を把握しきれてない、役所手続きが面倒など、労務課題を解決するためにSaaSが使われています。

参考
労務管理:SmartHR
給与計算:Gozal
効率化 :Bizer

法務

毎回チェックに時間がかかる、ハンコを押すために出勤している、契約管理ができていないなど、法務課題を解決するためにSaaSが使われています。

参考
電子契約:Shachihata Cloud
文書管理:NotePM

マーケティング

お客様へのアプローチが出来ていない、手動で何人も対応して手間ばかりかかる、夜間や休日対応もしたいなど、マーケティング課題を解決するためにSaaSが使われています。

参考
MAツール:SATORI(サトリ)
チャットボット:KUZEN(クウゼン)
WEB接客:KARTE(カルテ)

時間がなくても美しい資料が作れるパワポのテンプレート・素材・ノウハウ
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SaaSを学びたい時に役立つ書籍

SaaSを知るだけなら、インターネット上で探せる情報だけでもいいですが、もっと深く知りたい場合は書籍がオススメです。

書籍を見てほしい理由は、本当にモノゴトを理解するためにはそれなりの情報量が必要だから。

このページで見て頂いているのは、SaaSに関するほんの一部でしかなく、SaaSを知るためにはSaaSはもちろん、関連情報も知っておく必要があります。

また、誰か一人の一方的な情報だけではなく、複数の人から情報を得て多角的な視点を手に入れると、より深く理解ができると思います。

下記にご紹介している書籍は、私自身が読んで「学べた」と感じたものが大半となっています。Amazonのアフィリエイトなど付いてないので、ご安心ください。

SaaSの基礎を知りたい

SaaSを作りたいと思っている

SaaSを作る上での精神を学びたい

SaaS開発をしている有名企業

あなたがもっとSaaSについて知りたいと思っているなら、SaaSを開発しているスタートアップや大手企業さんは抑えておくのがオススメです。

そしてあわよくば、あなたもSaaSへの興味が高まるキッカケになれば嬉しいです。

社名:株式会社SmartHR
事業:SmartHRの企画・開発・運営・販売
設立:2013年1月23日
使命:社会の非合理を、ハックする。

社名:freee株式会社
事業:freeeの企画・開発・運営・販売
設立:2012年7月
使命:スモールビジネスを、世界の主役に。

社名:サイボウズ株式会社
事業:グループウェアの開発、販売、運用
設立:1997年8月8日
理念:チームワークあふれる社会を創る

社名:株式会社ラクス
事業:クラウド事業
設立:2000年11月1日
使命:ITサービスで企業の成長を継続的に支援します

社名:ウォンテッドリー株式会社
事業:ビジネスSNS「Wantedly」の企画・開発・運営
設立:2010年9月
使命:“シゴトでココロオドルひとをふやす”

社名:株式会社ビズリーチ
事業:インターネットを活用したサービス事業
設立:2007年3月
使命:すべての人が「自分の可能性」を信じられる社会をつくる

社名:株式会社PR TIMES
事業:PRプラットフォーム事業・プロダクト事業・メディア事業・PRパートナー事業
設立:2005年12月26日
使命:行動者発の情報が、人の心を揺さぶる時代へ

社名:株式会社マネーフォワード
事業:PFMサービスおよびクラウドサービスの開発・提供
設立:2012年5月
使命:お金を前へ。人生をもっと前へ。

まだまだご紹介しきれていないほど、活躍されているSaaS系企業さんはいっぱい。

事業内容や市場ではなく、どんな想いを持っているのか、ここから見つけたい場合は、下記のページが参考になります。

参考:SaaS系企業のミッション・ビジョンを一気まとめ

最後に。

基本を書こうと思ったら、色々飛んでしまって、書きすぎてしまいました…。

SaaS自体はすでに十年以上前から存在していたのですが、生活様式が変わり、ビジネスの仕方が変わり、クラウドを使った業務が基本となりつつあります。

テクノロジーの進歩で、SaaSが開発しやすくなったことも影響して、今後もどんどん増えていきそうですね。

SaaSを知るにはまず基本から。そんなキッカケとなる情報になれれば嬉しいです。

著者:エンプレス編集部 sugiyama(運営会社ファングリー
住所:東京都渋谷区南平台町15-13 帝都渋谷ビル5F
2012年よりwebデザイナーとしてデジタルマーケティングの支援を開始。その後はマッチングプラットフォームの立ち上げ、売上ゼロからグロースに携わり黒字化後に事業譲渡。現在は資料サービス「エンプレス」にてプロジェクトマネージャーを務め、コンテンツの制作から運用、100社以上のお客様支援を実施。そこで得たノウハウをコラムとして投稿中。
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