いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:yagiです。ビジネスシーンの常用語「リスケ」は、確実に知っておきたい基礎知識。意味や使い方、注意点までもれなく解説します。
みなさんの中には、“今さら「リスケ」なんて…” と感じる方もいらっしゃいますよね。
「リスケ」は、ビジネスシーンでは常識中の常識。それだけに何かと使われる機会の多い用語ですが、使い方次第では相手を不快にさせてしまうことも。
今一度初心に戻って、基礎知識をおさらいしませんか?
私と一緒に、「リスケ」のあれこれについて詳しく見ていきましょう!
「リスケ」とは
「リスケ」は、リスケジュール(reschedule)の略語です。
「予定を変更する」「計画を組み直す」といった意味を持ち、一般的に、計画や日時などの「スケジュールを見直す」という意味で多用されています。
たとえば、
「〇〇さんの歓迎会は、来週の金曜日にリスケになりました」
「企画内容が変更になったのでリスケしてほしい」
などの場面で使われます。
もともと英語から派生した言葉ですが、今や日本のビジネスシーンでは欠かせない言葉のひとつですね。
金融業界での「リスケ」とは
「リスケ」という言葉は、実はもともと金融業界での専門用語。
その意味は、「返済計画の見直し」です。銀行から融資を受けている企業が、借入金の返済が困難になった場合に、その返済条件を変更することを指します。
簡単に言うと、資金繰りが厳しいので、当面の間返済額を少なくしてほしい…というお願いですね。
でも実際には、余程のことがない限り「リスケ」は受け入れてもらえません。
融資を受ける際に、相当厳しく返済期間や返済額を決定するので、ここでの「リスケ」はやむを得ない場合にのみ使われています。
たとえば、「来月の返済が厳しいから、銀行にリスケをお願いしてみよう」など、ネガティブな側面が強い言葉です。
「リスケ」の類義語
同じ意味を持つ言葉には、「再調整」「予定変更」「予定の組み直し」などがあります。
「再調整」は、再び手を加えてより良い状態にするという意味合いを持ち、日程だけでなく意見や仕様など様々なものごとに使えるのもポイント。
また「予定変更」や「予定の組み直し」は、丁寧な言葉遣いが望ましい相手に使える言葉です。
ややカジュアルな表現の「リスケ」では失礼にあたる上司や取引先には、「再調整」「予定変更」「予定の組み直し」など適切な言葉に言い換えましょう。
「ドタキャン」や「キャンセル」との違い
スケジュールに関係する動詞として、「ドタキャン」や「キャンセル」という言葉もありますよね。
「ドタキャン」は、「土壇場でキャンセル」の意味。つまり、土壇場という言葉通り、予定開始の直前に急に不参加を申し入れることを指します。
これは印象の良くない行為なので、体調不良や身内の不幸などのやむを得ない事情を除いては、できる限りしないようにしましょう。
また、「キャンセル」という言葉も、予定していた約束を取りやめることを指すので、新しい日程を組み直すという意味を持つ「リスケ」とは根本的に意味が異なるのです。
意味が曖昧になりがちな「リスクヘッジ」との違い
リスクヘッジ(risk hedge)は、危機回避を意味します。
実はこれも、もともとは金融業界での専門用語。金融取引において、1社のみへの投資だと株価下落によるダメージが多いので、それを避けるために投資会社を分散させることなどをリスクヘッジと呼ぶのです。
つまり、その意味は「危険を予測し、それを回避するための対策を図る」こと。
ビジネスにおいてのリスクも、「予想通りにはいかない可能性」「予測不可能な課題」という意味を持つので、リスクヘッジとはそういった起こりうる事象に対して事前に防止策を講じることを指します。
「リスクヘッジのためにいくつかの案を準備している」などと使われています。
ただリスクヘッジは、「事が起こる前に策を講じて防止すること」なので、「すでに決定した計画を変更すること」を指すリスケとは意味が全く異なります。
策を講じる段階が違うのです。
対義語は「オンスケ」
「リスケ」の対義語は、「オンスケ」です。
「オンスケ」は、「オンスケジュール(on schedule)の略語で、「予定通りに・計画通りに・定刻に・定時に」などの意味を持ちます。
たとえば、「あの案件、オンスケで進んでる?」など、報連相(報告・連絡・相談)が大切とされるビジネスシーンでは作業や計画が予定通りに進んでいることを報告するときや確認する場面でよく使われています。
たまに、上司に作業の進み具合を報告する際に、「オンスケで進んでいます」というように使うこともありますが、「オンスケ」はあくまで略語。顧客へのメールなどで使用する場合は、「予定通りに進行しています」と丁寧に伝えましょう。
「リスケ」をよく使う人って?
今やほとんどの社会人が聞いたり使ったりする「リスケ」ですが、特に頻出するのがIT業界です。
なかでも、ソフトウェアの開発現場で働く人であれば、何度も遭遇するもの。
見積もりやアサインなどの事前準備におけるミスをはじめとして、不慮の事故・アクシデントに見舞われると、進捗の遅れという綻びが生じてしまいます。特に、プロジェクトやリソースが大きければ大きいほど、その可能性が高いことは想像しやすいですよね。
そして、これをリカバリするために度々使われるのが「リスケ」。
遅延をリカバリしようと、残業したり、業務の見直しをして効率化を図ってもどうにもならない場合、その最終手段として「リスケ」が行われます。
納期は変更せず、フェーズごとのスケジュールを見直す場合や、納期そのものを後ろ倒しにする場合が多いIT業界では、「リスケ」は特になじみの深い言葉です。
「リスケ」の使用シーン
前述で「リスケ」の使い方についても軽く触れましたが、ここではもっと詳しく、具体的な使用シーンを紹介します。
大前提として「リスケ」を使うのは社内、同僚や後輩に
ビジネス用語の「リスケ」を使うのは、主に仕事上。
稀に、家族・友人間などのプライベートでも使用する方がいますが、その意味はビジネスシーンと同じです。
ただ、仕事上で「リスケ」を使う際はその相手に注意。
カジュアルな表現は、取引先や上司など、仕事において上下関係のある相手には失礼にあたりかねません。
あくまでも略語ということを意識して、フランクに関われる社内、なかでも同僚や後輩への使用に留めましょう。
「リスケ」の使用シーン3選
会議、面談などの日時変更時
最もよく使われるのは、社内で行う会議や打ち合わせ、面談などの予定日時を変更したい場合です。
すでに計画済みだった予定をやむを得ない事情で取り消して、新しい日程で組み直す。
例
「明日の全社会議ですが、体調を崩して休んでいる人も多いので、来週にリスケでお願いします」
意味
体調不良で人が集まらないので、全社会議の「日程を変更」したい
受発注量や納期の変更時
ビジネスの場では多い、材料や商品の受注・発注の数量や商品到着日の変更。
さらに、プロジェクトの遅延により、納期が間に合わない場合も多々あるはずです。
そういった場合にも、「リスケ」が使われています。
例
「先方が受注数を変更してほしいそうです。○○個追加受注いただいたので、納期をリスケする必要がありますね」
意味
受注数の変更依頼を受けて、追加分については納期が間に合わないため「納期延長」を打診したい
デザインや仕様の変更時
スケジュールだけではなく、商品やイベントのデザインや仕様を変更したいときにも「リスケ」を使います。
また、仕様変更により日程調整が必要となる場合にも「リスケ」は使用できるため、ビジネスシーンでは汎用的に使われています。
例
「来訪者の動線を考えると、このコーナーは○○の展示に変更した方がいいかもしれないですね。開催日をリスケできるか掛け合ってみます」
意味
展示物を変える必要があり、その分の準備期間を確保したいため、開催日を「後倒し」したい
「リスケ」する際の注意点
再三とはなりますが、大前提として「リスケ」という言葉を使用する際は相手に注意しましょう。
社内であっても上司など自分より目上の方にはなるべく使用しないのはもちろん、社外で取引先との受発注などを担当する際に心掛けておかないと失礼にあたることも。
たとえば、自社が発注側の場合、すでに受注側での出荷準備が整った後で、何らかの理由から追加発注をかける場合もあるかもしれません。
こんな時、「発注数をリスケしたいのですが、納期には間に合うでしょうか?」と説明してしまうのは、少し誠実さに欠けますよね。
自分の願い申し出を快く引き受けてくれる取引先には、感謝と配慮をもって、「リスケ」ではなく丁寧な言い方で依頼するのがマナー。
「急な申し出で大変申し訳ないのですが、発注数を〇〇個に変更させていただけないでしょうか?」など、シーン別に「変更」「再調整」とかしこまった言い方で伝えるようにしましょう。
理由の伝え方
「リスケ」を願い出る際、たとえ事実であっても「忙しくて時間が取れない」「他に優先すべきことができた」など、自分本位な理由で伝えるのは絶対にNG。
相手方からすれば、「当社の優先度が低い」「こちらも忙しくても時間を取っている」と不快に思われても仕方がないですよね。
個人としても、会社としても高い信頼性で関係を築いていくためには、相手の心情に配慮した理由付けがとても大切。やむを得ない場合は、体調不良や急な出張など、相手が不快感を抱かず納得できる伝え方を心掛けましょう。
代替日は複数提案
メールで面談や打ち合わせの日程を変更したい場合は、代替となる希望日時を複数提案しましょう。
あらかじめ候補日が複数あれば、相手の都合もつきやすく、日程調整がスムーズに。
また、一方的に希望を伝えるのではなく、可能な限り相手の要望に合わせましょう。
もし、こちらの提示した日程では相手の都合がつかない場合は、「〇〇様のご都合良い日をご教示ください」など、相手の日程に合わせる姿勢が大切です。
「リスケ」したスケジュールは厳守
言うまでもありませんが、相手の了承を得て、一度決まった「リスケ」の日程は容易に変えないようにしましょう。
一度の「リスケ」でも相手には迷惑が掛かっています。「リスケ」は、あくまでもやむを得ない場合の最終手段ということを意識して、決まった「リスケ」は厳守のもと対応しましょう。
そもそも「リスケ」しない状況作りを
ビジネスシーンではよく登場する「リスケ」ですが、本来であれば「リスケ」の必要がない状況作りが必要です。
「リスケ」は自分だけの問題ではなく、関係各所に手間をかけることになります。そのため、本当にやむを得ない事情を除いては、「リスケ」が発生しないよう事前準備、進捗管理を徹底しましょう。
「リスケ」する際のマナー
「リスケ」は相手の了承あってのもの。不快感を与えてしまったり、大きく信頼を損なわないよう、「リスケ」を願い出る際には以下のマナーを心掛けるようにしましょう。
できるだけ電話でお伝えする
社内で「リスケ」を依頼する場合は、メールやチャットで十分ですが、社外で申し出る場合は、第一報は電話が望ましいです。
スケジュールの再調整は相手のお仕事や日程にも影響を及ぼします。
そのため、「リスケ」を依頼する際には直接電話で、その理由と謝罪の言葉をしっかり伝えましょう。
特に、当日になって申し出る場合、メールだと相手がすぐに確認できないこともあります。思わぬすれ違いを起こさないためにも、一度電話で連絡するのがマナーです。
それでも相手が出なかった場合は、後ほどかけ直すか、メールを送るなど柔軟に対応しましょう。
また、電話を掛けた後はそのまま終わらせず、メールにて再度通達するのがマナー。
話している際に、聞き逃しや詳細が伝わっていない可能性もあります。お互いの認識が相違していないか確認するためにも、確認メールは送るようにしましょう。
カレンダー・予定表の変更も「リスケ」した側が責任をもって行いましょう。
連絡は早めに
「リスケ」が必要な場合には、分かった時点ですぐに相手に願い申し出ましょう。
連絡が遅れるほど、相手に迷惑が掛かってしまいます。
早めに「リスケ」を願い出ることで、相手も早めにスケジュール調整ができるので、有意義に時間を使えるようになります。
そのため、「リスケ」する予定の打ち合わせ等が先々であっても、予定変更の場合にはすぐに連絡をしましょう。
誠意ある対応を
「リスケ」をする際に忘れてはいけないのが、お詫びの気持ちと感謝の言葉。
スケジュール変更は相手に迷惑が掛かっているということを忘れてはいけません。
伝える際には丁寧に、そして「リスケ」を快諾してもらった場合は心から感謝し、変更後の日程を厳守しましょう。
【例文】「リスケ」する際に使えるメール文
電話で「リスケ」を打診した際も、電話がつながらなかった場合も、丁寧なメールで相手に通達するのがマナー。
でも、なかには「予定変更をどう伝えればいいんだろう…」と不安に感じる方もいらっしゃいますよね。
そんな方のためにここでは
① 電話がつながらず、メールで「リスケ」を打診する場合
② 電話にて「リスケ」が完了し、確認のメールを送る場合
の2つのシーンにそれぞれ使えるメール例文を紹介します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
電話がつながらず、メールで「リスケ」を打診する場合
件名:〇月〇日打ち合わせ 日程変更のお願い
株式会社○○
○○様
お世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。
先日はお忙しい中、お時間いただき誠にありがとうございました。
先ほどお電話させていただきましたが、ご不在とのことでしたので、メールにてご連絡させていただきます。
来週〇月〇日(〇)に予定しておりましたお打ち合わせの件ですが、
急な出張が入ってしまいました。
つきましては、こちらの都合で恐縮ではございますが、
以下のいずれかにご変更いただくことは可能でしょうか?
・〇月〇日(〇)13:00~15:00
・〇月〇日(〇)9:00~17:00
・〇月〇日(〇)14:00~18:00
もし、いずれの日程も難しい場合は、○○様のご都合のよろしい日をご教示いただけますと幸いです。
ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
\ポイントをおさらい!/
- 「リスケ」という言葉は使わず、「打ち合わせの日程変更」等丁寧に伝える
- 伝える際には「急な出張」等やむを得ない事情を用いて配慮した伝え方を心がける
- 「リスケ」の希望日時は複数提案
- お詫びの気持ちが伝わるよう、誠意ある対応を
電話にて「リスケ」が完了し、確認のメールを送る場合
件名:〇月〇日打ち合わせ 日程変更の確認
株式会社○○
○○様
お世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。
先ほどはお忙しい中、お時間いただきありがとうございました。
急なお願いにもかかわらず快くお引き受けいただきまして、心から感謝申し上げます。
念のため、先ほど変更させていただいた日程をご連絡します。
・〇月〇日(〇)14:00~15:00
改めまして、ご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
当日は、私と○○の2名でお伺いいたしますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
\ポイントをおさらい!/
- 「リスケ」という言葉は使わず、「打ち合わせの日程変更」等丁寧に伝える
- 確認の意味を込めて、変更後の日程を記す
- 感謝の気持ちが伝わるよう、誠意ある対応を
【余談】「~させていただく」の使い方に注意
意外と間違って認識されがちな「~させていただく」の使い方。
「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語にあたります。
実際には適切な敬語として使える表現ですが、なかには「~させていただくは誤用であり、使用を避けるべき」と考える人も少なくありません。
でも実は、状況によって誤った使われ方になる場合が多いだけなので、正しく理解してビジネスシーンでも活用しましょう。
文化庁が発表している「敬語の指針 」によれば、「~させていただく」の使用にあたり、次の条件を満たす必要があるとしています。参考:文化庁 敬語の指針
① 相手または第三者の許可を得ているかどうか
② そのことで自分自身が恩恵を受けるのかどうか
たとえば、自分の都合で相手方に「リスケ」を願い出る場合、
① 相手から「リスケ」の許可をもらう必要があり、
② 「リスケ」してもらうことで得をするのは自分
というように、上記の条件に当てはまるので、この場合の「~させていただく」は正しい使い方と言えます。
ただ、条件を満たし使い方としては正しい場合でも、敬語が重なる二重敬語の場合には不適切とみなされるので注意が必要です。
たとえば、「見る」の謙譲語として「拝見する」という敬語がありますが、これを「拝見させていただく」とするのは誤用です。この場合は、「拝見いたします」とし、二重敬語にならないよう注意しましょう。
「リスケ」の際には便利ツールも取り入れてみて
やむを得ない都合で「リスケ」が必要になった場合、相手の日程を考慮する必要もあり、再調整にはなかなか時間が掛かりがち。
できることなら、手間なく日程調整を行いたいですよね。
そんな時、便利なのが日程調整ツール。
「リスケ」の際はもちろんのこと、普段から利用できるので、ビジネスシーンでは大活躍間違いなしですよ。
こちらの記事では、日程調整ツールオススメ18選と、選ぶポイント、さらに取り入れるメリットについて紹介中!
ぜひ参考にしてくださいね。
>>おすすめの日程調整ツール18選でスケジュール管理と選ぶコツ
最後に
ここまでご覧いただきありがとうございました。
今や代表的なビジネス用語とも言える「リスケ」。それほど耳にする機会は多いですが、度重なる場合は相手からの信用も失う場合もあるということをしっかりと頭に入れた上で行いましょう。
自分が「リスケ」を依頼される側だったら…と考えると、安直に「リスケ」はできませんよね。
ご紹介した注意点やマナーをおさらいして、ぜひ活用してみてください。
お願い事をする時こそ、結構礼儀が出るもの。基礎なんてと油断してはいけません。
お願い事をする時こそ、結構礼儀が出るもの。基礎なんてと油断してはいけません。