【16事例】人気SaaS企業さんから学ぶプライシング(値上げ・値下げ)

  • | 公開 2021年12月17日
SaaS
【16事例】人気SaaS企業さんから学ぶプライシング

いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:エンプさんです。SaaSの価格設定は難しいと思いますが、そんな時は周りの企業さんが行ってきたプライシングを参考にするのもオススメです。

SaaS系プロダクトは、人気が出れば出るほど、利用者が増えれば増えるほど、だんだんと価格が高くなっていくことが多いですよね。

利用者側として金額UPは痛いところですが、品質を保つため、さらに使いやすくなるため、開発に対する費用負担はしかたのないこと。

しかし、価格をどのように上げているのか、または下げる場合もあるため、人気SaaS企業さんのプライシングの移り変わりを見ていきたいと思います。

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人気SaaSのプライシングの移り変わり

これまでに金額UP・DOWNのいずれかを行ってきた人気SaaS企業さんを調べ、どのような価格改定を行ってきたのか調査しました。

数百円の値上げから、根本的に料金プランそのものを見直した変更などもあるため、各社それぞれの戦略違いが見受けられます。

タイミングを見計らったプライシング変更

ChatWork(チャットワーク)さん

ChatWorkの戦略と連動したプライシングフリー   ¥0 ➡ ¥0
パーソナル ¥400 ➡ 廃止
ビジネス  ¥500 ➡ ¥600
エンプラ  ¥800 ➡ ¥960
2021/2/1  パーソナルプラン廃止
2021/7/05 フリープランの利用制限
2021/7/13 料金改定

2017年から変動がなかった料金プランを、2021年時点で一気に3つも変更。

例えば100人が年間使えば60万円だったものが、100円あがり72万円となり、約10万円ほどのコスト増となります。(人数が増えればそれだけ金額は高くなる)

しかし年間契約にすれば割引が入り、月額で使っていた金額そのままで使えるように救済措置をとっている。

  • ビジネス(1ユーザー)6,000円/年(月々500円)
  • エンプラ(1ユーザー)9,600円/年(月々800円)

一度利用して使い勝手の良さを知っている、またはChatWorkを介して多方面で繋がりが出来てしまっている場合は、なかなか他ツールへ変えることが難しい。

それならば年間契約で「今までと何も変わらない」状態を作り出し、ChatWork側としては年間契約が増えることでLTVを高めています。

戦略と価格が密接に連動している好例のプライシングですよね。

検証を繰り返しながらプランを刷新

CLOUDSIGN(クラウドサイン)さん

クラウドサインのプライシング        フリー           ¥0
スタンダード        ¥10,000~
インテグレーションサービス 問い合わせ
スタンダード+        ¥20,000~
ビジネス          ¥100,000~
ライト           ¥10,000~
コーポレート        ¥28,000~
エンタープライズ      問い合わせ     

フリーを合わせると、2015年から2021年の間に8プランを用意し、現在は刷新した4つのプランとなっています。

2021年9月1日にプレスリリースで発信された内容では、どんな企業さんにも使ってもらえるように変更したと書かれていますが、企業規模で分けてきたのかと思います。参考:クラウドサインが新料金プランを2021年10月より提供開始。

規模で分けた時、プラン名も合わないため刷新。

SaaS企業さんは加入企業が増えれば増えるほど、広い範囲の企業に使ってもらえるよう、対象を広くしたプライシングに変更していくのかもしれません。

品質強化のためのプライシング

Backlog(バックログ)さん

Backlogのプライシングベーシック   ¥1,800 ➡ ¥2,000 ➡ -
スターター   ¥2,000 ➡ ¥2,400 ➡ ¥2,640
スタンダード  - ➡ ¥16,800 ➡ ¥19,800 ➡ ¥21,780
プレミアム   ¥7,800 ➡ ¥9,800 ➡ -
マックス    ¥13,000 ➡ ¥16,800 ➡ -
プラチナ    - ➡ ¥50,000 ➡ ¥55,000
エンタープライズ- ➡ ¥150,000~ ➡ 問い合わせ
2015年の料金改定
2017年の料金改定
2018年の料金改定

2015年から2021年の6年間で、3回の値上げを確認できました。(名目は全て品質向上のため)

最小840円、最大5万円まで価格が上がっており、今現在はエンタープライズに対して金額を表示せず、お問い合わせベースで回答しています。

価格以外もプラチナプランで電話サポートを終了したり、常にお客様・自社の状況を考えながらプランを見直し、利用社数も6,000を超えて増え続けていても値上げやプラン調整は受け入れられている様子です。

それだけ良いプロダクト開発を継続できている証拠かもしれませんね。

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ダウンプライシング

電子印鑑GMOサインさん

電子印鑑GMOサインのプライシングお試しフリー    0
契約印プラン    11,000 ➡ -
実印&契約印プラン 22,000 ➡ 9,680
料金プランの変更について

freeeさん

freeeのプライシングスターター  1,180/月 ➡ 980/月
スタンダード 2,380/月 ➡ 1,980/月
プレミアム  3,600/月 ➡ 3980/月(※4人目以降追加した場合の価格)
料金プランの変更について

ジョブカンさん

ジョブカンのプライシング初期導入費用 ¥50,000 ➡ ¥0
月額プラン  -    ➡ 無料プラン提供
最低利用金額 ¥5,000 ➡ ¥2,000
初期費用無料・月額費用無料の完全無料の新プランを提供開始!

Stock(ストック)さん

Stockのプライシングエントリー    2,980/月  ➡ -
スモール     4,480/月  ➡ -
ミドル      7,480/月  ➡ -
ラージ      12,400/月 ➡ -
ビジネス     -     ➡ 600/月/1ユーザーあたり
エンタープライズ -     ➡ 1180/月/1ユーザーあたり
【重要】「エンタープライズプラン」の本格提供開始・料金プラン変更のお知らせ

Safie(セーフィー)さん

SafieのプライシングPROプラン(税抜)
7日間録画プラン  1,200/月
14日間録画プラン 1,650/月
30日間録画プラン 3,000/月 ➡ 2,000/月(33%OFF)
60日間録画プラン 5,500/月 ➡ 2,500/月(55%OFF)
90日間録画プラン 9,000/月 ➡ 3,000/月(66%OFF)
180日間録画プラン -     ➡ 4,500/月
360日間録画プラン -     ➡ 7,000/月
2017.03.31 【リリース】PROプラン月額料金を4月1日よりお得に価格改定!※2021年12月21日時点では、360日録画プランは365日間に変更され、税抜だったプラン価格が税込み表示へ切り替わっています。

お客様側が「お得」に利用できるよう、価格が下げられています。

この背景としては、1店舗に3台の導入が多いことが分かり、もっと多くの方に使ってもらえるよう、3台で1万円を下回るプランへ変更。

ターゲットの解像度があがり、戦略を引き直したことでプライシングも変化。

結果的に、値下げから2年後の2021年9月29日に東証マザーズ上場を果たしています。

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機能が増えてもお値段据え置き

KING OF TIME(キングオブタイム)さん

KING OF TIMEに対して下記3つの機能を統合しても月額300円のまま提供。
・huubHR
・KING OF TIME データ分析
・KING OF TIME セキュアログイン
2020年4月、「KING OF TIME」は月額300円のまま関連3サービスを統合。

長期的な目線のプライシング

kintoneさん

ライト    - ➡ ¥780
スタンダード ¥880 ➡ ¥1,500
【重要】「エンタープライズプラン」の本格提供開始・料金プラン変更のお知らせ

サイボウズさんが提供しているkintoneのプライシングは面白い。

2013年11月21日に発表された新価格体系では、2014年4月12日までに契約していた顧客は「2019年3月31日」までその当時の価格が適用され、2019年4月からは新価格へ移行されるという内容です。

約5年間も移行に対する猶予期間を設けてくれていました。

当時、提供開始から約2年間で1,000社以上のお客様に使ってもらっていた状態なので、いきなりの値上げは顧客離れが進むと考えた可能性もあります。

そして、途中で解約する顧客はいるものの、5年間も使い続けたシステムであれば、その後も継続して利用頂けるとふんでの戦略だったかもしれません。

結果的にkintoneは、2万社の導入実績を得るまでに成長し、短期的な目線でプライシングをするのではなく、長期的な目線でのプライシングでも成長するSaaSを示す代表的なプロダクトとなっています。参考:導入社数2万社が明示されている公式ホームページ

現在のプロダクト状況を解説した上での改定

オフィスステーションさん

【重要】労務ステーション新契約時料金改定のお知らせ

値上げの理由は、何であってもお客様の不満を生むものです。

そのため、多くは値上げする理由を「品質向上」などとして、大きくひとまとめにして説明している場合が多いのですが、オフィスステーションさんの場合はしっかりと説明がされている。

  • 現状(想定したより大きい企業様のご契約が増えてきた)
  • 状態(システムの負荷が増え、追加機能が必要になっていること)
  • 新規(新しく機能追加してバージョンアップしている)

受け手側によって捉え方は様々だと思いますが、本当に良いプロダクトだと感じている方は、正直に伝えられた値上げの理由にも納得し、むしろ今後もよくなる期待が持てるような誠実さを感じていたかもしれません。

こういった企業姿勢もSaaS系企業には必要な要素になってくると思います。

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金額の大幅改定

チャットプラスさん

chatplusのプライシングミニマム     ¥1,980/月
ビジネスライト  ¥6,800/月 ➡ ¥10,800/月
ビジネス     ¥16,800/月
プレミアム    ¥20,000/月 ➡ ¥30,000/月
AIチャットボット ¥170,000/月
【重要】新機能追加・料金プラン改定のお知らせ

一度に大きな価格改定を行っているチャットプラスさんですが、提供価値とプライシングが合っていなかったのかもしれません。

最初は「安すぎる」設定をしがちですが、合ってないのであればその価格で無理して提供する必要はないと思うので、値上げは自然な流れですよね。

また、プランが途中で増えたのは、実際に提供する中でターゲットの分類が分かれてきて、マッチするプランがないための追加だと思われます。

Akerun(アケルン)さん

月額 ¥9500 ➡ ¥17,500
入退室データを管理できる後付け型スマートロック『Akerun Pro』 月額9500円でレンタル開始
働き方改革でスマートロック市場が盛り上がっている? Akerunの逆風と追い風

世界で初めて後付スマートロックデバイスとして売り出された『Akerun』。

当初は1万円以下でレンタルできたのが、今は1万5千円を超えるくらい、値段の大幅改定が行われています。

価格は大幅に上がっているものの、セキュリティへの意識が強まっているのと、行動データの管理・連携(例:勤怠管理との連携)に注目も集まっているため、5,000社以上にも導入が広まっています。導入社数の参考:「Akerun入退室管理システム」の累計導入社数が5,000社を突破

コミュニティ内の限定価格

カイクラさん

船井総合研究所の会員のみ、月額費用20,000円を15,000円で提供。
「おもてなし電話」改め、「カイクラ」の月額費用変更に関するご案内

バージョンアップに伴い値上げを行ったカイクラさんですが、船井総合研究所の会員に対してのみ値下げして提供。

コミュニティを活用した販促活動は、新規顧客を獲得するよりもコストパフォーマンスに優れ、多くのメリットがあるのかと思います。

M&A後のプライシングの変化

Jooto(ジョートー)さん

Jootoのプライシング10万ユーザー突破で急成長中のタスク管理ツールを、PR TIMESが事業譲受

Jootoはシンガポール発クラウド型タスク管理ツールですが、2017年9月29日付で株式会社PR TIMESが事業譲受しています。

当初のプライシングは、一定のアカウント数によってプラン分けをしていましたが、PRTIMESが運営するようになって、ライセンスごとのプライシングへ変更している。

運営会社が変わったことで、プロダクトの方針や戦略の見直しが行われ、もっとシンプルな形でお客様にタスク管理ツールを提供するため、5つのプランを3つまでに絞り込んでいます。

1ライセンスごとの課金にしたのも、見た目的な価格を下げるだけでなく、フリーランス・個人など小さいチーム用、そして大企業用に分けやすくするためかなと思います。

M&Aによるプライシングの変化が確認できる事例でした。

無料枠の開放

MILさん

無料トライアルプランで、1動画のみ編集・公開が可能に。
プランを改定致しました。無料トライアルでインタラクティブの編集・公開が可能になりました。

MILさんはインタラクティブ動画を提供していますが、普通の動画と何が違うのか?インタラクティブって何?と、イメージが曖昧またはまずは使って試してみたい層が多く、先に踏み込めないお客様との接点を作るためにも、1,000回の視聴までを条件に無料トライアルプランを追加。※ 視聴回数などは変更される場合もあります。

お客様にとって新しい技術・サービスは、実際に使ってみなければ良さを感じてもらえないため、限定的な無料プランでもありがたいですよね。

最後に。

各社さんのプライシングを調査してみましたが、それぞれの戦略によってプライシングが大きく改定されていました。

中には数年ごとに見直して、市場とのフィット感を強めている企業さんも。

プライシングの傾向としては、

  • エンタープライズに対しては「問い合わせ」や「資料請求」を挟み価格は見せない
  • 戦略に対してプラン名が合わなくなるタイミングで改定している
  • 2,380円などではなく1,980円など安く感じる値段にする
  • SMBからエンタープライズへターゲットが変更される
  • 人数範囲ではなく1アカウントごとに変更
  • 4月以降に時期を合わせた改定が多い
  • プランを増やしてあとで絞る

など、大まかな傾向が見えてきました。

価格を高くするだけでなく、安くする場合もあり、それが拡大するターニングポイントになっていることも。

プライシングが適切だと、どんどん成長するSaaSになるのは、間違いなさそうです。

価格を決めるのは難しいですが、調整しながら合う価格を見つけているSaaS企業さんが多かったです。

著者:エンプレス編集部(運営会社ファングリー
住所:東京都渋谷区南平台町15-13 帝都渋谷ビル5F
2020年より開始した、すでにご利用企業様1000社を超える資料サービス「エンプレス」にて、プラットフォームの運営からコラムの執筆まで、あらゆる支援を実施。
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