Community-led-growth(CLG)とは?コミュニティ主導の成長モデル

  • | 公開 2021年04月04日
SaaS
Community-led-growth(CLG)とは?コミュニティ主導の成長モデル

いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。Community-led-growthとは、コミュニティを活用した成長戦略ですが、何をどうすればいいのか、コミュニティの基礎から方法までをSaaS慣れしていない人にも分かるよう優しく書いています。

「Community-led-growthって何のこと?」

SaaSに携わっているあなたであれば、どのようにして自社のプロダクトを売り、会社として成長していくのか、常に考えていますよね。

セールスによって売上を作るのか、マーケティングによって売上を作るのか、またはプロダクト自体がその役割を果たすのか。

戦略の取り方は会社ごとで違いますが、コミュニティを成長戦略の軸として進めている会社さんの成長には目覚ましいものがあります。

Community-led-growthはコミュニティを活かした成長戦略なので、詳しくどんなことをすればいいのかまとめてみたので見て頂けると嬉しいです。

主に、SaaSなどプロダクトに紐づけた内容で書いています。

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Community-led-growth(CLG)とは?

Community-led-growth(CLG)とは、簡単に言えばコミュニティを活用し、売れ続けるサイクルを作り出す成長戦略のこと。【注意】これは私なりの解釈となるので、予めご了承ください。

継続的に利益を生み出し続けたい会社さんにとっては、コミュニティ主導の販売戦略をとることで、その可能性を高めることができます。

例えば、Appleは革新的な製品やデザインに対しての拘りによって、多くの熱狂的なファンを作り出すことに成功し、ファン(またはコミュニティ)と共に成長し続けている。

大きな企業だけでなく、私たちの周りには大小さまざまなコミュニティが存在しており、あなたが所属している会社も一つのコミュニティと言えます。

昔から様々なコミュニティは存在していましたが、コミュニティを持つ企業の成長に目覚ましいものが増えているため、コミュニティ主導のCommunity-led-growthが注目を浴びています。

この世はコミュニティ戦国時代に!

Community-led-growth(CLG)が求められている背景

少し前までは当然のようにオフィス出社をしていましたが、今ではテレワークやリモートワークなど在宅勤務が一般化しつつあります。

プライベートはもちろん、普段の仕事においてもインターネットを介して行われる世界となり、物理的な意味で常に誰かが周りにいてくれる環境は無くなりました。

当たり前だと思っていた人との距離感は失われ、何のために存在しているのか、どこに所属しているのか、自分が存在する居場所に対しての価値が改められてきている。

また、SNSなどネット世界での繋がりが当たり前となり、オフラインもオンラインも同じく自分の世界だという意識が強まっているため、どこにいても同じ想い・思考・目標などを持った人が存在する場所(コミュニティ)を求める人が多くなっています。

情報が多すぎる世界で納得の選択をするために

インターネットを開けば、大抵のことはすぐに調べられます。

その反面、同じ情報が多かったり、信頼性が確認できないものだったり、判断が難しいことが多くなってきている。

  • 情報が多すぎる
  • 選択肢が多すぎる

これをSaaSに置き換えるなら、類似プロダクトの多さや同じ機能が各プロダクトに組み込まれているため、何を選んでいいのか分からない状態になっている。

そのため、知らない誰かの口コミで判断するより、すでに見知っている身近な存在に頂けるアドバイスの方が信頼性を感じて判断基準にもしやすいですよね。

インターネット上に公開されている口コミ自体も嘘か本当か分からない内容も多くなっているため、コミュニティの存在が意思決定に強く影響してる世界に。

PLGだけでは不十分なのでCLGもセットで考える

Community-led-growthを考えるなら、Product-Led Growthの存在は切っても切れない関係となります。

Product-Led Growthとは、プロダクトがプロダクトによって自然に売れていくサイクルを作り出す戦略のことであり、営業・マーケティングなどセールス主導で売り込みをするSales-Led Growth(営業主導)と反する戦略。

しかし、Product-Led Growthはプロダクトを使ってもらうことで威力を発揮しますが、使ってもらえなければこの戦略は失敗に終わります。

Product-Led Growthだけでは、プロダクトの認知向上や利用促進に関しては弱いため、Community-led-growthも取り入れてコミュニティを活用して相乗効果を図っていくことが大切。

PLG → 知ってもらう、見つけてもらう、使ってもらうが弱い
CLG → 知ってもらう、見つけてもらう、使ってもらうが強い

また、Community-led-growthは潜在顧客に対しても有効であり、コミュニティによってプロダクトの利用ユーザーとなる前に関わってもらえるため、他の選択肢を排除して意識の占有率を増やすこともでき、ブランディングとしての効果もある。

スタートアップが急速成長を目指すなら、コミュニティは欠かせない存在となります。

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そもそもコミュニティとは?

そもそもコミュニティとは一体何なのか。

たぶん、あなたや周りの人が回答したとしても、全員が違う回答をすると思えるほど、解釈が人によって異なります。

そのため下記に書かせて頂いた内容は私なりの解釈のため、一つの例として見て頂きたいです。

周りを見渡せばコミュニティだらけ

普段生活している中でも、私たちはコミュニティに所属していないと言えるくらい、何かしらのコミュニティに属しています。

  • 家族
  • 学校(学年、部活、学科など)
  • 会社(部署・組織・同期など)
  • 仲のいい友達グループ
  • サークル
  • 勉強会

など、あなたも必ずどこかには所属していませんか?

それぞれ、特定の理由や目的があり、一緒になっている人の集団がコミュニティとして呼ばれています。

コミュニティには満たしたい欲求が詰まっている

人はなぜコミュニティに入りたがるのか。(もしくは自然に所属してしまうのか)

「一人だと寂しいから…」と言えば簡単ですが、コミュニティに対してはマズローの欲求5段階説を用いると説明がしやすいです。

社会的欲求社会的な受け入れ先を見つけ、その集団の一員となることで安心を得たい、他者との関わりを求めた欲求。
承認欲求所属した集団の中、または所属集団に関わらずとも、他者に認められることで心理的安心を得たい自己を肯定・評価されたい欲求。
自己実現欲求社会的にも承認的にも十分な欲求が満たされている状態で心理的にも余裕が生まれている状況であり、さらに自己が目指す理想へ近づきたい欲求。

コミュニティには、社会的・承認・自己実現の3つもの欲求を満たしてくれる環境があり、心理的な安心を得たいがために自然と求めてしまいます。

コミュニティ自体が、その人にとっての社会となるため、所属することで社会と繋がりたい無意識にはたらいている。

他者はコミュニティによって人を認識する

なぜここまでコミュニティに対して人間の欲求が集まっているのか。

それは、他者から自己を認識してもらうためにコミュニティが存在しているからです。

他者の認識例①
Aさん:男性
Bさん:野球部、営業部、既婚

他者の認識例②
Cさん:女性
Dさん:東京都出身、〇〇大学卒業、ベンチャー企業

AさんとCさんの場合は、身体的特徴のみなので、どんな人なのかぼんやりして「どこ」の「誰」なのか認識しずらい。
BさんとDさんの場合は、肩書を複数持っているため、その人を認識するための解像度が高まり、誰なのか認識しやすい。

あなたも自然と、〇〇コミュニティのように、肩書によってどこの誰なのか相手を認識、または相手との立ち位置の差を確かめていませんでしたか?

例えば「会社の社長さん」「スタートアップを立ち上げた人」「書籍を執筆して販売している人」など聞くと、この人はすごい人なんじゃないのか!?と思って、相手への認識を強めますよね。

つまり、所属するコミュニティによって、他者からみられる印象に大きな違いが出てくるんです。

学生時代、クラスでも目立った人たちが集まったグループがありましたよね。そのグループに所属しているだけで、なんだかクラスや学校内からも、人気者のような見られ方・扱われ方をしていたと思いますが、これと同じ効果があります。

肩書がなぜ必要なのか

人は相手の肩書からどんな人かを推測しますが、なぜ肩書によって推測できるのか。

肩書といっても、効果の高いものもあれば、小さいものもあります。

肩書の例
・社長
・新入社員

どちらかと言えば、"一般的"に良い印象を持たれるのは「社長」の肩書かなと思います。

社長という言葉自体に、

  • 会社のトップで一番偉い人
  • 苦労して上ってきた
  • 何人もの社員を抱えている

など、誰もがイメージできる凄いと思える情報が数多く含まれていますが、例えば社長に対しての事前情報がまったくのゼロである、小さいお子さんから見れば、社長も新入社員もどちらも変わらない。

これが何を示しているかと言えば、「社長」の単語自体に多くの人が偉いと判断できる情報を記憶しているからです。

逆に「新入社員」に対して偉いイメージが世間一般で覚えられていたら、社長よりも新入社員の方が肩書としては強くなっていたはず。

世間一般で共通したイメージが持たれ、尚且つその情報が自分の立ち位置と比べて、どう違うのかを判断するために肩書が使われています。

コミュニティに所属して肩書を手に入れることが、自分と相手の違いを示すため、自己の存在を強めるためにも誰もがコミュニティに所属したいと無意識のうちに思っている。

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コミュニティに求める意識の違い

コミュニティに参加したい人達は、それぞれ何に惹かれて参加を求めているのか意識の違いはありますが、それを3つの属性で分けて考えてみたいと思います。

ギバー(与えたい)
→ 自身の知識や情報を提供したい意識が強い

マッチャー(与えもするし受け取りもする)
→ 知識・情報の提供だけでなくコミュニティ内からも受け取りたい意識を持つ

テイカー(受け取りたい)
→ 知識・情報を受け取るだけの意識が強い

求めることギバーマッチャーテイカー
共通の態度を感じる
共通の関心がある
助言したい
利益を得たい

コミュニティは相互関係、内部の人同士の関わり合いによって発展していくため、事業テーマにもよりますが、一方的な情報発信だけでは成立しない場合も多いです。

主催者 → 参加者
参加者 → 主催者
参加者 → 参加者

この3つのやり取りがなければ、コミュニティはうまく機能しないので、例えば単純にテイカーだけが存在した場合はどうなるのか。

主催者 → 参加者 のみとなり、一方通行にしか情報が飛ばないため、情報の伝達サイクルが行われず、コミュニティとしても発展しないと言えます。

Community-led-growthを実行していくためには、コミュニティ内の活性化が不可欠のため、テイカーよりもギバー・マッチャーを多くして、コミュニティ内を活発化させる必要があります。

コミュニティの強制は負担になる
誰かに何かをやらされるとストレスですよね。コミュニティといっても命令・強制が加わると途端に居心地が悪くなるので、繋がることを強要しないことが大切です。まずは自分が自由に動けるフィールドを確保した上で、周りと繋がれる環境作りがいいと思います。

ただしテイカーが多くてもうまくいく場合も

NewsPicksさんで掲載された「アットコスメ「交流させないコミュニティ」が持つ真の威力(外部リンク)」こちらの記事。

アットコスメさんのコミュニティ論に関する話ですが、あえてユーザー間のコミュニケーションをとらない形で、コミュニティを作り上げている事例もあります。

一定のユーザーさんのみ(セミプロやインフルエンサーなど)が発信して、あとはその情報を見るユーザーさんだけにする口コミサイトの場合に効果が高い。

主催側や参加者側、または参加者同士のコミュニケーションは無いが、ユーザーさんが欲しい品質の高い情報が大量にあることで、コミュニティを作り上げている好例です。

コミュニティの種類

コミュニティの形にも色々あり、大きく分けて以下の4種類を知っておくだけでもオススメです。

  • お互いに情報共有するフォーラム型
  • 一緒に何かをするプロジェクト型
  • 特定人物に集まるタレント型
  • 特定情報のみが知りたいアクセス型

お互いに情報共有するフォーラム型

参加者同士が交流を目的にしたフォーラム型のコミュニティ。

例:Googleヘルプコミュニティ5チャンネルなど

特別なルールを設けている場合もありますが、基本的に自由に話せる形のコミュニティですが、それ故に管理がしずらい場合も。

一緒に何かをするプロジェクト型

コミュニティ内の人たちと一緒に何かを作り上げる、またはサービスを開発していく。

例:クラウドファンディングなど※ コミュニティではなくサービスですが、人が集まる場所であり、プロジェクトも存在しているため、例として出させて頂いています。

既存のプロジェクト、または新規のプロジェクトをコミュニティ内で募集して進めていく形のコミュニティです。

情報を見たりするだけでなく、実際の行動へ移していくため参加者の行動力や実行力、または責任能力も必要なので、通常のコミュニティよりはハードルが高い。

しかし、自分だけでは進められないようなことを、同じ目的の人を見つけて進めることができるため、大きなこともできます。

特定人物に集まるタレント型

特定人物から発信する情報を求めて集まるタレント型のコミュニティ。

例:オンラインサロン、noteのサークルなど

その人が持つ特定領域の情報を知りたい、その人自身が好き。

人に属する情報の価値を求めて集まっているコミュニティとなり、基本的に主催者→参加者へ情報が渡されることが多いです。

特定情報のみが知りたいアクセス型

情報を提供する意識より、受け取る意識の方が強いアクセス型のコミュニティ。

例:口コミレビュー

コミュニティに所属する人達同士でのコミュニケーション量が求められているわけではなく、特定の人(レビュー投稿者)の投稿内容と、情報を参考に見たいだけの関係性。

相互コミュニケーションは求めていない、閲覧することが価値となるのが、アクセス型のコミュニティです。

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Community-led-growthの成長モデルを図解

コミュニティを活用した成長戦略を推し進めるためには、どのような成長モデルをイメージすればいいのか。

プロダクトとコミュニティの関係性を図にしてみたので、まずは一度見て頂きたいです。

Community-led-growthとProduct-Led Growthが連動した成長モデル図の参考:Hubspotのフライホール

前提として、Product-Led Growthを中心にコミュニティがどう作用するのか考え、プロダクトに近いコミュニティと、プロダクトから少し離れたコミュニティに分けましたが、コミュニティ自体は全て連動し繋がっているイメージです。

Out-community
・認知向上
・潜在層へのアプローチ
・新たな利用者を巻き込んでいく

In-community
・プロダクトに関する情報共有
・利用者同士のコミュニケーション
・ファン化を加速

OutとInのコミュニティでプロダクトを包む形によって、成長が加速されていくのではないかと思います。

上記のイメージ図は、私がPLGとCLGの概念から着想して作った図なので、予めご了承ください。

Community-led-growth(CLG)の事例

Community-led-growthの戦略を取り、成長を加速させている事例として、Raenaは美容コミュニティを活用して収益を高めています。

Community-led-growthによって成長しているRaenaの事例出典:Move over Content, it’s time for Community-led Growth

コミュニティが大きくなるにつれて、収益も増えています。

他の要因もあると思いますが、コミュニティと収益には相関関係があると言えますね。

Community-led-growthは企業の資産となる

なぜコミュニティの存在が成長に起因すると言えるのか。

例えば広告は高額で支払えば、広い範囲で自社の宣伝が行えるため、潜在層や顕在層に対してもアプローチできますが、広告出稿を止めればその効果は終わってしまいます。

しかし、コミュニティは主催者と参加者、参加者同士の関係性によって24時間365日発展させ続けることが可能。

広告のようにすぐ消えない存在であり、コミュニティを健全に保っていけば継続的にコミュニティ内の関係性が強まることで、コミュニティを求めている人がさらに増えていく。

一時的ではなく継続的な自社と顧客(または見込み顧客)との関係性を築ける施策がコミュニティであるため、Community-led-growthでは消えない資産を作ることができます。

Community-led-growthのデメリット(難しさ)

Community-led-growthを実践しようと思って、いざ始めようと思っても、簡単にコミュニティを作れるわけではありません。

むしろ、コンテンツマーケティングのように時間がかかる。

まずはコミュニティ作りの心構えとして、デメリット(難しさ)を見ておきましょう。

  • 結果はすぐに出てこない(時間がかかる)
  • 結果がすぐ出ないため社内投資がしてもらいずらい
  • ただユーザー同士を交流させればいいわけではない
  • ツール選びがコミュニティ作りではない

特に、すぐ結果が出るものではないのと、コミュニケーションの量が多くなればなるほど、管理も大変になります。※ コミュニケーションの量が多ければ「コミュニティ」が作れるわけではなく、むしろ量が少なくてもコミュニティが形成できる場合もあります。

向き合いたいユーザーさんの属性などによっても、コミュニティの形は変わるので、一つ一つ試しながら進んでいくことにもなる。

大変ですが、丁寧にコミュニティを作っていくことが大切です。

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Community-led-growthのメリット(効果)

Community-led-growthを実践し、コミュニティを軸にした成長を考えた場合、コミュニティ作りが大変なことには変わりないのですが、どのようなメリットを受けられるのか確認しておきましょう。

  • リモートワーク時代にマッチしている
  • コミュニティのステータス効果でさらに参加者が増えていく
  • コミュニティ内で解決できることが増えるためカスタマーサポートの比率が減る
  • コミュニティ参加者がプリセールスの役目となってくれる
  • 採用へ良い影響が与えられる
  • コミュニティへの参加頻度が多くなることで他に目が向かなくなる
  • フィードバックが早くもらえる

これらを詳しく見ていきたいと思います。

リモートワーク時代にマッチしている

リモートワーク(テレワーク)など在宅勤務が一般化して、社員全員がオフィスに出ない会社もありますよね。

今まで近くにいた人へすぐ聞けていた内容も、一度チャット・メール・電話をして聞くようになります。

お互い仕事をしているため、返事が遅くなってしまったり、社内の状況が分かっていないと、誰に何を聞いていいのか分からないこともある。

そのため、会社以外に気軽に話を聞けるコミュニティの存在は、時代と非常にマッチしており、さらに加速していくと予想できます。

コミュニティのステータス効果でさらに参加者が増えていく

他者はコミュニティによって人を認識する」でも少し書かせてもらったのですが、コミュニティが成長すればするほど、そのコミュニティに対する価値が高まり、所属したい人が増えていきます。

コミュニティに所属することで、他者からの見え方も変わるため、人気のコミュニティはどんどん参加者が増えていきます。

参加者が増えれば、潜在層に対してもプロダクトのメリットに気付てもらえるため、利用者も拡大できる。

コミュニティ内で解決できることが増えるためカスタマーサポートの比率が減る

コミュニティ内の情報、または参加者同士のコミュニケーションによって、問題が解決することも多くなっていきます。

本来なら企業側のカスタマーサクセス・サポートのチームが対応に当たるものを、コミュニティの参加者(主にギバー)が助言やサポートを代わりにしてくれます。

例:Yahoo!知恵袋で回答をくれる方

これは強制ではなく、自ら行ってくれているため、自社リソースを使わず顧客の満足度を高めることも可能。

コミュニティ参加者がプリセールスの役目となってくれる

コミュニティ参加者が、同じコミュニティ内の参加者にプロダクトのメリットを伝えたり、解決できる課題の説明をしてくれたりと、プロダクトにとってのプリセールスとして振る舞ってくれます。プリセールスとは、技術面など細かい部分を営業の代わりに説明してくれる人

本来であればプロダクト開発会社の営業さんなどが説明することを、コミュニティの参加者が変わりにしてくれる。

自社だけでは広められない情報を、コミュニティによってさらに広めることができます。

採用へ良い影響が与えられる

ホームページなどインターネット上に記載されてる情報はごく一部ですが、コミュニティを活用してもらえると、実際に使っている人からの情報が得られたり、色々な側面からプロダクトの情報を得ることができます。

静的な口コミだけでなく、聞いてすぐに回答してもらえる動的な口コミも得られるため、プロダクトから開発会社への興味関心も高まる。

それらの高まりが就職・転職などの意識を強めて、採用にも好影響を与えることも。

コミュニティへの参加頻度が多くなることで他に目が向かなくなる

自分が所属しているコミュニティがあれば、欲しい情報は同じ属性を持った人から簡単に得られるようになるため、不満がなければ現状のコミュニティだけで満足しがちです。

新たな情報を得る必要性も感じないため、コミュニティ内でプロダクトに対する好印象を受ける情報を受け取っていれば、他社のプロダクトに目が向かなくなり、自社の顧客になってもらいやすくなります。

フィードバックが早くもらえる

Community-led-growthを実践するのであれば、コミュニティへの意識が社内でも高まり、通常であれば届かなった層、例えば経営層やリーダー層などにも、コミュニティ内で発信された情報が届きやすくなります。

また、インタビューや調査を行い、わざわざプロダクト利用者の声を聞いていたものが、コミュニティがあることで気軽に発言できるようになり、フィードバックがもらいやすくなる。

その情報を元にプロダクトの改善も行えるため、コミュニティと一緒にプロダクトも成長させていけます。

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Community-led-growthの方法・作り方

会社の方針、プロダクトの特徴、向き合いたい顧客(見込み顧客含む)、社内の組織体制などによっても、どんなコミュニティを作ればいいのか変わってくるため、一概に「この方法でコミュニティを作れます!」とは言えませんが、それでも最低限守っておきたいことはあります。

下記は、コミュニティ作りの基礎として見て頂ければ嬉しいです。

① ルール(条件)を決める
② 求められるコンテンツを見極める
③ ツールを選ぶ
④ インセンティブ(価値・報酬)を渡す
⑤ 参加者を巻き込んだコンテンツ作り

① ルール(条件)を決める

当たり前のように思われますが、コミュニティ作りにはまずルールを決めることが大事。

これは家族・学校・会社など、どこに所属したとしても周りには誰か自分以外の存在がいるため、自分勝手に何でもしていいわけではないですよね。

例えば、コミュニティ内で決められたルールを守らない人がいた場合、同じコミュニティ内の人は「あの人なんなの?」「私は我慢してるのに」と不平不満が増えて、いずれは大きな亀裂となって崩壊する可能性もある。

また、ルールを守らない人がコミュニティ外でも同じような振る舞いをしていた場合は「あのコミュニティの人達ってこんなに素行が悪いの?」と、コミュニティの価値を下げてしまうことに。

自分自身の行いが全てコミュニティと連動することに意識が及ばないと、結果的にコミュニティに人が集まらなくなり、運営している意味もなくなります。

ルールを守ることは、コミュニティの価値を担保することに繋がるため、ルール作りは暗黙の了解にせず、明文化しておくのがオススメです。

嫌な役周りですが、ルールを守っているか確認(取り締まる)する人を立てておくのがいいと思います。

② 求められるコンテンツを見極める

運営方針を最初に決めたからと言って後で変えてはいけないわけではないので安心してください。

しかし、どのようなコンテンツで参加者を引き付け、リピーター(コミュニティ内の人)になってもらうか、コミュニティの価値をどう作るか考える必要があります。

主催者 → 参加者(ナレッジ系)
・ガイド
・ヘルプ、マニュアル
・活用事例
・ノウハウ
・Q&A

参加者 → 参加者(コミュニケーション系)
・討論
・レビュー
・共同作業

参加者 → 主催者(サポート系)
・フィードバック

他にもありますが、ユーザーさんが価値を感じてくれて、尚且つ自分達が提供可能なコンテンツを見極める。

必要とされるコンテンツがあるからこそ、みんなが集まってきてくれるので、価値の出し方は考える必要があります。

③ ツールを選ぶ

コミュニティ形成に必要な場所を用意することも大事。

  • SNS(Twitter・Facebookグループなど)
  • チャット(Slack・Discordなど)
  • プラットフォーム(noteサークルなど)
  • 公式サイトとは別のコミュニティ用サイトの構築
  • SaaSを使う(commmune・coorum・Zendeskなど)
  • オフラインイベント

など、今ならSNSや無料チャットツール、またはコミュニティサイトを運営している企業もあるので、方法は色々です。

大きく広げすぎて対応が大変になってしまったら、元も子もないので、まずは小さく始めるためにSNSやSlackなどを活用したものから試すのもオススメです。

④ インセンティブ(価値・報酬)を渡す

優劣ではありませんが、ルールや方針に基づき、良い活動をしてくれた方にはインセンティブを提供するのも、コミュニティを広げていくためには重要なポイント。

インセンティブ(報酬)が何か?と問われたら人それぞれで違う答えが返ってくると思うので、まずは基本として以下を見てみましょう。

「コミュニティには満たしたい欲求が詰まっている」で解説した、マズローの欲求5段階説を用いると分かりやすいです。

  • お金的インセンティブ(金銭の提供)
  • 行動的インセンティブ(行動に対する賞賛)
  • 社会的インセンティブ(存在価値を承認)

コミュニティは、言わば自分の欲を満たすために入るため、得られる報酬を目的として所属しています。(無意識のうちに)

家族であれば、心理的な安心を。
会社であれば、生活に必要なお金を。
ボランティアであれば、自己の満足度を。

このコミュニティでは何が価値として求められているのか、一人一人で考えると難しいので、コミュニティに集まる人の属性で一定のインセンティブが渡せるような仕組みが作れると、拡大しやすい。

インセンティブの注意点
インセンティブを付けると、インセンティブ目当てで悪用する人が出てくる可能性もあるので気を付けましょう。

⑤ 参加者を巻き込んだコンテンツ作り

コミュニティの方針にもよりますが、参加者同士が繋がって自然とコンテンツが作れると、コミュニティ内の活動も活発化します。

Yahoo!知恵袋(QA型)
CAMPFIREコミュニティ(参加募集型)

他にもマーケターの筋トレを目的とした「マーケティングトレース」は、頻繁に企業のマーケティングトレース(戦略を考察し可視化させることで知見を増やす)をコミュニティの参加者が実践し発信されています。

参加者と一緒にコンテンツが広がる仕組みを取り入れることで、さらにコミュニティが大きくなり結果も出やすくなります。

最後に。

今までのコミュニティは、明確に集まる場を用意して、そこに所属することで形づくられていました。

しかし、活動の多くをネット上で行う時代は明確な場を必要とせず、Twitterのハッシュタグを使ってもらったり、noteで個々に発信してもらうなどして、自由に出入りできる状態のコミュニティが増えるかなと考えています。

入会行為そのものがストレスにもなるため、コミュニティの在り方次第で成長が大きく変わると考えると、すごく面白いですよね。

Community-led-growthの考え方を取り入れる必要性がますます高まっていると感じています。

著者:エンプレス編集部 sugiyama(運営会社ファングリー
住所:東京都渋谷区南平台町15-13 帝都渋谷ビル5F
2012年よりwebデザイナーとしてデジタルマーケティングの支援を開始。その後はマッチングプラットフォームの立ち上げ、売上ゼロからグロースに携わり黒字化後に事業譲渡。現在は資料サービス「エンプレス」にてプロジェクトマネージャーを務め、コンテンツの制作から運用、100社以上のお客様支援を実施。そこで得たノウハウをコラムとして投稿中。
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