IT導入補助金とは?2022年度の情報を中心に申請や採択率も解説

  • | 公開 2022年09月16日
業務効率化
IT導入補助金とは?2022の情報を中心に申請方法や採択率まで解説

いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:fukuyamaです。IT導入補助金の申請方法や注意点、補助対象など、難しい言葉の意味も確認しながら私と一緒に見ていきましょう。

IT導入補助金は、2017年から始まった企業向け補助金制度。

国から受け取った補助金でITツールを導入できるというもので、あなたも導入を考えているかもしれませんね。

しかし、申請できる条件やルールなどがたくさんあるので、

気になっているけれど、難しくてなかなか利用しにくい...。

このように踏み出せない場合もあると思うので、

  • IT導入補助金の種類
  • どうすれば申請が通りやすくなるのか
  • あなたの会社もIT導入補助金に申請できるのか
  • どんなことに注意すべきか

これらを中心に、IT導入補助金について私と一緒に見てもらえると嬉しいです。

※IT導入補助金を受け取ってITツールを導入したい中小企業さん向けの内容です。
※ここでは「IT導入補助金2022」についてお話しさせて頂いています。
※2022年度とは2022年3月31日(木)に受付開始されたものです。

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IT導入補助金とは?

IT導入補助金とは、あなたの会社の生産性をアップさせるITツールの、導入をサポートする補助金制度。

会社の課題を解決して生産性を上げるためにITツールを導入したいけれど、費用がネックでなかなか導入できない…。

このような企業さんのために、導入費用の一部を補助してくれるのがIT導入補助金です。

IT導入補助金で混乱しやすい「三者」を整理

IT導入補助金は「サービス等生産性向上IT導入支援事業」という事業の制度です。

事業者・事業とで言葉がごちゃごちゃになってしまいやすいですが、

  • 補助金を利用したい中小企業(事業者)
  • ITツールを提供する企業(事業者)

これらと同じように、IT導入補助金を運営する事務局も一つの事業者と考えれば分かりやすくなります。

事業者やること
中小企業・小規模事業者(あなた)IT導入補助金を受け取りたい企業さん
IT導入支援事業者自社のITツールを補助金の対象として登録している企業さん(ITベンダー・サービス事業者)
事務局サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)を運営する社団法人

年度ごとに内容が変わるので注意

この記事は「IT導入補助金2022」の説明ですが、概要や申請書類、お問い合わせフォームなどが、前年度の「IT導入補助金2021」をはじめ毎年度それぞれ違うため、あなたが申請する予定の年度の案内をよく確認する必要があります。

基本的な概要など大枠はほとんど同じですが、スケジュールはもちろん金額も変わる可能性があるため、必ず申請する年度の情報をチェックしてほしいです。

IT導入補助金は国の経済を支えるために生まれた

IT導入補助金は、企業さんたちの生産性向上を図り、日本の経済成長へ繋げるために平成28年度にスタートしたもので、サービス等生産性向上IT導入支援事業とも呼ばれます。

そのため国の補正予算に大きく関係し、年度ごとに「平成28年度補正」「令和2年度第三次補正」といった言葉が付きます。

どんな種類がある?IT導入補助金の「枠・類型」

IT導入補助金には、枠や類型という区分があります。

社会情勢に合わせて、年度ごとに新しい枠や類型が作られたり、逆に廃止されたりするため、あなたが申請したい年度の詳細は要チェック。

それぞれどのような内容なのか、私と一緒に見てもらえると嬉しいです。

通常枠

通常枠は、中小企業さんや個人事業主さんが、生産性向上を目的にITツールを導入したい時に利用できる補助金。

あなたの会社が持つ課題に合うITツールを導入でき、導入費用の1/2、最大で450万円を補助してもらえます。

申請や手続きのサポートも付いてくれるので安心です。

類型の違い

通常枠にはA類型・B類型の2種類があり、それぞれ次のような違いがあります。

類型補助額プロセス数賃上げ目標
A類型30万~150万円未満1以上加点
B類型150万~450万円以下4以上必須
※プロセス…生産性向上・効率化したい業務工程
※加点…補助金の申請で有利になること

A類型の賃上げ目標は加点となるため達成していなくても大丈夫ですが、B類型は必須なので未達になっていると補助金の返還を求められることがあり、注意が必要です。

セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠は、2022年から新たに加わったIT導入補助金枠です。

  • 不正アクセス
  • 情報漏洩・改竄
  • マルウェア感染
  • メモリーなど記憶する媒体の盗難・紛失
  • 自然災害による設備故障

このようなトラブルに遭い、あなたの会社のサービスや会社そのものが続けられなくなるのを防ぐため、また生産性の向上を邪魔されてしまうのを防ぐために、セキュリティ対策推進枠の補助金があります。

サービス利用料の1/2以内、最大で100万円を補助してもらえて、期間は最大2年分。

また、頼れるIT社会づくりのために発足された、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が登録・公表するサービスなのも安心です。

サイバーセキュリティお助け隊

IPAでは「サイバーセキュリティお助け隊」を運営しており、中小企業のセキュリティ対策に欠かせないサービスをワンパッケージで安く提供するサービス。

一つ前に見て頂いた「通常枠」や、次に見て頂く「デジタル化基盤導入枠」で申請するITツールと組み合わせて、オプションとして申請でき、採択審査で加点対象にもなります。

さらに、セキュリティ対策推進枠が新たに作られたことで、サイバーセキュリティお助け隊のサービスを、メインのITツールとして申請できるようになりました。

デジタル化基盤導入枠

デジタル化基盤導入枠は、企業のデジタル化やDXを後押しして生産性向上を目指すIT導入補助金です。

類型は、デジタル化基盤導入類型・複数社連携IT導入類型の2種類があるため、詳しく見ていきましょう。

デジタル化基盤導入類型

IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠は、パソコンやPOSレジなどの機器や、会計・受発注ソフトなど、企業のデジタル化をサポートしてくれる補助金です。

補助対象

  • 会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフト
  • クラウド利用料
  • ハードウェア導入費(PC・タブレット・レジ・券売機など)

補助額が5万~50万円以下の場合は3/4、50万超~350万円の場合は2/3の補助率となり、クラウド利用料は最大2年分を補助してもらえます。

複数社連携IT導入類型

名前の通り、複数の企業が連携してITツールを導入することで、豊かな経済を目指す補助金です。

つまり、地域でソフトウェアやハードウェアを導入し、まちづくりや商業を活発にしよう!といったものなので、自社だけでなく様々な企業や事業者さんとみんなでDX・デジタル化に取り組みたい場合は、複数社連携IT導入類型がオススメ。

申請は複数社で行い、それにともなって補助額は最大3,000万円と高額になります。

補助金をもらうための採択と不採択

採択とは、補助金を申請した企業さんの中から「あなたには補助金を交付しますよ」と、IT導入補助金の事務局が選ぶことを言い、採択・不採択というように使われます。※「交付」…事務局があなたへ補助金を渡すこと

採択率はどのくらい?

採択は、IT導入補助金を渡すのに適している企業さんかどうか審査を行うのですが、どのくらいの企業さんが採択、交付を認められているのでしょうか?

現時点で、IT導入補助金の公式サイトで公開されている申請件数・交付決定件数から、採択率を計算してみました。

通常枠

締切回類型採択率
1次締切A型55.556%
B型41.250%
2次締切A型55.114%
B型42.718%
3次締切A型49.183%
B型41.346%
※参照:IT導入補助金2022 交付決定事業者一覧 【申請件数及び交付決定件数】

デジタル化基盤導入枠

締切回採択率
1次締切87.077
2次締切88.267
3次締切85.683
4次締切87.048
5次締切83.061
6次締切82.356
7次締切81.852
※参照:IT導入補助金2022 交付決定事業者一覧 【申請件数及び交付決定件数】

通常枠の採択率は5割前後ですが、2022年度から新しく加わったデジタル化基盤導入枠では8割を超え続けています。

IT導入補助金をもらうためには?

IT導入補助金を申請しても、不採択(申請が通らない)になってしまうことはできる限り避けたいですよね。

無事採択してもらうためには、次の2つが大事になってきます。

  • 必要な情報を提出する
  • 審査で求められていることに取り組む

必要な情報を提出する

「リンゴとブドウを必ず提出してください」と言っているのに、リンゴだけしか提出しなければ、当然申請は通りませんよね。

提出期限を過ぎることはもちろん審査外となりますし、記載する内容を間違えると一度提出したら修正できません。

事務局さんから「ここの不備を訂正してください」と連絡をもらえることもありますが、基本的には後から修正できないため、とにかく求められている情報・書類をその通りに提出するのが、IT導入補助金の申請では大前提です。

審査で求められていることに取り組む

IT導入補助金の各枠(通常枠・セキュリティ対策推進枠など)には、それぞれ審査項目があります。

  • 事業面からの審査項目
  • 政策面からの審査項目

この2つに分かれており、政策面からの審査項目は加点項目として次の段落で見てもらえればと思うので、通常枠を例に、まずは事業面からの審査項目を見ていきましょう。

IT導入補助金2022 通常枠 事業面からの審査項目

事業面の具体的な審査自社の経営課題を理解し、経営改善に向けた具体的な問題意識を持っているか
自社の状況や課題分析及び将来計画に対し、改善すべきプロセスが、導入する「ITツール」の機能により期待される導入効果とマッチしているか
内部プロセスの高度化、効率化及びデータ連携による社内横断的なデータ共有・分析等を取り入れ、継続的な生産性向上と事業の成長に取り組んでいるか 等
計画目標値の審査労働生産性の向上率
※参照:IT導入補助金2022 公募要領 通常枠(A・B 類型) 4.審査内容

きちんと経営課題の改善を考え、生産性を上げたり事業の成長に取り組んでいるか、それらが導入予定のITツールと合っているか…このような内容を審査されるんですね。

加点項目に注目する

一つ前では事業面からの審査項目を見てもらいましたが、もう一つの「政策面からの審査項目」は、加点項目の審査でもあります。

加点項目とは、その項目に取り組んでいると補助金の審査が有利になるもの。

採択してもらう(あなたに補助金を渡しますよと認めてもらう)ためにも、加点項目を把握して取り組みたいですよね。

どのような内容なのか、一緒に見てもらえると嬉しいです。

加点項目

IT導入補助金2022、通常枠の「政策面からの審査項目」となる加点項目について一部を抜粋しました。

  • 国が推進する「クラウド導入」に取り組んでいるか
  • 国の推進するセキュリティサービスを選定しているか
  • インボイス制度の導入に取り組んでいるか…etc

このほかにも細かい内容の加点項目がありますが、政策面からの審査項目となるため「国が推進していることを取り組んでくれているか」が、軸になっています。

補助金の採択を受けられるよう、加点項目を把握して取り組みましょう。

また、逆に審査が不利になる「減点措置」も枠によっては決められているため、あなたの申請する枠の概要をよく確認してほしいです。

ウチの会社はIT導入補助金の対象になる?

IT導入補助金を利用したいけれど、そもそもウチの会社は補助金を申請できるのかな…。

ここがわからないと、申請に進めないですよね。

本末転倒にならないためにも、まずはあなたの会社がIT導入補助金を申請できるのかどうか知ってから、手続きを進めてほしいです。

どのような企業さんが対象になり、どのようなITツールに補助金がもらえるのか、私と一緒に見ていきましょう。

中小企業・小規模事業者が対象

IT導入補助金の申請対象は基本的に「中小企業・小規模事業者等」です。

しかし、ウチの会社って中小企業に含まれるの?と、判断が難しい場合もありますよね。

IT導入補助金の対象となる中小企業・小規模事業者等は、業種によって定義が違います。

たとえば「製造業、建設業、運輸業」の定義は次のようなもの。

  • 資本金の額、または出資の総額が3億円以下の会社
  • 常時使用する従業員の数が300人以下の会社、個人事業主

ほかの業種は、上記の定義の数字部分が業種によって違いますが、基本的には資本金の額や従業員数などが定義になってきます。

医療・学校法人や財団法人など、そのほかの事業者は少し定義が変わってくるため、IT導入補助金公式サイトの資料を確認してほしいです。

対象となるITツール

あなたは会社にどのようなITツールを導入したいと考えていますか?

ビジネスチャットツール、会計ソフト、パソコン…ITツールといっても様々なものがありますが、ITツールなら何でもIT導入補助金をもらえるわけではありません。

ITツールを提供する企業さんが、IT導入補助金の対象ツールとして登録し認定されると、その企業さんは「IT導入支援事業者」となります。

IT導入補助金の対象となるのは、このIT導入支援事業者さんが登録・認定を受けているITツールです。

まずは検索してみよう

IT導入補助金の公式サイトには、補助金の対象として認定されているITツールやその提供会社を検索できる「IT導入支援事業者・ITツール検索」というページがあります。

そのため、対象となるITツールを探す時は、まず検索ページで調べてみてほしいです。

また、補助金の枠ごとに対象となるITツールが違うので、それぞれ私と一緒に見ていきましょう。

通常枠の対象となるITツール

通常枠では下記のように、ITツールそれぞれに「業務プロセス(改善したい業務工程)」という分類があります。

業務プロセス(改善したい業務工程)
顧客対応・販売支援
決済・債権債務・資金回収
供給・在庫・物流
会計・財務・経営
総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
業種固有プロセス
汎用・自動化・分析ツール(汎用プロセス)
※参照:IT導入補助金2022 公募要領 通常枠(A・B 類型)2-3 補助対象経費の内容と、補助対象となるITツールの分類・要件

①~⑥に分類されているITツールの中から、改善したい業務工程を必ず1種類以上含んでいれば申請できます。

そのため、あなたの会社でどんな業務工程を改善したいのかが軸になってくるんですね。

また⑦は「汎用プロセス」と呼ばれ、単独では申請できませんが、①~⑥と一緒に申請することで1プロセスとしてカウントされ申請できます。

「IT導入支援事業者・ITツール検索」で、IT導入支援事業者やITツールを検索すると、「この会社が提供しているこのITツールは、どのプロセスに分類されているのか」はもちろん、ほかにも様々な情報が表で分かるので、使ってみてほしいです。

セキュリティ対策推進枠の対象となるITツール
「サイバーセキュリティお助け隊」のマーク

※出典:サイバーセキュリティお助け隊サービスマーク

セキュリティ対策推進枠では「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスから選ぶ必要があります。

「IT導入支援事業者・ITツール検索」の検索条件に、「サイバーセキュリティお助け隊サービス取り扱い事業者」があるので検索しやすく、その他の条件で調べても検索結果に「サイバーセキュリティお助け隊」のマークが表示されるため、分かりやすいです。

デジタル化基盤導入枠の対象となるITツール

デジタル化基盤導入枠では、4種類のソフトウェアの購入費やクラウド利用費が基本的な補助対象となり、これらのソフトウェアと一緒に導入する場合は、ハードウェア(機器)の購入費も補助対象になります。

つまり、ハードウェアの購入費をIT導入補助金でまかないたい場合は、4種類のうちどれかソフトウェアも導入しなければいけないわけですね。

ソフトウェア導入で補助してくれるもの会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフト(クラウドは最大2年分の利用費を補助)
ハードウェア導入で補助してくれるものPC・タブレット・プリンター・スキャナー(これらの複合機器も対象)、レジ・券売機など

IT導入補助金で受け取れる金額

IT導入補助金では、どのくらいの金額を補助してもらえるのか、会社としてもきちんと把握しておきたいですよね。

枠や類型で補助額が違うため、それぞれ見ていきましょう。

通常枠

A類型30万~150万円未満
B類型150万~450万円以下
補助率1/2以内
※参照:IT導入補助金2022 補助対象について

セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠5万円~100万円
補助率1/2以内
※参照:IT導入補助金2022 補助対象について

デジタル化基盤導入枠

デジタル化基盤導入類型

補助額…5万円~350万円

内訳機能数補助率
5万円~50万円以下部分会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上3/4以内
50万円超~350万円部分会計・受発注・決済・ECのうち2機能以上2/3以内
※参照:IT導入補助金2022 補助対象について

複数社連携IT導入類型

デジタル化基盤導入類型の要件に属する経費

補助額…デジタル化基盤導入類型(上記)と同じ内容の金額(①)

デジタル化基盤導入類型の要件に属さない、複数社類型特有の経費
経費の種類補助額
消費動向などの分析経費(②)50万円×グループ構成員数
補助事業者が参画事業者をとりまとめるために必要な事務費、外部専門家謝金・旅費(①+②)×10%
※参照:IT導入補助金2022 補助対象について

どんな手順?IT導入補助金の流れ

IT導入補助金とはどのようなものなのか、ここまでたくさん見て頂きましたが、実際に利用する時はどのような流れなのか、知っておくと安心ですよね。

全体の流れを私と一緒に見てもらえると嬉しいです。

1.規程を読んで理解する

大前提ですが、あなたが利用する年度のIT導入補助金について、公式サイトの交付規程や公募要領などをしっかり確認して把握しましょう。

よくある質問がまとめられているほか、お問い合わせもできますが、お問い合わせ先には要注意。

基本的に、過去の年度のIT導入補助金について聞きたい場合は「フォーム」、現在申請受付などを行なっている(今現在の年度)IT導入補助金については「コールセンターへ電話」でお問い合わせとなります。

2.事業者やツールを選ぶ

あなたの会社の課題解決や生産性アップのために、導入したいITツールは何ですか?

IT導入補助金の公式サイトにある「IT導入支援事業者・ITツール検索」から、事業者さんやITツールを選びましょう。

ITツール側のサイトだけでなくIT導入補助金公式サイトも必ず確認

もしかすると、ITツールの公式サイトで「ウチのツールはIT導入補助金の対象ですよ」という案内を見て、もう既にツールを決めているかもしれませんね。

しかし、必ずIT導入補助金の方の公式サイトから「IT導入支援事業者・ITツール検索」を使って、そのツールが対象ツールに登録されているか確認しましょう。

IT導入補助金は毎年度、枠や類型など概要が社会情勢によって変わることがほとんど。

そのため事務局さんも、IT導入支援事業者(ITツールを提供する企業さん)が今年度の補助金制度に適しているか、またIT導入支援事業者の現状が今年度の補助金制度に適しているか、登録審査を毎年度行う必要があるんです。

つまりIT導入支援事業者さんは、一度登録すれば毎年度登録されたままにしてもらえるのではなく、毎年度、登録申請しなければいけないんですね。

3.GビズID作成・SECURITY ACTION

IT導入補助金の申請には、「GビズID」という認証システムと「SECURITY ACTION」という制度を利用する必要があるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

GビズIDプライムアカウント作成

GビズIDとは、一つのID・パスワードで様々な行政サービスにログインできる、共通認証システムです。

全部で3種類のGビズIDがあり、IT導入補助金の申請で必要になるのは「GビズIDプライム」というアカウントで、会社の代表者や個人事業主が登録するもの。

3種類の中で唯一、書類審査が必要になりIDの発行に約2週間掛かるため、余裕をもってアカウント発行手続きを進めましょう。

SECURITY ACTIONを宣言

IT社会の安全性や信頼性を保つための政策実施機関、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、SECURITY ACTIONという制度を運営しています。

SECURITY ACTIONとは「情報セキュリティ対策に取り組みます!」と、中小企業さんが自ら宣言する制度のこと。

IPAが「認定」するのではなく、中小企業さんが「自分から宣言」するものなんですね。

IT導入補助金の申請では、SECURITY ACTIONで宣言済みになっているアカウントが必要になります。

ロゴマークを取得してアピール

ITには様々な危険が潜んでいますが、情報を守る体制をしっかり整えて、安全・安心できるIT社会のためにつくられた制度です。

そのため、どのようなセキュリティ対策に取り組むのかを決め、それに応じて一つ星・二つ星のロゴマークが使えるようになります。

「私たちは情報セキュリティ対策に取り組んでいますよ」という証になり、一つ星から二つ星へのステップアップもできるので、積極的にセキュリティ対策へ取り組みましょう。

IT導入補助金には、一つ星・二つ星どちらでも申請できます。

4.IT導入支援事業者と一緒に交付申請

いよいよIT導入補助金をもらう(交付)ための申請手続きですが、あなただけで進めるのではなく、IT導入支援事業者(ITツールの提供企業さん)と一緒に連携して行います。

会計ソフトを導入したいと思っても、あなたの会社に合うかどうか、しっかり話を聞いてから導入したいですよね。

補助金を使わずにITツールを導入する時と同じように、無料トライアルで試してみたり、納得できるまで質問しましょう。

導入が決まったら、次のように交付申請を進めます。

順序進める人内容
STEP1IT導入支援事業者申請マイページへ招待。
STEP2あなたIT導入支援事業者さんから申請マイページに招待してもらい、申請マイページを開設。
STEP3あなたGビズIDでログイン。
STEP4あなた交付申請に必要な情報を入力したり、書類を添付する。
STEP5IT導入支援事業者あなたが導入するITツールの情報や事業計画値を、IT導入支援事業者さんが入力する。
STEP6あなた入力した内容を申請マイページで最終確認する。
STEP7あなたSMS認証で本人確認を行い、申請に対して宣誓・事務局へ提出する。

その後、事務局にて審査が行われ、採択・交付が決まります。

5.交付決定したらITツールを発注・契約・支払い

交付申請手続き後、事務局での審査が通ると「あなたの申請を認めますよ(採択)」「IT導入補助金を渡しますよ(交付)」このように補助金の交付が決まります。

交付決定を受けてはじめて、導入申請したITツールの発注・契約・費用の支払いができるようになり、交付が決まる前に発注などを進めると補助金がもらえなくなってしまうので注意してほしいです。

交付決定後のあなたは「補助事業者」

IT導入補助金が交付決定になると、事務局から交付決定通知が届きます。

交付決定を受けたあなたは「補助事業者」となり、補助事業を行なえるようになりますが、言葉の意味が分かりにくいかもしれないので、一旦確認しておきましょう。

事業ITツールの契約、納品、請求、支払い
補助事業国からの補助金を受けて行う事業
補助事業者国からの補助金を受けて事業を行う中小企業さん

いろいろな呼ばれ方をされるため混乱してしまいやすいですが、「IT導入補助金を使ってITツールを導入したい」企業さん(あなた)は、次のように呼ばれることを覚えておくと分かりやすいです。

6.事業実績報告

一つ前で確認して頂いたように、IT導入補助金では、補助金を受けてITツールの契約・納品・請求・支払いすることを「事業」といい、それを実際に行うのが補助事業者(あなた)です。

契約などをすべて終えたら「事業を実施しましたよ」と、事務局へ報告を行うのですが、これを事業実績報告と言います。

  • 事業が正しく行なわれたかどうか
  • 事業がすべて完了しているかどうか

これらを確認し、実績報告期間内に報告をする必要があるので、報告期間を必ずチェックしておきましょう。

実績報告期間は、各締切ごとに違います(例 通常枠 A・B類型 一次締切分:交付決定~2023/1/31(火)17:00)

事業実績報告もIT導入支援事業者と一緒に行う

交付申請を行う時と同じように、事業実績報告もIT導入支援事業者さんと一緒になって進めます。

順序進める人内容
STEP1あなた申請マイページへログイン後、報告スタート
STEP2あなた必要な提出書類を添付
STEP3あなた補助金を受け取る口座情報を入力・添付
STEP4IT導入支援事業者あなたが入力した内容や添付書類を確認
STEP5IT導入支援事業者契約・納品・請求・支払い情報を入力
STEP6あなたSMS認証で本人確認を行い、実績報告を事務局へ提出

7.補助金をもらう手続き

事業実績報告を行なうと、事務局にて検査が行われるため、結果を待ちましょう。

報告が認められると「報告内容を認めたので、補助金の確定内容(金額など)を承認してください」という依頼が、事務局からあなたへ届きます。

確定内容を確認して、承認を行なえば補助金がもらえる(交付される)という流れです。

8.効果を報告

IT導入補助金は、補助金をもらっておしまいではありません。

決まった期限内に「事業実施効果報告」を行なう必要があるのですが、「また報告…?」このように「事業実績報告」と混同しやすいため、一旦整理しましょう。

報告の種類報告するタイミング報告する内容
事業実績報告補助金をもらう前ITツールの契約・納品・請求・支払いを行なったこと(証憑)
事業実施効果報告補助金をもらった後生産性向上に係る情報(売上、原価、従業員数及び就業時間)など(通常枠の場合)

事業実施効果報告は名前の通り、IT導入補助金を利用して導入したITツールが、生産性向上にどのくらい効果を発揮できたのか、報告することです。

一番はじめに見て頂きましたが、IT導入補助金は「サービス等生産性向上IT導入支援事業」と呼ばれる事業。

企業さんたちの生産性をアップさせて、国の経済を支えよう!というのが目的となるため、きちんと効果を報告する必要があるんですね。

IT導入補助金の申請方法

申請はすべて電子申請!

IT導入補助金は、すべての手続きを「申請マイページ」で行うため、システム上で手続きが完結します。

申請には書類の提出などもありますが、これらも紙ではなく電子文書なので、郵送の手間や紛失の心配もありません。

必要書類は?

法人の場合に必要な書類は、次の2点です。

  • 履歴事項全部証明書
  • 法人税の納税証明書(その1納税額等証明用)または(その2所得金額用)

申請に期限はある?

IT導入補助金は、通常枠やセキュリティ対策推進枠など、枠ごとに申請期間が違い、それぞれ1次締切・2次締切…というように複数回で分けられることが多いです。

また、交付決定や事業実施期間、事業実績報告期限なども1次・2次など締切ごとに決められます。

【例】IT導入補助金2022 通常枠1次締切分

交付申請期間2022年3月31日(木)~受付開始
締切日5月16日(月)17:00
交付決定日6月16日(木)
事業実施期間交付決定~2023年1月31日(火)17:00
事業実績報告期限2023年1月31日(火)17:00
※参照:IT導入補助金2022 事業スケジュール

上記は一次締切分のスケジュールなので、2次締切、3次締切…というように、各締切回によってスケジュールが変わるんです。

申請の代行

ここまで見て頂いた通り、IT導入補助金の申請は難しくややこしい部分も多いため、

申請したいけれど面倒そうだな…

このように思うかもしれませんね。

そのため、申請をサポートしてくれるところにお願いするのも一つの手段です。

  • コンサルティング会社
  • 行政書士
  • 税理士
  • 公認会計士
  • IT導入支援事業者

IT導入補助金の申請に詳しい機関は様々ですが、補助金の申請代行ができるのは行政書士だけで、その他の機関はあくまで相談に乗ってくれたり、「こうした方が採択率が上がりやすくなりますよ」といったアドバイスをくれるところ。

そのため、基本的には「何も考えずに誰かへ丸投げ」はせず、IT導入補助金の概要や申請についてあなた自身でしっかり理解をして、代行・サポートしてくれる機関には、あくまでお手伝いをしてもらう気持ちで考えるようにしましょう。

また、IT導入支援事業者(導入するITツールの提供企業さん)は、申請を支援してくれるだけでなく、申請が通って補助金を受け取ったあとのアフターフォローもしてくれます。

要チェック!IT導入補助金の注意点

IT導入補助金の申請や活用は、あなたの会社・事業にとって大事なことですし、難しい内容ばかり。

そのため注意してほしい事は正直とてもたくさんあるのですが、ここでは特にお伝えしておきたいことを抜粋して、一緒に見てもらえると嬉しいです。

IT導入補助金の目的を理解する

あなたがIT導入補助金を利用する最終目的は、ITツールの導入費用を削減することではなく、業務の生産性を上げること、さらに言えば国の経済成長です。

国の経済を成長させるためには、企業さんたちの生産性を上げる必要があり、そのためにITツールを導入しやすくしてくれるのがIT導入補助金。

補助金がもらえるからと言って、必要のないITツールを導入するために制度を利用しても、最終目的からズレてしまうだけでなく、無駄な時間やお金を掛けることになります。

IT導入補助金が何のためにあるのかしっかり理解して、あなたの会社に本当に必要かどうか見極めてから利用しましょう。

何回まで利用できる?

ITツールを段階的に導入したい、事業フェーズに合わせて取り入れたい場合もあると思うので、IT導入補助金に回数制限があるかどうかは知っておきたいですよね。

ここではIT導入補助金2022の通常枠を例にして、申請回数の基本的なルールを見ていきましょう。

通常枠を申請したい!

IT導入補助金2022の申請期間中、1申請のみ行えます。

通常枠の申請と一緒に、ほかの枠も申請したい!

IT導入補助金2022の申請期間中に、申請を受け付けているIT導入補助金2022の

  • デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
  • セキュリティ対策推進枠

これらは申請してOK。

そのまま事務局にて交付を認めてもらったり(交付決定)、補助金を受けること(交付)もできます。

ただし、デジタル化基盤導入枠の「複数社連携IT導入類型」だけは一緒に申請できないので注意してほしいです。

1次締切で不採択だった…2次締切以降にもう一回申請したい!

申請した締切回で審査が通らなくても、その次以降の締切回で申請することはできます(もちろん締切までに申請)。

ただし、交付決定を受けたら、交付決定日から12か月以内に同じ年度のIT導入補助金は申請できないので注意。

また、前年度となるIT導入補助金2021の特別枠(C・D類型)で交付決定を受けた場合も、交付決定日から12か月以内にIT導入補助金2022への申請はできません(セキュリティ対策推進枠だけは申請OK)。

あなたが利用する年度のIT導入補助金のルールをチェック

一緒に見て頂いた申請回数のルールは、IT導入補助金2022の通常枠の例です。

これはOKだけど、この場合はNG、ただしこれだけはOK…。

このようにただでさえ決まりが複雑ですが、年度ごとにルールも変わるので、あなたが利用する年度のIT導入補助金の概要をきちんと確認してほしいです。

ほかの補助金と併用できる?

国で取り組んでいる補助金・助成金制度はIT導入補助金以外にもありますが、一緒に利用できるかどうかも気になりますよね。

同じ内容でなければ併用できますが、補助対象になるITツール・サービス・ソフトウェア・経費などが同じ内容の場合は申請できません。

内容が重複しているかどうか不安な場合は、IT導入支援事業者(IT導入補助金で導入するITツールの提供企業さん)に相談したり、事務局へ確認しましょう。

一度提出したら取り消しできない

IT導入補助金を申請する時は、申請マイページで必要な内容を入力したり電子書類を添付したりすることで「申請内容・添付書類の提出」となります。

あなたに注意してほしいのは、申請内容や書類を一度提出してしまうと後から取り消しできないこと。

申請を始める前に、入力が必要な内容・提出する書類をよく確認するのはもちろん、もし確認中に不備を見つけたら、その不備を用意する時間も必要になるため、余裕を持って申請するのが安心ですね。

交付決定前に導入すると補助金がもらえない

IT導入補助金は、交付申請→採択されれば(審査が通れば)交付決定となりますが、IT導入補助金で導入する予定のITツールを、交付決定日の前に導入してしまうと、補助金が受け取れなくなってしまいます。

つまり、申請して審査結果が出るまでは、補助金で導入予定のITツールの契約・発注・納品・支払いをしてはいけないんですね。

事前に進めておこうとは思わず、まずは採択・不採択の結果を待ち、申請マイページで交付決定通知をもらってから進めましょう。

IT導入補助金を利用すべき企業は?

IT導入補助金、ウチの会社も利用した方がいいのかな?

このように迷った時は、改めてIT導入補助金の根っことなる生産性向上を起点に考えて、自社の生産性を上げたいか・上げる必要があるかを考えるのがオススメです。

もう少し細かく言うと、IT導入補助金の対象となっているITツールで、自社の生産性を上げられるかどうか…こういった部分も考える必要があります。

  • システムを使っているけれど自社に合っておらず非効率
  • 既存のシステムでは業務改善に限界がある
  • 残業時間の削減が大きな課題
  • アナログな方法が定着していて効率化できていない
  • デジタル化は進めているけれどセキュリティ対策が不安

会社や事業には様々な課題があると思いますが、IT導入補助金でITツールを導入することで、課題解決・生産性向上に繋がるのかどうかが大切。

・あなたの会社・事業の現状や課題を把握
・生産性を上げるためには何が必要なのか
・IT導入補助金の対象ツールで解決できるのか

これらを軸にしてもらうと、IT導入補助金を利用すべきか判断しやすくなります。

IT導入補助金の利用を考えているあなたへ

もしあなたの会社に、生産性を上げるという課題があれば、IT導入補助金の利用を考えてみてほしいです。

ここまで見て頂いたとおり、申請には様々な決まりがあるため、

  • 条件に当てはまらないのに手続きをして、無駄な時間を使ってしまった…。
  • 申請したITツール、やっぱり必要なかったかも…。
  • 申請ミスで再申請になり、導入スケジュールが狂ってしまった…

こんなふうに後悔しないよう、しっかりと理解をして上手に取り入れましょう。

IT導入補助金は年度ごとにルールが変わりやすいので、あなたが利用する年度の概要を必ずチェックしてほしいです!
エンプレス編集部:fukuyama

補助金を活用して事業を立て直しませんか?

補助金の中には、事業を立て直すための支援制度があるため、困っている場合はぜひ活用してほしいです。申請サポートしてくれるサービスを利用すれば、難しく手間の掛かる作業が多くても安心。

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著者:エンプレス編集部 fukuyama(運営会社ファングリー
住所:東京都渋谷区南平台町15-13 帝都渋谷ビル5F
2018年よりマッチングプラットフォームを運用支援。事業譲渡後は資料サービス「エンプレス」にて、お客様支援のために外部パートナーと協力する傍ら、自らもコラムを執筆して日々有益な情報発信に努め、すでに200万字を突破。
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