いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。コンテンツマトリクスを使えば、コンテンツ作りの漠然とした不安が無くなります。
「どんな記事を書けばいいのか分からない…。」
オウンドメディア(公式サイトやブログ)など、記事を主体にした媒体を持っているなら、企画や戦略をどう考えればいいのか分からない時もありますよね。
- 何を書けばいいか分からない
- 考えるだけで無駄に時間を使ってしまう
- 納期に間に合わせようと焦った企画で撃沈
私自身もこんな経験をしてきましたが、コンテンツを作る人にとって、道しるべとも言える方向性を示してくれるのがコンテンツマトリクス。
うまく活用することで、記事作りの迷いは無くなるため、この情報があなたのお役に少しでも立てられれば嬉しいです。
コンテンツマトリクスとは?
コンテンツマトリクスとは、テーマを縦軸と横軸でそれぞれ分けた分類のこと。※ コンテンツとは文章だけでなく、情報を用いてユーザーさんと繋がる存在のこと。(動画・イベントなども含む)
ネタや企画そのものとも言えます。
コンテンツマトリクスがあるだけで、コンテンツは作れますが、何も考え無しに用いても意味はなく、情報を届けたい、または繋がりたいユーザーさんが求めている情報のテーマを、的確に選ばなければいけません。
さらに、そのコンテンツがユーザーさんに対して、どんな影響を与えるのか意識し、どのような繋がり方をしたいのかによっても、選ぶテーマは違ってくる。
これらをまとめて簡単に判断できるようにしたコンテンツマトリクスを、Smart Insightsさんが図解にしてくれているので、日本語に翻訳してみました。
参考:Smart Insightsさんのコンテンツマトリクスを日本語化した図
それぞれ何を示しているのか、一つずつ詳しく見てみましょう。
コンテンツマトリクスの分類
大きく4つの分類に分かれており、それぞれテーマ性が違ってきます。
娯楽:楽しさやワクワクを感じる
啓示:選んでいいのか道を指し示す
納得:理解ができて認めることができる
教養:知らないことを知る喜びを感じる
例えば、何を選んでいいのか分からないユーザーさんに対しては、啓示に分類される誰かのレビューや有名人からの推薦文があることで、選びやすくなる。
分類(与える印象)によって、ユーザーさんの行動が大きく変わってきます。
コンテンツの分類比率の違いで、どんな立ち位置のオウンドメディアなのか、運営側がどのような方針(スタンス)なのか、与えたい印象のコントロールもできる。
情報を扱ったビジネスであれば、ここの意識が重要なポイントでもあるので、覚えておいて何一つ損はありません。
娯楽
娯楽のテーマは、ユーザーさんを楽しませるコンテンツとなり、感情的な部分を掴みながら認知を増やしていく。
- 飽きやすい
- 好奇心旺盛
- 参加して一緒にしたい
このような娯楽と特性のいいユーザーさんに見てもらいやすいです。
分類 | 詳細 |
---|---|
面白コンテンツ | 笑える、泣けるなど、ユーモアがあったり見ている側の気分を楽しくしてくれるコンテンツ 例:4コマ、どっきり、コミカル |
クイズ | ついつい解きたくなってしまうような参加型のコンテンツ 例:連想ゲーム、パズル、正誤問題 |
コンテスト | 多人数の参加の中から優秀者を決めて発表するコンテンツ 例:おもしろ川柳、フォトコンテスト、アワード(表彰) |
動画 | 動画によって動きを見せ視聴時間を増やしたり意識を引き付けるコンテンツ 例:youtube、アニメーション、ノーカット動画 |
ゲーム | クイズにも似ているが、道具を使ったり、より動きや遊びの要素が加わったコンテンツ 例:間違い探し、シミュレーションゲーム、複数人で参加するゲーム |
娯楽コンテンツが多いと、コンテンツを見に来るたびに楽しさを覚えるので、リピーターが生まれやすかったり、他者を巻き込みながら広まっていくため、認知施策としては最適かと思います。
まとめ
ポジティブな印象を与えることができ、認知拡大に大きな影響を与えることができる。SNS上のバズも生まれやすい。
娯楽と教養の中間
娯楽と教養の要素が半々くらいに含まれている分類は、もっとも一般的なコンテンツと言えるかもしれません。
オウンドメディアを持っているあなたであれば、普段作っているコンテンツが、ここに該当します。
分類 | 詳細 |
---|---|
ブログ | 文章化できる情報であれば何を書いてもいい 例:日記、体験談、ノウハウ |
電子書籍 | ブログはウェブ媒体ですが電子書籍はPDFなどにまとめた情報 例:ebook化、Amazonへの書籍販売 |
啓示
啓示のテーマは、誰かの意見を参考にして、モノゴトを決めたいユーザーさんにとって最適なコンテンツ。
- 優柔不断
- 悩みやすい
- 自分では決められない
このような啓示のテーマと特性のいいユーザーさんに見てもらいやすいです。
分類 | 詳細 |
---|---|
推薦文 | 業界の有名人、資格保持者、知り合いなどから情報を提供してもらったり推薦してもらう 例:インタビュー、オススメしてもらう |
レビュー | サービスや商品に対して、実際に体験してもらった感想を貰う 例:口コミ |
コミュニティ | 参加者を募って、その中で意見や情報交換をする場を作ること 例:フォーラム、オンラインサロン、サークル |
ウェジット | 情報を別の形にして配布してもらうこと 例:パソコンやスマホで使えるような壁紙・アプリ・パーツ |
啓示コンテンツが多いと、意見や情報が参考対象にされやすく、ユーザーさんにとって権威性を感じやすいメディアのポジションを築けます。
まとめ
オススメや推薦など、他者の評価を元にモノゴトを決める傾向のあるユーザーさんに対して、選ぶ理由を作り行動を促しやすくなる。
啓示と納得の中間
啓示と納得の中間に位置する分類は、権威性を持ちながら論理的な思考も含めたコンテンツになりやすいです。
分類 | 詳細 |
---|---|
イベント | オンライン・オフラインで催し物を開催すること 例:エキスポ、ウェブナー、セミナー |
ランキング・口コミ | 評価を元に掲載している情報 例:ランキングTOP10、体験談 |
納得
納得のテーマは、ユーザーさん自ら判断したい場合に活用されたり、選択するための理由として見てもらいやすいです。
- 比較がしたい
- 納得できる情報がほしい
- 選ぶ理由がほしい
このような納得のテーマと特性のいいユーザーさんに見てもらいやすい。
分類 | 詳細 |
---|---|
価格表 | 詳細な価格、それに伴う情報 例:料金一覧、価格比較、費用対効果 |
事例 | サービス・商品を体験した際の感想や、今までの体験をまとめた情報 例:施工事例、お客様の声 |
シミュレーション | 実際に再現はできないけど状況を想定して再現すること 例:料金シミュレーター、ライフプランシミュレーション |
チェックリスト | 確認事項を列挙した情報まとめ 例:調査のチェックリスト、品質チェック |
商品特徴 | 商品やサービスの具体的な内容を示す情報のこと 例:機能、耐用年数、料金、開発秘話 |
体験デモ | 購入・導入までに実際に試してみること 例:お試しプラン(SaaS)、体験コース、サンプル提供 |
納得のコンテンツが多いと、ユーザーさんの行動を促す情報が揃いやすくなり、目的としているコンバージョン・購入・申し込みなどが得やすくなります。
ただ、論理的な思考で見られやすく冷静な判断で検討しているユーザーさんには向いてますが、感情的だったり手間が嫌いなユーザーさんにとっては、情報が多くて苦手意識を持たれてしまう場合も。
まとめ
最終的な後押し、または選ぶ理由となるコンテンツになるため、ユーザーさんの行動を促しやすくなる。
教養
教養のテーマは、知識欲に訴えかけたり、問題や課題解決のための情報を探しているユーザーさんに必要とされるコンテンツとなります。
- 解決したいことがある
- 新たに知識を得たい
- 情報がほしい
このような教養のテーマと特性のいいユーザーさんに見てもらいやすい。
分類 | 詳細 |
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ガイド | 手順や方法など正しい順序を教える 例:文章の書き方、SEO対策の流れ、マーケティングの基本 |
トレンド | 最新情報や業界動向などの情報 例:検索トレンド、最近購入が増えている商品、SaaS業界の今後 |
ニュースリリース | 企業から発信される新着情報 例:新しい事業を展開しました、セミナーを開催します、上場しました |
インフォグラフィック | 情報を図解にして見た目も理解度も分かりやすくすること 例:ダイアグラム、チャート、年表 |
教養のテーマは知識がメインになるので、それらのコンテンツが多くなればなるほど、専門性を感じてもらいやすいポジションを作ることができます。
まとめ
ユーザーさんの知識欲を刺激するコンテンツであり、一度では覚えられないことが多いため、継続的に何度も見てもらえるリピートコンテンツとなりやすい。閲覧数を増やしやすいテーマ。
納得と教養の中間
分類 | 詳細 |
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解説動画 | 文章の説明ではなく動画を使った説明 例:レシピ動画、商品説明動画、ブランディング動画 |
レポート・ホワイトペーパー | 企業のノウハウ、または調査内容をまとめた資料 例:ノウハウ資料、調査レポート |
娯楽・啓示・納得・教養に該当
ただ一つ、すべての分類に当てはまるのがメルマガです。
メールコンテンツは、開封率が数%と言われることもあり、見てもらえないことも多いですが、使い方次第で大きな力を発揮します。
分類 | 詳細 |
---|---|
メルマガ | メールを用いてユーザーさんに情報を届ける 例:ステップメール、新着情報の案内、営業メール、アンケート |
まとめ
閲覧される確率は低いですが、さまざまな用途で使いやすいく、ツールなどを使えば大量のアカウントに対して手間をかけずに送信できるため、コンテンツ戦略には欠かせない分類になります。
コンテンツマトリクスの活用方法
コンテンツマトリクスを使えば、どんなコンテンツを用意すればいいのか判断しやすくなるのは、コンテンツの分類がユーザーさんの感じる印象別で分かれているから。
単純にテーマや企画ネタとして見るのではなく、ユーザーさんの内面や状況を意識して、ユーザー中心の考えができるようになります。
活用の流れとしては、
① 既存コンテンツ(資産)はどの分類が多いか把握
② 向き合いたいユーザー層に合っているか確かめる
③ 合っていない場合はコンテンツ制作の戦略を調整する
現状を知り、相手を知り、考え直す。
進むべき方向性を見極めたり、調整するのに役立つので、根拠を持って進めていけます。
これは自社だけでなく、他社コンテンツを見ることで、競合がどんな意識でユーザーさんと向き合っているのか当たりを付けることもできるため、今後の戦略を考えるうえでも大変役立つ。
もう少し状況別でコンテンツマトリクスの活用の仕方を見てみたいと思います。
活用事例1:BtoB向けオウンドメディア
企業に対して、サービスや製品を販売している会社にとっては、自社が保有しているオウンドメディアは大事な集客施策の一つですよね。
しかし、BtoBに関して言えば、単価が高くなればなるほどお客様(相手企業)も慎重に進めてくるので、即決してくれることなんて多くありません。
数週間~数か月の検討期間を経て、やっと結論を出してくれる。
お金がかかることですし、上司や社長の承認ももらわないといけないので、何かしらの選ぶ理由や社内説得の情報が必要となります。
そのため、BtoBにおいては「納得」や「啓示」に関するコンテンツが有効的。
選択するコンテンツマトリクスは?
納得:事例や実績、または企業方針などで選ぶ理由を与える
啓示:他社からの推薦で安心感を感じてもらう
この2つのコンテンツを掛け合わせて信頼性を高めることがオススメです。
活用事例2:BtoC向けオウンドメディア
ECサイト(ネットショップ)で直接販売を行ったり、マッチングサービスのような生活者と事業者を繋ぐことで利益が発生するサービス(ポータルサイトなど)の場合は、いかにして行動のハードルを下げるかがポイントになると思います。
生活者(ユーザー)さんは、お金がかかることに、とても神経をとがらせており「高いな」「めんどくさいな」と思われると、すぐに去っていってしまう…。
その逆で、緊急事態だったり、今すぐ不安を解決したい場合は、手間がかかったとしても、値段などあまり気にせず申し込んできてくれもします。
どんな生活者さんと繋がりたいかによっても違ってきますが、BtoC向けオウンドメディアでは、対象となる生活者さんは事前に知識を持っていないことが多いため、全員が初心者さんだと思って接していくのがいいと思っています。
選択するコンテンツマトリクスは?
教養:基礎知識や手順などの基本情報を主体することで集客しやすい
啓示:レビューや口コミなど他人の行動を見せることで疑似体験を促す
生活者さんが初めて探す言葉や、他人の行動をコンテンツ化することがポイントです。
活用事例3:広告メディア
オウンドメディアを広告媒体にして、アクセスを集めることが利益に繋がる事業の場合は、とにかく集客がものを言います。
見てくれる人が集まれば集まるほど、それに比例して広告媒体としての価値も高くなり、利益が増えていく。
このビジネスモデルの場合、ユーザーさんが1度しか見てくれない単発視聴ではなく、何度も継続して見てくれる継続視聴を狙っていく必要があるため、リピートを生みやすいコンテンツが必要です。
そのため、広告メディアにおいては「娯楽」「教養」に関するコンテンツが効果を生みやすいと言えます。
選択するコンテンツマトリクスは?
娯楽:面白さを活用してSNS上の拡散で多くの人に広まり閲覧数が増えやすい
教養:何度も繰り返し見てもらえるためリピーターが生まれやすい
認知の広まりと継続性を生み出せるコンテンツ戦略がオススメです。
コンテンツマトリクスを使った企画作り
ユーザーさんの感情や思考を元に、コンテンツマトリクスを見ながらだと、企画が考えやすくなります。
そして、改めて私の中で整理する傍ら、企画シートとしてまとめてみました。
ファネル | カテゴリ | 企画 |
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認知 | 用語系 | ~とは(名称・意味) |
配信系 | プレスリリース / メルマガ | |
興味関心 | 手順系 | やり方 / 手順 / 流れ / 使い方 / 方法 / ガイド / マニュアル |
知識系 | 基礎知識 / レポート / トレンド / 動向 / ebook / 失敗 / 仕組み / ~との違い / 歴史 | |
診断系 | チェックリスト / 診断 | |
まとめ系 | ~選 / ランキング | |
その他 | クイズ / 計算 / コンテスト / Q&A / テンプレート / 素材提供 | |
比較検討 | 比較系 | 比較 / 料金 / 人気 / オススメ |
実証系 | 事例 / インタビュー / 口コミ | |
その他 | シミュレーター / 操作デモ / 権威者からのお勧め / 他の人はどうしてる系 | |
行動 | 促進系 | 会社紹介 / スタッフ紹介 / 理念 / 想い / 方針 / 個人情報の取り扱い / 資格 / キャンペーン |
継続 | 継続系 | フォーラム / コミュニティ |
コンテンツ作りに困った時は、このシートを使っていきたいと思います。
最後に。
私自身、デザイナーから始めてコンテンツ作りまでスキルを伸ばしてきましたが、ユーザーさんが必要としている情報は何か?を考えれば考えるほど、分からなくなるときが多々あります。
何か指標となるものがあれば判断しやすいと思っていたところ、コンテンツマトリクスの概念を知ることができ、あの時悩んでいた時間が嘘のように、根拠を持ってコンテンツ制作の判断ができるようになりました。
コンテンツマトリクスの基礎から応用まで見て頂きましたが、少しでもあなたの感じる不安が小さくなれば嬉しいです。