いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。CEP(カテゴリーエントリーポイント)を増やすことで、ブランド認知も高まり、売上やPVなども大幅に改善することができます。
「カテゴリーエントリーポイントって…なに?」
あまり聞き慣れないこの言葉。
マーケティングをかじっている、またはどっぷりとマーケティングをしている人なら知っている言葉だと思います。(私は最初知らなかったです…)
「コンテンツには関係ないから覚えなくてもいいよね?」と思ったかもしれませんが、コンテンツ作りをしているあなたにこそ覚えてもらいたい内容。
カテゴリーエントリーポイントが、コンテンツ作りにどんなメリットをもたらしてくれるのか、私と一緒に見て頂けると嬉しいです。
カテゴリーエントリーポイントは、ブランド作りの基本として語られていますが、深掘りしていくとコンテンツ制作が欠かせないため、紐づけてこのページの記事を書かせて頂いています。
カテゴリーエントリーポイントとは?
カテゴリーエントリーポイント(Category Entry Point)とは、ユーザーさんの感情・思考とブランドに関わる記憶が繋がる接点のこと。
似ている言葉としてタッチポイントがありますが、明確に分けると下記のような違い。
カテゴリーエントリーポイント(CEP)
→ ブランドを想起する接点(思考の中)
例:疲れたから休憩したい→スタバ、お腹減った→ココ壱番屋など
タッチポイント(TP)
→ ブランドとの直接的な接点(物理的な場所)
例:SNS、ブログ、公式サイトなど
両方ともブランドとの接点を重要視していますが、カテゴリーエントリーポイントは、ユーザーさんの頭の中が起点となっているため、より人間中心の考えが必要になります。
「思い出した」後の「繋がり」が大事
カテゴリーエントリーポイントが「ブランドを想起する接点」であれば、思い出してもらうことに集中してしまいがちですが、実は思い出されただけでは不十分。
ブランドとの繋がりが弱い場合
ブランドとの繋がりが強い場合
このように、思い出した感情・記憶と、自社のブランドを繋げる連想記憶とさせなければいけません。※ 連想記憶とは、記憶の断片を繋ぎ合わせて文脈を作りものごとを理解すること。
繋がる接点を広げるのはもちろん、その中でも一番強い繋がりを作れる接点を見つけ、接点が多い人たちを今回向き合いたい人(ターゲット)と焦点を定めます。
ブランドが行っている普段の情報発信がカギ
カテゴリーエントリーポイントの前提にあるのは”思い出してもらう”こと、そしてブランドとの結びつきが重要です。
つまり、ユーザーさんの感情・思考と記憶を繋げる情報が、必ず過去のどこかで得られている必要がある。
例えば、
Aさん:スターバックスを体験済、美味しいと感じている
Bさん:スターバックスは未経験
この二人がいた場合、コーヒーに繋がる感情・思考が発生したとしても、Bさんの場合はスターバックスにはたどり着きません。
- 良い体験や記憶がそもそもない
- 結びつける情報がない
繋がる情報がなければ、カテゴリーエントリーポイントの効果は発揮されません。
それなら「一度体験してもらえば済む話だ」と思われるかもしれませんが、来てもらったり、体験してもらうことのハードルは非常に高いですよね。
体験してもらえなければ、いつまで経ってもカテゴリーエントリーポイントの恩恵は受けられないので、ユーザーさんの自ら能動的な行動を促すよりも、自社ブランドからのプッシュ型の情報発信、口コミなどの他者評価がカギ。
体験はないけど「あの人が良いと言ってた」「こんな素敵な場所があったのか、行ってみたいな」と、ブランドに対する感情や思考と記憶を繋げる情報を、事前に提供しておくことが大切です。
カテゴリーエントリーポイントの効果
“ブランドを想起させる接点”と言葉にすれば簡単ですが、実際はこんなに難しいことはありません。
ユーザーさんの感情・思考とブランドを繋げるには、そこにポジティブな感情も必ずセットになりますが、カテゴリーエントリーポイントを上手く活用して、業績をV字回復させた企業の例を見てみたいと思います。※ ネガティブな感情で繋がっても効果は低い
事例:V字回復を実現したマクドナルド
出典:ダイヤモンドオンライン マクドナルドが「V字回復」を果たせた秘密、カサノバ社長が明かす2015年に大きく利益を落としたマクドナルドですが2016~2017年で見事V字回復させました。理由は様々語られていますが、店舗体験の改善・顧客(ファミリー層)へのヒアリング・好意的なSNSの拡散施策など、まさにカテゴリーエントリーポイントの増大によって結果を出した好例です。
広範囲に好意的な想起を作り、それをブランドと近づけさせる。
カテゴリーエントリーポイントを活かせれば、マクドナルドのように大きな成果を出せる証明がされているため、効果は疑いようはありません。
コンテンツに置き換えた場合は?
カテゴリーエントリーポイントの思考をコンテンツ制作やオウンドメディア運営に活かした場合の効果も気になるところ。
実際に、オウンドメディアで成功しているサイトを2つ見てみたいと思います。
ferretさん
推定PV :3.20M(計測シミラーウェブ)
テーマ :マーケティング
人気記事:ビジネスメール、OneNote、小荷物の配送料、引き継ぎ書の作り方計測:2021年2月19日時点
Mayone(マヨネーズ)さん
推定PV :1.90M(計測シミラーウェブ)
テーマ :エンジニア
人気記事:履歴書の書き方、「ご健勝」「ご多幸」の意味、地図の書き方計測:2021年2月19日時点
それぞれ月間数百万PVを超えているサイトはテーマを持っていますが、一番読まれている人気記事に関しては、テーマと直接関係はしていません。
ferretさんはマーケティング系なのにビジネスメールが人気、Mayoneさんはエンジニア系なのに言葉に関する記事が人気。
オウンドメディアにおけるカテゴリーエントリーポイントとは”キーワードの数”と言えますが、集客に成功しているメディアは直接テーマに関係するキーワードよりも、少しテーマから離れたキーワードでも、たくさん集客していることが分かります。
つまり、カテゴリーエントリーポイントをたくさん持っているほど強い。
コンテンツ制作者、またはオウンドメディア運営者にとっては、カテゴリーエントリーポイントの思考が必須だと言えます。
カテゴリーエントリーポイントの増やし方
たくさんの人に好意的な感情とセットで思い出してもらえるブランドを作るために、カテゴリーエントリーポイントを広げながら、新しく作っていく必要もあります。
その結果、目的達成が早まったり売上の拡大ができるのですが、想起を「してもらえる」か「してもらえない」かが大きなターニングポイント。
想起とは、思い出すことを指しますが、思い出すって改めて考えると難しいですよね。
いつ、だれが、どんな状態だから、その記憶が蘇っているのか、そこからさらに行動が起こされるまでに、ユーザーさんの中で何が起きているのか。
考えただけで、混乱してきます。
カテゴリーエントリーポイントを広げたり新しく作るには、ユーザーさんの中で何が起きるのかを理解しなくては進めないため、まずはユーザーさんの一連の流れを見るために、簡単なフレームワークを使ってみたいと思います。
カテゴリーエントリーポイントを探るフレームワーク
ユーザーさんが、いつ、どこで、何を考え、自社を思い出してくれるキッカケになるかを見つけるのは簡単ではないため、フレームワークを使っていきましょう。
5W2E | 対象 | 詳細 |
---|---|---|
Why | ・なぜ ・どうして | 想起に至った理由(根本の原因) |
Who | ・だれが ・だれと | 想起を引き起こした人、モノ |
Emotions | ・感情 | 想起と一緒に取り出された感情 |
Experience | ・体験 | 想起を引き起こした体験元 |
When | ・いつ | 想起が起きたタイミング |
Where | ・どこで | 想起が起きた場所 |
What | ・なにを ・何と一緒に ・何をしている最中に | 想起が起きたときにしていたこと |
想起が起きた要因を始まりとして、段々と一連の行動で考えてみる。
考えた、出された情報は全てカテゴリーエントリーポイントの可能性を秘めているため、サンプルを早速見てみたいと思います。
“転職”をテーマにしたメディアの場合
5W2E | 例(全てがカテゴリーエントリーポイントとなる) |
---|---|
Why | ・仕事が嫌いになった ・もう働きたくない |
Who | ・私自身 ・他人との関係性 |
Emotions | ・泣きたくなるような気持ち ・何もしたくならない |
Experience | ・上司の怒鳴りが怖い |
When | ・出社時 |
Where | ・職場 |
What | ・家に帰りつまみ片手にビール |
転職を考えているユーザーさんの状況を、一連の行動からそれぞれ抜き出してみました。
転職をテーマにしたメディアの入り口がたくさんあるのが分かりますよね。
(もしかしたらビール記事を作れば人気がでるかも?)
“転職”なんだから”ビジネス”に関する内容の方がいいんじゃないの?と思われがちですが、それは一つの考え方でしかありません。
流入数は低いかもしれませんが、強いメディアや企業ほど、ニッチキーワード・スモールキーワード・ロングテールなどと呼ばれる、キーワードを対策しています。
カテゴリーエントリーポイントは、ユーザーさんの検索意図を調べることにも似ており、発想を色々変えて調べる方法を別ページの「思考の型を使って変化させて考える」でも書いているので、こちらもオススメです。
誰からの情報で感情・思考が動いたのか?
カテゴリーエントリーポイントで大事なのは、思い出してもらうことですが、その記憶がどんな感情・思考と結びついているかが重要。
さらに、その感情を自ら感じたのか、他人から発信された情報によって得られたのかによっても変わってくる。
自らの体験
メリット :自分で体験したことなのでより鮮明に思い出せる
デメリット:自分で体験できないことは分からない(想起できない)
他人からの情報
メリット :自分で体験しなくても情報によって疑似体験、または感情が動く
デメリット:信頼性がなければカテゴリーエントリーポイントにはならない
あなたのブランドに対する感情や体験をユーザーさん自身の行動で取得できればいいですが、体験できなければ一向にブランド想起のキッカケは作れません。
ユーザーさん自ら感じてもらうのはもちろん、ブランド側から情報発信を行い、外部から情報を取り込んでもらえる状態を作るのが大事。
中と外から攻めていくことで、ブランド想起の確率や数は高まっていきます。
記憶(感情・思考)の種類
ブランドを想起する記憶にも複数種類があります。
その中でも、自動的に反応できる「潜在記憶」まで昇華している記憶は、想起のキッカケとしても強い。
短期記憶
瞬間的に保存された記憶のため、すぐ忘れてしまう。
例:1時間前にやろうと思っていたことがもう思い出せない
長期記憶
長い間保存され続けたことによって定着した記憶。
例:繰り返し学んだ漢字は大人になっても忘れない
意味記憶
言葉の意味を覚えること。
例:SEOとは、検索エンジン最適化のこと
エピソード記憶
行動に紐づいた出来事を覚えること。
例:ブログを書いたら読者に喜んでもらえた※ その内、ブログ=楽しいという意味記憶で定着する
潜在記憶
思い出す必要がないほど定着しており自動的に発動できる記憶。
例:心臓を動かす※ 意識しなくても動かせているのは潜在記憶のおかげ
感覚記憶
五感(視覚・嗅覚・味覚・触覚・聴覚)など、感覚で記憶されていること。
例:百合の花=いいニオイ(嗅覚で覚えている)
増やし方
カテゴリーエントリーポイントの基本はブランドを思い出すキッカケ想起のことなので、この章のタイトルである”増やし方”に対しては、少し違和感があるかもしれませんね。
想起(思い出す)のキッカケが少なければ、カテゴリーエントリーポイントを活かしたブランド作りはできないため、新たに増やしていく必要があると考えています。
効果を最大限活かせるよう、ブランドを思い出すキッカケ、または接点をどう増やしていけばいいのか、見ていきたいと思います。
① 想起(接点)は無数に存在していることを知る
② ターゲットの理解
③ カテゴリーエントリーポイントとコンテンツの関係性
① 想起(接点)は無数に存在していることを知る
カテゴリーエントリーポイント探しのフレームワークでも見て頂きましたが、考えれば考えるだけ、想起に繋がるであろう接点が見つかります。
さらに、ユーザーさんへインタビューなども行えば、もっと出てくる可能性もある。
まずここで考えなければいけないのは、今までのやり方は特定の範囲、ほんの一部のユーザーさんだけを相手にしていたのではないか?
向き合うべきユーザーさんが、本当はもっと多くいたのではないか?
このような気づきを得ることが大切だと思います。
カテゴリーエントリーポイントを増やすには、今までの凝り固まった思考では進められないため、この段階で一旦思考をリフレッシュして頂けると嬉しいです。
② ターゲットの理解
ターゲットを絞ってブランドを認知させたり、コンテンツを作っていくのが一般的だと思いますが、ターゲットの理解が違うと大きな損失になる場合も。
例えば「弊社のブランドは、こういった人が使っています」と断言できれば説得力もありますが、本当にそのブランドが求めている特有の思考性をもった人だけが使っているのでしょうか?
特別好きなブランドがあれば、毎回そちらを選ぶかもしれませんが、常にユーザーさんの頭の中は様々な思考で溢れており、浮気性でもあります。
気分によって選びたいものが違う時もあれば、考え無しで店頭の陳列のされ方で目立ったものを、ついつい手に取ってしまう場合もあります。
自社が求める都合のいい人が買っているだけでなく、常にブランド同士でユーザーさんを共有している状態が正直なところ。
そのためターゲットとは、
× 特定の人を想定(20代OLなど)
〇 カテゴリーエントリーポイントによって記憶とブランドの接点を持ちやすい人達
誰もがブランドを選んでくれる可能性を持ちつつ、選択のタイミングに自社ブランドを選んでもらいやすい人がターゲットとなる。
今まで特定の誰かをターゲットだと認識していた場合、多くの機会損失に気付くことができると思います。
③ カテゴリーエントリーポイントとコンテンツの関係性
カテゴリーエントリーポイントの機会漏れを防ぐのが、コンテンツの役割です。
例えば下記の場合、カテゴリーエントリーポイントは多いのに、コンテンツが用意できてないため、本当は得られた想起を取りこぼすことに。
想起の機会を無駄にしている状態
その逆で、しっかりとカテゴリーエントリーポイントを意識したコンテンツを用意した状態が下記。
想起の機会を活用できている状態
キーワードからの流入数は少ないかもしれませんが、ユーザーさんの想起に繋がるキッカケを、コンテンツがしっかりと受け止めてくれています。
配荷率を意識する
例えば買いたい商品があり陳列棚を見たけどなかった場合、別の商品を買う可能性もありますよね。
しかし、欲しい商品がしっかりと買い手の目に入りやすい位置にあれば、それを手に取ってレジへと向かうはずです。
ブランドが想起された時、すぐに情報へアクセスできる状態にする=カテゴリーエントリーポイントを抑えたコンテンツが上位に入っていることが重要。※ 求める情報がすぐに手に入れられることを配荷率と言います。
簡単に言えば、あなたのブランドとユーザーさんが常に接触できる状態を作ればいい。
成功しているブランドやオウンドメディアは、必ずカテゴリーエントリーポイントも意識して、常に自社と関われる状態を作っているからこそライバルを寄せ付けないほど強い状態を保っています。
カテゴリーエントリーポイントの罠
ユーザーさんがブランドを思い出すキッカケが多ければ多いほど、そのポイントにコンテンツが用意できれば成果は高まっていきます。
しかし、ここで単純な発想になってしまい「コンテンツを大量に作ればいい!」と考えてはいけません。
どんなキーワードのコンテンツ(記事)でも、すでに競合他社のコンテンツが上位を獲っている状態なので、カテゴリーエントリーポイントを活かすには、競合他社よりも上の位置に付かなければいけないため、品質がとても重要になってくる。
検索順位の1~5位に入れる品質が担保できなければ、作っても意味がなく、品質が低いコンテンツばかりを投稿したため、逆にオウンドメディア全体の評価が下がる可能性も。
むやみにカテゴリーエントリーポイントを増やそうとする施策は、間違いを起こしやすいため注意が必要です。
考えておきたいメリット・デメリット
メリット
- ブランドとユーザーさんの繋がる機会が増える
- 幅広く集客できる
- 接触回数が増えることで売上も増える
- 特定分野の評価が下がっても生き残りやすい
デメリット
- 範囲を広げるより特化した方がSEOとして評価されやすい(専門性が高まるため)
- 広げすぎるとテーマがぶれてくる
- スタッフ側の専門知識が身に付かない
- 範囲を広げたことによってCVの見込みが低くなりやすい
メリット、デメリットの両方を見ても、一長一短なので判断が付けづらいですが、やり方によってはカテゴリーエントリーポイントを増やすことには賛成です。
むやみに範囲を広げるのではなく、ブランドやオウンドメディアのテーマ(または目標)軸があると思うので、そこから大きく外れないようにすること。
例:リフォーム
× DIY、業者が使う車、外装工事、内装工事、防水工事、エクステリア
〇 外装工事、内装工事、防水工事、エクステリア
例:スポーツ
× チケットの購入方法、スポーツ雑誌、サッカー、野球、バレー
〇 サッカー、野球、バレー
例:恋愛
× 浮気、復縁、恋、愛、性
〇 恋、愛、性
このように、なるべく基本軸から外れないようにする。
意識するだけでも変わるため、デメリットがあることは理解した上で、カテゴリーエントリーポイントを増やす施策を行っていくのがオススメです。
最後に。
カテゴリーエントリーポイントを増やすのは、売上を変えるほど、成功すれば大きなインパクトが生まれます。
仮に意識の違いによって、
意識しない → 1ジャンルでのみ専門家として地位が確立する
意識する → 広い入口を設けてブランドの認知がより向上する
結果も変わってくるため、どちらを取るかは、あなたの戦略次第ではありますが、永久的に新規ユーザーさん(または顧客)を獲得し続けなくてはいけないことを考えると、カテゴリーエントリーポイントを増やして、広い範囲に影響を与える方がオススメです。
ブランドやオウンドメディアが成功している企業には、やっぱり秘密が隠されていましたね。