いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。会社のブランドを見直したい、そんな時は進め方を知っていると安心できます。
「ブランディング」と聞けば、難しいイメージもあり、分からないことへの不安や怖さの方が先行していませんか?
しかし、これから会社をもっと大きく成長させていく目標があるなら、ブランドの価値を高めて、選ばれ続ける存在になることは必要不可欠。
何をどうすればブランディングが進めていけるのか、流れを見ることで、イメージがより具体的になっていきます。
必要な工程をまとめたので、コーポレートブランディングを検討する時の参考として、見て頂けますと嬉しいです。
- 目次
- なぜコーポレートブランディングは必要なのか
- コーポレートブランディングの大まかな流れ
- コーポレートブランディングの流れ
- コーポレートブランディングを進める時に失敗を引き起こす3大原因
- よくあるご質問・回答
\お役立ち資料/
なぜコーポレートブランディングは必要なのか
成長している会社が、こぞって取り組むコーポレートブランディング。
なぜブランドを見直す動きが活発的なのでしょうか。
理由を3つにまとめてみました。
- コモディティ化の速度が増しているため
- 信頼やイメージが売上に影響するため
- 複利効果を強めるため
1. コモディティ化の速度が増しているため
コモディティ化とは、製品・サービスの違いがハッキリ現れておらず、どれも同じように見えてしまうこと。
見た目も品質も似ているのであれば、選ぶ基準が狭まり値段を下げることでしか戦えず、さらには価格競争に巻き込まれてしまう負のループ。
テクノロジーや技術の発展で新たな製品・サービスを生み出すのも比較的容易な時代であるため、同質の製品・サービスが溢れかえり、差別化ができずお客様の獲得に余計な労力がかかっています。
ブランド力が低ければ、会社の業績はどんどん低迷していくばかりにも…。
強いブランドになれば…同質化を防いで明確な違いも打ち出せる。
2. 信頼やイメージが売上に影響するため
お客様が自社を選んでくれる時、それはたまたまかもしれませんが、繋がったキッカケや選ぶ理由には必ず、会社としての信頼やイメージが関わっています。
たとえば信頼が高い会社であれば、口コミやリピーターが自然と広がり、顧客の新規獲得や既存顧客との関係維持に余計なコストをかけなくても、お客様獲得・維持の負担は増えません。
また、会社に対する良いイメージは、何かを選ぶ時の第一想起に入り込みやすく、選択の土俵にまずは上がれます。※ 第一想起とは選択時に一番先に思い出してもらえること
最初から選択肢の候補から外れていたら選ばれもしないため、ブランドの力が売上に大きく影響しています。
強いブランドになれば…比較されることが減るので勝率が高まる。
3. 複利効果を強めるため
複利効果とは、投資や努力をすればするほど、あとから得られる利益が大きくなる、時間を味方にした現象のこと。
ブランドを通じてお客様の満足が得られると、何度もリピートして頂けたり、売上増加によって製品・サービスの改善資金にも余裕が出て価値を高めていける。
そしてさらに多くのお客様を引き付け、利益が順当に増え続けていきます。
強いブランドになれば…複利効果によって将来的に得られる利益が増える。
コーポレートブランディングの大まかな流れ
会社のブランドを見直すコーポレートブランディングは、流れを大まかに整理すると、5つへ区切って段階的に進めていきます。
流れ | 実施 | 説明 |
---|---|---|
STEP1 | 準備 | ブランディングが進められる状態を作る |
STEP2 | 調査 | 自社の現在地や状況を知る |
STEP3 | 再構築 | ブランドを見直し価値を改めて可視化する |
STEP4 | 反映 | お客様との各接点にブランド要素を落とし込んでいく |
STEP5 | 浸透 | ブランドを社内外に「伝え」「伝わった」状態を目指していく |
ブランディングはよく、ロゴやwebサイトなど、デザイン面を変化させることだと思われがちですが、単純に見た目だけを変えるのであれば、それは「ブランディング」ではなく部分的な改修を意味する「リニューアル」です。
失敗した場合は影響が広範囲に広がるため、しっかりと計画しながら進めていく必要があり、正しい手順として5つへ区切って段階的に進めていくことが、もっとも失敗が少なく成功へ近づける方法でもあります。
大事なことなので、急がず成功確率を高める、正しい流れで進めていきましょう。
正しい手順で進めるワケとは
たとえブランドを見直しても中途半端に行うと「伝えた」で終わってしまうケースもあり、反響はなかなか得られません。正しくブランドが「伝わった」状態を着実に増やして、ステークホルダーの記憶へ定着させていくことが勝利条件にもなる。※ ステークホルダーとは、会社が関わる全ての対象者(従業員・取引先・提携先など)のこと
コーポレートブランディングの流れ
コーポレートブランディングを成功へ導くには、もちろん自社の想いや熱量、ブランディングパートナーの力量も重要ですが、同時に着実な進行手順も必要不可欠です。
正しい流れを踏むことで、目標に向かって進むプロセスが整理され、事故なく計画的に取り組めます。
流れと同時に、各工程で何をしていくのか、細かい実施内容も見ながら確認していきましょう。
- 事前準備
- ブランドの現状分析
- ブランド戦略の策定
- ブランドアイデンティティの再構築(再定義)
- ブランドの反映
- ブランドの浸透
- 成果の評価とフィードバック
- 継続的なブランド管理
この流れで見ていきます。
1. 事前準備
コーポレートブランディングを進めていく前に、しっかりと事前準備を済ませておきます。
やることは7つ。
1-1. ブランドへの危機感を認識する
1-2. プロジェクトチームの発足
1-3. 経営層とのコミュニケーション経路を確保
1-4. ブランドの現状評価
1-5. 目標やKPIの策定
1-6. 社内への理解を求める
1-7. パートナー選定
実際にコーポレートブランディングを進めるなら、パートナー候補へ相談し見積費用や提案内容の良し悪しを確認していきますが、判断基準を作っておかないと軸がないために、なかなか意思決定ができません。
まずは自分たちを知り、進められる体制を用意していきましょう。
1-1. ブランドへの危機感を認識する
一番最初は、現在のブランドに対する危機感を認識すること。
危機感が行動力の源にもなり、社内全員を巻き込んだブランドの再構築に大きな力となります。
また、社長や経営層だけが危機感を認識しても足りず、コーポレートブランディングを進めていくには現場の従業員1人1人の力が必要になるので、現場も同じく経営目線で危機感を認識してもらう必要もある。
全員は難しいかもしれませんが、部長・課長クラスの方々は、同じ目線を持てているといいかもしれません。
1-2. プロジェクトチームの発足
コーポレートブランディングを進めていくためには、会社とブランディングパートナーを繋ぎ、社内の協力を得ながら、経営層とのコミュニケーションに認識ずれが起きないよう、進めていかなくてはいけません。
それは誰か一人が頑張っただけでは進められないため、プロジェクトチームを作り「やり切れる人」や「社内を巻き込める人」であり、尚且つ社内の中でもっともブランドに対する好意を抱いている方を人選する。
社長や経営層としても、業務の最重要事項として伝え、しっかりと社内評価に組み込んであげて、モチベ―ジョン維持などにも考慮する必要があります。
1-3. 経営層とのコミュニケーション経路を確保
社内で一番ブランドを理解・認識している方は社長や経営層ですが、実際進めていくのは現場の方なので、意思決定者と現場を繋ぐコミュニケーションはコーポレートブランディングを進めていくうえで欠かせません。
必要なことがあればすぐに連絡や返答も受けられる状態であり、認識齟齬がないように細かくすり合わせていける。
ここのコミュニケーション経路が脆弱だと、あとで「言った言わない」「聞いた聞いていない」「そう思っていなかった」など、大きなトラブルになるため注意が必要です。(あとでどんでん返しがないように…)
1-4. ブランドの現状評価
自社のブランドはどうなのか、まずは自分たちだけで現状の評価をしてみましょう。
ブランドのしっかりした評価や調査は、ブランディングパートナーと進めていきますが、自分たちだけで評価し課題を浮き彫りにしたり、見積・提案などを受ける際のヒアリングで、必要な情報を提供するためにも必要です。
「何も分からない」状態では、そもそも見積もりができず、ブランドに関しての評価があいまいな状態では、余計な施策も組み込んでしまい見積費用が高くなる可能性も。
出せる予算には限度があると思うので、費用を高くしないためにも自分たちで評価しておきましょう。
1-5. 目標やスケジュールの仮策定
曖昧でいいのですが、今後どうなりたいのか目標を定めたり、スケジュールなどをシミュレーションしておきましょう。
コーポレートブランディングを進める際に、社内外へ徹底した情報収集を行っていくため、この時に抽出した情報が影響して目標などは変わってきます。
ただ、見積やパートナー選定の判断軸にするため、自社の目標などを一旦は決めておくのがお勧めです。
このタイミングで、どのくらいの予算がかけられるか把握しておきます。目標や目的に応じて必要な施策は違うので、当然費用は変わってきますが、まずはどのくらいまでなら出せるのか、把握しておくことでパートナーとの話も進めやすくなります。もし、予算感の参考情報を探されている場合は、ブランディングの費用相場を確認しておきましょう。
1-6. 社内へ理解を求める
社内全員に影響があるコーポレートブランディングは、ひっそりと進めていました…では、あとから不満などが噴出しやすく、ブランドの再構築後は従業員1人1人によって、ブランドを体現していく必要もあるため、協力してもらうことは必須。
そのため、社内へブランドを見直す背景や、今度どうなっていきたいのか説明し、必要であればブランディングパートナーにセミナー等を行ってもらい、正しい知識を広めていく。
全員から完全なる納得を得るのは難しいですが、ブランドの再構築に対する姿勢を評価してもらい、今後協力が得やすい状況を作っておきます。
1-7. パートナー選定
ある程度社内の状況が整ってきたら、実際にコーポレートブランディングを進めるための、パートナー候補を選定していきます。
複数社へ話を聞いて判断したいので、相見積を行うために2~5社ほどの候補へ絞っていく。
注意すべきなのは、ブランディングパートナーによっても得意領域が違うため、目標や状況に合わない会社へ頼むと、望んだブランディングができない場合もあります。
ブランディングパートナー選びの失敗が怖い場合は、選ぶポイントの記事を確認しておくのがお勧めです。
2. ブランドの現状分析
ここからは、ブランディングパートナーと一緒になってブランドの現在地を確認するため、現状を評価しながら調査・分析を徹底して行っていくフェーズです。
今後のブランドの核となる情報も、このタイミングで抽出されるため、とても大事な工程だからこそ気が抜けません。
ブランドの現在地とは
たとえば砂漠の真ん中で「地図」と「コンパス」を頼りに目的地を目指したとしても、今どこにいるのか分からなければ、地図もコンパスもまったく意味のないものに。ブランドも同じく、良い会社・製品・サービスだとしても、現在地が分からなければ、どこへどう進めばいいか分からないため、確認の必要があるのです。
2-1. 社内外からブランドに関わる情報を収集
2-2. ターゲット理解
2-3. 市場・競合分析
2-4. タッチポイントの特定
2-5. 過去のブランディング活動の成果や失敗を確認
2-6. ブランドのユニークさやストーリーの抽出
2-1. 社内外からブランドに関わる情報を収集
ブランドは、ステークフォルダー1人1人の中で、あなたの会社に対する”あらゆる情報”が合わさったもので形作られています。
- 意外と美味しかった
- 担当さんが優しかった
- 使ってみたら便利だった
ポジティブなものもあれば、不満・嫌い・怖いなどのネガティブな情報もあり、これらを合わせてブランドとして認識している。
もちろん、ロゴやwebサイトなど可視化された情報もありますが、ブランドに対するイメージ的なものなので、実際に可視化された情報だけではブランドを表すには足りません。
そのため「自社のブランドとは?」を語るには、ブランドを認識してくれている1人1人に対して、定性的な情報を引き出し集める必要があります。
全員への聞き取り無理なので、もっともブランドを体現してる・認識している社内・社外の主要な人物に話を直接聞いていきます。
こんなデータを集めます
定量:今までの売上や施策に対する色々な情報(数値化できるもの)
定性:感情、意見、期待、批判、不満など
社内
社内にはブランドを体現している人物が多く存在するため、可能な限り話を聞いて回ります。
方法もいくつかあり、全てをやってもいいくらいです。
実施 | 対象 | 説明 |
---|---|---|
ワークショップ(グループディスカッション) | 主要な人物(複数同時) | ブランドの核となる情報を引き出すため、ブランドをもっとも体現している社内人材を複数集めて、ブランドに対して話す場を作ります。特定の質問や作業を挟みながら、自分たちのブランドをさらに認識し、どうあるべきなのか考えるキッカケにもなる。ブランドへ向き合うスイッチの切り替え儀式とも言えます。 |
インタビュー | 主要な人物(1人ずつ) | ブランドに関わる情報をあらゆる角度から引き出し、核となる情報を集めていきます。社長・経営層・現場のエース・会社に対する愛着がある人・お客様からよく褒められる人など、ブランドをまとっているような人物を選定して、1人ずつインタビューしていきます。 |
アンケート | 全員 | 全体的なブランドイメージを確認するためにも、従業員全員にアンケートで情報収集します。社歴も職種も想いもそれぞれ違っていますが、その中でも共通した情報が出てくるなら、それがブランドとも言えます。 |
ブランドに対する認識は、自分と他メンバーとで感覚は違う場合もあり、たとえば経営層と現場にイメージの乖離が大きく出ているなら、課題として解決すべき対象にもなる。
また、ワークショップなどは、声の大きい人や役職が優先されて、自由な本心を言えない場になってしまう可能性もあるので、進行役であるファシリテーターの雰囲気作りや進行管理が、とても重要です。
会社の現状や課題、目標が明確にもなってくるため、ブランドの現在地を確かめるためにも重要な工程。
社外
社外にも、ブランドを好んで選んでくれたり、良い悪い体験を持っている方がたくさんいます。
優良顧客や離反顧客も含めて、1人ずつインタビューを実施。※ BtoBの場合:1企業1人(主要な人物)
※ BtoCの場合:複数人(グループインタビューなども可)
「内からの認識」と「外からの認識」では、ブランドイメージにギャップがあるので、コーポレートブランディングを進めるなら、ここの差を埋めていく必要もある。
注意事項としては、十分な関係者から聞き取りができないと、ブランドに対して期待されている価値を可視化できなくなるので、プロジェクトメンバーはインタビューを受けてもらう交渉を粘り強く行い、少しでも多くの方から聞き取りできる状態を作りましょう。
引き出し力の必要性
問いをぶつけて本音を引き出し、率直なフィードバックを得るにはテクニックやスキルも必要なので、インタビューが不得意な方に任せると欲しい情報は集まりません。必ず、インタビューの現場経験が豊富な方に対応してもらいましょう。
2-2. ターゲット理解
過去・現在・未来のターゲットを改めて可視化していきます。
過去からターゲットの変遷を振り返ることで、ブランドがどのような変化や成長を経験してきたかを把握でき、今後の方向性を決定する上での判断軸にもできる。
さらに、将来のターゲットを予測することで、市場の変化や需要のトレンドをより的確に捉えることができます。
ターゲットを理解する方法は、
フレームワーク | 説明 |
---|---|
STP分析 | セグメンテーション(Segmentation) → 過去と現在の顧客を異なるグループに分け共通の特性を特定 ターゲティング(Targeting) → セグメントの中から最も魅力的なターゲットを選定 ポジショニング(Positioning) → ブランドが選択したターゲットに対してどのような位置づけになっているか把握 |
カスタマージャーニーマップ | 過去と現在のお客様を経験ごとにマッピングしながら、ブランドとの接点でどのような行動をとってきたかを把握します。それぞれタイミングごとで思考・行動・感情を可視化すると、今後のお客様も予測でき、ターゲット対する理解が深まっていきます。 |
その他、一般的なフレームワークである3C分析・4P分析は製品・サービス寄りで、PEST分析は外部環境の要因を理解するための分析方法なので、STP分析・カスタマージャーニーマップを軸に、ターゲット理解を深めていくのがお勧めです。
ブランディングパートナー独自の「フレームワーク」があるかもしれないので、学びつつ活用させてもらいましょう。
2-3. 市場・競合分析
自社のことが分かってきたら、ブランド戦略を考える上で、外部環境も確認していきます。
まずは市場(戦うフィールド)を確認し、その中で競合となり得る存在を調査・分析していく。
分析 | 内容 | 説明 |
---|---|---|
市場分析 | トレンド・動向 | 市場の動きを過去から現在までを見ながら将来の仮説を立てる |
顧客のニーズ | お客様の思考・行動パターンを把握しながらが求められている価値を導き出す | |
セグメント分け | 市場を細分化してどこで勝負をかけるべきなのか判断する | |
競合分析 | 競合ブランド | 競合の機能的価値(製品・サービスの機能・価格・デザインなど)と情緒的価値(ブランドメッセージ・イメージ・口コミなど)からブランドを分析して勝てるポイントを探す |
ポジショニング | 市場から見て競合と自社のブランドの立ち位置をマッピングして全体感を把握する | |
SWOT分析 | 競合の強み・弱み・機会・脅威をそれぞれ洗い出して自社が勝てる要素を見つけ出す |
あくまで過去~現在までの分析なので、今後新たな競合が出てきて、状況が変わる場合も。
そのため、どんな競合が出てきても、可能な限り自社だからこそ出せる価値で、戦えるポイントを見つけていきましょう。
市場における競合との戦い方は、ブランドの方向性を決めるためにも重要な要素です。
2-4. タッチポイントの特定
タッチポイントとは、ブランドがお客様と接触する機会のこと。
webサイト:検索エンジン
名刺 :対面
展示会 :展示会場
セミナー :会場
広告 :webサイト、看板、交通機関など
従業員 :電話、メール、対面、オンラインなど
…etc
あなたの会社のブランドは、お客様(または見込み顧客)と色々な接点で接触しています。
しかし、全てが売上に繋がることはなく空振りもあるため、今現在もっとも会社の成長に貢献しているタッチポイントを特定し、そこを強化していく。
ブランドの方向性によっては、タッチポイントを広げることに力を入れるかもしれません。
最初からタッチポイントを把握しておけば、どんな戦略になっても、臨機応変に対応していけるため、あらゆるタッチポイントを確認しておきましょう。
2-5. 過去のブランディング活動の成果や失敗を確認
誰でも失敗を改めて掘り返すのは気分がいいものではありませんよね。
しかし、今回進めようとされているコーポレートブランディングにおいては、過去のブランディング活動で得た成果・失敗から学ぶ必要があります。(同じ過ちを繰り返さないためにも)
たとえば成果の出た施策があれば継続した方がいいかもしれませんし、失敗については何かやり方が間違っていた可能性も。
他にも、ブランディング活動だと思わずやっていたことが、実は成果に紐づいていたケースがあったかもしれません。
今までのブランディング活動を掘り返せば、ブランドの戦略を練るのに役立ちます。
2-6. ブランドのユニークさやストーリーの抽出
ブランドを再構築しても、製品・サービスの特徴が競合とあまり変わらず値段だけが勝負所だと、お客様から選ばれる存在になるには難しいかもしれません。
比較された際は、機能・値段はもちろん対象ですが、そこで決着がつかない場合は、ブランドのユニークさやストーリーが強い味方となります。
- こんな想いで作っています
- この製品はこんなキッカケから生まれました
- 実は私たちってこういう事しているんです
あなたの会社だからこそ、強みにできるポイントが必ず眠っているはずです。
ブランドを語るうえで、特徴的なポイントやストーリーがあると、お客様の感情が動きやすく記憶にも定着しやすいため、可能であれば抽出しておきましょう。
3. ブランドアイデンティティの再構築(再定義)
ブランドに関する様々な情報を集約したら、今度はブランドの「らしさ」を改めていきます。※ ブランドアイデンティティとは、価値観・世界観・信念など他ブランドと区別するための要素
たった一言でも伝わるブランドメッセージの開発や、存在意義の証明など、ブランドの方向性を定めます。
3-1. ブランドの方向性を決める
3-2. 会社の存在意義や目的を明確化
3-3. パートナーシップや提携関係の見直し
3-4. 従業員教育
3-1. ブランドの方向性を決める
ワークショップなどを通して、ブランドの方向性を定めていきます。
たとえば、目指す理想の未来像や究極の価値を考えると見えてくる。
自社がどうなりたいのかも重要ですが、お客様から求める「あなたの会社は〇〇だよね」と認識されている価値も合わせると、ブランド再構築後のズレが少なくなります。
3-2. 会社の存在意義や目的を明確化
なぜ自社が存在しているのか、その意義や目的を明確に言葉で表現していきます。
対象 | 説明 |
---|---|
社名 | 変更する場合は考え直す |
ブランドメッセージ | 一言で会社の存在意義が分かる言葉 |
タグライン | ブランドメッセージを補足する内容 |
ミッション | 企業の存在意義や目的 |
ビジョン | 企業としての理想の姿 |
バリュー | 企業の価値観や信念 |
ブランド要素を集約し言語化できれば、自社の在り方がハッキリしてきます。
注意点としては、ブランディングパートナーに、ブランドの背景を汲み取り言葉として言語化してくれるスキルがあるかどうか。
普段言葉にできない情報を、言葉として表すのは簡単ではなく、また依頼側のあなたの会社が納得のいく表現を見つけるまで、時間が掛かる可能性もあります。
とことん付き合ってくれるかどうかも、ブランディングパートナーを選ぶポイントです。
3-3. パートナーシップや提携関係の見直し
会社を成長させるために、知り合いからご紹介を頂いたり、無理して取引先になったりと、関係各社と繋がる経由は色々だと思います。
他にも、クライアントではなく提携関係で、パートナーはどんどん増えていく。
しかし、ブランドを見直したことで、無理に付き合う必要のない会社も判明してくるため、関係性の見直しを改めて考えてみます。
もしかしたら現場が付き合いたくない会社と、無理に付き合わされてきたことで、退職やパフォーマンスが落ちたり歪が生まれているかもしれません。
4. ブランド戦略の策定
ブランドの核となる情報や方向性が掴めてきたら、ブランドの活用方法を決める戦略を策定。
「戦略」と聞けば難しいイメージはありますが、すでに必要な情報が抽出されている状態なので、まず分かりやすい事として、今まで集めた情報をまとめて絞り込みレポート化。
ブランドに関わる情報を可視化すれば、進むべき道が見えてくるため、いきなり全体戦略を作るのではなく、出来る事から徐々に始めていきます。
そして最終的には、ブランドの効果を最大限引き上げる方向性を決めていきます。
4-1. 抽出した情報をレポーティング
4-2. ワークショップの実施
4-3. ターゲットを特定
4-4. ブランドポジショニングを定める
4-5. 差別化できるポイントを可視化していく
4-6. コミュニケーションの見直し
4-7. KPIの設定
4-1. 抽出した情報をレポーティング
戦略を考えていくには、今まで集めてきた情報を、すばやく取り出して使える状態にします。
- 情報を分類する
- 共通点をまとめる
- 情報に優先度を付ける
など、全部の情報をレポート化。
仮にレポート化の段階で抜け漏れに気づければ、まだ後戻りができるため、そういった意味でも情報をまとめることは大事です。
4-2. ワークショップの実施
レポート化した情報を元に、改めて主要なメンバーと一緒に報告会を行ったり、ワークショップで意見を出し合っていく。
このタイミングで、抽出したブランド要素に納得感が得られないままにしておくと、今後の判断軸もブレて二転三転の方向展開により、ブランドそのものが確立できません。
経営層と現場で認識がズレていたり、思ってもみなかった部分が評価されていることも。
ブランディングパートナーとしても、今後の戦略を練る上で現場の意見にすごく左右されるため、ここで認識や方向性を固めておきたいと思っています。
4-3. ターゲットを特定
ブランドを再構築した後は、誰に何の価値を届けていくのか、戦略策定時に改めて見直します。
もちろん、過去に接触してきたお客様だけでなく、成長を望むならこれまで接触していなかった潜在的なターゲット層も含めて、総合的な判断をしていく必要があります。
そのため、広い視野を持ちながら、過去・現在に加えて未来の可能性を組み合わせてターゲットを特定し、ブランディングの戦略を練っていきます。
4-4. ブランドポジショニングを定める
ブランドの方向性が固まりだしたら、競合とブランドの立ち位置を改めて見直します。
基本は2軸のマトリクスを使い、自社と競合含めてマッピングをしてみる。
お客様から選ばれるために、これからはどのようなポジションをとっていけばいいのか、ポジショニングによって戦略が大きく変わります。
4-5. 差別化できるポイントを可視化していく
ブランドの再ポジショニングができたら、競合との違いを出すポイントが分かるため、そこに合わせて違いを可視化させていきます。
4-6. コミュニケーションの見直し
コーポレートブランディングにおけるコミュニケーションとは、どのような経路・方法で、お客様との接触を図っていくか。
オフライン・オンラインの両方を考える必要があります。
コミュニケーション方法 | オフライン | オンライン |
---|---|---|
電話 | 〇 | – |
メール | – | 〇 |
名刺 | 〇 | △ |
資料 | 〇 | 〇 |
ロゴ | 〇 | 〇 |
webサイト | – | 〇 |
広告 | – | 〇 |
展示会 | 〇 | 〇 |
セミナー | 〇 | 〇 |
たとえば資料などは、対面・オンラインミーティング・マーケティング活動など、接触機会も多ければ、使う頻度も高い。
逆に展示会などは、回数は少ないものの、多くのお客様と出会える可能性がある。
どこで何をするかが重要ですが、特にデジタルマーケティングを活用して、インターネット上でのコミュニケーション機会を増やすことが必要不可欠です。
ブランディングパートナーを選ぶ時は、デジタルマーケティングの専門知識がある企業を選ぶのがお勧めです。
4-7. KPIの設定
ブランドを活用する方向性が見えてきたら、目標へ到達するまでの道筋を数字として見える化していきます。
具体的な目標値があることで、現場も動きやすくなりますし、足りない部分にはテコ入れもしやすくなる。
KPIを設定して、行動が促進できる環境を作っていきます。
5. ブランドの反映
ブランドが再構築できたら、ステークホルダーへの影響力を強化し、タッチポイントを広げ、主要なチャネルの強化を行うため、社内外にブランドを認識してもらえるよう反映していきます。
そのためには、ブランドを反映させたアイテムが必要なので、下記を用意していきましょう。
ロゴ
ロゴは、お客様がブランドを記憶から呼び起こす、または視界へ入った時、瞬時に「〇〇社」だと理解できるマークとなります。
分かりやすいのはもちろん、ブランドとの連動率が高ければ高いほど、覚えやすくもなる。
新しくするため、他社と似ないよう商標確認をしたり、他社に同じ形を使わせないため商標登録なども必要です。
webサイトのリニューアル
お客様はインターネットによる情報探しを基本としているため、公式サイトなどオウンドメディアを見る確率がかなり高いと言えます。※ オウンドメディアとは、自社が保有する公式サイト、採用サイト、ブログなどのwebサイトのこと
たとえば、お客様がすで持っていたブランドイメージと、webサイトのイメージがかけ離れていたらどうでしょうか。
記憶・イメージと見た目が一致せず、違和感や不信感から信頼を落とす可能性もあります。
ブランドを再構築したのであれば、ブランドを発信するために内容の書き換えが必要となり、ブランドイメージもwebサイトに反映させなければいけません。
ブランドムービー
ブランドを表現するブランドムービーも、お披露目やその後の認知施策で役立ちます。
作る機会もこのタイミングしかなく、数カ月数年経ってブランドムービーを作ったとして、お客様からみれば旬は過ぎ去っています。
必要性がなければ作らずともいいですが、社内外に新しいブランドを伝える時、テキストや画像ではなく、ムービー化した情報だと、より伝わりやすくなります。
資料
資料にもブランドを反映することで、お客様の認知を広めていけます。※ 資料のジャンルは会社紹介・採用ピッチ・カタログ・社内用フォーマットなど
営業・マーケティング用から社内マニュアルなど、ビジネスの現場では資料が大活躍中。
ブランド要素を資料のデザインに落とし込めれば、従業員の誰が資料を作ったとしても、必ずブランドが反映できる状態が作れます。※ 誰でもブランドが反映された資料が作れるようにフォーマットを作る
コンテンツ制作
テキスト・画像・動画・音声など、お客様がブランドと接触する機会の多くに、コンテンツの存在があります。
特に頻度が多いのは、webサイトへ掲載された情報記事。
たとえば、ある特定のキーワードで検索順位が上位だった場合、多くの方が記事へアクセスして、ブランドとの接触が増えていく。
SEOの見直しや、コンテンツの改良・増産など、コンテンツ戦略を引き直すことが重要です。※ SEOとは検索エンジン最適化のことで検索エンジンが読み取りやすく尚且つ良質なコンテンツを生み出し上位表示を目指すこと
社内マネジメント
従業員に対して、日ごろからブランドを意識できるよう、社内ルールや人事評価にも反映させていきます。
ブランドのバリューを、どれだけ意識できていたか評価に加えたり、ブランドの体現者を率先して応援する文化にしていく。
ブランドに沿った思考・行動が増えることで、社内にブランドが浸透していきます。
1人だけでは効果は薄いですが、ブランドが正しく歩んでいきたい方向性へ、何十人何百人も一斉に進んでいければ、大きな力を生み出せます。
6. ブランドの浸透
ブランドを社内外へ広めながら、新たなブランドイメージを浸透させ、影響力を高めていくフェーズです。
やることは、大きく分けると2つ。
社内向け(インナーブランディング)
社外向け(アウターブランディング)
両方とも行うことで、コーポレートブランディングの成功率が高まっていきます。
社内向け(インナーブランディング)
インナーブランディングとは、社内に向けてブランドを浸透させていくプロセスのこと。
たとえば、対面でお客様1人1人に説明できたらいいですが、現実的ではありません。
しかし、従業員1人1人がブランドの体現者となって成長できていれば、社内でブランドの意識が高まることで社外に向けても自然にブランドの発信ができ、さらには共感を呼んで優秀な人材が集まってくるかもしれません。
仕事をする意義や楽しみも見つけやすくなり、人材の流出を防ぎ従業員のパフォーマンス向上にも期待ができます。
社内向けの発表広報
最初だけですが、コーポレートブランディングを行ったら社内向けの発表を行います。
従業員を一同に集めて、新しいブランドへの不安や期待をともに感じてもらう。
また、ブランディングの背景や今後のビジョンなども含めて、ブランドを理解してもらうための情報を提供していきます。
一体感を作り、皆が同時にアクセルを踏めるような場を作るのもお勧めです。
社内広報
社内広報にて、ブランドを伝え続けることが大事です。
ブランドを体現している方をインタビューしたり、常にブランドに沿った思考・行動が評価される仕組みを会社としても見せていく。
お客様に喜んで頂けた事例など、ブランドに関わるあらゆる情報をピックアップし、社内へ発信し続けていきます。
マネジメントでブランドを伝え続ける
人材に対するマネジメントの場でも、ブランドに沿った思考・行動になっているか確認していきましょう。
会社のトップがブランドを口酸っぱく伝え続ける
インナーブランディングで欠かせないのが、会社のトップがブランドについて語り続けること。
何度伝えても、伝わっている割合は低く、時が経てば薄れてしまうものです。
何度も伝え続けることをあきらめたら、インナーブランディングの効果が低くなることだけは間違いありません。
社外向け(アウターブランディング)
アウターブランディングとは、社外に向けてブランドを浸透させていくプロセスのこと。
ブランドの広がりと、信頼の獲得は、そのまま会社の成長に繋がっていきます。
社外向けの発表
まず手始めにプレスリリースの発信や、ソーシャルメディアへの露出。
他にも、展示会やイベントに参加して、広い範囲へ新ブランドの情報や取り組みを知らせて、企業の存在や価値を伝えていきます。
コンテンツマーケティング
基本戦略としては、SEOを考慮した集客数がUPするコンテンツを作ること。
webサイトを通じてターゲットとの接触機会が増やせれば、ブランドの認知も広がりやすくなります。
また、検索エンジンの上位表示は、そのまま企業の信頼度にもダイレクトに繋がるため、コンテンツマーケティングを行い、デジタル上でブランドを浸透させていきましょう。
デジタル広告
オンラン広告のプラットフォーム(リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告、動画広告など)を活用して、お客様との接触を広げていきます。
たとえば、デジタル上で簡単に送りものができるデジタルギフトを使ったキャンペーンを行ったり、広告は費用を払うことで集客力を手にできるため、ブランドの知名度向上や新規顧客の獲得などにも貢献します。
広報活動
広報活動によって、他媒体に取り上げてもらったり、自社の取り組みを世の中の関心事と結びつけて反響を広めたりします。
ブランドの新しい方向性や価値観も、少しずつですが啓蒙することで、社会からの自社ブランドのイメージが向上できます。
7. 成果の評価とフィードバック
ブランドの再構築→反映→浸透まで進めたら、経過観察として一定のタイミングで評価とフィードバックを行います。
ブランディングパートナーが、浸透フェーズまで対応していたら、レポーティングも変わりに対応してくれますが、そうでない場合は自社で評価を実施。
ブランディング活動の成果を「定量」と「定性」の両方から情報収集して、どれだけ目的達成に近づいたのか社内外から確認します。
社内:従業員からの評価
社外:お客様からの評価
コーポレートブランディングを始めた時に行った調査と同じく、様々なフィードバックを集めて、今後のブランド戦略を改善するための情報とします。
8. 継続的なブランド管理
コーポレートブランディングは、会社が存在する限り続いていくものなので、継続的なブランド管理の視点が必要です。
注意すべきなのは、途中でブランドの方向性がズレてしまうこと。
必ず一貫性を保ちつつ、同じブランドを発信し続けていきます。
ただし、市場や時代の変化によって、とるべきブランド戦略はその時々で変わるため、柔軟に調整しつつ改善を繰り返していきます。
コーポレートブランディングを進める時に失敗を引き起こす3大原因
コーポレートブランディングは初めてのことも多く、ブランディングパートナーの知識量に圧倒されてしまうことが多いかもしれません。
そう感じると、知識やスキルが大事だと思いがちですが、実際進めてみると基本が何よりも重要だと気づくかもしれません。
当たり前だと思っていることが、実は当たり前ではないため、失敗を引き起こす3大原因を確認しておきましょう。
原因① 調査不足
ブランドの再構築に必要な情報が、十分に収集できなかった場合、ブランドの形が本来望んでいたものから大きく外れます。
情報が足りないと、
・方向性を間違えてしまう
・勘違いを起こしてしまう
・アウトプットが変わってしまう
結果として、費用をかけたのに期待されないブランドに…。
それだけ、初期に行う調査で必要な情報が足りないと失敗に近づくため、時間をかけてでも確実に必要な情報を集めたうえで進めていきましょう。
原因② コミュニケーション不足
ブランドを形にしていく時、ブランディングパートナーだけが行動を起こすのではなく、依頼主(依頼側の会社)も同じく一緒になって進めていきます。
本人たちの意見や納得感がものすごく重要であり、誰か1人の意見だけで決めるられるものではない。
それなのに、 各関係者間の意見のすり合わせ不足が発生して、思わぬ方向にブランドが傾いてしまう場合も。
コミュニケーション不足は、コーポレートブランディングの天敵とも言えます。
原因③ 実行不足
ブランディングの基本である「再構築」・「反映」・「浸透」3つのフェーズそれぞれで、やること・確認事項が多く発生していきます。
たとえば、グループディスカッションをするために皆の予定を合わせたり、確認事項も複数人にわたるケースもあるので時間がかかる。
誰か1人でもその歩みを止めてしまうと、前に進まず誰かにしわ寄せもきてしまう。
時間だけが過ぎていき、最初に決めたスケジュールも押して余裕もなくなることで、確認が雑になれば期待したブランドにもできません。
他人事ではなく自分事で考え、実行不足にならないよう気を付けましょう。
よくあるご質問・回答
ブランディングの最終目標は?
ブランディングが企業価値を高め、お客様・社会にも認められることで、競争力を引き上げ企業の成長や成功に貢献すること。企業価値が高めれば、自然とお客様が引き寄せられ、優秀な従業員が増え、さらに成長が加速していきます。
ブランディングはいつ終わるの?
ブランディングに終わりはなく、継続して取り組む大事な企業活動となります。
ブランディングで大切なことは?
ブランディングでは、会社の「らしさ」を一貫して伝え続け、顧客や社会に存在を理解してもらうこと。