「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。ビックリ退職の兆候や原因を改めて確認できる情報をまとめています。
「えっ…?本当に辞めるの?」
事前の兆候をなにも感じなかったのにビックリ退職されてしまったり、辞める人が継続的に発生して定着率が悪い。
管理者側からすれば、「自分はちゃんとマネジメントしてきたつもりなんだけど…」と、辞める人が続けば不安にもなりますよね。
なぜ退職が続くのか、どうすれば防げるのか、原因や防止策をまとめたので、あなたのお役に立てられれば嬉しいです。※ 私自身も2回の退職&転職、一つの企業に約10年ほど勤めて周りの退職・転職を見てきた経験からまとめています。
こんな状況の方にお勧め!
・離職率の高さに悩みがある
・ビックリ退職が続けて起きている
・何が退職原因か分からない
ビックリ退職の兆候(前兆)まとめ
ビックリ退職が発覚する前、多くの方がその前兆となる行動を起こしています。
どのような行動に現れているのか、退職の兆候をまとめてみました。
会話
・よく会話してたのに話さなくなる
・直接不満を言われることが多くなった
・同僚伝えで不満を聞くようになった
・発言の端切れが悪くなってきた
・話かけると塩対応が多くなってきた
・相談されなくなってきた
・マイナス発言が多くなってきた
身体的
・うかない顔をしていることが多くなってきた
・身なりがカジュアルからフォーマルに変わってきた
・おしゃれさが落ち着いてきた(化粧、ネイル、香水、髪型など)
仕事への姿勢・取り組み
・長期的な計画に対して積極的に関わってこなくなった
・仕事量をセーブするようになってきた
・遅刻することが多くなってきた
帰宅・休暇
・突然有給、休みの申請を出すようになる
・そそくさと早く帰るようになる
・帰宅後の予定を言わなくなる
・飲み会に参加しなくなる
私が実際に見てきた兆候を踏まえて書き出してみましたが、これはほんの一部で本来はもっと色々あると思っています。
しかし、不平不満を必ず何かしらで表現してサインを出しているため、些細な変化でも注意して意識を張り巡らせておくのがオススメです。
ビックリ退職の原因とは?
退職理由は人それぞれですが、そこには必ず退職へ向かわせてしまった原因がいくつもミルフィーユ状に積み重なっています。
大きな一つの原因もあれば、いくつも小さな出来事の積み重ねが、退職ロードを歩かせてしまっている場合も。
不満の流れ:仕事 → 同僚 → 上司 → 会社(社長)
何が原因となるのか、それぞれに対する不満を詳しく見てみましょう。
私自身も、今勤めている会社は3社目で10年近くなりますが、何度も転職活動をしながら今までやってきました。その時々を思い出し、当てはまる内容も含めてまとめています。
フェーズ1:仕事に対する不満
従業員さんが普段から一番不満を持つのは、自分自身が行っている仕事に対して。
もっとも身近で自分に近いからこそ、何かしらの不安や課題が出てきやすく、毎日それが溜まっていくことで不満にもなりやすい。
内容の不満
- 実際に入社したら、やりたい仕事ではなかった
- 雑用ばかりさせられている
- 仕事の物量が多すぎる、無さすぎる
仕事の仕方に対しての不満
- 上司の指示を忠実に守ることが求められている
- 都度新しいことを覚えなければいけない
- 非効率なことばかりさせられる
- 自分がやらなくてもいい仕事なのにさせられている
- 権限を与えられず自由にできない
- 範囲が広すぎる、狭すぎる
取引先への不満
- クライアントからの要望がキツすぎる
フェーズ2:同僚(先輩含む)に対する不満
自分一人だけで会社が回っているのではなく、仕事をするために周りとの連携が必要なので、何人もの方と関わりながら進めていきます。
そのため「人」に対する問題が必ず存在しており、それらが不満となってビックリ退職を引き起こしている可能性もある。
仕事への不満
- 仕事を押し付けてくる
- 同僚の仕事が遅すぎて先に進めない
- 手伝ってくれない
- チームなのに連帯感がない
会議への不満
- 何も発言しない人がいる
- 毎回否定しかしない人がいる
- アイデアばかり言って実行しない人がいる
- 毎回同じ繰り返しになっている
精神的な不満
- 嫌味ばかりを言う人がいて苦痛
- 価値観が合わなすぎて辛い
給料への不満
- 自分の方が仕事してるのに給料が低い
フェーズ3:上司に対する不満
社長さんではない限り、その多くが上役(自分より役職が上)の存在がいますよね。
ピラミッドのようなヒエラルキー組織、フラットなホラクラシー組織など、組織の形も会社によって様々ですが、指示を出す人は必ず配置されて、そこに対する不満が生まれやすくなります。
上司の仕事ぶりへの不満
- 仕事を教えてくれない
- 知っておいてほしい事を知らない
- 上司の能力が低いのにずっと変わらない
- 全然仕事をしてくれない(指示するだけ)
- 判断や連絡が遅い
- 上司の中で前例がないことには首を立てに振ってもらえない
- 逐一やり方など細かい指導をしてくる
- 言うことがいつもバラバラで軸が定まってない
- 部下には厳しく上役にはペコペコしてる
- 上司のサボりを見てしまった
- 報告をやたら求めてくる
- 上司が判断すべき内容を部下に求めてくる(責任転嫁)
関係性の不満
- 直接ではないけど上司・社長から自分の評価が低いことを知ってしまった
- 信頼できない(関係性が築けていない)
- 全然向き合ってくれない
- 不満を伝えているが一向に改善してくれない
- 売上など数字面しか見てくれない
- 人によって態度を変える
- すぐに否定してくる
- いつも怒ってばかり
- 助けてくれない
- 認めてくれない
- お願いされたことをやったのに感謝してくれない
目標設定への不満
- 自分事にならない目標ばかりを立てさせられる
- 短期的な売上ばかり求めてくる
- 会社都合の目標を設定させられる
昇給・昇格への不満
- 頑張っているのに役職(給料)をあげてくれない
- 手柄を横取りする
フェーズ4:会社に対する不満
仕事・同僚・上司と近い存在に対する不満の有る無しに関係なく、最終的には会社=社長まで不満が登ってきます。
全てを用意している側が会社のため、不満が集中するのは当然のことですが、ここまで不満のフェーズが進んでしまうと、意思も気持ちも強まりビックリ退職の日も近い…。
入社時
- オンボーディングや研修もない
- 方針が曖昧で何をしたいのか分からない
- 納得感の薄い取り繕った目標ばかりを掲げている
- 雰囲気やカルチャーが合わない
- いつも社長が偉そうにしている
- 社長に近い人ばかりが優遇されていると感じる
- 仕事環境が悪い(デスク、パソコンなど)
- ボーナスが低い
- 口に出して不平不満を発していた
- 口には出さずとも無意識に行動へ出ていた
- 直接的ではなく間接的な行動をしていた
- 普段とは明らかに行動が変わってきた
ビジョン・方針への不満
社長への不満
環境への不満
給料への不満
原因まとめ
ビックリ退職を発生させる原因は、会社の原因もあれば、従業員さんの価値観や仕事スタイル、または家庭環境などによっても変わってくるので、一つとして定型的なものはありません。
上司や同僚も違うので、原因は無限に存在していると言えます。
ただ、悩んでいる・困っているサインを直接、または無意識に出しているのに、その解決が進まないと本人にとっては辞めてほしいのサインだと受け取り、完全に気持ちが離れてしまうことも。
退職理由を本人に聞いてみると、「私言ってましたよね?」「お願い聞いてくれなかったからじゃないですか」と、何人も同じことを言って辞めていく状況が続くのは、サインに気づかず放置してた側の責任となります。
身体的な負荷だけでなく、精神的な負荷が色々重なっていくと、スイッチが切れたように会社に所属する意味を見失うため、細かい配慮を常に意識しながら、関係性を向上させていけると長続きしてもらえると思います。
実は、ビックリ退職なんてものは存在しない?
「あの人、辞めちゃうの!?」
「えっ、すごく頑張ってると思ってたのに…。」
あの人が?この人が?突然の退職願いを出してきた日には、誰もがビックリして思考停止になる時もありますよね。
特に、辞めそうにないと思ってた人、または社内でもエースと呼ばれるような人から「退職したい」と言われた日には、口から心臓が飛び出るかもしれません。
言われた側からしたら「突然」「ビックリ」ですが、実は言う側からしたら水面下で虎視眈々と退職へ向けて動き出していた結果なので何も驚くことはない。
この感覚のギャップこそ、退職が発生する原因であるため、ビックリ退職なんてものは本当は存在しないと言えます。
退職者の多くは、事前にサインを出していた?
最初は望んで入った会社なのに、そこを出て行きたくなる時、やはり何かしらの理由があったと考えるのが自然です。
退職の動機が発生した場合の事前サインとは、
このように何かしらのサインを出しているのですが、それが分かりやすい場合もあれば、全然分かりづらい場合もあり、気付けないと「ビックリ退職」だと感じてしまう。
何人もいる従業員さんの、小さな小さな変化に気付けるか?と問われれば、どんなに優秀な人でも気付くのは難しいですよね。
そのため、気付く意識を持つためにもどんなサインなのか詳しく見てみましょう。
口に出して不平不満を発していた
タイプ:直接的な行動となってサインを出す方
行動 :不平不満を発信する
普段から周りに不平不満を言っている方も多いですよね。
しかし、同僚は知っていたけど、直属の上司や管理者に属する方たちが、その不満を耳にする機会がないと、退職のサインは出ているものの気付けないこともあります。
直接、上司に直談判できる方も中にはいますが、面と向かって言える人は少数派、多くは「言っても無駄だろう」のような考えのもと、言ってこない方が多数派。
口には出さずとも無意識に行動へ出ていた
タイプ:我慢して溜め込むが無意識に溢れでてくる方
行動 :マイナス発言が多くなってきた、休みがちになってきた
最近、なぜか仕事のキレが悪くなったり、ミスが続くようになっているのは、無意識からの反発かもしれません。
仕事へ集中できなくなり、ミスをしても退職へ意識が向いているので気にしなくなる。
本人は無自覚ですが、退職の動機がどんどんハッキリする過程の真っ最中であり、退職予備軍とも言える状態です。
直接的ではなく間接的な行動をしていた
タイプ:優しい性格でモノが言えないため間接的に伝える行動をしている方
行動 :人を介して伝えたり、社内サーベイなどで改善要望を出していた
上司が怖くて言いづらい、関係性が悪くて話すらしたくない、このような状態もありますが、直接言えない方はひっそりと行動に移しています。
例えば、口では言わないものの、不平不満をチャット・メールなど同僚同士で話していたり、今は取り入れられていることの多い従業員満足度調査(サーベイ)に対して改善要望を伝えている。
間接的に何とかサインを出していますが、管理者へ伝わりづらい場合もある。
普段とは明らかに行動が変わってきた
タイプ:今の会社を見限って退職を全力で進めようとする方
行動 :残業無しですぐ帰宅するようになった、午前休・午後休・全休が多くなってきた
口には出さないで、行動で全て示すような方は、仕事終わりの行動や休日申請の頻度に現れてきます。
退職を意識した方の多くは、退職行動を起こす必要があるので、今までとは違った行動を起こしやすくなる。
特に、退職に対する時間を確保することが重要になるので、時間確保のために行動がガラリと変わる方も少なくありません。
不平不満を口に出すのと行動で示すのでは意識に違いがある
ビックリ退職を引き起こす前兆とも言える行動変容は人それぞれです。
しかし、行動の違いによって、意識にも大きな違いがある。
口に出す → 無意識で改善を求めている(まだ完全に見放してない)
行動で示す → 完全に見放している
大きく分けると、まだ残りたい気持ちがあるのか、それとも完全に意識が離れて次を見つけようとしているのか。
正直に言えば、辞めようとしているなら、その会社に対して何か貢献しようとは、口では良いことをいいつつも、本心ではないですよね。
口より行動の方が本心を表してます。
仕事ができる人ほど辞めてしまうのはなぜなのか?
若手エースだと言われていた方、仕事で成果を出してメキメキと成長していた方。
そんな方ほど、辞めてしまうことが多い傾向です(私の経験上)。
なぜ仕事ができる方が辞めていってしまうのか、ある原因が隠されている場合も。
仕事ができるからこそ無理をさせすぎる
仕事ができる方には、どんどん新しいことに挑戦してもらい、成長を後押ししていきたいと考えますが、その考えそのものが本人にとって悪影響となっている場合もあります。
・できるからこそ仕事量が増えて成果が出せなくなっていった
・期待をかけすぎてプレッシャーで潰れてしまった
・失敗した時に会社からのフォローもなかった
全て、無理をさせすぎて許容範囲を超えてしまった時に、その人の中で退職へと意識が切り替わる。
期待しておきながら、失敗したら無能のような扱いを受けさせてしまって、会社への信頼が無くなった。
仕事ができる方との関係性を間違えると、ビックリ退職を発生させてしまうため、フォロー体制を十分とって、失敗してもいいと認識してもらった中で、伸び伸び仕事ができる環境整備が重要かもしれません。
ビックリ退職を防ぐ方法とは?
ビックリ退職が発生している状況は、すでに時遅しであり転職先を決めていることが多いので、引き止めをしても意味がない。
お決まりの、あとで後悔するパターンです…。
最初からビックリ退職にならない思考・環境作りが大切だと思うので、効果を期待できる施策を見てみましょう。
給料の正確性を保つ
会社への信用がなくなれば、退職へ意識が向けられてしまうため、毎日の細かい配慮が欠かせません。
例えば、タイムカードやエクセル管理など、今も紙やアナログな手法で給料計算をしている場合、それだけで信頼性がグッと下がってしまい、従業員さんの不安は消えません。
小さい積み重ねが、結果的に大きな引き金となるため、給料の正確性を保てる環境作りがオススメです。
普段から心理状況を把握しておく
従業員さんは仕事をするために会社へ入社してくれてはいるものの、仕事のためだけに毎日頑張ってくれているわけではないですよね。
お金のためはもちろん、会社を通して社会へ貢献するため、仲間や上司が頑張っているからこそ「自分も!」となって仕事に励んでくれています。
「やりがい搾取」のような言葉が聞かれるようになった今の時代、常に高パフォーマンスを発揮できる環境を作るためには、従業員さんの日々の心理的バロメーターを把握できる状態にしておくのがオススメです。
目標設定に納得感をもたせる
会社のビジョンへの共感はもちろんのこと、短期・中期のそれぞれ部署目標に対しての納得度も大切です。
自分が何のために仕事をするのか、その目標が他人事(上司に決められたから)では自立・自責・自走ができないので、成果が上がらないことを上司のせいにしたり、周りのせいにして諦めてしまいがちに。
自分事になるからこそ集中ができて、達成への執念も生まれるため、結果的にお客様への貢献度も高くなって、会社の売上も上がる状態が作れるといいかと思います。
解決策:目標設定に役立つツール各種 >
仕事の非効率さをなくす
実は非効率だけど会社の慣習によって、無駄に続けてきた手間のある仕事って、たくさんありますよね。
その中でも、訪問営業は直接お客様の会社へ伺うために、時間もコストもかけていましたが、そのような働き方が見直されてきています。
時代が変わっているのに自社だけ変わらないと、時代に追いついていない会社として従業員さんに認知されてしまい、退職のキッカケになるかもしれないので、働き方を見直して生産性・効率性を高める仕事環境を作っていきましょう。
リソースを増やして余裕を持ってもらう
リソース(お金や時間など)を増やすためには、今までの仕事の仕方・流れを変える必要もでてきます。
例えば、毎回同じ手順で同じ作業をしているのに、わざわざ人が作業していることもあるのですが、一定のフローが確立されているのであれば、それらはロボットが対応してもいいですよね。
RPAと呼ばれる、パソコン上で作業の自動化をしてくれるツールがあり、雑多な手間のかかる単純作業をロボットにやってもらうだけでも、本来人が使いたかった「考える」仕事に時間を回せるようになって、手間のかかる仕事からの開放によって現場環境も良くなります。
最後に。
ビックリ退職は、突然ではなく必然だと思うので、普段から上司対部下・従業員対会社の関係性を、どこまで心地よく高めていけるかが重要。
ただ、馴れ合いや友達感覚のようなものはだめで、ビジネスとしてお互い高め会える関係性が大事。
ITツールを使ったり制度を整えたりと、やり方はいくらでもありますが、何よりも「人」への思いやりを持つことが大切なのかなと思っています。
退職が続けば、退職する側もされる側も、両方が負担にもなるので、少しでも退職が減るよう毎日従業員さんへの配慮を忘れないようにしましょう。
エンプレス編集部:sugiyama