「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。上司と部下の関係性が、今問われています。
「えっ…突然辞めたいって、どうしたの?」
あなたの部下が急に辞めたい、もう限界だといい出してくる機会は、できるなら避けたいですよね。
しかし実際には、上司として部下のことを何でも分かっているつもりになっているだけで、全然分からないことだらけ。
退職を決意した部下には、前兆・兆候が必ず現れるので、事前に気づいてフォローアップをするのがオススメです。
ビックリ退職という言葉も出ているほど、世の中には部下のことが分かっていない上司が多いのかもしれません。
- 目次
- 退職を決意した部下が見せる前兆(兆候)
- 退職を決意した部下はひっそりとバレないよう行動に移してる
- 退職行動には時期がある
- 部下の退職は「突然」ではなく「必然」
- 今後はもっと前兆(兆候)が分からなくなる
- 最後に。
退職を決意した部下が見せる前兆(兆候)
普段のコミュニケーションも、意思疎通も取れていたと思っていたのに、突然部下から退職願いの提出。
ほとんどの上司は、部下が退職を決意してからの前兆・兆候に気づけず、未然に防げていないのが現実かなと思っています。
流動性が高くなってきた令和時代、今後はもっと退職者が多くなる可能性もあり、採用コストや教育コストが掛け捨てのような状態になる危険性が大いにある。
社会人を約15年経験してきて、部下・上司の両視点で退職前兆って「これだったなぁ」と改めてまとめを書いてみました。
下記内容は、きちんと退職届が出せる精神状態の話しで、気持ちが崩れてしまった場合は、退職届すら出せなくて、無断欠勤が続きそのまま退職扱いになってしまう方も。
フェーズ1:意識変化
退職の前兆として、まずは部下の中で意識変化が起こっていきます。
これは、突然発生することもあれば、徐々に蓄積していって発生することもある。
どちらにしても、部下の微妙な変化、意識の切り替えスイッチが入ったことに気づかない上司が、前兆として見逃すポイントです。
まず、何か大きなことが変わるのではなく、日常のちょっとしたことが除々に変わっていきます。
日報や報告のコメントがそっけなくなる
普段、業務終わりに日報・報告を行っているのが多いかもしれませんね。
対応した仕事内容の記載と、その日の気付きや所感などコメントを書いている場合もあるかと思います。
だんだん上司・会社に対する不満や信頼を失っていくと、何も話したくない、キライな人に自分の情報を教えたくない気持ちが芽生えるので、コメントがそっけなくなります。
ここは普段から部下のコメントの温度感を把握していないと、その違いに気付くことはできません。
自分のコメントだけではなく、他のメンバーなどのコメントにも反応しなくなり、コミュニケーション頻度が下がっていきます。
拒否の姿勢が多くなる
仕事だけではなく、従業員であれば社内のアレコレに協力を求められますよね。
たとえば公式サイトや事例への写真撮影、または社員インタビューなど、さまざまな機会で社内情報を展開する動きがあります。
しかし、退職の意識が芽生えると、参加したくない気持ちや、自分はいなくなるのだから出たくない気持ちが出てくる。
社内活動への拒否の姿勢が多くなっていきます。
飲み会やランチ、またはチームMTGなどのちょっとした参加も億劫になるので、拒否の姿勢が強くなります。
チーム内のトラブルが増える(気持ちの限界)
普段溜め込んでいた感情が、とうとうしまい込めなくなり、徐々に出てきてしまいます。
些細なキッカケが、溜め込んでいた感情を引き出すキッカケにもなり、普段温厚な方でも感情的な反論が出てくる。
気持ちの限界を突破してしまうと、トラブルも増えていきます。
感情的の逆で、無感情になっていく方もいて、ほぼ会話に参加しなくなります。
上司との個人面談(1on1)で会話が無くなる
定期的に、上司・部下の個人面談(1on1)を実施している会社さんも多いですが、退職への意識が強まった部下は、どちらかの行動に出ます。
- 反論が多くなる(投げやりな態度)
- 何も話さなくなる(上司と話したくすらない)
普段抑えていた態度が、表に出てくるか、または裏へさらに落ちるのか。
どちらだとしても、日常的に部下を気にかけて、その細かい変化に気付けるくらいの状態でなければ、単なる部下のわがままだったりやる気など、メンタル面だけを見て間違えた判断をしてしまう場合も多いです。
個人面談は部下に話してもらうだけではなく、上司が部下の伴走者になって進め、認識や意識を統一させていく場なので、どちらか一方が話す・話さない状況がそもそも健全ではないと言えます。
フェーズ2:行動変化
感情・意識が変わった結果、行動の変化が顕著に見られるようになってきます。
少し普段と違うなと思っていた矢先に「突然の退職願い」なんてこともあるため、部下がとる行動の変化には目を光らせておく。
目を光らせておくとは、何度も報告をさせたり、部下が上司に対して何かアクションを起こさせることではなく、上司が勝手に部下をより観察すること。すでに退職行動を起こしている状況でもあるため、そこからの引き止めは難しく、できるならフェーズ1の状態の時に改善策を打っておきたいところです。
定時後の行動が変わる
退職へ向けて動き出したスタッフさん、まず分かりやすいのが定時後の行動変化。
- 残業をしなくなる
- 定時前に帰り支度を始める
- 定時前には長くなる話を避ける
とにかく面接へ向かうために、すぐ会社を出ようとします。
この行動が一番変化として分かりやすいので、見逃せないポイントです。
面接もweb面接が増えてきているため、家に帰るために早く会社を出ようとしている場合も。
服装が変わる
面接に終業後向かうため、それなりの服装へ変わってきます。
営業さんの場合は普段からスーツが多いと思うので、変化が見られず難しいのですが、普段からラフな服装をしている方が、いきなりキッチリした服装にしてきた場合は、心境の変化や面接都合の変化の可能性も。
面接先からは、ラフな格好でいいと言われたとしても、それなりに服装への気遣いは必要だと思うので、服装変化も退職前行動によって変わってきます。
MTGの発言が無くなる
仕事に対して向き合っていた気持ちが折れてしまい、すでに意識は次の会社・仕事へと移っている。
この状態は「自分はもう辞めるから~」という自分事から他人事への切り替え兆候であり、今の仕事へ深く切り込んでいくことを避けるため、MTG時の発言が無くなっていきます。
MTGで発言したことで、自分に仕事が回ってくる、または責任を取らされることを拒否する心が、発言の縮小を招いている状況。
議論が無くなるMTGは無意味で、何も決まらないことに時間を使ってしまう場合も。
上司への相談が無くなる
退職への意識が、実際の行動フェーズまで進んでいるスタッフさんは、上司・会社に対して信頼を感じなくなっています。
信頼を失うまでの例
仕事が嫌
→何もしてくれない上司が嫌
→そんな上司を役職者にしている会社が嫌
上司への相談や会話が減り、さらに上司は部下のことが分からなくなり、結果的にその兆候を見逃してしまう。
負の連鎖が続いている状況です。
相談が無い=上司としての存在意義が無いと、部下に思われてしまっている状況。
部下の間で愚痴が増える
上司への相談が無くなる代わりに、部下同士や他部署の仲のいいメンバーに対しての愚痴が進んでいきます。
直属の部下は辞めてしまった場合でも、あなたや上司に対する悪い部分は、他のところで広まっている状況。
結果的に、負の連鎖が広がり続け、組織としてのパフォーマンスが落ちてしまう。
組織が壊れるのは「突然」ではなく「必然」です。
必然にしないため、従業員満足度調査(ES調査)を実施して、常に気持ちのバロメーター確認も効果的。
他スタッフへ仕事を回そうとする
普段仕事をしながら転職活動を行うには、時間が全然足りません。
毎日8時間働き、そのあとに転職情報を確認し、応募して、面接まで行っていく。
転職活動の時間捻出のためには、残業もせず、普段の仕事量もセーブしなければ難しいため、いつもの仕事を自分ではなく他の人にやってもらえるよう、どんどん仕事を回していきます。
そして手が空いて、時間と気持ちの余裕を作りながら、転職活動を行っていきます。
部下が仕事量をセーブしてきた場合、そこには気持ちの切り替わりがあったり、時間捻出のために行動を変えてきた可能性があります。
有給(全休・半休)や欠勤が増える(無断含めて)
毎日の仕事を抑えたとしても、転職は自分だけではなく、面接先企業の時間調整も必要になります。
そのため、どうしても時間が合わない場合は、日中の時間を使う必要もあるので、有給や半休が連続して入ってくる。
普段休みを取らないのに、連続して休暇申請が入ってくると、転職活動のサインかもしれません。
リモートワーク化の場合、通常勤務の時間に面接を受けていることも。
無意味な仕事で時間を潰そうとする
気持ちと行動が転職へ振り切られていると、今の仕事をする意味を見失うため、仕事の「やっている風」を演出している場合も。
何か進捗は報告するけど、内容を誰にも共有する必要がない場合、格好の隠れ蓑になる。
無意味な仕事で時間を潰している方も、いる可能性があります。(私の上司はそうでした…)
普段から何をしているか分からない人は、こういった時に仕事内容を悪用されがちです。
フェーズ3:退職決定(または限界)
実際に転職先が決まって、心も身体も次に向いている場合、極端にパフォーマンスは落ちていく傾向です。
まだ会社や上司に報告はしなくても、あからさまに変わってくる場合もある。
この段階になってしまったら、引き止めもできず、そのまま去ってしまいます。今まで退職兆候に気づかず、何も打開策が打ててなかったのが悔やまれます。
遅刻が増える
意図的に遅刻をしているわけではないはずですが、気持ちが折れてしまっていると、遅刻をしてもいいかなと心の底では思ってしまっている。
回りに迷惑がかかっても「どうせ辞める人間だから」と考えている場合も。
ただ、この状態まで追い込んでしまっている会社側の責任もあるため、普段から部下を気にかける行動が大切です。
仕事のクオリティが落ちる
転職先が決まると、今の仕事をがんばる必要もなく、あとは残った方に仕事を回せばいい感覚にもなってしまう。
- 対応スピードが遅くなる
- 確認漏れが多くなる
- やり残しが多くなる
最後まできっちりと仕事していく誠実な方もいますが、早く逃げたくて仕事が雑になっていまう方を何人も見てきました。
ただ、これは本人のせいだけではなく、やはり上司への信頼感を無くしたことが引き金となり、会社そのものをキライになってしまう場合が多かったように思います。
仕事のクオリティと上司への信頼の度合いは、切っても切れない関係。
ハードワークを絶対避ける
ハードワークが嫌で、転職を決意した可能性もあります。
もちろんそれ以外の理由もありますが、辞めるのに無理して頑張る必要性も、気持ちの残量も残っていない…。
残業はなるべく無くし、無駄な仕事も引き受けず、しずかに退職日を待つのみ。
ハードワークを徹底的に避けるようになったら、もう次の会社へ意識が完全に向いている状態です。
退職を決意した部下はひっそりとバレないよう行動に移してる
転職を決意した部下は、ひっそりとバレないように、様々な変化を見せていきます。
その兆候に気づけるか、気づけないかによって、大事なチームメイトを失わずに済む。
たとえばあなたの会社で、上司(役職者)はずっと変わらないのに、部下が異動・退職が続いている部署はありませんか?
- 上司が原因だと会社が気づいていない
- 上司自身が自分のせいだと気づいていない
- そんな上司と会社に嫌気が差してさらに異動や退職が続く
負の連鎖が起きている部署もあります。
部下がひっそりと動き出すのも、上司に気づかれたくないからこそ。
少しでも兆候を見せるものなら、何を言われるか分かりませんし、退職を引き止められてしまう場合も。
引き止められても上司が変わらないのなら、部下は残っても意味がないため、無意味なやり取りをしないためにも気づかれないよう動いていきます。
なぜひっそりと部下は行動し始めるのか
仮に「退職をしたい」とストレートに言ってしまった場合、上司や会社としては「あぁ、あなたは辞めるつもりなのね」と判断して、部下にとって不利な状況になる場合もある。
辞めるつもりの人は
・昇格させなくていい
・昇給させなくていい
表面上では「これからも君に働いてもらいたいんだ」と言いながら、いなくなろうとしている人を無理に止める上司・会社ではない場合、辞めてもいいという感情が無意識に残ってしまう。
その小さな小さな無意識が影響して、結果的に退職の希望を伝えた人が不利になってしまうのです。(こんな光景、何度も見てきました…。)
何も言わない方が、嫌な対応を受けずに済むので、部下はみんなひっそりと、兆候を少しずつ漏らしながらも辞めることにシフトしていきます。
退職行動には時期がある
部下が退職兆候を見せ始めるのは、基本的に通年で、いつ感情の爆発や気持ちの糸が切れてもおかしくない。
そのため、いつ?ではなく常に部下との関係性を見直していくことが上司には必要だと感じています。
しかし、感情や気持ちの揺れを起こすタイミングはいくつかある。
人事考課(給料査定)に納得がいかない
4月後、10月後に活動が活発化
ボーナスを受け取って辞められるように
7月前、12月前の活動が活発化
ボーナスを受け取ってから辞められるように
7月以降、12月以降の活動が活発化
期の移り変わり
入社が多い4月に転職できるように活動が活発化
転職活動のし辛い時期は避けたい
真夏を避けるために7月後半~9月前後以外に活動が活発化
何か統計をとっているわけではなく、あくまでも人の心の動きに着目したタイミングですが、改めてまとめてみたら、やはり通年を通して転職活動が行われやすい状況だと思いました。
溜め込んで爆発するのか、それとも一気に爆発するのか。
常に部下との関係性を保つ仕組みが重要そうです。
部下の退職は「突然」ではなく「必然」
部下が退職する前兆(兆候)を知っておきたい、分かるのであれば対策しておきたいのは、上司としては当然の気持ちですよね。
しかし、退職したい気持ちが突発的に出てきたのではなく、全ては日々の積み重ね。
退職は「突然」ではなく「必然」のものだと思っています。
部下の心をまとめて解決しようと思っていたら無理で、少しずつ少しずつ、上司部下間のコミュニケーションを最適化し、常に改善を図っていく。
部下との向き合い方が今問われている
会社組織には型がありますよね。
ヒエラルキー型組織:上から下に降ろされた指示を実行していく(ピラミッド型)
ホラクラシー型組織:階級が存在せず個々の判断で進めていく
どちらもメリット・デメリットはあるのですが、ヒエラルキー型のピラミッド構造になっている組織の方が、上司権限が強くなるため、部下との関係性が悪くなりやすいと考えています。
ヒエラルキー型の短所が色濃く出てしまっている
たとえば、年功序列で能力がない人が上司になっている、退職が続いて順番で上司になっている。
上司としての器ではない人が上司になっている場合もあります。
部下としても「なんでこの人が上司なの?」と不平不満がでてきやすい。
上司が考える上司の理想像、部下が考える上司の理想像はお互い違いますが、ヒエラルキー型の組織では会社が求める人が役職者に抜擢される。
つまり、会社の方針に合わない人がいると、部下関係なく摩擦が起きて、辞める行動が起こされやすい。
人事問題とも繋がってきます。
心理的安全性を確保できていない
心理的安全性とは、チーム・組織内で、誰に何を聞いても気持ちのいい返答を返してもらえて、上司としてもチームに合う状況構築をしてくれた心理的安全が確保されている状態のこと。
たとえば、上司にいつでも気軽に質問ができる、何かミスを犯しても糾弾されない、ストレスもなく安心して働ける。
その逆で、上司が権力を振りかざしたり、何かミスをしたら徹底的に叱られるような環境は、心理的安全性がないと言えます。
上司にもやり方はあり、過去の経験や成功体験を元に判断しているかもしれませんがその状況と、今の多様性があるメンバーの中では、通用しない場合もある。
自分のやり方に固執してしまって、臨機応変に合わせられない上司がいると、組織として機能しにくくなり、結果的に退職兆候が出て、いずれは辞めてしまう人が増える。
今後はもっと前兆(兆候)が分からなくなる
会社へ出社するスタイルから、リモートワークでの就業スタイルが増えてきましたよね。
その関係で、誰もが出社せずとも仕事をできることに気付かされました。
これは転職活動も一緒であり、web面接なら時間や移動の制約から解き放たれて、より優秀な人材に入ってもらえる機会が増えたことを、各企業さんは知っている状態です。
web面接に関するツールも多くでており、
・WEB面接システムおすすめ16種類を比較!
・おすすめしたいweb会議システムの比較まとめ
誰もが急激に転職しやすい状況になっているのと、リモートワーク化では、本人の行動が全て可視化されないため、退職を意識した前兆、すでに行動を起こしている兆候を把握しづらくなっている。
今までの上司・部下の関係性を続けようとすれば、あっという間にビックリ退職が増えて、組織・会社の力が失われていく可能性もあります。
最後に。
部下が退職するために意識を切り替え、行動を起こしている兆候を、事前にキャッチできると対策もとれますが、気づかないままだと手遅れにもなる。
採用することがそもそも難しい、コストもかかる、それなのに人が出ていってしまうのでは、企業さんとしてはたまったものではありませんよね。
まずは上司・部下の関係性を見直し、信頼をコツコツを積み重ねていくことが大切です。
部下の退職兆候と、今後の上司・部下との関係性についてまとめましたが、この情報があなたのお役に少しでも立てられれば嬉しいです。