ホワイトペーパーの最適なページ枚数はどのくらい?

  • | 公開 2025年06月23日
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ホワイトペーパーの最適なページ枚数はどのくらい?

いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。ホワイトペーパーのページ枚数は、リソースや費用などさまざまな要素が絡み合うため、どのような考え方を持てばいいのか整理していきます。

「ホワイトペーパーを作りたいけど、何ページくらいにすればいいんだろう?」

このようにページ枚数の不安をお持ちかもしれませんが、まずはっきりとお伝えしたいのが「ホワイトペーパーの最適なページ枚数」に決まった目安はありません。

「え、そうなの?」「よく〇〇ページくらいがいいって聞くけど?」と感じたかもしれませんね。

しかし、これはとても大切な事実なんです。

なぜなら、あなたがそのホワイトペーパーで「どんな成果を出したいのか」目的や制作過程の状況によって、最適なページ枚数は変わるからです。

この記事では、ホワイトペーパーのページ枚数を決める上で知っておくべきこと、そして読者に本当へ喜んでもらうための考え方を、一つひとつ丁寧に解説していきます。

ホワイトペーパーをページ枚数だけで考えてしまうと、もったいない!

「ホワイトペーパーはだいたい10~20ページくらいが良いって聞いたよ。」

たしかに、そんな話を聞いたことがあるかもしれませんね。

実際に多くのホワイトペーパーがそのくらいの枚数で作られていますが、本当にそれがあなたや読者にとって最適な枚数なのでしょうか?

10~20枚の背景:プロダクト・サービス資料構成の最適解とは?公開前のチェック項目付き

一般的なページ枚数で作るのは危険と隣り合わせ

もし、最初に「20ページで作るぞ!」と決めてしまったら、どうなるのでしょうか。

項目説明
情報が足りなくなる可能性伝えたい内容が20ページでは収まらず、肝心な説明を省いてしまうかもしれません。そうなると、読者は「結局何が言いたいの?」と理解不足に陥ってしまいます。
情報が多くなりすぎる可能性20ページに無理やり情報を詰め込もうとして、必要のないことまで書いてしまうかもしれません。そうなると、読者は「情報が多すぎて頭に入ってこない…」と感じ、読むのを途中でやめてしまうことも。

たとえば、まだその分野に詳しくない「初心者向け」の方に、まずは表面的な情報だけをサッと伝えたいなら、10ページくらいで十分かもしれません。

それを「一般的な枚数だから」と20ページにしてしまうと、余計な情報を与えてしまい、読者の「知りたい!」気持ちや理解する力を超えて、結局「情報が多すぎて分からない」で終わってしまう可能性があります。

逆に、特定のテーマについて背景や根拠も含めて「全て詳しく説明した方が理解しやすい」内容であれば、無理に15~20ページに収めようとすると、1ページあたりの情報が多すぎて、これでは読者の理解を助けるどころか、かえって邪魔をしてしまうことにもなりかねません。

ホワイトペーパーのページ枚数は「誰に何を伝え、どうしたいか」で変わる

ホワイトペーパーは、「これくらいのページ枚数だよね」と最初から固定して考えるべきではありません。

むしろ「誰に対して何を伝え、その結果、自社はどうなっていたいのか」状況によって、ページ枚数は柔軟に変わると考えておく方が、結果的に良いものが作れます。

もちろん、時間や予算など「リソース」の都合で、最初からページ枚数をある程度決めて制作を進めなければならない場合もあり、それは現実的な判断として理解できます。

しかし、忘れてはいけないのは、ホワイトペーパーはまず「読者の満足」を得てこそ、自社の目的達成につながり道が開けること。

読者が「読んでよかった」「役に立った」と感じてくれることが何よりも大切であり、だからこそ最初からページ枚数を限定して考えない方が、成功に近づくケースが多いのです。

外注する際のページ枚数と予算の考え方

これまで、ホワイトペーパーの最適なページ枚数は目的やターゲットによって変わると、本質的な考え方をお伝えしてきました。

しかし、制作を外部の会社に依頼する場合(外注)は、話が少し変わってきます。

多くの制作代行会社では、ホワイトペーパーの費用をページ枚数単位で計算するケースが一般的であるため、事前にページ枚数を明確に決めておかないと、以下のような問題が発生する可能性が高くなります。

項目説明
予算オーバーのリスク制作の途中で「あれもこれも」と情報が増え、当初の想定よりもページ枚数が増えてしまうと、追加費用が発生して予算を大きく超えてしまうことがあります。
品質の低下予算の都合上、無理にページ枚数を抑えようとすると、本来含めるべき情報が削られたり、1ページあたりの情報量が多すぎたりして、結果として読みにくい、伝わりにくいホワイトペーパーになってしまうことも。
制作スケジュールの遅延ページ枚数の調整に時間がかかり、制作全体のスケジュールが遅れてしまうこともあります。

このような事態を避けるためにも外注を検討する際は、まず自社で「どんな内容のホワイトペーパーにしたいか」を十分に検討して、おおよそのページ枚数を仮定しておくことが非常に重要です。

ホワイトペーパー制作代行会社とのコミュニケーションがカギとなる

制作代行会社との打ち合わせ時には、単に「〇ページでお願いします」と伝えるだけでなく、「なぜそのページ枚数が必要なのか」「各ページにどのような情報を入れたいのか」企画の意図を明確に共有しましょう。

これにより、認識のズレを防ぎ、よりスムーズで質の高い制作につながります。

もちろん、ホワイトペーパーの制作代行会社と相談しながら最適なページ枚数を調整していくことも可能。

その場合でも、追加費用が発生する条件や、ページ枚数変更に伴う見積もりの変動について、事前にしっかりと確認しておくようにしましょう。

結局のところ外注の場合でも、内製の場合と同様に「誰に何を伝え、どうしたいのか」と目的を明確にすることが肝心です。

その上で「この情報量を伝えるには、最低限これくらいのページ枚数は必要だろう」と目安を持っておくことが、外注化を成功させる鍵となります。

外注からの提案、本当に最適?

外部の制作代行会社は、ホワイトペーパー制作のプロですから、その視点からの提案は非常に役立ちます。

しかし、だからと言って制作代行会社もビジネスである以上、提示するページ枚数が必ずしも「読者の満足度」や「自社の成果」を最優先したものとは限らない現実も理解しておく必要があります。

特に注意したいのは、「ページ枚数ありき」で話が進んでしまうケース。

このような事態を避けるためにも、外注からのページ枚数提案を鵜呑みにせず、常に「読者視点」と「目的達成」二つの大切な軸で評価することが不可欠です。

制作側の都合が優先されるリスク

制作代行会社によっては、過去の実績やテンプレート、あるいは予算消化の都合から、あらかじめ決まったページ枚数を提案してくることがありますが、本来読者が求めている情報量や深さ、あるいは自社が達成したい目的に最適化されているとは限りません。

「情報過多」または「情報不足」に陥るリスク

提示されたページ枚数に合わせようとするあまり、必要のない情報を詰め込みすぎたり(情報過多)、本当に伝えるべき重要な情報が削られたり(情報不足)する可能性があります。結果として、読者は「情報が多すぎて読み切れない」「知りたいことが書いていない」と感じ、期待していた「情報への理解」や「満足」が得られないまま離脱してしまう可能性が高まります。

費用対効果の低下

読者の満足が得られなければ、ダウンロード数は増えても、その後の問い合わせや商談にはつながりません。これでは、ホワイトペーパー制作にかけた費用が無駄になり、「成果を出したくて作ったのに、費用対効果が非常に低い」残念な結果になりかねません。

提案されたページ枚数を評価するチェックポイント

以下のポイントを参考に、制作代行会社からのページ枚数提案が本当に最適かを見極めましょう。

制作代行会社とのコミュニケーションは、お互いを尊重し合うパートナーであり、専門知識を大切にしつつも、自社の目的と読者のニーズを最優先する姿勢を明確にすることで、成果につながるホワイトペーパーを共に作り上げていくことができます。

ポイント① 「なぜ、そのページ枚数なの?」と具体的に聞く

単に「一般的な目安です」ではなく、「このテーマで、この読者に、この目的を達成するために、具体的にどのような情報を、どのくらいの深さで伝える必要があるのか。その結果としてこのページ枚数が最適だと考えた」と明確な理由を求めましょう。

ポイント② 情報の中身(構成案)を見せてもらう

提案されたページ枚数の中で、具体的にどのような項目で、各ページにどんな内容(ざっくりとした箇条書きで構いません)を盛り込むのか、構成案(ワイヤーフレーム)を提示してもらいましょう。それを見れば、情報が多すぎないか、少なすぎないか、情報の流れが自然かなどを事前に確認できます。

ポイント③ 読者の「時間」と「目的」に合っているか確認する

ターゲットとなる読者は、そのホワイトペーパーを読むためにどのくらいの時間を割いてくれるでしょうか?短時間で理解させたい内容なのに、不必要にページ数が多い場合は要注意です。

ポイント④ 「削るべき情報」や「追加すべき情報」について話し合う

提示された構成案に対して、自社が本当に伝えたいメッセージが全部入っているか、逆に不要な自社アピールや専門的すぎる内容が詰め込まれていないか、積極的に意見を伝えましょう。「この部分は削ってほしい」「この情報をもっと詳しく書いてほしい」要望を伝えることで、ページ枚数の最適化を図ります。

ページ枚数が読者の印象と目的に与える影響

ホワイトペーパーのページ枚数は、単なる情報量の指標ではありません。

実は、読者が受け取る印象や、ホワイトペーパーが達成する目的に大きく影響を与える側面も持っています。

「15〜20ページ(または10〜30ページ)程度が目安」といった話はよく聞きますが、これは多くの企業が「まずは見込み客を獲得したい」ので、手軽にダウンロード・閲覧してもらいやすいボリュームを想定しているため。

しかし、状況によっては、この一般的な目安をはるかに超える100ページ以上のホワイトペーパーが最適なケースも存在します。

圧倒的な枚数と質がもたらす「権威性」と「ブランド」

たとえば、100ページを超えるようなボリュームのホワイトペーパーは、単なる見込み客獲得のためのツールよりも、以下目的を達成するための強力な手段となります。

圧倒的な専門性を示す

特定のテーマや業界について、全体を網羅し、かつ深い洞察を提供することで、自社の圧倒的な専門性を読者に理解してもらえます。これにより、「この分野については、この会社に聞けば間違いない」強い印象を与えられます。

市場での「すごい会社」としての地位を確立する

他の会社では提供できないような、質・量ともに優れた情報を提供することで、市場における権威性を示せます。これは、競合との違いを明確にし、強い優位性を築くことにつながります。

困ったとき「一番に思い出す会社」になる

読者が将来、関連する課題に直面した際、「そういえば、あの詳しいホワイトペーパーを出していた会社があったな」と、困ったときの相談先として一番に思い出してもらいやすくなります。これは、お客様との長期的な関係を築く上で非常に重要です。

会社のブランドイメージを高める

惜しみなく知識やノウハウを提供し、読者の深い理解を促すホワイトペーパーは、企業の信頼性とブランド価値を大きく高めます。単に情報を提供するだけでなく、「お客様の成長を支援するパートナー」としてのイメージを確立できます。

このような「圧倒的な量と質」を追求するホワイトペーパーは、作成に時間もコストもかかりますが、その分得られる価値も非常に大きいです。

短期的な見込み客獲得だけでなく、中長期的なブランド戦略や、お客様との強い信頼関係を築くことを目指す場合に、有効なアプローチとなる。

【注意】ページ枚数が多ければいい?

もちろん、やみくもにページ数を増やせば良いわけではありません。

重要なのは、そのページ枚数に見合うだけの「価値ある情報」が、きちんと整理され、読みやすい形で提供されているか。

内容が薄いのにページ数だけが多いホワイトペーパーは、かえって読者の不信感を招いてしまうので注意が必要です。

そのため、ホワイトペーパーのページ枚数を検討する際には、「その枚数が読者にどのような印象を与え、自社がどのような目的を達成したいのか」と、複合的な視点も非常に大切です。

ホワイトペーパー制作で陥りがちなワナ

ホワイトペーパーを制作する際、多くの企業が経験する「あるある」が、まさに「情報の肥大化」です。

特に、制作を始める前の「これを達成したい!」と気持ちだけで進み、目標を定めず曖昧なまま進めてしまうと、以下のような問題に直面しやすくなります。

ページ枚数が当初より増えてしまう3つの原因

原因① 作り始めてから「情報が足りない!」と気づく

実際に文章を書き始めると、「この説明では分かりにくい」「このデータがないと説得力がない」など情報不足に気づくことは珍しくありません。これは一見、良いことのように思えますが、最初から予測できていないと、後から情報収集や文章の追加が必要になり、予定が遅れたり、余計な手間がかかったりします。

原因② 「あれもこれも入れたい」と情報が増えやすい性質

ホワイトペーパーは、普段の営業資料やウェブサイトと比べて、比較的自由に情報を盛り込みやすい特性があります。そのため、「せっかくだからこれも入れよう」「これも読者にとって役に立つはずだ」と良かれと思って、本来の目的から外れてしまうような関連情報が次々と追加されてしまう傾向があります。

原因③ 目標設定が中途半端なまま進む

最も大きな原因の一つは、制作を始める前の「誰に」「何を伝え」「どうなってほしいのか」肝心な目標設定が、ハッキリしないまま進んでしまうことです。ここが曖昧だと、制作中に方向性がブレてしまい、「情報が足りない」と感じるたびに「あれもこれも」と追加してしまう悪循環に陥りやすくなります。

ページ枚数を余分に増やしたことによる悪影響

ページ枚数を不必要に増やしてしまうと、以下のような問題を引き起こします。

多ければ多いほどよいわけではなく、少なすぎても問題となるので、その塩梅が非常に難しい…。

悪影響① 読者が途中で読むのをやめてしまう

情報が多すぎると、読者は読み切る前に疲れてしまい、読むのをやめてしまう可能性が高まります。本当に伝えたい重要なメッセージが、たくさんの情報の中に埋もれてしまうこともあります。

悪影響② 制作にかかる費用や手間が増える

予想外にページ枚数が増えると、自分で作る場合は時間や労力のロスになりますし、外注している場合は追加で費用がかかってしまうリスクに直結します。

悪影響③ 公開予定が遅れる

終わりが見えない情報の追加や修正が続くと、ホワイトペーパーを公開する予定が遅れてしまい、マーケティング全体の計画にも悪い影響を与えてしまう可能性があります。

ホワイトペーパー制作のページ枚数で失敗しないための対策

発生しやすいページ枚数の問題を回避して、効率的で効果的なホワイトペーパーを作るためには、制作を始める前の「準備」を徹底することが何よりも重要です。

制作途中で情報が増えてしまうのは、ある意味で「もっと良いものにしたい」気持ちの表れでもありますが、効率的かつ効果的なホワイトペーパーを作るためには、「最初をしっかり固める」意識が非常に大切であり、これにより適切なページ枚数で、読者にとって本当に価値のあるホワイトペーパーを提供しやすくなります。

コツ① 目的とターゲットを明確にする

「なぜこのホワイトペーパーを作るのか?」「誰に読んでほしいのか?」を具体的に決めます。これが曖昧だと、どんな情報が必要か、どのくらい詳しく書くべきかが見えなくなってしまいます。

コツ② 一番伝えたいメッセージを絞り込む

ホワイトペーパーを通じて、読者に最も伝えたいことは何でしょうか?たった一つでも良いので、その核となるメッセージを明確にします。それに直接関係する情報だけを厳選する意識を持ちましょう。

コツ③ 情報の中身(目次・構成案)をざっくりと決める

制作へ取りかかる前に、どのような章立てで、各章にどんな情報を盛り込むか、ざっくりとでも良いので構成案を作成します。これにより、必要な情報と不要な情報の区別がつきやすくなり、ページ枚数の目安も立てやすくなります。

コツ④ 関係者と事前に話し合い、合意する

企画段階で、関係する部署の人たち(営業、マーケティング、製品開発など)と、情報の内容や範囲について事前に話し合い、合意しておくことが重要です。制作途中で「やっぱりあれも入れたい」「このが抜けている」と後出しの要望を防ぎやすくなります。

無用なページ追加を防ぐ関係者の意見調整と初期設定の重要性

ホワイトペーパー制作は社内意見を反映させようと、マーケティング部門だけでなく営業、製品開発、広報、そして会社のトップなど、さまざまな部署や役職の人の意見が絡み合うプロジェクトになりがちです。

しかし、この多様な意見を調整することで本来の目的からずれて、ページ枚数が増える大きな原因となることがあります。

特に、以下のような状況は制作現場で頻繁に起こりがちな問題の数々。

項目説明
最初の要望ヒアリングが不十分制作を始める前に、関係部署の意見を十分に聞き取り、共有できていないと、制作の途中で「あの情報も追加してほしい」「この部分が足りない」など、後から出てくる要望が頻繁に発生します。
「とりあえず入れておこう」無責任な意見実際にホワイトペーパーを利用する現場の視点ではなく、「念のため」「あればいいかもしれない」など曖昧な理由で、本来は不要な情報や細かすぎるデータ、あるいは企業側の一方的なアピールなどを盛り込むよう求められることがあります。
意見の優先順位がつけられていない複数の意見が出た際に、それらの意見がどれくらい重要か、どれを優先すべきかがハッキリしていないと、現場の担当者は「全部入れなければならない」と判断しがちです。結果として、読者が知りたいことやホワイトペーパーの核となるメッセージがぼやけてしまい、ページ枚数だけが増加してしまいます。
「偉い人の意見」への過剰な反応特に役職の高い方からの意見に対しては、「これは必ず盛り込まなければならない」とプレッシャーを感じ、内容の精査(本当に必要かどうかの確認)なく追加してしまうことがあります。その情報が本当に読者の役に立つのか、ホワイトペーパーの目的と合っているのか、重要な視点が抜け落ちてしまうのです。

このような状況が続くと、制作する側は「言われたことをただこなす」だけの状態になり、読者の満足や成果達成、本来の目的が置き去りになってしまいます。

結果として、時間も費用もかけて作ったホワイトペーパーが、期待した効果を発揮できない「費用対効果の低い」ものになってしまう可能性が高まります。

ページ追加を防ぐ制作前の「整理」と「責任の明確化」

起きてしまいがちなページ追加問題を避けて、効率的で効果的なホワイトペーパーを作るためには、いくつかの対策が有効です。

これらの対策により、制作過程での不要な情報追加を防ぎ、予算とスケジュールの中で、本当に成果へつながるホワイトペーパーを制作できる可能性が高まります。

対策① 徹底した初期目標設定と関係者への共有

制作へ入る前に「ホワイトペーパーを作る目的」「読者ターゲット」「一番伝えたいメッセージ」「提供する情報の範囲」を明確に定義し、プロジェクトに関わる全員で共有し、合意することが不可欠です。この初期設定が、その後の制作における「判断基準」となります。

対策② 意見調整の窓口と最終決定権者をはっきりさせる

意見が出た際に、誰がそれを受け止め、誰が最終的に「採用するか、しないか」を決定するのかを明確にしておきましょう。全ての意見をそのまま反映するのではなく、「目的達成のために必要か?」「読者にとって価値があるか?」基準を通して、情報を厳選する役割を担う責任者を置くことが重要です。

対策③ 「追加は原則NG」共通認識

最初の目標設定と構成案を固めた後は、「原則として情報の追加は行わない」共通の理解を持つことが理想的です。どうしても追加が必要な場合は、その必要性や、それが全体のスケジュールや費用、ページ枚数にどう影響するかを事前に共有し、合意を得る流れを確立しましょう。

対策④ 関係者への「読者視点」の意識付け

意見を求める際にも、「この情報は読者にとってどんな価値がありますか?」「この情報を入れることで、読者は次にどう行動してほしいですか?」と読者視点での問いかけを促すことで、無責任な意見や企業側の都合による追加を防ぎやすくなります。

ページ枚数は柔軟に変化させていくことで成果が高まる

ホワイトペーパーのページ枚数を制作前に決めることは、予算やスケジュールの管理上、とても重要です。

特にあなたが制作を外注しようと考えている場合は、費用がページ単位で決まることが多いため、ある程度の目安は必須となるのですが、その「決める」行為が、読者の満足度やホワイトペーパー本来の目的に悪影響を及ぼすことも。

最も大切なのは「読者にとって最適な情報を提供すること」であり、この視点に立つと、制作の途中でページ枚数を柔軟に増減させる考え方が、より効果的なホワイトペーパー制作につながります。

なぜ柔軟な増減が重要なのか?

ある程度はページ枚数を決めておきますが、やはり制作中に必要な要素が出てくる場合があります。

そうなった時、ページ追加に費用がかかる、追加費用の承認をとらないといけない、スケジュールに遅延がでる…と、成果創出のタイミングがどんどん遅くなってしまう。

そのため、どんなに良い企画を立てても、実際に文章を書いたりデザインを考え始めると、「この説明では情報が足りない」「逆に、ここはもっとシンプルにした方が分かりやすい」など、情報の過不足に気づくことはよくあるため、この段階で柔軟に枚数を調整できれば、読者が最も理解しやすい形にできます。

他にも、

読者の「知りたい!」気持ちに応えられる
ホワイトペーパーは、読者が抱えている課題を解決することを目的としているため、制作途中で読者の深いニーズに応えるための新しい情報や、より効果的な表現方法が見つかることもあり、これらの要素を柔軟に取り入れることで、読者の期待を超える価値が提供できます。

「最高の読みやすさ」を追求できる
ページ枚数は、読者の読みやすさに直接関係します。情報がぎっしり詰め込まれすぎた1ページは読みにくく、逆に情報が少なすぎると物足りなさを感じさせてしまいます。全体の構成やデザインとの兼ね合いで、1ページあたりの情報量を最適な状態にするために、枚数の微調整は欠かせません。

「権威性」や「深い理解」など多様な目的を達成できる
もし、圧倒的な情報量で専門性や「この会社はすごい!」と感じる権威性を示すホワイトペーパーを目指すのであれば、当初の想定より大幅に枚数が増えることもあります。逆に、初心者向けの導入や入門を目的とするなら、思い切って情報を絞り込み、短く分かりやすくすることも重要です。

最初に要件を決めていても、状況により「最適なページ枚数」は変わるものなので、柔軟な対応ができるよう準備しておくのがおすすめです。

柔軟な増減を前提とするための準備

柔軟な増減を可能にするためには、いくつかの準備と心構えが必要です。

準備① ホワイトペーパーの定義を定めておく

自社としては、どんなホワイトペーパーにすべきか。社内の共通認識がとれるよう定義を定めておきます。この軸がブレなければ、枚数が増減しても、それが目的達成のために本当に必要なことなのかどうかを判断できます。

準備② 初期段階での詳細な構成案(骨格)作り

完璧でなくても構いませんが、各ページにどのような情報を盛り込むか、具体的な見出しや内容の要素まで落とし込んだ構成案を最初に作成します。これにより、制作途中で情報が大きくブレることを防ぎつつ、必要な変更点を見つけやすくなります。

準備③ 時間や手間にゆとりを持つ(内製の場合)

柔軟な増減を許容するためには、最初の計画段階で、ある程度の時間や労力、スケジュールのゆとり(バッファ)を確保しておくことが重要です。

準備④ コミュニケーションと契約条件を明確にする(外注の場合)

制作代行会社との密な連携ができるよう、企画段階で「読者の満足度を最優先したいので、柔軟に調整したい」意図を明確に伝え、その可能性について事前に相談しておきましょう。

契約時の確認

ページ枚数の増減に関する費用規定(例:〇ページ以内なら追加費用なし、〇ページ以上の増減は別途見積もりなど)を契約時にしっかり確認し、後で「聞いてない」とならないようにすることが大切です。

「内容を優先する」共通認識

制作代行会社にも、単なるページ数合わせではなく、「最も効果的なホワイトペーパー」を目指す共通認識を持ってもらうよう働きかけましょう。

結局、何ページがいいの?型に当てはめる考え方もアリ!

「枚数に縛られない」大切なお話をたくさんしてきましたが、「まずは量をたくさん作りたい」目的がある場合、ある程度の「型」に当てはめて制作を進めることも有効な戦略に。

特に、リード獲得のためホワイトペーパーを量産して、広く見込み客との接点を作りたい場合は、一つひとつのホワイトペーパーにそこまで時間をかけられないので、あまり手間をかけず効率的に増やせる「成功パターン」のような型へはめて考えていくのが良い方法です。

例えば、「課題解決型」のホワイトペーパーを作る場合であれば、以下のような構成の型を参考にできます。

項目ページ枚数説明
表紙1ページタイトル、サブタイトル、会社ロゴなど、まず読者の目を引くページ。
目次1ページ全体の流れを把握してもらうためのページ。
読者の抱える課題1~2ページ「こんな悩みはありませんか?」と、読者が「自分のことだ!」と感じるような具体的な課題を提示。
解決方法の提案1~3ページその課題をどのように解決できるのか、ノウハウや自社のソリューション(製品やサービス)を説明。
根拠・裏付け1~5ページ提案する解決策がなぜ効果的なのか、データやお客様の成功事例、専門家の声などで信頼性を高める。
次の行動を促す(CTA:Call To Action)1ページ「もっと詳しく知りたい方はこちら」「無料相談はこちら」など、次にとってほしい読者の行動を促すページ。
会社概要1ページ自社の簡単な紹介。
裏表紙1ページ連絡先や著作権表示など。
※ 必要に応じて各段階でページ枚数を1~3ページほどに調整
※ 目次や裏表紙は状況に応じて省くことも可能

このような型に当てはめて最初から作るのであれば、例えば10ページ前後でしっかり収めることができますし、事前に細かく考えることも減るので制作スピードも上がります。(公開も早く効果を検証しやすいメリットも)

ホワイトペーパーの目的や戦略に合わせて、いくつか存在する「成功の型」を用いることで、効率的に制作を進めることも可能です。

それならば、最初からページ枚数をある程度指定して制作を進めることもできます。

まとめ

ホワイトペーパーのページ枚数は、制作前からある程度の目安を設けるべきですが、その目安に縛られすぎないことが重要です。

内製・外注問わず、制作過程で必要に応じて柔軟に増減させる姿勢を持つことで、単なる資料ではなく、読者にとって本当に役立ち、ひいては自社の目標達成に貢献する「生きたホワイトペーパー」を作り上げることができる。

最終的に目指すべきは、予算やスケジュールの中で「最適な枚数」のホワイトペーパーを作ることではなく、読者に最高の価値を提供することで引き出される、自社の目的達成へ貢献するホワイトペーパーを作ることです。

あなたのホワイトペーパーが、読者にとって最高の出会いとなれるよう、この記事がお役に立てられれば幸いです。

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2012年よりwebデザイナーとしてデジタルマーケティングの支援を開始。その後はマッチングプラットフォームの立ち上げ、売上ゼロからグロースに携わり黒字化後に事業譲渡。現在は「エンプレス」にてプロジェクトマネージャーを務め、コンテンツ制作から運用、100社以上のお客様支援を通して得たノウハウもコラムで投稿中。
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