いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。失敗を取り戻すのと、最初から予防して発生させないようにするのでは、かかる時間に大きな差があります。
ホワイトペーパーにおける失敗は、何か一つが影響して発生するのではなく、複合的な問題が合わさっているケースが多いです。
そのため、あれをすればいい、これをやっておけばいいと、単純な部分最適化ではなく、ホワイトペーパーの準備・作成・活用などの、一連の流れを通した過程から、問題をそれぞれ理解する必要がある。
分かりやすいように5つの問題に分けました。
① 社内の問題
② オウンドメディアの問題
③ ホワイトペーパー自体の問題
④ 獲得したい見込み顧客に対する問題
⑤ ホワイトペーパー活用の問題
実はこの5つ、作成前から最終的な活用まで、順を追うとこのように分かれてきます。
それぞれ大事なポイントをまとめたので、せっかく時間も想いもかけての失敗は避けられるよう、ご確認頂けますと嬉しいです。
① 社内の問題
まず認識しておきたいのが、ホワイトペーパーの失敗は、ホワイトペーパーのことだけでなく、作ろうとしている社内の問題から始まります。
ここが分かっていないと、的外れな原因追及をしたり、見た目のデザインばかりをムダに調整することにも。
社内の問題、すごく根深いので、予め確認しておきましょう。
問題1 社内理解・協力が得られない
ホワイトペーパーはマーケティング活動の一環で活用するため、結果として売上にも大きな影響を与えます。
しかし、売上になる手前のフェーズで使うケースが多く、成果を感じるのも時間がかかる。
目に見えて成果が出ないものには、予算を出してもらいづらいですし、ホワイトペーパー=資料のイメージなので、経営者・経営層の判断としては「カンタンに作れるでしょ」と、いい反応をもらえない状況があります。
社内理解と、そこにセットで欲しい協力が得づらいため、ホワイトペーパーの制作は肩身の狭い思いをして、現場担当者の耐えと頑張りで制作が進められる場合があります。
そうなれば良いものも作れないので、さらに成果が出せずホワイトペーパーに対する期待が社内で下がり、次を進めづらくなる。
問題2 顧客理解ができていない
誰に、何を、どう伝えるのか。
ホワイトペーパーの制作はターゲットとして定めるお客様の深い理解が求められます。
しかし、自社の製品・サービスが分かっているからこそ、自分たちの顧客像は合っていると思ってしまいやすい。
時代の流れ、競合の存在、顧客ニーズの変化、すべて今もなお変わっている中、自分たちの顧客像が合っているとは言いづらい。
思い込みで「これが求められているだろう」として作ったホワイトペーパーは、企業都合・企業目線に寄ってしまうため、お客様に求められない場合があります。
本当にお客様を理解できているか?まずここの問いから始めて、顧客理解を深め解像度を高める必要があります。
問題3 メンバーの兼業によるパフォーマンス低下
ホワイトペーパーの制作方法は、内製・外注・ツールの3択ですが基本はまず内製。
そうなれば、制作スキルをもつメンバーをそれぞれ探し、チーム化とプロジェクトも作る。
同じ社内なので、コミュニケーションは取りやすく、連携しやすいですが、ここに落とし穴が。
実は、それぞれのメンバー、ホワイトペーパー制作は本業の合間に行うケースが多く、本業が忙しくなれば十分な時間をとれない方ばかり。
いつの間にかフェードアウトされてしまったり、スケジュールを組んだのに本業の忙しさから、遅延に続く遅延を繰り返したり、兼業によるパフォーマンス低下によって、失敗へ進んでしまう場合があります。
問題4 スキル不足
内製で作るのであれば、必要な基本スキルは3つ。
- ディレクション(全体管理する)
- ライティング(文章を作る)
- デザイン(見た目を作る)
1人ですべて持ち合わせている方がいればいいですが、そう多くないので1人二役またはそれぞれをメンバーとして組み込みます。
しかし、ホワイトペーパーを専門に制作している方でないかぎり、基本が分からなかったり、作ることだけを考え、活用することまで意識が向かない場合も。
専門スキルが不足することで、ホワイトペーパーの失敗に繋がります。
問題5 外注のコントールができていない
内製が難しく、専門スキルを社外人材へ求める場合は、外注(外部パートナー)として制作代行を検討。
資料の制作代行会社で言えば、50社以上存在しているため、正直言えば自社の目的に合わせて、外注先を検討するのはすごく難しい状況です。
他にも、各社へ見積もりをお願いして、目的のホワイトペーパーが作れるか話を聞き、そして最終的に1社へ決定するまでにも時間がかかります。
さらに、依頼したとしても、本当に求めたホワイトペーパーが出来上がるかも分からない。
制作中は代行側が進めていくため、自分たちの細かい要望を聞いてもらえない…なんてことも。
外注先選びの失敗、そしてその後の外注コントロールが出来ないでいると、普通の資料と変わらない形でホワイトペーパーが納品されてしまうため、選定には慎重さが求められます。
② オウンドメディアの問題
オウンドメディアとは、会社の公式ホームページやランディングページなど、自社が保有するウェブサイトのこと。
ホワイトペーパーの扱い方にもよりますが、基本は公式サイトに、資料ダウンロード用の入力フォームを用意して、お客様へ提供する形をとります。
そのため、オウンドメディアの問題が、ホワイトペーパーの失敗に大きく影響するため、予め確認しておきましょう。
問題1 集客ができていない
ホワイトペーパーは、見た目も中身もいいのに、なぜかダウンロードされない。
それは、ホワイトペーパーが原因ではなく、ホワイトペーパーをダウンロードしてくれる方の母数が、圧倒的に足りないから。
集客ユーザーの不足が、失敗の原因になっているケースがとても多いです。
たとえばSEO上のランキングが下で、どの記事もアクセス数を稼げていない。
広告を使えば、お金次第でユーザーを呼び込めますが、予算次第にもなる。
オウンドメディアに対する集客数は、ホワイトペーパーで成果を出すためには必須の要素なので、アクセス数を増やすことが求められます。
問題2 ホワイトペーパーへたどり着かない
もう一つの問題が、ホワイトペーパーへたどり着かない問題。
最初からホワイトペーパー目的、またはすでにブランドを知っている状態であれば違うのですが、多くはただ掲載されている情報が見たいだけで、オウンドメディアに訪れている状態。
ホワイトペーパーを求めていない方へ、まずは存在を認知させることから始まります。
ここの対策が不足していると、記事を見て満足してすぐに去ってしまう。
ホワイトペーパーと出会う導線を、オウンドメディア内に張り巡らせて、接触数を増やす必要があります。
問題3 入手前の情報との連動性が低い
あまり気づきにくいのですが、お客様がどのような経路をたどって、ホワイトペーパーと接触したのか把握していないと、成果が出ないケースもあります。
たとえばですが、
例:クリックしたバナーに「資料作成が楽になる」と書かれている
× 表紙が「資料デザインのアイデア100選」
〇 表紙が「資料作成が楽になるテンプレート配布」
資料作成が楽になると思ってクリックしたら、×の場合は「アイデア」に言及されており、お客様が求めたものではないと感じてしまいます。
〇の場合はクリックしたバナーに書いてある内容が、そのまま入っていると認識できるため、バナー→クリック→資料の流れに一つもブレがない。
一連の流れを通して、連動性が低いと、ホワイトペーパーをダウンロードされる確率が低くなるため、一貫性を保つことが大切です。
③ ホワイトペーパー自体の問題
ホワイトペーパーの失敗原因として、その多くは作る過程に発生するもので、作っている最中には気づきにくい問題でもあります。
チェックリストやノウハウを活用して作れば話は別ですが、あまり慣れていないと作るだけでいっぱいになってしまい、細かい部分の確認や配慮が出来ない場合も。
どんなことが失敗に繋がるのか、大切なポイントを確認していきましょう。
問題1 表紙から魅力が伝わらない
ホワイトペーパーの提供方法によっても変わるのですが、基本的な資料ダウンロードの形式で考えると、表紙の魅力をどこまで引き上げられているかに、命運が掛かっています。
お客様にとっての魅力とは、
- 自分事に感じられること
- さらに知りたいと思えること
もっと簡単に言えば、期待できるかどうか。
たとえば、オウンドメディア内にホワイトペーパーのサムネイルだけを設置したとしても、一瞬見て自分に関係ないなと思われれば、もうそこで終わりです。
クリックもされなければ、ダウンロードもしてもらえない。
ホワイトペーパーの表紙の情報とデザインがどれだけ質良く高められているか、これで大きく成果が変わってきます。
参考:【最優先】ホワイトペーパーはタイトルの付け方で決まる
参考:パワポの表紙デザイン100パターン(ファイルDL可)
問題2 お客様が感じる価値とズレがある
10スライドと50スライドと100スライドでは、作るための労力が違ってきます。
当然かかる時間も変わり、難易度も高くなっていく。
情報量が多ければ、それだけ提供できる価値は高くなっていくため、1つのホワイトペーパーに多くの情報を入れたい場合もある。
しかし、お客様としては、簡単に見れて、なおかつポイントが絞られている方が見やすかったりします。
企業側が提供できる価値と、お客様が求める価値にズレがあり、情報の詰め込み過ぎ問題によって、表現が無難になってしまい、自分事に感じなくなるケースも。
ターゲットと情報を絞り込むことで、万人受けではなく、本当に求めている方だけに反響が出せるホワイトペーパーが作れます。
問題3 メンテナンスがしづらい制作データになっている
デザインを作り込んで、インパクトのあるホワイトペーパーを作る。
または、中のスライドごとに変化を持たせて、さまざまな装飾を入れる。
見栄えもよくなり、ホワイトペーパーとしての魅力も高まりますが、実は抜け漏れている視点があります。
それは、メンテナンス性を落としていること。
一度作って終わりではなく、情報を更新したりアップデート作業が入ってくるものの、扱いづらい難しいデザインになっていると、更新者が特定の人材に偏ってしまい、活用の速度を落としてしまいます。
また、他のテーマで作ろうと思った時、デザインを流用しにくいので、費用対効果としても低いホワイトペーパーにならないよう、メンテナンス性も考えたデザインにする必要があります。
問題4 自社の専門性を出せていない
BtoCもBtoBも、どちらのお客様でも、何か困っている時に、頼みごとをしたいと思える相手は、自分よりもスキル・経験・知識がある相手、つまり専門家ですよね。
ホワイトペーパーで専門家を表現するには、会社のブランドと連動させなくてはいけません。
例:資料作成の専門会社がホワイトペーパーを作る場合
× ランディングページで成功する3つのポイント
〇 ホワイトペーパーでやってはいけない10個のこと
自社のブランド(専門性)と紐づけて、会社が提供可能な専門性が出せるテーマで作る。
ブランドの一貫性が出せると、相乗効果によって、ホワイトペーパーの魅力も高まります。
問題5 営業感が強い
何のためにホワイトペーパーを作るかと言えば、売上に貢献したいから。
そのため、まずは企業都合のもと制作が決められ進んでいきます。
しかしながら、そのままの感覚でいると、自社アピールが強くなってしまい、営業感をすごく感じる内容にもなってしまう。
たとえば、スライドの前の方から製品・サービスの売り込みがあったり、期待してダウンロードしたものの知りたかった情報は少ししか掲載されていなかった。
営業意識が強すぎると、本来お客様満足を先に満たせるよう作るホワイトペーパーにおいて、順番が逆になってしまうため、自社よりお客様の満足を先に考えて作ることが大切です。
④ 獲得したいリードの問題
ホワイトペーパーの役割は、見込み顧客(リード)を得て、そこからどんどん自社に対する期待や信頼を高めるために活用し、お客様を商談フェーズを移行させていくこと。
この流れを考えると、どのフェーズのお客様と繋がっていきたいのか設計しながら、ホワイトペーパーを扱わなくてはいけません。
流れ
STEP1 無関心
STEP2 興味関心
STEP3 比較検討
STEP4 意思決定
上記は大きく分けましたが、それぞれのフェーズに合うホワイトペーパーは違うので、どれを作るかによって得られる成果が変わってきます。
問題1 お客様の見込みフェーズに合わせて作れていない
ホワイトペーパーは細かく分けると20種類以上あり、それぞれの特徴から獲得できるリードの属性や見込みも変わってきます。
たとえばお客様の課題解決に役立つノウハウ系を作れば、広い範囲で手に取って見てくれる可能性はあるのですが、その先の自社製品・サービスの商談フェーズまでは遠い。
これは、情報を求めているだけに留まっており、お客様側で製品・サービスを必要に思っていなかったり、必要なタイミングではないからです。
しかし、成功事例などの種類を作れば、実際に検討している方が、最終的な意思決定に必要な決め手を探すために見てくれるケースが多く、売上に繋がりやすいホワイトペーパーにもなる。
同じパターンではなく、お客様の状況に合わせて複数種類作れると、さらに成果を上げやすくなります。
成功事例系を作るのであれば、既存のお客様に対するインタビューが必要になります。しかし、せっかくその場を設けられたのに、うまく情報を引き出せなかったり、面白い話を聞けないと、やり直しがきかないので失敗の確率を高めてしまう。インタビュー等が必要であれば、専門スキルを持った外部パートナーへ相談するのもオススメです。
問題2 基本的に資料目的ではないユーザーの気持ちをどう変化させるか
お客様の大半は、ホワイトペーパーを最初から入手する目的で情報を探しているわけではなく、先の話が気になるホワイトペーパーをたまたま見つけてアクションを起こしています。
そのため、オウンドメディアの問題でも指摘しましたが、アクセス数を増やしてお客様との接触回数を増やし、そしてホワイトペーパーの存在に気づいてもらうのを基本にする。
ここまではいいのですが、さらに難しくなるのが、ホワイトペーパーを手に入れたいと思ってもらうこと。
気持ちの変化によって、ダウンロードなどの行動を起こしてくれるのですが簡単な話ではありません。
たとえば、ダウンロードするには、氏名・社名・連絡先などを入力したうえでフォーム送信を必要とするケースが多く、心理的ハードルも高い。
もしここで企業目線で考えていると、事前に色々な質問をして情報収集したいと思い、入力フォームの項目を増やしてしまう場合があります。
項目が多ければ回答の手間もあり、いくらホワイトペーパーを見たくても、手間の方が勝ってしまって、最後まで入力してくれない。
このように、気持ちの変化率をいかに大きくできるかが重要です。
⑤ ホワイトペーパー活用の問題
ホワイトペーパーは、作るまでにも手間がかかり、完成後はすこし一息をつきたい。
しかし、作ったあとにどう活用するかで、成果が変わってくるため、一通りの流れを考えたうえで活用していく必要があります。
もし成果が出ていない場合、活用出来ていないことが考えられるので、見直したいポイントをまとめました。
問題1 部署間の連携ができていない
ホワイトペーパーを活用するのは、売上に関する部署なので、一般的には営業・マーケティング・制作などの組織が連携しています。
ここで問題になりやすいのが、営業とマーケティングの組織における、ホワイトペーパーの認識齟齬。
営業 :商談に繋がるリードが欲しい
マーケ:とにかく見込み顧客を増やしたい
組織がそれぞれ違うので、必然的に目標も違ってくる。
片方は売上に直接関係ある目標で、もう片方が売上へ間接的に紐づく目標であれば、そもそも意見も思考も行動も変わってきます。
部署間の連携ができずにいると、それぞれがバラバラに動くため、同じゴールを目指せば力も強くなるのに、分散してしまって結果が出なくなる。
ホワイトペーパーそのものではない、組織連携の問題も大きいです。
問題2 リード獲得後のオペレーションに不備がある
ホワイトペーパーの提供と共にリードが獲得できます。
たとえば、製品のホワイトペーパーがダウンロードされれば、比較検討されていると考えることもできるので、電話連絡などを行い、詳しい説明や課題感を聞いて提案もできます。
逆に、ノウハウ系のホワイトペーパーであれば、情報を知りたい段階なので、今のままだと話を聞いてくれる状態ではなく、無理な営業は控えて、定期的なメールマガジンを送る。
このように見込み顧客ごとに対応を変えるのがベストですが、それらのルールを何も決めずに、リード獲得後は一律で電話連絡していたりすると、出せる成果も出せません。
リード獲得後のオペレーションを予め設計し、無駄なくお客様とコミュニケーションするための準備が必要です。
問題3 設計をミスして求めていないリードが増えている
すでに多くのリードがあるなら、これ以上はリードを増やさず、角度の高いホットリードのみ獲得した方がいいと判断ができます。
逆に、そもそものリードが少ないのであれば、角度は低くてもたくさんのリードがとれる状態にした方がいい。
状況によって、どのリードが必要か変わってくるのですが、その目的を深く考えずに、ホワイトペーパー作りだけを進めてしまうと、本来欲しかったリードがとれなくなる場合も。
1つ作るのも時間はかかるため、方向性を間違えていれば、新たに作る必要もあり時間がさらにかかってしまう。
最初から、目的達成へ一直線で進むためには、どんな状態の方と繋がればいいのか設計し、それを元に作るべきホワイトペーパーの種類を選んで、制作する必要があります。
最後に
ホワイトペーパーの失敗は、準備から活用までの過程の中に、たくさん潜んでいます。
順調に進んでいたとしても、こっそり隠れている場合もあり、あとから発覚することも。
制作だけに集中するのではなく、一連の過程を踏まえて、どのように活用するのか考え、ホワイトペーパーを作っていくのがオススメです。