
いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。ホワイトペーパーが用意できたら、どのような方法で配布すればいいのか、一つ一つ詳しく解説しています。
「渾身のホワイトペーパーを作ったはいいけど、どうやって届けたらいいんだろう…」
もしあなたが今そう思っているなら、この記事はきっとお役に立てるはずです。
素晴らしい内容のホワイトペーパーも、それを必要としている人の手元に届かなければ、存在しないのと同じ。
そして、その「届け方(配信方法)」には、実はたくさんの種類と、知っておくべき戦略があります。
この記事では、具体的な配信方法のテクニックはもちろんのこと、その背景にある「考え方」や「戦略」まで、順を追って、一つひとつ丁寧に解説していきます。
リード獲得施策を成功に導く「3つの大前提」
ホワイトペーパーの具体的な配信方法へ入る前に、まず全ての戦略の土台となる、共有しておきたい「3つの前提」があります。
これを最初に知っておくだけで、この後の話の理解度が全く違ってくるため、一旦確認頂くのがオススメです。
前提①【現在地】あなたの会社の「事業ステージ」は?
まず考えてみてほしいのは、「あなたの会社が今、どんな状況にあるか」。
大きく分けると、ビジネスには2つのステージがあります。
フェーズ | 説明 |
---|---|
スタートアップ/新規事業フェーズ | これから会社の名前や製品を広めていきたい、いわば「駆け出し」の段階。 |
グロース/成熟フェーズ | 既に多くの人に知られていて、ブランド力や集客力がある「一人前」の段階。 |
なぜこれらのタイミングが重要かといえば、駆け出しの会社が一人前の会社と同じ戦い方をしても、なかなか上手くいかないからです。
自分の会社の今の立ち位置を理解することが、正しい戦略を選ぶための最初のステップになります。
前提②【現実】マーケティング・ファネルの壁
次に、少し厳しいかもしれませんが、とても大切な現実についてお伝えしたいことがあります。
それは、あなたが配信したホワイトペーパーが、全員に読まれるわけではないこと。
顧客が資料を手に取るまでには、
「存在を知る」
→「ちょっと興味を持つ」
→「詳しく見てみようかな」
→「よし、ダウンロードしよう!」
このような心理的なステップがあり、このステップを一段上っていくほど、残念ながら多くの人が離脱していきます。(つまり読まれないということ)
イメージとしては、100人の人に「こんな資料がありますよ」と声をかけて、最終的に手に取ってくれるのは1人〜5人いれば大成功。
ホワイトペーパーはこんな世界です。
これらを構造的に捉えると、マーケティングの世界では「ファネル(漏斗)」と呼ばれる考え方が基本となります。
読んでくれる可能性のある「1人〜5人」をいかに最大化し、かつ、その人たちがあなたの未来の優良顧客となる確率を高めるための方法を知っていく必要があります。
前提③【地図】施策の全体像を示す「トリプルメディア」
ホワイトペーパー配信方法の全体像を掴むための「地図」も覚えておきましょう。
世の中にあるたくさんの配信方法は、実はたった3つの種類に分類できます。
メディア | 説明 |
---|---|
オウンドメディア | あなたの会社が「所有する」メディアです。公式サイトやブログ、自社のSNSアカウントなどがこれにあたります。 |
ペイドメディア | あなたの会社が「お金を払って」利用するメディアです。Web広告などが代表例です。 |
アーンドメディア | あなたの会社が「信頼や評判を獲得して」得られるメディアです。SNSでの口コミやシェア、ニュースサイトでの紹介記事などがこれにあたります。 |
この3つのメディア(地図)を使いながら、配信方法(目的地)へ進めるように、具体的な方法を確認していきましょう。
配信方法① オウンドメディア
オウンドメディアは、あなたの会社で保有しているwebサイトなどの情報伝達手段のこと。
時間をかけじっくり育てることで、会社の最も大切な資産となり、配信力も手に入る。
たとえば、既にあなたの会社に興味を持ってくれている人との関係を深めたり、スタートアップにとっては、他の施策で集めた人たちに会社のことをもっと知ってもらうための「受け皿」にもなるため、オウンドメディアはどの会社にとってもビジネスにおいて必要不可欠な存在と言えます。
1-1. オウンドメディアサイトでの公開
一番基本的な方法が、自社の公式サイトやブログでホワイトペーパーを公開すること。
これには、大きく分けて3つの見せ方があります。
① 直接ダウンロードできるようにする
ページのテキストリンクまたはリンクボタンをクリックすれば、誰でもすぐに資料を読めるようにする方法です。
読む人にとっては一番簡単ですが、あなたにとっては「誰が読んだか」が分からない側面があるため、まず見込み顧客との接点を増やしたいときに使える配信方法。
やり方も簡単で、特別な知識やスキルも不要で、リンクへ誘導するだけ。
② フォームを設置して、個人情報と引き換えに提供する
「お名前」「会社名」「メールアドレス」などを入力してくれた人にだけ、資料をダウンロードできるようにする方法です。
ビジネスにおける基本的なリード獲得施策(リードジェネレーション)で用いられる方法であり、未来のお客様になるかもしれない人の連絡先が手に入る大きなメリットはありますが、フォームの入力が面倒で途中退出してしまう人もいる、心理的ハードルの高さから母数が増やしにくい配信方法。
ただし、手間をかけてまでホワイトペーパーを求めてくれた事実から、興味関心が高く見込があると判断できるため、その後の営業・マーケティング活動に繋げやすい性質もあります。
③ ページに埋め込んで、スライドのように見せる
「① 直接ダウンロードできるようにする」と目的は一緒ですが、資料はダウンロードさせず、Webページ上でそのままスライドのようにパラパラとめくって見せる方法です。
手軽に中身を読んでもらえますが、これも誰が読んだかを把握するのは難しい方法です。
ただし、webサイト上へ組み込みので、プログラムによってはページごとの閲覧カウントを取ったり、ヒートマップのようなスライドのどこが見られているのか、可視化することも可能。
計測やカウントする場合は技術的なハードルはありますが、ホワイトペーパーを最大限活かすなら、手間をかけた方法を検討するのも一つの手です。
簡単に埋め込みをしたい場合
ホワイトペーパーを手軽にwebサイトへ埋め込みたい場合は、スピーカーデックなどスライド共有プラットフォームを活用して、専用のタグを入れることでスライド表示もできます。
1-2. メールによる能動的アプローチ
あなたの会社が、これまでの活動でお客様のメールアドレスをリストとして持っているなら、それは配信方法として有効な手段となり得ます。
メールマガジン(メルマガ)
メールマガジンを活用すると、自社が今まで獲得したお客様方の連絡先をリストにして、「こんな役立つホワイトペーパーができました!」とお知らせとして配信ができます。
リスト内のお客様と自社の関係性はさまざまだと思いますが、少なくとも興味関心があるからこそ繋がっているため、メールマガジンを配信しても開封して読んでもらえる可能性が高いのが特徴です。
個別メール
営業だけではなく社内全員が、それぞれ今やり取りしているお客様へ「〇〇様のお悩み解決に役立つかもしれません」と、直接ホワイトペーパーをメールで送る方法です。
セールス・マーケティングに関わらない職種だとしても、会社としてはメールを使うことでホワイトペーパーの配信が強化できますので、ぜひ社内を巻き込んだ配信も考えてみてください。
メールの署名にリンク先を入れておくのも方法の一つ。
※注意点:法律を守ろう!
ただし、誰にでも勝手に宣伝メールを送っていいわけではありません。「特定電子メール法」で、事前に「メールを送ってもいいですよ」と許可(これを「オプトイン」と言います)を得た相手にしか送れないルールになっているので、名刺交換した相手でも、送る前は必ず確認を取るようにしましょう。(例:名刺交換時に承諾を得ておくことも重要)
1-3. SNSアカウントのオーガニック活用
お金をかけずに、自社のSNSアカウント(X(旧Twitter)やFacebook、Instagramなど)で情報を発信するのも、とても有効な方法です。
フィード投稿
「新しいホワイトペーパーを公開しました!」と、フォロワーに向けて普通に投稿する方法です。資料の魅力的な部分を抜粋して画像にすると、より興味を引くことができます。
制作過程の公開(ストーリーで惹きつける)
少し上級テクニックですが、「今、こんなホワイトペーパーを作っています」「目次案をちょっとだけお見せします!」このように、制作の裏側を発信していく方法です。
完成前からフォロワーの期待感を高め、ファンになってもらう効果があります。
DM(ダイレクトメッセージ)での個別アプローチ
SNS上で交流のある人や、明らかにあなたの会社の製品・サービスに興味を持ってくれている人に、DMで「もしよろしければ、こちらの資料がお役に立つかもしれません」と個別に送る方法です。
いきなり送り付けるのは失礼にあたる可能性もあるため、普段からSNS上で接点を持っておくことも重要。
1-4. オフラインで直接配布
インターネットの世界だけでなく、現実の世界で直接手渡しするのも、とても大切な配信方法です。
展示会やセミナー、商談の場
名刺交換をした相手に、「弊社の知見をまとめた資料です」と言って手渡したり、セミナーの参加者に配布したりします。
熱量が高い状態で直接渡せるので、記憶に残りやすいのがメリット。
また、手間はかかりますが、手渡す時に話す機会が自然と作れるので、地道な見込み顧客との接触が、その先にある本来の目的にも繋がっていきます。
※重要ポイント:オンラインに繋げよう
紙で渡す際に絶対に忘れてはいけないのが、資料の中にQRコードやウェブサイトのURLを記載しておくこと。紙をきっかけに、オンラインでの継続的な関係に繋げることが、この方法の裏ゴールです。
配信方法② ペイドメディア
ペイドメディアとは、一言でいえば「広告」を指します。
お金を払うことで、まだあなたの会社を知らないたくさんの人々に、情報を届けることができる。
特に、駆け出しのスタートアップや新規事業にとっては、最初の顧客を見つけるために時間をかけていられないため、広告は最も重要な戦略の一つになります。
2-1. Web広告による配信
SNS広告
X・Facebook・InstagramなどのSNSに出す広告です。
年齢や地域、興味・関心、さらには役職などでターゲットを細かく設定できるので、「この人に届けたい!」相手にピンポイントで情報を表示できます。
検索連動型広告(リスティング広告)
Googleなどで、特定のキーワード(例:「業務効率化 方法」)を検索した人に、「その答え、この資料にありますよ」と広告を表示する方法です。
まさに今、悩みを解決したいと思っている人にアプローチできるので、非常に効果的。
能動的に動こうとしている顕在層と繋がりやすいため、営業活動に役立つホワイトペーパーの配信方法でもあります。
ディスプレイ広告
様々なウェブサイトやアプリの広告枠に、画像や動画で広告を表示する方法です。多くの人の目に触れるので、会社の名前や製品を広く知ってもらうのに向いています。
※注意点
広告によるホワイトペーパーの配信強化には、出せる費用次第なところもあるため、まずは予算の確保から進めなければいけません。掛け捨てのような状態にもできないため、広告で打ち出すメッセージやクリエイティブ、または受け皿となるランディングページなども整備する必要があります。
2-2. 他社メディアへの掲載・提携
自社で広告を出すだけでなく、既に多くの読者(会員)を抱えている他社のメディア(広告として機能している媒体)に協力してもらう方法もあります。
掲載して認知を拡大する、またはそのままリード獲得まで可能なサービスもあるため、どの媒体が今の状況にマッチしたのか見極めたうえで選定しましょう。
資料請求・比較サイトへの掲載
様々な企業の資料をまとめて紹介しているウェブサイトに、あなたの会社のホワイトペーパーも掲載してもらう方法です。
情報を探している人が集まる場所なので、効率的にリードを獲得できます。
記事広告(タイアップ)
業界で有名なニュースサイトやブログに、お金を払って、あなたの会社のホワイトペーパーを紹介する記事を書いてもらう方法です。そのメディアが持つ信頼性を借りることができるので、情報の信頼度が高まります。
※注意点
他社メディアを活用する場合、自社メディアとは獲得できるリードの質に違いがあることを理解しておきましょう。
たとえば、自社メディアで接触を持てるお客様とは、情報を探す過程でブランドの価値を少しでも感じてくれた状態なので、見込みが自然と高くなります。
その一方、比較サイトなどは「比較」を前提にしているため、最初からあなたの会社に興味を持っているわけではなく、比べたいからこそ複数社が簡単に見比べられるサイトを使っているので、その後の営業活動の難易度が高くなり、優位性がなければ他社との競争に負けて失注が増えてしまいます。
2-3. 外部リサーチサービスとの連携
これは少しユニークな方法ですが、調査会社がアンケートを実施する際に、「アンケートに答えてくれたお礼に、この役立つホワイトペーパーをプレゼントします」など、何か違う用事の際に、資料も配布してもらう方法です。
費用はかかりますが、あなたの会社だけでは出会えない新しい層に情報を届けられるだけでなく、ついでにホワイトペーパーに関する感想などをアンケートで聞くこともできる、一石二鳥の作戦です。
配信方法③ アーンドメディア
アーンドメディアは、「口コミ」や「評判」を指しています。
あなた自身が「この資料は素晴らしい!」と伝えるより、第三者が「あの会社の資料はすごく良かったよ」と言ってくれる方が、営業感もなく何倍も説得力がありますよね。
この信頼の力を借りて、情報を自然に拡散させるのがアーンドメディアの力です。
3-1. シェアされるコンテンツの設計
そもそも、口コミを生むためには、ホワイトペーパーの中身が「これは人に教えたい!」と思えるほど魅力的でなければなりません。
項目 | 説明 |
---|---|
独自の調査データ | あなたの会社でしか出せない、オリジナルのアンケート結果や市場データ。 |
圧倒的な網羅性 | そのテーマについて、これさえ読めば他は要らない、と思えるほどの情報量。 |
美しいデザイン | パッと見て分かりやすく、読んでいて楽しい、洗練されたデザイン。 |
これらの要素が、シェアしたくなる気持ちを後押しします。
注意点
ただしデザインの良さだけで見込み顧客と接触をもってしまうと、本来伝えたかったテーマから外れて「デザインに興味がある」方との繋がりになってしまうため、間違ったターゲットとの接触を避けるためにもデザインの良さだけで、ホワイトペーパーを制作しないように心がけておくことが大切です。
3-2. インフルエンサー・専門家との連携
あなたの業界で影響力のある人(インフルエンサー)や、信頼されている専門家に、ホワイトペーパーを事前に読んでもらい、SNSやブログで感想を紹介してもらう方法です。
その人の信頼が、そのままあなたの会社の信頼に繋がります。
最重要注意点
ステルスマーケティングは絶対にダメ! もし、お金を払ったり、何かしらのお礼を渡したりして紹介をお願いする場合は、それが広告であることを必ず明記してもらわなければなりません。
これは「ステルスマーケティング(ステマ)規制」という法律で定められています。
投稿には、必ず「#PR」や「#プロモーション」「#(企業名)から資料提供」などの表示を付けてもらいましょう。
これを怠ると、法律違反となり、会社の信用を大きく落とします。
3-3. プレスリリースによるメディア露出
もしあなたのホワイトペーパーが、社会的に価値のある独自調査などを含んでいるなら、それは立派な「ニュース」になります。
その内容をプレスリリースとしてまとめ、新聞社やテレビ局、業界専門のニュースサイトなどに情報提供することで、記事として取り上げてもらえる可能性があります。
そうなれば、広告費をかけずに、絶大な認知と信頼を獲得できます。
注意点
単に情報を出せば拡散してもらえるわけではなく、事前に他社メディアとコミュニケーションを取っておいたり、シェアしたくなるようなテーマ・情報品質で、ホワイトペーパーを制作する必要があります。
【応用編】施策を最大化する戦略的思考
ここまでは具体的な配信方法(HoW)を見て頂きましたが、ここからはもう少し視野を広げて、それらの施策の効果を最大化するための「考え方(戦略)」について解説します。
応用を理解すると、あなたのマーケティング活動は一気にレベルアップします。
事業特性から最適なホワイトペーパー戦略を設計する
実は、どんなホワイトペーパーを作り、どう届けるべきかは、あなたの会社のビジネスの「型」によって大きく変わります。
A ビジネスモデルから目的とペース感を定める
B 価格帯・検討期間から戦術を決める
この2つの型から、どのような考え方を持てばいいのか見ていきましょう。
A. 「売り切り型」か「継続(サブスク)型」か
あなたの会社の商品は、一度買ったら終わりの「売り切り型」ですか?それとも、月額料金などで継続的に利用してもらう「継続(サブスクリプション)型」でしょうか?
売り切りと継続では、考え方が大きく変わってきます。
売り切り型(短距離走モデル)
売り切り型は短距離走です。
顧客の購買意欲が最も高まった「最初の勢い」を逃さず、購入というゴールテープを切ってもらうことが重要です。
そのため、ホワイトペーパーも購入の意思決定を後押しする役割が中心になります。
継続(サブスク)型(マラソンモデル)
継続型は顧客との長いお付き合いを前提としたマラソンです。
急がず、じっくり関係構築し、長期的な信頼を勝ち取ることが将来の売上に繋がります。
そのため、ホワイトペーパーは、新規顧客を集めるだけでなく、既存のお客様がもっと製品を好きになって、使い続けてもらうための「活用ガイド」「活用事例」なども用意して、継続的な接点を作り、常にコミュニケーションを取りながら気持ちを高めてもらうことが重要です。
B. 「短期決戦型」か「中長期育成型」か
次に、製品・サービスの価格帯です。
低単価(例:50万円以下)の場合
比較的すぐに購入を決めてもらいやすいので、「短期決戦型」の戦略が向いています。
すぐ商談になりそうな、熱量の高いお客様を見つけることが目標になります。
高単価(例:50万円以上)の場合
お客様もじっくり考えてから決めるので、「中長期育成型」の戦略が必要です。
すぐに売り込まず、まずは役立つ情報を提供し続けて信頼関係を築き、「いざ検討するぞ」となった時に、真っ先にあなたの会社を思い出してもらう(これを「第一想起」と言います)ことが目標になります。
コンテンツ戦略:ファネルを通過させる燃料を創る
① テーマの複数展開
ホワイトペーパーのテーマを一つしか用意しないのは、一本の釣り竿で魚釣りをしているようなもの。
お客様の悩みは多様ですから、「コスト削減」「業務効率化」「最新トレンド」など、複数のテーマを用意しておくことで、より多くの人の心に響く可能性が高まります。
② シリーズ化による見込上昇
お客様の知識レベルに合わせて、「初心者編」→「中級者編」→「応用編」など、ホワイトペーパーをシリーズ化するのも非常に有効です。
一つ読むごとにお客様の学びが増えて、あなたの会社への信頼を深めてくれます。
そして、次のステップに進むための新しい資料が用意されている…これは、顧客との関係を長く育てるための素晴らしい仕掛けにもなります。
ファネル思考による改善サイクル(PDCA):ボトルネックはどこか?
お客様が資料を手に取ってくれるまでには、多くの人が離脱していく「ファネル」があるとお話をしましたが、この考え方は施策を改善する上でものすごく役に立ちます。
うまくいかない時、「なぜだろう?」と漠然と悩むのではなく、ファネルのどこに問題(ボトルネック)があるのかを考えてみましょう。
課題① そもそも知られていない(入口が狭い)
項目 | 説明 |
---|---|
現状 | 広告の表示回数やSNSの投稿が見られている回数が少ない。 |
対策 | 広告の予算を増やす、SNSでの発信を増やすなど、「量を増やす」戦略を考えます。 |
課題② 興味を持たれていない(素通りされている)
項目 | 説明 |
---|---|
現状 | 広告は表示されるけど、クリックされない。ウェブページには来るけど、すぐに帰ってしまう。 |
対策 | ホワイトペーパーのタイトルや、広告の画像、ページの紹介文を見直すなど、「質を高める」戦略を考えます。 |
課題③ 手間があり面倒(ゴール前で諦めている)
項目 | 説明 |
---|---|
現状 | ダウンロードのための情報入力ページまで来たのに、入力せずやめてしまう人が多い。 |
対策 | 入力項目をできるだけ減らすなど、「心理的ハードルを下げる」戦略を考えます。 |
システム思考で築く連続的な配信構想を考える
最後に、これまでお話ししてきたこと全てを繋ぎ合わせる究極の目標とは、ホワイトペーパー施策を「点」で終わらせないこと。
多くの会社がやってしまいがちなのが、「広告を出して終わり」「メルマガを送って終わり」といった、単発の施策です。
これでは、せっかく築いたお客様との関係が途切れてしまいます。
目指すべきは、お客様があなたの会社と接する全ての場所(サイト、メール、SNS、営業担当者)が連携し、常にお客様の状況に合った次の情報を提供し続けられる「仕組み(エコシステム)」を築くことです。
例えば、
初心者向けの資料をダウンロードした人へ数日後に中級者向け資料をメール紹介。
その人がSNSをフォローしたら、今度は応用編の資料の案内が目に入る。
まるで優秀なコンシェルジュが、常にお客様の一歩先を読んで、最適な情報を提供。
個別の配信方法を最適化するだけでなく、この連続的な「仕組み」そのものをデザインすることが、持続的に成果を生み出すマーケティングの理想形。
しかし、簡単にエコシステムを作るのは難しいため、せめて単発ではなく連続的な施策となるようトライ&エラーを繰り返していきましょう。
最後に。
ここまで、ホワイトペーパーを届けるための戦略と具体的な手法(HoW)について、たくさんの情報を見て頂きました。
しかし最後に、これからの時代を生き抜くために最も重要なことをお伝えしたいのが、AIの発展によって「情報の価値」そのものが根本から変わりつつある現実です。
かつて、専門的な情報は企業が持っている貴重な宝物でした。
しかし今、生成AIはインターネット上のあらゆる情報を瞬時にまとめ、かなり的確な「答え」に近しい情報を瞬時に提示してくれます。
これにより、単に情報を整理・要約しただけのホワイトペーパーは、その価値を失い始めています。
では、未来のホワイトペーパーには何が求められるのでしょうか。
それは、HoW(どう届けるか)の探求から、WHAT(何を届けるか)とWHY(なぜ届けるか)と、人間らしい本質への回帰です。
WHATの深化(AIには作れない、あなただけの価値)
項目 | 説明 |
---|---|
独自の一次情報 | あなたの会社が汗をかいて集めた、オリジナルのアンケート結果や、お客様の成功事例。 |
独自の考え方 | あなたの会社が長年かけて培ってきた、課題を解決するためのユニークな視点やノウハウ。 |
WHYの追求(人を惹きつける、あなただけの想い)
項目 | 説明 |
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思想と哲学 | あなたの会社が「なぜ」この事業に取り組み、社会をどう良くしたいのか感じている情熱。 |
共感とストーリー | データには表れない、成功の裏にあった失敗談や、お客様と共に乗り越えた苦労話。 |
これからのホワイトペーパーは、単なる情報の塊ではありません。
企業の「知恵の結晶」と「熱い想い」を届けるための、大切なメディアとなります。
この記事で見て頂いた数々の施策は、その価値あるWHATとWHYを、本当に必要としている方々へ届けるための強力な武器となります。
この記事がぜひ、あなたにしか語れない価値を、世界を、ホワイトペーパーで届ける手助けとなれば幸いです。