
いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。ホワイトペーパーをせっかく作成したのであれば、お客様からのダウンロードが増えれば嬉しいですよね。
「ホワイトペーパーを用意したのに全然ダウンロードされない…」
「CVRが低くて、この施策って意味あるのか不安…」
「平均値とか?他の会社はどうなんだろう…」
BtoBマーケティングにおいて、ホワイトペーパーは見込み顧客との大事な接点ですが、CVR(コンバージョン率)が思うように上がらないと、今行っている施策に不安を感じてしまいますよね。
本記事では、ホワイトペーパーのCVRの基本的な考え方から、実際の数値事例、CVRを高めるための具体的な工夫、そして生成AI時代におけるホワイトペーパーの価値まで、実践的な視点で解説していきます。
- 目次
- ホワイトペーパーにおけるCVRとは
- ホワイトペーパーCVRの実例と平均値の“罠”
- ホワイトペーパーのCVRに影響するテーマと見込み度
- ホワイトペーパーのCVRが低くても「悪」ではない理由
- ホワイトペーパーのCVRを高める具体的な施策10選
- CVRが高くても商談・受注に繋がらない理由とは
- 生成AI時代のホワイトペーパーとCVRの考え方
- 最後に
もし、明日Googleがなくなったら?
それでも顧客と繋がれる「備え」を。
極端な例えですが生成AIの発展により検索エンジン主導の情報収集が終わりを迎えているため、これからはいかにして見込み顧客との接点を作れるか難易度が高まっています。そこで役立つのがホワイトペーパーですが、すでに準備はできていますか?
ホワイトペーパーにおけるCVRとは
CVR(ConVersion Rate:コンバージョン率)はwebサイトを通じて目標達成(資料請求・ホワイトペーパーダウンロード・お問い合わせなど)に至った割合のこと。
BtoBであれば基本的にセッション数と目標達成数で出しますが、BtoC・ECなど領域がそれぞれ違えば指標も変わる場合があります。
CVRの計算方法
計算式:DL数 ÷ セッション数 × 100 = CVR(%)
計算例:50 ÷ 100 × 100 = 50%
注意点としては、1人のユーザーがダウンロードするまでに、複数ページを閲覧し、比較検討の末にダウンロードへ至っている場合もあるため、数値のみに頼った判断は危険。
ホワイトペーパーCVRの実例と平均値の“罠”
ホワイトペーパーのCVRは、実際どのくらいの数値になるのか。
今あなたが見て頂いている本サイト(資料ダウンロードサイト エンプレス)にて掲載している、ホワイトペーパーのダウンロード実例で見てみましょう。
※ 下記の各資料は本サイト経由でダウンロードされた数値のみ使用
計測期間 | 系統 | セッション数 | DL数 | CVR |
---|---|---|---|---|
2025年3月 | ![]() | 51 | 6 | 11% |
2025年4月 | ![]() | 55 | 14 | 25% |
![]() | 99 | 3 | 3% |
数値だけを見れば、テンプレート系がもっともCVRは高い。
しかし、それぞれダウンロードへ至るお客様が辿った導線は違うので、一概には一般的な数値とは言えません。
それなのに、もし「平均値」など全ての状況を混ぜ込んでしまった分析の仕方をすると、本質を見落として、そこそこの成果しか出せなくなる可能性もあります。
ホワイトペーパーのCVRは、事業フェーズ・目標設定・デザイン性・テーマの種類・チャネル・ターゲット・集客力などで、状況がどれも違うため、仮に平均的な数値があるなら、それらはやり方が似ているだけの話であり、参考程度にしかなりません。
そのため、自社と他社でホワイトペーパーのCVRを比較しても、実質的な価値はあまりないと言えます。
CVRの罠
マーケティング活動におけるホワイトペーパーのCVRは、一般的に1ユーザーが1つのホワイトペーパーをダウンロードしたかどうか、1対1で計測しているケースが多いですが、実際は1ユーザーが関連ホワイトペーパーを複数ダウンロードする可能性もあります。
平均値で分析すると、この視点が外れてしまって、思うようなデータが取れないこともあるため、注意が必要です。
ホワイトペーパーのCVRに影響するテーマと見込み度
ホワイトペーパーのCVRは、テーマ(種類)によって差が出てきます。
もちろん前提の集客性やチャネルなども大きく影響しますが、ホワイトペーパー制作時の判断基準の一つとして、テーマ(種類)を確認しておきましょう。
テーマ | 対象 | 見込 |
---|---|---|
事例紹介 | 製品・サービスの決め手や自社の状況に近い例を知りたい方 | 高 |
製品・サービス紹介 | 導入検討前に製品・サービスの詳しい詳細が知りたい方 | 中 |
調査レポート | 特定の対象についてより詳しく知りたい方 | 低 |
ノウハウ | 身近な課題解決に役立つ情報をまずほしい方 | 低 |
このような分類はあくまで一例ですが、お客様の能動的な行動が増すタイミングで、それぞれ求められるテーマとなっています。
しかしながら、私たちの経験では、ノウハウ系でもお客様との契約までスムーズに進めたケースもあるので、「どの種類が絶対に見込みが高い」と決めつけるのではなく、自社の事業フェーズやマーケティング戦略、そしてお客様の状況に合うかどうかが重要な視点となります。
ホワイトペーパーのCVRが低くても「悪」ではない理由
「CVRを高くする=良いマーケティング」このように考えている方もいますが、実はこの考えは誤解。
たとえばCVRを高めようと、極端にダウンロードハードルを下げたとしても、見込みの低いリードばかりが集まれば、結果的に営業効率を下げてしまう可能性もありますよね。
重要なのは、自社の目的やマーケティング文脈の中で「期待すべきCVR」がどこかを定めて、それに向けて施策を改善していく姿勢・思考です。
見せかけ「平均値」の安心感に惑わされず、自社のフェーズと顧客理解に基づいて判断するのが、成果に繋がるCVRの考え方となります。
そのため、仮にCVRが低くても、施策の失敗を意味しているわけではありません。
- ページビューやセッション数では買うCVRは一面的な指標であること
- 多くのユーザーは複数ページを経由してDLへ至る
- 前段階のコンテンツや導線に課題がある
CVRの低さを「悪」だと決めつけず、ユーザーの導線全体を可視化しながら、最適な形へ改善していくことが大切です。
ホワイトペーパーのCVRを高める具体的な施策10選
ホワイトペーパーのCVRを高めるには、ちょっとした一手間を加えるだけで数値に変化が現れます。
実際に私が失敗を繰り返しながら、すぐに取り組みやすく、成果もあげやすかった施策を10選まとめました。
1. 遷移なしでDLできるUIにする
ホワイトペーパーの提供方法として一般的なのが、ダウンロードフォーム専用のページを別で設けて、そこに導線を集約するやり方です。
提供している企業側としては、データを収集するページが分かりやすいので、手間も省けて運営がラクにもなる。
しかし、お客様にとっては別の画面へ遷移(別ページへ飛ばされる)させられるのは、わずかながらストレスや面倒に感じられることがあり、これらが影響して離脱につながる可能性もあります。
そのため、ホワイトペーパーを紹介するページ内へ、別ページへ遷移せずともダウンロードできるフォームを設置することで、手間を最小限に抑えることができ、CVRの向上が期待できます。
小さなUXの工夫が、大きな成果の差につながるのです。
2. 表紙・タイトルで惹きつける
ホワイトペーパーを「ダウンロードしたい」と思うかどうか、お客様は何で判断されているのでしょうか。
デザイン?情報量?見た目やアピール部分で、ダウンロードを促そうとするケースは多いのですが、判断軸は「これは自分の課題に関係がある」かどうか。
つまり「自分事化」されているかがカギ。
お客様は自分が欲しい情報しか見たいと思わないので、どれだけ周りを着飾っても、見てもらえる確率が低くなります。
重要なのは自分事になるかどうかなので、ホワイトペーパーを見てほしい相手を具体的に絞り込み、引き込めるテーマを選び、うまく表紙・タイトルで表現すること。
タイトルの言葉選びの強さと、それを視覚的に補強する表紙の設計、この2つの掛け合わせによって、CVRに大きな差が生まれます。
3. 専門性や独自性を強調
今は検索エンジンを使い、たくさんある情報の中から自身で選ぶのではなく、生成AIで聞きたいことや知りたいことを、瞬時に手に入れる時代です。
一般的な情報であれば、誰にも聞かずに、有無を言わさず求めている回答を出してくれる生成AIへ聞くのが主流。
このような状況の中、いくら当たり前のような情報をホワイトペーパーにしても価値は高まらないので、自社だからこそだせるデータや考え方を、専門性・独自性の形に変換して表現する必要があります。
4. チャネル別最適化
お客様がホワイトペーパーの存在を知るキッカケになるのは、自社が運営しているwebサイトだけではありません。
むしろ、webサイトへ訪問してもらえても、ホワイトペーパーの存在に気づいてもらえない場合も。
だからこそ、いつ何時もお客様と出会える機会を作り続ける必要があるため、さまざまなポイントでアンテナを張っていきます。
そこに加えて、各チャネルごとでお客様が求める情報は変わるので、それぞれ最適化を行い訴求も臨機応変に変更。
チャネル別の最適化によって、ホワイトペーパーのCVRは高まる傾向です。
5. 事前に中身の一部を開示
どんなに良いアピールがされている商品であっても、中に何が入っているのかイメージできない、または見えないと不安で買いたくありませんよね。
これはホワイトペーパーも同じで、中身がある程度分からないと、手に入れることによる損を大きく感じてしまい、CVRが下がる傾向にあります。
可能なら、お客様に手前の数ページ分は見てもらえる状態にしたり、中身の一部を開示。
不安を少しでも減らせれば期待へと反転し、CVRは高まりやすくなります。
6. フォームなしDL
目的にもよりますが、リード獲得ではなく、信頼形成を重要視したい場合、個人情報の提供と引き換えに行うフォーム送信型の提供方法ではなく、ホワイトペーパーがダウンロードできる、URLをそのまま提供する方法も考えた方がいいかもしれません。
お客様は、個人情報の提供を行うことにより、企業側の営業行為をもっとも警戒しているため、これが心理的ハードルとなりCVRを落としています。
そのため、信頼形成重視のマーケティング施策であれば、ホワイトペーパーがダウンロードできるURLをそのまま提供する方が効果的です。
リード獲得に直接結びつかないCVRも、Googleアナリティクス4などを使えばカウントできるため、状況に応じた施策を選んでいきましょう。
7. 2ステップDL
どれだけ希少な情報が含まれたホワイトペーパーであっても、お客様がダウンロードするか悩むのは、企業側へ自身の個人情報を伝えていいのか、冷静に判断しようとするタイミングです。
事前に信頼の感じていない企業に対しては、自分の情報を渡したくないと思うのは当然。
そこを突破するために、まずは個人情報の多くを入力せずとも、メールアドレスやお名前だけでダウンロードできるステップを用意します。
メールアドレスが分かれば、色々とその後もご案内できるので、メールマガジンなどで信頼を高めていき、改めて個人情報入力有りのダウンロードフォームへ誘導。
最初から1ステップでリード獲得を目指すのではなく、2ステップに分けることでお客様の心理的ハードルを下げた方法もオススメです。
8. 動画など他形式も検討
ホワイトペーパーと聞けば資料を思い浮かべるかもしれませんが、何も資料でなければいけない理由はありません。
動画にしてもいいですし、会員限定の特別なwebサイトへご案内してもいい。
お客様の状況によっては、資料形式よりも他の提供方法が合う場合もあるため、誰に見てほしい情報かを考えて、適切な提供方法を選べばおのずとCVRも高まります。
9. ペルソナに合わせた内容設計
ホワイトペーパーは、読んでもらえる対象範囲が広ければ広いほど、訴求力が弱くなりCVRが低くなる傾向です。
このような話になると「母数が減るのではないか?」と心配される方も多いのですが、見てほしい相手があいまいだと無難な表現ばかりになり、訴求力が弱まった結果CVRを落とします。
そのため制作チーム側では、はっきりとお客様像を理解できるよう、ペルソナを活用した架空のお客様像をまとめた人物像を可視化して、共通認識を合わせておきます。
その認識があることで、ホワイトペーパーの制作や活用施策に対する、各々の判断軸がブレず、しっかりまとまることで良い施策が生まれCVRを高めていきます。
10. ABテストの実施
タイトル、表紙デザイン、導入文のコピー、DLボタンの文言など、ホワイトペーパーを取り巻く導線の要素は、意外なほどCVRに影響します。
たとえば「〇〇チェックリスト」と「〇〇の見直しポイント集」など、同じ内容でも切り口を変えるだけでDL率が大きく変わることも。
テストは一度きりで終わらせず、定点的に施策の効果検証を行い、CVRのボトルネックとなる要素を継続的に改善していくことが成果創出への近道です。
CVRが高くても商談・受注に繋がらない理由とは
ホワイトペーパーのCVRが高ければ、自社や自社が扱う業界・テーマの関心度が高いと感じやすいので、イメージとしてはその後のアプローチがうまく進むと思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、高いCVRを出せても商談まで進まず成約とならないケースもたくさん出てきます。
CVRの高さとお客様の見込度には、明確な相関関係があるわけではないため、数値の高さから見誤ることも。
実際に自社で制作したホワイトペーパーによる成果の一例をお伝えすると、下記のような大型案件の受注に繋がった例もあります。
約10,000名にメルマガ配信 → DL16件 → 通電3社 → 商談1件 → 約1,000万円受注
CVRとしては0.16%と、かなり低い割合になりましたが、それでも大型案件の獲得に貢献。
つまり、CVRは入口の数字ではありますが、その先のナーチャリングやセールスプロセスを整えられれば、売上の貢献は十分可能なことを示しています。
CVRの高さに惑わされず、全体のプロセスを最適化させて、チャンスをものにしていきましょう。
生成AI時代のホワイトペーパーとCVRの考え方
インターネットとテクノロジーの発展により、お客様がビジネス情報を取得する手段が大幅に多様化した現在、さらに追い打ちをかけるよう生成AIが登場しました。
今までは、検索エンジンの上位またはSNS上で発信力の高いインフルエンサーから収集していた情報が、生成AIに聞けばいくつも情報を探す必要がなく、パッと瞬時のうちに欲しい情報だけを返してくれる、情報検索における高純度な体験が、誰でも無料で受けることができます。
このような状況の中、ホワイトペーパーは価値を見出されにくくなっているのが正直なところ。
しかし、お客様によっては生成AIから出される情報ではなく、専門家として認識できている企業から、信頼度の高い情報を得ようとしているケースもあります。
大切なのは「みんなに向けて」ではなく「自社の情報を心から求めてくれる人は誰なのか」を明確にして、その方にとって必要かつ価値のある情報を継続して提供していくこと。
一般的な情報をホワイトペーパー化する時代は過ぎたので、求めてくれる方へ必要な価値提供できるホワイトペーパー制作が必要です。
最後に
ホワイトペーパーのCVRは、マーケティング施策のKPIとして活用されてきましたが、この数値はあくまで部分的な評価指標です。
最終的に何を目的とするか(認知、リード獲得、商談化など)によって、CVRの意味合いは変わってきます。
数字に囚われすぎず、顧客視点と提供価値を磨き続けることが、成果につながるホワイトペーパー運用の鍵になります。