いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:fukuyamaです。スローガンは、社内だけでなく世の中に向けて会社を表現する大切な言葉。どのように作ればいいのか、ポイントをまとめました。
あなたの会社に、スローガンはありますか?
企業理念はあるけれど、スローガンは決めていないままだった…。
○周年や新体制を機に新しいスローガンを決めたい。
これから会社を立ち上げるから、スローガンも決めないと…。
中には、企業理念があるからわざわざスローガンを作らなくてもいいかな、このような考えもあるかもしれませんね。
スローガンは、あなたの会社の価値観や考え方をより多くの人へ伝えるための言葉。
作るポイントや注意点、大手企業の参考事例も一緒にまとめたので、あなたの会社のスローガンを作る際に、この情報が少しでも役立てば嬉しいです。
\お役立ち資料/
スローガンとは?
スローガンは、会社の理念をもっとカジュアルにした言葉です。
内容は理念や目的と同じものですが、あまり難しい言葉は使わず、誰にとってもパッと聞いて分かりやすいのがスローガン。
似た言葉として上がりやすい「キャッチコピー」は、商品やサービスをアピールする宣伝文句として使われることが多いですが、大勢の人に向けて伝える点では、スローガンとキャッチコピーはほぼ同じものとして考えていいと思います。
スローガンを作るタイミング
企業のスローガンは、会社を立ち上げたりブランディング・リブランディングするタイミングで作るのが一般的。
これから企業が何を目的に、どのような方向へ進み成長していくのかを言葉にするので、企業する時やリニューアルでスローガンを作りましょう。
会社を経営してきたけれど、スローガンが無いまま続けてきた・決めるタイミングを見失っていた場合も、今よりもっと会社を成長させていくためにスローガンを作るのがオススメです。
スローガンを作る目的
そもそも、企業がスローガンを作る目的は何なのか、どのような効果があるのかも知っておきましょう。
会社を一つにまとめる
スローガンの元とも言える企業理念は、会社が何を一番大切にしているのか、何を目的に会社を経営しているのかを指すもの。
企業理念があると、従業員が同じ方を向き判断基準が1つになることで、足並みが揃って会社全体にまとまりを生みます。
そのため、もちろんスローガンにも会社に一体感を持たせる効果があるんです。
会社の魅力が広まる
スローガンは企業理念よりもっと簡潔で、みんなが分かりやすい言葉を使って作られるため、より多くの人へ浸透させる効果もあります。
覚えやすい、馴染みやすいフレーズだからこそ、社内にも社外にも覚えてもらえることによって、「うちの会社と言えばこの言葉」「このスローガンと言えばこの会社」と多くの人の意識に定着し、会社がまとまるだけでなくブランド価値を高められるんです。
スローガンを作るポイント
実際にスローガンを作る時は、次の4つのポイントを意識してほしいです。
- 会社の想いを乗せる
- 親しみやすい言葉を使う
- 会社らしさを出す
- 届ける相手を決める
スローガンは短い言葉でまとめますが、パッと思いつきで作るのではなく様々な要素を考えて、それを上手くコンパクトに表します。
それぞれのポイントについて、一つ一つ詳しく見ていきましょう。
ポイント1.会社の想いを乗せる
スローガンは企業理念を元に作るため、会社が伝えたい想い・メッセージを入れることは必須。
ただし、想いをそのまま言葉にしては、長すぎたり企業理念と変わらない、分かりづらいスローガンになってしまうため、ほかのポイントも加味しつつ、メッセージが込もった内容にします。
お菓子メーカーのロッテで掲げているスローガン「お口の恋人」では、ドイツの小説に登場し永遠の恋人として知られるシャルロッテのように、「世界中の人々から愛される会社でありたい」願いが込められており、このように想いの込め方は間接的でも大丈夫です。
ポイント2.親しみやすい言葉を使う
企業理念とスローガンの大きな違いともいえるのが、分かりやすさ・親しみやすさです。
会社の想いを乗せつつ、誰にとっても馴染むフレーズを作るので、言葉を考える点ではここが一番難しいポイントかもしれません。
分かりやすくするためには、短い言葉で表現しなければいけないので、どれだけ大きな想いがあっても小さな枠にギュっと収める必要があります。
また、みんなに馴染む・浸透しやすい言葉を使って覚えやすいスローガンにすると、言葉と一緒に会社そのものが多くの人の意識に自然と定着していくので、覚えやすさも大切。
難しくない言葉を使うのはもちろんですが、韻を踏む・リズム感のあるフレーズにすると、覚えてもらいやすくなりますよね。
ポイント3.会社らしさを出す
会社の個性を感じられるスローガンにすると、会社と社員さんの気持ちが近くなり、もっと親近感が湧いたり、このフレーズと言えばこの会社だよね、と多くの人に思ってもらいやすいです。
パンチがある・勢いのある会社、人に寄り添うやさしい会社、ユーモアのある会社…言葉のチョイス一つでも、このような会社らしさは表現できます。
ほかの会社にはない、独自性の感じるスローガン作りを目指しましょう。
ポイント4.届ける相手を決める
あなたは、会社の想い・メッセージを誰に届けたいですか?
もちろん、社内社外問わず世界中の人に伝えたいかもしれませんが、すべての人よりも、ある程度相手を絞って考えた方が、芯のあるぶれないスローガンを作りやすいです。
あなたの会社がターゲットにしている顧客層を、改めて一から考え直し、そのためにも会社の存在意義・企業理念を突き詰めて決めることが大切になります。
スローガンを作る時の注意点
ここまで見ていただいたように、スローガンは様々なポイントを抑えながら作るため、知らず知らずのうちに良くない方向へ進んでしまうこともあります。
スローガンを作る時に気を付けて欲しいことをまとめたので、一緒に見ていきましょう。
1.ブランドや理念と揃える
企業理念や、ブランド全体の方向性とズレてしまわないように注意。
簡潔に、馴染みのある言葉で…スローガン作りに必要な要素をいろいろ考えていると、出来たと思って改めて見てみたら企業ブランドから少しズレてしまっている…なんてことも。
会社が大切にしていること、企業理念がしっかり決まっていれば、それを軸に考えるのを忘れずスローガン作りに取り組むことで、全体に統一性が生まれ、会社の価値観が分かりやすく伝えられます。
2.長すぎないよう注意
会社の考えを忠実に盛り込もうとすると、使う言葉が増えて自然と長くなってしまいます。
「文章」というよりも「一言」「ワンフレーズ」を目標に、できる限り短くまとめましょう。
人も地球も健康に(ヤクルト)このように、読点がない一言のスローガンは、覚えやすい・言いやすいですよね。
ただし「あなたと、コンビに、ファミリーマート」のように、あえて読点を使って韻を踏むと、リズムが頭に残り浸透しやすい場合もあります。
どちらにしても、コンパクトにまとめることを意識してスローガンを作りましょう。
3.相手に届けることを意識する
スローガンは、ただ会社の考え方や価値観、存在意義を空に向かって叫ぶものではなく、社会やターゲットとする顧客へ届けるものです。
そのため、スローガンを届ける「相手」の存在を忘れないようにしましょう。
「○○なあなたへ」のように、言葉で無理に直接表現する必要はなく、スローガンを作る過程で相手のことをしっかり考えられていればOKです。
スローガン作りの参考事例10社
スローガンは私たちがよく知る多くの企業が作り、掲げています。
参考事例を見ておくと、スローガン作りのイメージが湧きやすかったり、ヒントをもらえるかもしれないので、10社の例を見ていきましょう。
カルピス株式会社「カラダにピース」
出典:カルピス®ブランド史 9.「カルピス®」価値向上プロジェクト
2007年に作られたこのフレーズは、何を約束する会社なのかを示すためにわかりやすく覚えやすい言葉でロゴと一緒に作られたもの。
心とからだの健康に良いことを「ピース」で表し、人の健康や社会に貢献する企業でありたい想いが込められています。
キリンホールディングス株式会社「よろこびがつなぐ世界へ」
キリングループさんでは「食と健康の新たなよろこび」を様々な形でキリンから広げていく、このような挑戦の意志をスローガンに設定。
よろこびから人や社会を繋げていきたい、良い連鎖を生み出し続けていきたい、キリングループさんの想いは、免疫ケアにフォーカスしたヘルスサイエンス事業など、健康を支える活動で社会課題に向き合い行動を起こしています。
KDDI株式会社「Tomorrow,Together」
KDDIさんは、発足した2000年から続いていたスローガン「Designing The Future」を、2019年に「Tomorrow,Together」へ刷新。
IoTや2020年から始まる5G対応などの先端技術によってお客様と社会を繋ぎ、新しい体験価値を創っていく、そしてお客様や社会と一緒に成長し続けていく想いを表している言葉です。
また同じタイミングで、auのスローガンを「あたらしい自由。」から「おもしろいほうの未来へ。」変えており、auと一緒に未来を楽しんでもたいたい、そのためにワクワクする体験価値の提案を続けていく、このような信念を表現。
どちらも、お客様・パートナーさんと「ともに」「一緒に」未来へ向かって発展していきたい願いが感じられますね。
タワーレコード株式会社「NO MUSIC, NO LIFE.」
出典:タワーレコード株式会社 NO MUSIC, NO LIFE.
タワレコといえば「NO MUSIC, NO LIFE.」。
「音楽があることで気持ちや生活が豊かになる」この事を、会社のすべての活動で体現するのが全スタッフのテーマです。
「NO MUSIC, NO LIFE.」は、1996年からタワーレコードさんが作り続けているポスターの標語でもあり、音楽と世の中の接点を様々なアーティストに語ってもらうことで、改めて音楽に触れてもらうきっかけを提案しようという想いが根幹にあります。
自由やパンチ、熱い想いを感じる素敵な言葉ですよね。
株式会社マツモトキヨシココカラ&カンパニー「Find your“!”wow」
出典:株式会社マツモトキヨシココカラ&カンパニー 私たちについて
マツモトキヨシホールディングスとココカラファインが経営統合し、2021年に誕生したマツモトキヨシココカラ&カンパニーさん。
スローガンとして掲げたのは「Find your“!”wow」で、“!”はwow(ワオ)と読みます。
お店に行くたび驚きやよろこびが見つかり「次はどんなことに出会えるだろう!」とワクワクした気持ちになってほしい想いが込められている言葉です。
新しいスタートを機に、海外出店イベントや旗艦店など全体的なデザインもポップでワクワクするブランディングを展開しています。
ミスタードーナツ(株式会社ダスキン)「いいことあるぞ Mister Donut」
出典:ミスタードーナツのブランドスローガン『いいことあるぞ Mister Donut』を制定
ミスドでお馴染みのミスタードーナツといえば「いいことあるぞ ミスタードーナツ」のフレーズが頭に浮かびませんか?
2012年に「こころをまあるく。」がスローガンでしたが、2016年に「いいことあるぞ Mister Donut」へ刷新。
おいしいドーナツやサービスを通じて、お客様にたくさんのいいことを提供したい・感じてもらいたい、このような想いが込められており、居心地のいい空間へ改装したり、ドーナツを食べることを楽しんでもらえるサービスの導入を、スローガン制定と一緒に掲げています。
今では日本中の人にとって、すっかり馴染み深い言葉になりましたよね。
ミズノ株式会社「REACH BEYOND」
出典:ミズノ株式会社 新ブランドスローガン「REACH BEYOND」
ミズノさんは2006年の創立100周年を機に「明日は、きっと、できる。」のブランドスローガンを制定していましたが、2018年にリニューアル。
新しいスローガン「REACH BEYOND」は「いつも、その先に向かっていく」というミズノさんの企業姿勢を表す言葉です。
スポーツの価値を信じる人たちが、ただ目標に到達するだけではなく、さらにその先へ進むことを支え、ミズノさん自身もスポーツの枠を超えてもっと高みを追い求めていく、そんなブランドの存在意義が込められています。
株式会社永谷園「味ひとすじ」
出典:株式会社永谷園 企業理念
企業理念そのものであり、コミュニケーションメッセージでもある、永谷園さんの「味ひとすじ」。
どんな時代に変わっても、今までにないもの・なるほど!おいしいとお客様に感じてもらえるもの・他社には真似できないものを出し続ける決意を表現しています。
1953年の創業からその精神は変わらず、一貫した強い信念を感じる言葉ですね。
ライオン株式会社「今日を愛する。」
出典:ライオン公式note 創業131年を迎えるライオンの企業スローガンを振り返ってみた
ライオンさんのスローガンは「今日を愛する。」。
今日そのものだけでなく未来を愛し、価値のある未来に向かって、めぐり来る「今日」一日一日この瞬間を、いとおしみながら・ていねいに・前向きに生きていくことを表します。
このような一人一人の毎日を支え、社会貢献していく決意が込められたスローガンです。
「今日を愛する。」は2012年に制定されましたが、一つ前のスローガン「おはようからおやすみまで くらしに夢をひろげる」は、あなたもかなり馴染みがあるかもしれません。
ライオンさんは、1980年から四度にわたってスローガンを変えており、社会・時代に合わせて大切なものを見直しています。
株式会社ローソン「マチのほっとステーション」
出典:株式会社ローソン お客さま起点の「マチのほっとステーション」を目指す!
コンビニのローソンは「マチのほっとステーション」をスローガンとしていましたが、2013年に「マチの健康ステーション」へ変更、さらに2019年では、また元の「マチのほっとステーション」へ戻しています。
健康志向の商品・サービスに力を入れていましたが、業種問わず健康を考える企業が増えつつあることから、あえて健康の文字を入れるまでもないという考えや、コンビニから病院のようにイメージがズレてしまう部分も考えて戻しているそうです。※出典:NEWSポストセブン ローソンがスローガンを「マチのほっとステーション」に戻した訳
世界や時代・社会の流れ、顧客の求めるものを常に考えて、会社の考えをフィットさせていく姿勢が伝わってきますね。
スローガンを浸透させるには?
スローガンを作ったらそこで終わりにせず、社内・社外へ浸透させることも大切です。
ブランドが多くの人の意識に根付けば、従業員は気持ちを一つに芯をもって働けるようになり、社会での認知が高まることでブランド価値が上がり、安心・信頼してもらえやすくなります。
スローガンを浸透させるにはどのようなことを実践すればいいのか、一緒に見ていきましょう。
まずは社内に発信
スローガンは社内・社外問わず多くの人へ伝える言葉ですが、まずは社内に浸透させてから。
当然ではありますが、決めたスローガンについて代表や経営層から全社員へ説明しましょう。
突然言葉を掲げられるだけでは、社員さんたちは自分事に考えづらいまま。
スローガンを制定する経緯・込めた想い・このスローガンで社員さんたちと一緒に会社をどうしていきたいのか…きちんと伝えることが大切です。
社内報や全社での会議・共有会など、全員に伝わるようしっかり発信しましょう。
ロゴデザインに取り入れる
会社のロゴにスローガンを取り入れるのも一つの手です。
サイト・メルマガ・SNSやチャットのアイコン・封筒など、ロゴは様々な場所で使われるため、目に留まる機会も多く、自然と覚えてもらえやすくなります。
出典:明治ホールディングス
出典:株式会社 日立製作所 日立グループ・アイデンティティとは
ただし、簡潔でコンパクトなスローガンでなければ、ロゴへ入れ込んでも文字が小さく印象に残らないため、無理に入れたり、ロゴに入るようスローガンを変えてしまわず、あくまでスローガンそのものを優先しましょう。
サウンドロゴを作る
たとえば「いことあるぞ ミスタードーナツ♪」「お、ねだん以上 ニトリ♪」このような、テレビCMでよく耳にするメロディがありますよね。
これらはサウンドロゴと呼ばれ、企業・ブランドのスローガンやキャッチコピーをメロディに乗せることで、聴覚から覚えてもらえます。
スローガンは短い言葉で作られるためリズムに乗せやすく、思わず口ずさんでしまうようなメロディを合わせれば、音と一緒に言葉も自然と覚えてもらえるんです。
テレビCMやタクシー・ラジオ・動画広告など、音声でPRできる媒体を使った発信が前提なので、サウンドロゴを作る場合は発信方法も加味して考えましょう。
スローガンを実行する
これも当然のことですが、スローガンで掲げた内容はきちんと実践することが大事。
何もしないままでは、スローガンが中身のない言葉で終わってしまい、自分たちで言ったことを実践できない会社と見なされてしまいます。
スローガンに沿ったサービス展開やイベント開催をどんどん行い、「こういうこと(スローガン)を大事にしている会社なんだな」と、行動で体現していきましょう。
マツキヨココカラ&カンパニーの例
「Find your“!”wow」のスローガンで、驚き・喜び・ワクワクを提供する、株式会社マツキヨココカラ&カンパニーさん。
ブランディングによって、ポップなカラーとスタイリッシュなデザインで店舗をリニューアルしたり、トレンドを体験できるブースを展開し、ドイツのデザイン賞である「iF デザインアワード 2022」を受賞。※出典:「マツモトキヨシ 池袋 Part2店」がドラッグストア店舗として世界初「iF デザインアワード 2022」受賞
また、メイクシミュレーター・肌や髪質の測定をはじめとした、デジタル活用の新サービスも開始し、新しい発見や驚き、楽しい体験ができるサービスを提供しています。※出典:デジタルを活用した「Find your “!” wowな新しいビューティのサービス「マツキヨココカラ B」がスタート
最後に。
ここまで私と一緒に見ていただきありがとうございます。
スローガンは、企業理念よりもさらに多くの人へ発信する「会社の考え方」です。
社会に浸透することで、社員さんたちが向く方向が定まるだけでなく、世の中の人々へ自分たちがどのような会社なのか知ってもらう大切なワンフレーズとなります。
スローガンで会社を上手く表現し、さらなる成長を目指しましょう。