
いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。作成した営業資料で成果が出せていない場合は、この記事が改善のヒントになるかもしれません。
営業マンが日々の限られた稼働の中で、営業資料を作りながらデザイン性も担保させるのは、なかなか難しいですよね。(だって時間が足りない…)
時間が少しでもあるなら資料ではなく、お客様のフォローや新規開拓で時間を使いたいのが本音だと思います。
しかし、営業資料におけるデザインの重要性はとても高く、デザインを単なる見た目だと考えていれば、受注率を下げ成果が出ない資料に時間をかけていることにも。
営業資料のデザインを良くして、効果的な営業活動を支える強力な受注サポートアイテムにするための情報をまとめました。
こんな方にオススメ!
・営業資料を見せても顧客の反応が薄い…
・時間がなくて営業資料をしっかり作れない…
・スキルに不安がありデザインの正解が分からない…
- 目次
- 営業資料を活用しても受注率が低下する原因
- 営業資料に見せ方のデザイン性が必要な理由
- 営業マンの「資料作成時間がない」問題との向き合い方
- 営業資料はどの程度のデザインにすればいいか
- 営業資料のデザインは2層構造で考える
- 営業資料のデザインプロセス
- 営業資料の構成とデザイン例
- 営業資料の無料デザインテンプレート
- 営業資料のデザインは「内製」と「外注」どちらがいいのか
- 営業資料のデザインのコツ
営業資料を活用しても受注率が低下する原因
営業資料は核となる内容が整っていなければ、資料の構成や情報の質に影響を与え、結果的にデザイン性を悪くして、顧客からの反応が薄くなる原因となっています。
全体を通してデザインを良くしていくために、見直しポイントを確認していきましょう。
情報の見やすさが損なわれている
営業資料のデザインでは、3つの基本原則があります。
① 見やすいこと
↓
② 読みやすいこと
↓
③ 理解しやすいこと
顧客から良い反応が得られていないのは、情報そのものの見やすさが損なわれ、メッセージが伝わっていないことも考えられます。
仮にプレゼンテーションを行い、口頭による説明があれば補足できますが、営業資料を単体で提出した場合は、デザイン的な見やすさが保たれていないため、成果に繋がりにくい状態になっているかもしれません。
シーンに合わせてカスタマイズされていない
顧客の状況はそれぞれ違うのに、作成した1つの営業資料を使いまわしていませんか?
作成した営業資料がもし、汎用的に幅広く対応できるよう作られていた場合、顧客との状況にマッチしていないため、自分事で捉えてもらえていないかもしれません。
汎用的な営業資料の場合
・情報量が多すぎてメッセージが伝わっていない
・顧客自身の状況に合う内容が少ないため自分事にならない
・プレゼンの機会が得られたのにトークの流れに資料が合っていない
大筋はそのままでも大丈夫ですが、たとえば相手の視力が悪いのに文字が小さかったり、細かい配慮ができていないことで、営業資料の効果が失われている可能性があります。
価値が伝わっていない
「受注がしたい!」
「ノルマを達成したい!」
このような営業的意識を強く持ちすぎたまま資料作成すると、企業視点となり情報量が自然と多くなりがちに。
情報量が多い影響で、レイアウトや情報の見せ方も単調で表面的な解説となり、本来伝わってほしかった価値やメッセージが届いてない可能性があります。
話題が飛び過ぎて一貫性を失っている
企画や提案の補足をするために営業資料を作るので、情報は色々と盛り込んでおいた方がいいと思いますよね。
しかし、顧客としては中身を一字一句丁寧に見ているわけではなく、自身に必要な部分だけを取捨選択して見ています。
伝えたいことが多いと話題が飛び過ぎて、メッセージの一貫性が失われ印象にも残りづらくなっています。
顧客の疑問が残ったままにしている
営業側は売り込みたい製品・サービスを熟知しており、その道の業界でもプロフェッショナルです。
反対に顧客は、専門知識もノウハウもあまり持っていないため、業界では一般的に認識されていることでも、分からないことが多々あります。
内容が専門的すぎたり、営業資料を見ていくごとに分からないことが増えてしまうような構成になっていると、顧客の疑問が増えて「結局見た(聞いた)けど分からなかった」で終わっていることも。
エビデンスが不足している
企業対企業の取引では特に、選択の失敗を恐れる傾向が強いため、未知のものに手を出したり、リスクを極力避けるような心理・行動をとりやすい。
そのため顧客は、検討している製品・サービスの信頼性が確認できる、客観的なデータ・お客様事例など、論理的に理解できる根拠を求めています。
情報が不確かであるほど、社内の承認も降りないため、顧客が納得できる情報が不足していると、営業資料の価値を下げている可能性があります。
営業資料に見せ方のデザイン性が必要な理由
営業資料は、顧客に対するアプローチで使用するため、営業的な要素を多く入れ込んでいきます。
そのため内容は充実しやすいのですが、情報をただ提示しただけでは価値が正しく伝わらず、ビジネスチャンスを逃していることも。
見せ方のデザイン性が営業資料にとって、なぜ重要なのか4つのポイントを確認しておきましょう。
① 情報の伝わりやすさが向上
情報を「文字」のみで伝えれば、読み手の読解力・理解力に頼る部分があるため、100%の理解を得るのは難しいかもしれません。
しかし「文字」を、分かりやすく「図解」として可視化できれば、伝達力を高め伝えたかった意図が伝わるようになります。
図解は一例ですが、情報を伝わりやすくデザインし直すことで、効率的な情報提供が可能です。
② 「期待」を「信頼」へ変換
顧客が営業を受ける際、何かしらの「期待」を抱いているからこそ、資料に目を通したり、提案を受ける時間を確保してくれます。
たとえば、「この提案が自社の課題を解決してくれるのではないか」や「効率を向上させる新しい手法が提示されるかもしれない」といった期待です。
しかし、営業資料が見づらい・読みにくい・理解しにくい状態では、顧客にとってのメリットや価値が正しく伝わらず、結果的に期待を裏切られたと感じさせてしまうリスクがあります。
デザイン性の高い営業資料は、情報を分かりやすく整理し、伝達力を向上させる役割を果たし、これにより顧客が感じる「期待」を単なる感情で終わらせるのではなく、価値を正確に届けることで「信頼」へと変えていくことができる。
この「信頼」へ切り替わるプロセスが、顧客と自社の関係性を向上させ、今後のコミュニケーションがよりスムーズになり、最終的には受注などの目的達成にも繋がります。
営業資料のデザイン性を高めることは、単なる見た目の話ではなく、顧客体験をより良くし、信頼を築くための重要な手段なのです。
③ 競合との差別化
顧客の課題解決ができる製品・サービスを提供しているのは、あなたの会社だけではないですよね。
競合他社も多く存在する中で、顧客は複数社から話を聞き、特徴・機能・料金・サポートなどを比較したうえで、もっとも自社の状況に合う1社を選びます。
このとき、営業資料の内容や提案の魅力が競合と同列だった場合、どうなるでしょうか。
決め手に欠ける状況では、規模の大きい会社へ流れてしまったり、価格競争に巻き込まれ、利益を削ってまで受注を勝ち取ろうとする事態に陥るかもしれません。
ここで鍵となるのが「デザイン」です。
営業資料のデザインは、競合と比較された際に、自社のブランドや価値を明確かつ視覚的に伝えきる力を持っています。
デザインが優れている営業資料は、顧客に「この会社は他社とは違う」印象を与え、検討候補の上位に入りやすくなり、価格だけに頼らず、価値を付加した提案を実現するための重要な手段となるため、自社と競合との違いをデザインで表現することは、顧客の心に残り、差別化を図るうえで欠かせない要素です。
④ 熱量や想いの表現
顧客が社内承認を取る際、合理的な理由で意思決定すると思われがちですが、実際には非合理的な要素が意思決定に大きな影響を与えることが多い。
合理的の例
・使いたい機能がある
・コストパフォーマンスが良い
・創業年数が長く信頼できそう
非合理的の例
・担当者が親身で「この人なら任せたい」と思える
・ブランドメッセージに共感できる
・知人に「この会社は良いよ」と言われた
たとえば「合理的にはA社が優れているが、営業担当者と合わないためB社を選んだ」のようなケースもありますよね。
営業資料で非合理的な要素を伝えるには、営業担当者や企業の「課題を解決したい」「役立ちたい」と思う熱量や想いを表現することが鍵であり、これらは言葉だけでなく、デザインを活用することで何倍も効果的に伝わります。
具体的には、心を動かすメッセージを視覚的に強調したり、温かみのある色使いやレイアウトで「想い」を表現することで、顧客に深い共感を与えられる。
非合理的な要素をデザインで可視化することは、顧客の心を動かし、意思決定を後押しする重要な手段となっています。
営業マンの「資料作成時間がない」問題との向き合い方
営業マンは、顧客のために日夜動き回ってくれているため、資料の作成や調整の時間が、なかなか取りづらいですよね。
そんな時間があれば、見込み顧客へアプローチしたり、新規開拓をしていきたいのが本音だと思います。
しかし、営業資料の作成・調整は、あまり時間をかけなくても、方法さえ間違えなければ比較的簡単に用意ができるようになります。
営業マンの「資料作成時間がない」問題を発生させないための方法を確認していきます。
「デザイン=労力がかかる」という誤解を解消する
確かに営業マン自らが、営業資料の作成・調整をするのは時間的に難しいですが、正しいプロセスや準備さえできれば、労力を最小限に抑えつつも、質の高い資料が用意できるようになります。
営業資料に手間取らないためにやることは2つ。
フォーマット化 | 予め誰がデザインしても質が落ちないデザインフォーマットを用意して「デザイン」せず内容を埋めるだけで完成できる状態にしておく |
---|---|
スライドパターン追加 | 今後使用しそうな図解やスライドパターンなど複数用意して新たに作らないこと |
すでに整っている品質の高いデザインの型へ、情報を入れるだけの状態にしておけば、デザインにかかる時間を最小限で抑えられます。
外部リソースの活用
顧客と直接対峙している営業マンだからこそ分かることもあります。
しかし、資料作成を営業マンが作るべきかは、また話が違ってくる。
シーンに合わせて個別でカスタマイズするのはいいですが、基本的に資料作成・調整する人は、社内のデザイナーやマーケティング部門に任せたり、外部リソース(外注・制作代行)に依頼することで、営業マン自身は「顧客対応」に集中する環境を整えるのがお勧めです。
営業資料はどの程度のデザインにすればいいか
顧客へ直接説明するプレゼンテーションや、大勢の前で話すセミナー(またはウェビナー)などで営業資料を使う時、見た目の良さを気にするかもしれませんが、凝り過ぎたビジュアルが必ずしも必要なわけではありません。
むしろ、営業マンだからこそ「最低限のデザイン性」を意識して、無駄な作業を省くことが求められます。
営業マンは、高度なデザインスキルやテクニックよりも、顧客へ正しく情報と価値を届けられる、3つのポイントを重点的に意識していきましょう。
見やすさ
営業資料に盛り込みたい情報と、特に重要なメッセージを絞り込み、伝えるべき内容を取捨選択していきます。
この意識でデザインを進めれば、情報過多を避けて、本当に伝えたい情報のみが残るため、結果としてスライド内に配置する要素の整理が出来て、見やすさが向上します。
資料作成では全てにおいて「見やすいこと」が1番先頭にくるため、何よりも「見やすさ」を考えて進めましょう。
読みやすさ
顧客が営業資料を、何時間もかけて隅々完全理解するまで見つくしてくれることは絶対にありません。
むしろ触れる時間は、ほんの数分です。
この短時間の中で、情報を単に「伝えた」で終わらせず「伝わった」にまで昇華させるには、情報としての読みやすさを十分に高める必要がある。
シンプルな言葉や、文字だけでは伝えきれない情報は画像・図解に変換して、瞬間的に理解できる内容にしていきます。
一貫性
顧客が意識的・無意識的に感じ取っている営業資料のデザイン性とは、その多くがスライド全体を通してみた時のプロフェッショナルな雰囲気です。
- カラーが統一されている
- 見やすいフォントが使われている
- レイアウトが整っている
- 情報量が適切に保たれている
- 図解等で情報が読み解きやすい
インパクトを感じるビジュアルではなく、むしろ整理整頓されキレイな印象が保たれていることに、デザイン性を感じ取っている。
つまり、一貫したデザイン性が保たれているかが重要であり、過剰なデザイン力はあまり求められていないため、整えることを重点的に意識しておきましょう。
営業資料のデザインは2層構造で考える
「営業資料のデザインを良くしたい…」
このように思う方の多くは、見た目のデザインに意識を向けがちですが、営業資料におけるデザインを「構造化」して考えると、見た目だけが全てではないことが分かります。
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---|---|
内部デザイン | 戦略、企画、構成、文章など資料の「核」となる部分 |
外部デザイン | 印象、レイアウト、図解など資料の「見せ方」の部分 |
私たちが普段意識しているのは外部デザインであり、内部デザイン(核)が悪ければ、外部デザイン(見せ方)もそれに引きずられて効果的ではなくなります。
たとえば、どんなにキレイで見栄えのいいデザインでも、内容が伴っていなければ説得力に欠けますよね。
営業資料のデザインを単なる「見た目の問題」として捉えていると、根本的にデザイン破綻が起きてしまうため、まずは内部デザインを磨き、その上で外部デザインを整えることが重要です。
営業資料のデザインプロセス
営業資料を作成していく流れを、6ステップで確認していきましょう。
STEP1 ゴールの明確化
営業資料を作成する前に、「誰」に「何」の意思決定をしてもらい、どのような成果を得たいのかゴールを明確にします。
最終地点が分かり、ゴールが具体的になると、デザインの判断に迷いがなくなり、無駄な作業も減ります。
結果として、効率よく営業資料が完成するため、顧客対応に時間をかけたい営業マンほど、ゴールの具体化が重要です。
ゴールの例
・製品/サービスが顧客にとって価値あるものだと伝えたい
・決裁者からの契約承認を後押ししたい
STEP2 内容精査とデザイン方針の決定
ゴールから逆算しながら、内容を整えていきます。
- 自社理解(製品/サービスの魅力や特徴の熟知)
- 顧客理解(顧客の状況や悩みを深く理解)
- 方針決定(デザインイメージを固める)
自社と顧客を改めて理解することで、何をどこまで伝えればいいのか、大筋の内容が見えてきます。
それと並行して、営業相手はどのようなデザインが見やすく読みやすいのかを考えていく。
特に、顧客のニーズを把握できないまま、見せ方のデザインへ進んでしまうと、内容が的外れなのでデザインも合わなくなる。
デザイン前の重要なタイミングであるため、「何」を「どう」伝えるのか、出来る限り具体的に決めていきましょう。
STEP3 内部デザイン(内容)の構築
営業資料における内部デザインでは、情報を取捨選択して、伝える流れを整えながら、メッセージを言語化していきます。
内部デザイン3ステップ
① 一旦情報を集めてから絞り込む
② 情報を区切り伝える順番へ並べ替える(構成)
③ 1スライド1メッセージ + 補足の説明文章を用意する
デザインは見せ方を作るだけではなく、デザインの元になる情報を構築することも含んでいる。
内容が整えられて、初めて見せ方のデザインを決められるので、重要な工程となります。
STEP4 外部デザイン(見せ方)の構築
営業資料における外部デザインでは、「顧客」と「伝えたい情報」に合う見せ方を模索しながら、最適化していきます。
外部デザイン3ステップ
① 情報の意図や意味を理解する
② 顧客が資料を見るシーンを想定する
③ 情報に合うデザインを構築する
この中でも気を付けたいのが、情報の意図や意味の理解。
たとえば「成長」という言葉には「伸びる」「上がる」「大きくなる」のような意味が内包されています。
仮にメッセージを補足するためアイコンを入れるなら、星(☆)または右上(↗)のどちらが適切でしょうか。
言葉の意味から言えば、右上の右肩上がりを示すイメージが合っています。
「言葉とグラフィック=デザインとしての見せ方」は連動しているため、もちろん基本的な見やすさ・読みやすさは意識しつつ、情報を正しく理解して、適した形へ整えていくのが外部デザインです。
STEP5 フィードバック
営業資料のデザインが一旦完了したら、実際に顧客対応をしているメンバーに確認してもらい、フィードバックを得ていきます。
資料の作成者自身は作れたことに満足をしがちですが、実際に見たり使う側から考えると、過不足があったりするものです。
最低でも2~3回ほどはフィードバックを受け取り、細かい部分を詰めていきましょう。
STEP6 使用と改善
営業資料が整えられたら、実際に顧客へ渡したり、プレゼンテーションを通して説明して反応を確認していきます。
その中で、良いスライドと悪いスライドを把握して、さらに微調整を加えていく。
良いスライド:顧客から反応が良い、質問が来たなど
悪いスライド:顧客からの反応が悪い、説明が足りないなど
実際の反応を見ながら、繰り返し営業資料を改善していくことで、どんどんお客様のニーズとマッチしていき、成果の出やすい営業資料へ生まれ変わっていきます。
営業資料の構成とデザイン例
顧客に自社の製品・サービスの価値を知ってもらうためには、信頼できる情報を営業資料に盛り込む必要があります。
ただし、情報を入れ込んだだけで文脈が整えられずにいると、伝わらない可能性もあるため、顧客が腹落ちして納得できる話の順序で構築しなければいけません。
営業資料に求められる構成(伝える順番)と、それぞれのスライドをどのような見せ方にすればいいのかまとめていきます。
下記でまとめた営業資料の構成は、汎用的に使える流れであり、顧客や営業の方針によって、順番を入れ替えカスタマイズが必要です。
大まかな流れ
課題 → 解決 → 根拠 → 安心 → クロージング
営業資料と提案資料の違い
営業資料:対象はあまり絞り込まず製品・サービスの価値を伝える
提案資料:対象を絞り込んだうえで製品・サービスの価値を伝える
※ 状況や説明できる時間の違いによって構成の調整は必要です
順番 | 構成 | 説明 |
---|---|---|
1 | 表紙 | 顧客が資料を見るメリットまたは解決したい自分事になる課題を可視化(デザインで表現しきれないため言葉をメインに据え置く) |
2 | 想い | 企業として課題解決にどのような想いで取り組んでいるのか明示 |
3 | 課題 | 顧客が解決したい課題(または問題)を具体的に可視化(顧客が気づいていない場合もあるためいくつか候補を出す) |
4 | 解決 | 課題解決の手段を提示して期待を膨らませる |
5 | 根拠 | なぜその製品・サービスを使うと課題が解決できるのか根拠(理由)を示す |
6 | 比較 | 製品・サービスの業界的なポジションや優位性の違いを分かりやすく図解・表などで表現 |
7 | 導入効果 | 製品・サービスを実際に導入した場合はどのような効果が得られるのか具体化 |
8 | 取引実績 | 製品・サービスを提供してきた顧客を公開(事例として出していいか事前確認が必要) |
9 | 導入事例 | 製品・サービスを導入したことで得られる効果を具体的に深掘りして紹介 |
10 | 料金表 | 製品・サービス導入時にかかる費用を提示 |
11 | 費用対効果 | 費用対効果のシミュレーション表など顧客の社内承認を得やすくする数値を提供 |
12 | 流れ | 製品・サービスの導入プロセス |
13 | サポート体制 | 製品・サービス導入後に受けられるサポートや体制 |
14 | FAQ | 製品・サービス導入前によくある質問と回答 |
15 | CTA | 製品・サービス導入の意思決定を促すクロージング |
16 | お問い合わせ | 製品・サービスに対する質問などの相談窓口先 |
17 | 会社概要 | 営業資料の発行元を明記したスライド |
18 | 裏表紙 | 企業・製品・サービスのロゴや本資料の扱いに関して補足など |
サンプルとして、18スライドで構成していますが、状況に応じて各スライドを増やし、顧客に納得頂ける説明を盛り込んでいきましょう。
次は、営業資料の基本といえる「1スライド1メッセージ」を軸にして、可能な限りシンプルなデザインで構築したスライドサンプルを確認していきます。
1. 表紙

営業資料は複数枚でページ構成しているため、プレゼンテーションなど解説者がいない限り、顧客自身で最後までページを読み進めていく情報媒体です。その関係で「読む」か「読まない」かは、読み手の判断に任せなければいけません。最後までしっかりと見て読んでもらうには、表紙のタイミングでどれだけ期待値を高め、顧客は自分事となり読む必要性を感じてもらう必要があります。
表紙スライドのポイント
・キャッチコピーで価値を伝える
・キャッチコピーに合うグラフィックを入れて魅力を高める
・対象者を限定する(例:マーケターの方向け)
・デザイン性を高めて価値ある資料だと認識させる
2. 想い

スライドの序盤に「想い」という情緒的なスライドを入れる理由は、「なぜこの製品・サービスを提供しているのか」など企業側の背景や覚悟を伝えることで、その後に伝えていく一貫したメッセージと連動して、信頼性が高まるからです。つまり、有言実行している企業だと認識してもらうことで、最終的な意思決定を後押しする効果を期待できます。
想いスライドのポイント
・言葉で表現する
・ミッション、ビジョンなどでもいい
・覚えやすく文字数を少なくする
3. 課題

今現在顧客に起きている問題を、解決するための課題を提示します。
項目 | 説明 |
---|---|
問題 | 顧客が困っている具体的な問題 |
課題 | 問題解決するために取り組むべきこと |
例 | コスト削減ができない(問題)ので、業務効率化のシステムを導入したい(課題) |
顧客の状況によっても、問題と課題の種類は多少違うため、営業資料へ落とし込むなら最低でも3つほどは具体化しておきましょう。
課題スライドのポイント
・複数の視点から問題/課題を挙げる
・業界ごとで問題/課題が違うなら資料自体を分ける
4. 解決

問題・課題の解決ができると、どのような輝かしい未来が待っているのか。または、解決に役立つ製品・サービスと方法を紐づけて説明します。具体的かつ分かりやすく説明できると、魅力的な営業資料となります。
解決スライドのポイント
・図解などで分かりやすく表現
・端的に伝える
・明るく前向きなトーンで表現
5. 根拠

なぜその製品・サービスで課題解決できるのか、企業側の主張が納得させられる根拠を示していきます。言葉だけで伝えるのが難しい場合は、データや実績などを用いて裏付け。説明よりも箇条書きなどシンプルな表現の方が伝わります。
根拠スライドのポイント
・顧客が納得できる情報を可視化
・データを出すなら出典を明記
・顧客だからこそ伝わる表現へ翻訳
6. 比較

顧客は自身の選択に失敗がないよう、同系統の製品・サービスを複数比較して決めるのが一般的なので、他社との違いをアピールしながら優位性を具体的に示す必要があります。差別化できると、選ぶ理由の一つにもなって、最終的な意思決定の際に強く影響が与えられます。
比較スライドのポイント
・表やグラフで直感的に伝える
・優位性をハッキリ目立たせるため色や大きさを変える
・過剰な表現にして信頼性を損なわないように気を付ける
7. 導入効果

実際に製品・サービスを導入することで、どのような効果または恩恵が受けられるのかデザインで表現します。顧客が感じていた課題だけではなく、その他関連した課題も同じく解決できるよう見せられれば、お得感も感じてもらえます。
スライドのポイント
・図解など視覚的に成果を伝える
・数字などで表すと効果的
・ビフォーアフターで効果の大きさを表現
8. 取引実績

今まで製品・サービスの導入をしてくださった顧客のロゴ等を一覧で可視化することで、実績による信頼構築を目指します。広く知られている上場・大手企業などの情報が出せれば、信頼も高まりやすい。
取引実績スライドのポイント
・実績企業のロゴや数値をシンプルに並べる
・情報量が多くても見やすい配置やレイアウトにする
・色数を抑えて見やすさを担保する
9. 導入事例

顧客が実際に得られた成果を、実例を元に具体化していきます。なぜ製品・サービスを導入したのか、背景などストーリーを加えることで、事例の具体性が高まり、導入していない顧客の自分事化も促進。
導入事例スライドのポイント
・ビフォーアフターで見せてギャップを作る
・スライドだけで伝えきれない場合はwebサイトなどへ連携する
・具体的な成果を数値で出す
10. 料金表

製品・サービスの導入に関わる料金を一覧で提示。プランやオプションがある場合は、それらも含めて明確にします。仮に細かくてスライドに入れられない場合は、webサイトなど正式な情報源へ進めるようにリンクを入れておきましょう。
料金表スライドのポイント
・表を使い料金が見やすいデザインにする
・テキストではなく〇/△/×など記号で分かりやすく表現
・金額が目立ちすぎないようにバランスへ注意
11. 費用対効果

顧客が支払ってくれる料金に対して、どれほどの効果が見込めるのかシミュレーション。料金以上の価値を得られることが分かれば、顧客の意思決定に強く作用します。製品・サービス利用時の費用対効果だけでもいいですが、上記サンプルのように現状維持をした場合と比べると、成果の違いによって魅力も高まります。
費用対効果スライドのポイント
・数値やグラフを用いて具体的にする
・成果が直感的に分かるようデザイン
・文章を少なくしてグラフィックを多めにする
12. 流れ

実際の製品・サービス導入プロセスを可視化して、具体的な導入イメージを提供していきます。営業資料の中では大まかに伝えられれば大丈夫です。(細かい部分は口頭やwebサイトで補完)
流れスライドのポイント
・矢印などを使い流れを表現
・各ステップで簡潔な説明を添える
13. サポート体制

顧客は導入した後も継続的に企業側のサポートを受けられることが分かれば、安心して意思決定ができます。導入を後押しできるスライドでもあるので、BtoBなど企業としての信頼性が必要な製品・サービスであれば、必ず組み込んでおきましょう。
体制スライドのポイント
・サポートを図解(全体像)で可視化
・顔写真付きの担当名や部署名を掲載(可能なら)
14. FAQ

製品・サービスの担当者へ質問がすぐできる状態ではない場合、顧客としては疑問が残ったままになると、最終的な意思決定にマイナスです。よくある質問と回答を載せておき、顧客自身で読めば解決できる状態を作っておきましょう。
FAQスライドのポイント
・質問と回答の違いがハッキリ分かるように表現
・質問を表す「Q」や回答を表す「A」などアイコンを活用
15. CTA

CTA(コールトゥーアクション)として、製品・サービスの導入を促すメッセージ(クロージング)を入れます。これまでのスライドでは、ある程度「合理的」かつ「論理的」に根拠を示しながら説明してきたので、気持ちを表すような感情的表現を入れるのもお勧めです。もしプレゼンテーションではなく、資料だけ渡す場合などは、顧客が行動を起こしたいと思った時にサポートできるよう、お問い合わせボタン・メールアドレス・電話番号なども入れておきましょう。
CTAスライドのポイント
・メッセージ性の強い文章を用意する
・次の行動を促す明確なメッセージを用意
・文章量は減らして端的に伝える
16. お問い合わせ

顧客の行動をサポートできるよう、各種連絡先を明確に伝えておきます。
・電話番号
・メールアドレス
・フォームのリンク先
・担当名
・連絡時の伝え方(例:〇〇の件で)
など
お問い合わせスライドのポイント
・スマートフォンを想定した場合はQRコードを追加
・連絡先間違えが無いよう必ずダブルチェック
17. 会社概要

製品・サービスの説明をしてきた会社の基本情報を伝えます。すでに自社のことを知っている方であれば、今回のように終盤へスライドを配置しますが、自社のことを知らない方に対しては、序盤に会社説明を入れてもいいかもしれません。状況に応じてスライドの順番は変えていきましょう。
会社概要スライドのポイント
・会社紹介に必要な情報を端的に表現
・ブランドが分かるようロゴや写真などがあると信頼感が増す
18. 裏表紙

営業資料の最後となる裏表紙には、ロゴやブランドメッセージを配置して、会社の印象を顧客へ与えます。ブランドカラーなどと組み合わせれば、印象がさらに強く残るので、余計な情報は入れずシンプルに仕上げるのがお勧めです。
裏表紙スライドのポイント
・全体的な営業資料のデザインに合わせる
・補足があれば裏表紙に記載
営業資料の無料デザインテンプレート

営業資料は顧客ごとに調整は必要ですが、一定の作り方は存在しています。
ただ、日々忙しい業務の中で営業資料を作るのは、なかなかハードルが高いですよね。
営業資料の構成とデザイン例でご紹介したスライド一覧を、テンプレートとしてすぐ使える状態にしたので、下記の状態の方はぜひご利用ください。
こんな方にお勧めの営業資料テンプレート
・資料作成の時間があまりない…
・資料デザインのスキルに不安がある…
・初めてだからまずは営業資料を作ってみたい…
パワーポイント形式(PPTX)のファイルが、下記のリンクをクリックするだけでダウンロードできます。
営業資料のデザインは「内製」と「外注」どちらがいいのか
営業資料は中身重視ですが、競合と比較されるのが前提であるため、魅力の打ち出し方が弱いと、どれだけ良い製品・サービスであっても顧客の中では優先度が下がってしまう場合も。
見せ方のデザイン品質を上げていくには、スキルやノウハウが必要なので、日々忙しい営業マンが対応していくのは難しいかもしれません。
営業資料のデザインは「内製」と「外注」どちらがいいのか、それぞれの違いを確認しておきましょう。
営業資料の外注(制作代行)の相場
営業資料の制作代行の料金相場は、10ページ前後で15~20万円(1スライドあたり1~2万円)となります。※ 料金相場の参考:相場って…どのくらい?資料作成代行の料金
ただし条件でそれぞれ料金が変わるため、どのような要素が料金に影響を与えるのかまとめました。
金額 | 企画構成 | ライティング | デザイン |
---|---|---|---|
10万円~/10枚 | – | – | 〇 |
20万円~/10枚 | – | 〇 | 〇 |
30万円~/10枚 | 〇 | 〇 | 〇 |
既存資料のブラッシュアップのみであれば、10ページで最低10万円ほどになりますが、デザイン的な見せ方ではなく、内容まで変えるのであれば料金は高くなっていきます。
ただし、制作代行会社によっても、対応範囲・スキル・コストカットの方法は違うので、料金にバラツキがあります。
依頼する場合は、3社には見積もりを出して、比較検討をしておきましょう。
注意点
外注すれば依頼費用がかかるため、安さだけで決めてしまいがち。しかし、制作代行会社それぞれで強みが違うため、あなたが求めていたデザインにならない可能性も。安さには必ず安くできる理由が存在しているため、その理由が分からないかぎり安い制作代行会社は選ばないようにしましょう。
内製と外注のメリット・デメリット
営業資料のデザインは、内製がいいのか外注にすべきか、悩むかもしれませんね。
ホンネを言えば、外注費が掛からない内製の方を選びたいですが、スキルやリソースの問題で、そうは言っていられない状況も。
内製と外注の違いを表にしたので、それぞれを確認してみましょう。
項目 | 内製 | 外注 |
---|---|---|
スキル | デザイン経験者が少ない場合あり | デザイナーの在籍でスキルは十分 |
スピード | 他の業務と兼業なので遅くなりがち | 制作特化なので早い |
コスト | 内製なので外注費が不要 | 外注費がかかる |
ノウハウ | 内製で作れば貯まる | 外注に出せば貯まらない |
柔軟性 | 社内連携により柔軟性あり | 金額と条件によって柔軟性は低い |
内製も外注も、それぞれメリット・デメリットはありますが、やはり専門性を提供してもらえる外注には、依頼する価値があると言えます。
しかし、汎用的な営業資料であれば、頻繁にデザインを変えたりしないため外注にメリットはありますが、カスタマイズの必要性が顧客ごとに高いのであれば、内製の方が臨機応変に対応できる。
状況によって誰がデザインした方がいいのか変わるため、まずは自社で対応できる範囲を取り組んでみて、外注の専門性を必要とするなら依頼を検討する流れでいいと思います。
参考:【厳選5社】ホワイトペーパーの制作代行サービスおすすめ>
営業資料のデザインのコツ
営業資料は、どのようにデザインすれば、見せ方としてキレイで伝わるのか。
3つのコツがあるので見ていきましょう。
① いきなりデザインせず文章で作っていく
パワーポイントやGoogleスライドを使えば、簡単に営業資料を作れるため、簡単だからこそ見せ方から考えてしまうと、デザインに時間がかかります。
時間がかかる理由は、顧客へ提供したい情報の意味・意義に合わない見せ方になっているからです。
先に見せ方から考えてしまうと、デザインが先行して、情報本来がもっていた意味にそぐわない状態となり、情報と見せ方の違和感が大きくなってデザインとしても破綻していく。
まずは文章で情報をまとめて、どのような見せ方を構築すべきか手順を踏んで進めることで、デザインの迷子になりづらくなります。
② 営業資料内にすべて詰め込まない
営業資料は「営業したい気持ち」が強く出すぎると、情報量が多くなって、見せ方としても単調または煩雑になりがちです。
情報量が多くなれば、必然的にスライドも多くなり、カスタマイズしていく時間がない営業マンをさらに苦しめてしまう…。
すべて営業資料に入れようとはせず、口頭やwebサイトなど、別の情報伝達手段をかけあわせて、資料内には本当に伝えたい・伝わるメッセージだけに絞って作成しましょう。
③ 事前にフォーマット化してムダなデザインをしない
営業資料では「デザインをしない」ことが、もっとも時短で効率的に作成する手段となります。
これは、事前に営業資料のデザインルールを整えて、デザインパーツをある程度作成したフォーマットを用意することで実現できます。
情報を揃えて、フォーマットに当て込むだけで、一定品質の営業資料が作れれば、無駄なデザイン作業がなくなり顧客へ向き合う時間がとれて、さらに成果を高めることにも繋がります。
営業資料のデザイン代行ならエンプレスへ
私たちエンプレスは、営業資料やホワイトペーパーなど、創業・設立合わせて20年超のクリエイティブで培われたスキルを活かし、ビジネスで活用する資料制作のサポートを行っております。