いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。ペルソナとは何なのか、作り方のコツなどをまとめてみました。
今より、もっとお客様への認知を広げ、売上も増やしたいけど、「誰」に提供すべきなのか対象者が曖昧なまま…。
BtoC・BtoBも同じく、人が必ず対象者となるので、誰に対して行うべき施策なのか考えることは大切ですよね。
しかし、お客様のことを完全に分かっている人はおらず、「こんな感じかな?」と向き合うお客様の解像度が低い状態で進めていることもあります。
ペルソナは、お客様解像度の低さをカバーして、マーケティング施策を考えるのに適した手法の一つ。
うまく活用できると、「何」を「どう」したらいいのかアイデアの発案から実行までが早くなるので、ぜひ覚えて頂くのがオススメです。
この記事がオススメの方
・ペルソナは「何なのか」を知りたい
・ペルソナの作り方を知りたい
・ペルソナの活用豊富や事例を知りたい
ペルソナとは?
ペルソナとは、簡単に言えば「仮想のお客様」を作り出し、お客様像の共通点を細かくまとめた存在。
どんな商品も、どんなサービスも、求められていない内容を提供したら一切売れません。
必ず「欲しい」と思って頂けるお客様の存在があって、初めて商売は成り立ちますが、実際に「誰」がお客様となってくれるのかは、インタビューやヒアリングなどの調査、実際に対面でお話を伺ったり、時間もコストもかかってしまう。
本来であれば、時間もコストもかけて向き合うお客様が「誰」なのか明確にするべきですが、そう簡単にはいかないので、「仮想のお客様像」を活用して、色々施策を考えていくことで前に進みやすくなる。
ペルソナは法人だけでなく個人でも作れるほど簡単ですが、作り方を間違えると、自分たちの都合のいいお客様像を作り出したり、的はずれなお客様像をペルソナ化してしまう事もあります。
便利だけどデメリットもある?
ペルソナのメリットは、すぐに「仮想のお客様」を作り出し、手探りだった状況が、ある程度方向性を定めて前に進めること。
しかし、どこまでいっても「仮想のお客様」なので、ペルソナを作り出す時に、自分たちの都合のいいお客様像を作ってしまい、失敗してしまうこともあります。
自由度が高いからこそ、間違ったペルソナを作ってしまうこともあり、進んでいたようで実は後退している、なんてことも。
また、市場ニーズが変わっているのに気づかず、時間が経っても同じ情報をずっと参考にし続けていると、競合他社から置いてけぼりにされてしまいます。
扱い方を間違えると、損失に変化するのがペルソナ。
ペルソナへの間違えた解釈
ペルソナを作り、参考にしながら商品・サービスを開発・企画していく機会も多い。
しかし、そもそもペルソナに対して、下記のような認識違いがあると、せっかくのペルソナが何の役にも立たないことがあります。
× ペルソナ=実際のお客様
× ペルソナ=ターゲット
× ペルソナさえあれば市場調査は不要
一つずつ詳しく見てみましょう。
間違い:ペルソナ=実際のお客様
ペルソナは、作り手側が把握している情報から、実際のお客様に近しい存在を作り出して生まれた存在です。
そのため、お客様であって本当のお客様ではない。
たとえば男性・30才・既婚・趣味はアウトドア、こんなペルソナを作った場合、近しい属性を持つお客様に対しては有効かもしれませんが、必ずしもこの属性に合うお客様だけがお客様ではない。
女性だっているかもしれませんし、20代や40代・未婚・趣味はインドアの方もいるかもしれません。
一度作ったペルソナを過信して、お客様と向き合わなくなるのが一番の失策なので、常にお客様のことを考える思考は手放さないようにしましょう。
間違い:ペルソナ=ターゲット
イメージ的に似ている「ペルソナ」と「ターゲット」ですが、明確には違います。
【上位概念】ターゲット:実在、集団、大まかな属性
【下位概念】ペルソナ :仮想、個人、詳細な属性
あえて上位・下位の概念として分けましたが、分類としてはターゲットをさらに細かくしたのがペルソナ。
もう少し分かりやすく、表にしてみました。
項目 | ターゲット | ペルソナ |
---|---|---|
住所 | 東京 | 東京都渋谷区南平台町◯-◯-◯ |
年齢 | 30~40代 | 35歳 |
家族 | 既婚 | 夫・妻・子供1人(小学生) |
仕事 | IT系 | SaaS系企業のエンジニア |
趣味 | アウトドア | 毎週キャンプで各地を巡ること |
ターゲットで大まかに分類して、さらに細かくお客様をイメージしたい時にペルソナを作ります。
最初からペルソナを作るのではなく、ターゲットありきのペルソナが基本。
間違い:ペルソナさえあれば市場調査は不要
業界に対して情報をたくさんもっていれば、ある程度はお客様像が見えている状態のため、そのままの情報・知識でペルソナが作れてしまいます。
仮説を立てたり、たたき台としてのお客様像が必要なのであれば、今もっている情報だけでペルソナを作ってもいい。
しかし、市場の求めていることが変わっていたり、今変わろうとしている状況かもしれないので、過去の情報だけを使ったペルソナ作りは間違いを引き起こす可能性があります。
常に変化し続けている市場を捉えるためには、過去はもちろん今の情報も加えながらペルソナを常に変化させ続ける必要もあるため、市場調査の必要性は高いと言えます。
どんな目的で使う?
ペルソナの活用シーンはとても多く、商品・サービスを提供したい対象者が存在すればどんな時でも使えます。
活用シーンの例
・営業(テレアポリストの作成、資料制作など)
・制作(ウェブサイトのデザインなど)
・採用(応募者の見極め、認知施策の打ち手など)
・経営(市場調査、新規事業の開発など)
・企画(ユーザーインタビュー、提案書作りなど)
・広告(広告媒体選び、広告文の作成など)
多くの業務に対して、ペルソナは有効ですが、たとえば上記のシーンごとで各部署が別々のペルソナを使っていたらどうでしょうか?
施策が一貫せず、得られる効果は低くなってしまう。
ペルソナをメインで使う部署もあれば、あまり使わない部署もあるからこそ、一旦みんなの共通認識を整え、会社として全体を連動させながら行動していくことが、最も成果を出しやすい。(1より10の方が力は強い)
また、一人一人知識も思考も違えば、知っている・想定しているお客様像も変わってくるため、同じ認識の中で活動するために、予めペルソナを用意します。
共通認識・共通点の把握によって、社内全員の思考・行動が揃うと、大きな力となる。
ペルソナの種類
「ペルソナ」という言葉は一つだけですが、その中には種類が存在しています。
たとえば、
商品 :美容への意識が高い人用のオートミール
ペルソナ:女性・25歳・美容雑誌を毎月購入・毎朝オートミールで健康管理
施策 △ SNSを使ってオートミールの認知度拡大
◯ オートミールの美味しさを訴求したテレビCM
◎ 美容系のオートミール特集した雑誌へ広告出稿
× 男性雑誌へ広告出稿
上記のペルソナだと、美容系雑誌への広告出稿が反響も一番高くなりそうですが、そのほかの効果はイマイチになりそう。
しかし、SNSを使ったマーケティングやテレビCMなどは、もっと認知範囲を広げられるため、各施策専用のペルソナを作れば効果は高いかもしれない。
商品自体のペルソナは、男女・年齢・住所・趣味など関係なく、美容・体調を気にした食事を意識しているもっと大勢の人が対象になっているため、ここでお伝えしたいことは、ターゲットから想定したペルソナは、限定した一つの施策(メディアやSNSなど)でしか使えないこと。
商品・施策どちらのペルソナか?
ペルソナはある意味、対象が限定されてしまうので、そのペルソナだけを使ったマーケティングでは市場が小さいため売上を伸ばせません。
企業方針にもよりますが「最初は小さい市場で確実にシェアを獲り後で広げていく。」このような考えであれば、施策に対するペルソナをずっと使い続ける形でも大丈夫。
しかし、商品自体のペルソナは、もっと範囲が広いので、一つの施策用のペルソナだけではスケールしない。
まず商品用ペルソナを作り、施策経路によってペルソナを使い分けていきます。
商品用・施策用のペルソナが一緒になっている場合は、そもそも分類が別なので、施策ごとで違うことを意識するのがオススメです。
施策別にペルソナを用意すると増えすぎて管理できない問題
施策それぞれで、相性のいいペルソナを作った場合、たくさんできあがってしまうため、活用できないことも出てきます。
そのため、キーマンのみに絞っていかなければ、ペルソナ更新・管理で無駄な時間を使うこともある。
活用できる範囲にとどめながら、うまくペルソナとお付き合いできる状態を目指すのがオススメです。
ペルソナの作り方(設計方法)のコツ
ペルソナの意味や用途が分かったら、今度は実際に作ってみましょう。
特定フォーマットに情報を入れながら作るのもいいですが、ペルソナ作りとはお客様の解像度を高める行為でもあるため、すごく大事な作業。
まずは、調査方法や必要情報を確認して、ペルソナ作りの基礎から覚えて頂くのがオススメです。
① 情報収集&ターゲット決め
② キーマンの特定
③ キーマンの状況把握
④ 完璧を目指さない
⑤ ペルソナ化
⑤ カスタマージャーニーで答え合わせ
① 情報収集&ターゲット決め
ペルソナは、上位概念であるターゲットから、深堀りして情報を吟味しながら作られるため、まずはターゲットを決めなくては作れません。
ターゲットを決めることが、ペルソナを作ることに繋がってきます。
ターゲット決めで役立つ情報
・STP分析(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)
・ターゲットとなる企業内情報
・属性情報
・各種アンケート
それぞれ、どんな情報が必要なのか見ておきましょう。
STP分析(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)
STP分析とは、下記3つを順々に行い、誰に対して価値提供するかを見極めるフレームワーク。
STEP1:市場をグループ化(セグメンテーション)
→地域、人口、気候、年齢、性別、職業などでグループ化
STEP2:対象グループを選別(ターゲティング)
→自社の強みが活かせるグループへ焦点を絞る
STEP3:顧客にとっての立ち位置確認(ポジショニング)
→自社にとって目指したい、またはシェアが取りやすいポジションを選ぶ
「どこ」の「誰」に対して価値提供した後に「どう思われたいのか」分かると、自分たちが何をすればいいか動き方が見えてきます。
ペルソナを作る時も、STP分析された情報を活用することで、作りやすくなる。
ターゲットとなる企業内情報
新規事業として新しい市場へ挑戦する場合は違いますが、既存事業やすでに市場が確認されている領域に対して、商品・サービスを提供したいのであれば、今までの企業活動でお客様の情報はたくさん取得できているはずです。
BtoBであれば、企業名・住所・資本金・対応内容・満足度や、営業さんが直にお客様から聞いてきた話などもたくさんある。
その情報から、今回ターゲットに近しい企業内情報を取り出し、まとめておきます。
属性情報
属性情報とは、ある情報に含まれた性質・特徴などを指します。
- ファーモグラフィックス(企業属性)
- ジオグラフィック(地理的な属性)
- デモグラフィック(人口統計学的な属性)
- サイコグラフィック(心理的属性)
- ベヘイビオラル(行動学的属性)
これらの属性情報は、ペルソナを作る上で大事な情報となり、詳細を詰めていくために必要なので、一つずつ確認していきます。
ポイントとしては、「人間」を知るための情報だと覚えておくこと。
ファーモグラフィックス(BtoBの場合は必須)
ファーモグラフィックス(Firmographics)とは、自社にとっての見込みまたは優良企業の属性を表します。
・市場規模
・業態
・創業年数
・従業員数
・関係値(満足度)
・キーマン
・課題
…etc
など、あなたの会社がすでにお付き合いしている売上上位のお客様、またはお付き合いすることで売上が大きく上がるお客様の属性を分類。
なぜファーモグラフィックスが大事かと言えば、たとえば優良顧客となっている企業さんの特徴・共通点を見つけ出し、同じ属性の企業さんを見つければ同じく優良顧客になってくれる可能性が高くなるからです。
将来的に売上を高めてくれるお客様属性も調べておくと、どんな企業さんをターゲットにすればいいのか方針が定まってくる。
今まで、個人単位で行われていた分類を、企業単位で行うことで、さらにペルソナの精度を高めていきます。
ジオグラフィック
ジオグラフィック(Geographic)とは、地理的な属性情報を指します。
・地域
・気候
・人口
…etc
地域特化の商品・サービスであれば、地域特性の情報も必要なのですが、インターネットサービスなど場所・距離に関係ない場合は、ペルソナ作りにジオグラフィックはあまり使わないかもしれません。
デモグラフィック
デモグラフィック(Demographic)とは、人口統計学的な属性情報を指します。(人間に関連した外面的な情報)
・年齢
・性別
・居住
・所得
・職業
・家族構成
・出生
…etc
主に、人に対する共通した属性情報のことで、どんな生活をしているのか、生活水準なども分かり、誰がどのように暮らしているのかペルソナ作りには欠かせない情報。
デモグラフィックの参考:e-Stat 政府統計の総合窓口
サイコグラフィック
サイコグラフィック(Psychographic)とは、精神的な属性情報のこと。(人間の内面的な情報)
・人格
・嗜好
・価値観
・動機
・意見
・興味
・不安
・ライフスタイル
…etc
ペルソナ作りでは、人間の外面的な情報だけではなく、感情や気持ちなど、心の動きも加えていきます。
たとえば人口がどのくらいなのか、年齢は何歳だ、このような情報だけでは、その人が何をどうしたいのか分からず、結果的に曖昧なペルソナしか作れなくなる。
ファーモグラフィックス・デモグラフィックで見た目を整え、デモグラフィックで人間味を与えていく。
3つの属性情報が合わさり、初めて属性情報として十分なペルソナが作れます。
ベヘイビオラル・ビヘイビアル(行動学的属性)
ベヘイビオラル・ビヘイビアル(Behavioral)とは、行動に対する属性情報のこと。
・回数
・頻度
・金額
・時間
・目的
・場所
…etc
オフラインだけでなく、インターネットなどのオンライン上すべての行動データが、数値となって行動学的属性となります。
デモグラフィック・サイコグラフィックなどと組み合わせると、具体的なペルソナが作れるようになるため、行動データが揃えられるなら、ぜひ活用するのがオススメです。
各種アンケート
記憶や自社に眠っている情報を掘り起こしても、たくさんの情報を獲得できますが、それらの情報は「過去」でしかありません。
市場の動きが激しい昨今、過去だけでは未来へ進むための情報としては足りないので、なるべく最新情報も加えてペルソナを作っていきたい。
そんな時に役立つのが下記のアンケート各種。
・デプスインタビュー(1対1の対面インタビュー)
・グループインタビュー(複数人同時の対面インタビュー)
・口コミ調査(SNSなども含む)
・フィールド調査(街頭調査なども)
・webアンケート
…etc
お客様に近しい存在へ各調査を行い、定量(数値化できる情報)と定性(数値化できない情報)を得て、さらにペルソナの具体性を高めていきます。
ペルソナからお客様像がハッキリできればできるほど、具体的な行動が取りやすくなるため、アンケート情報はとても大切。
② キーマンの特定
BtoCであればお客様自身(個人)、BtoBの場合は最終決定者が意思決定を行い、購入・導入を進めていきます。
つまり、意思決定者かそこに近しい人物(キーマン)をペルソナにしなければ、永遠に購入・導入が進まず、売上にも繋がらない。
BtoCは対象を一人(本人の意思で決めるため)だと考えますが、BtoBは行動を起こしている人と意思決定者が別の場合、または複数の関係者の状況によっても変わってきます。
項目 | BtoC | BtoB |
---|---|---|
関係者 | なし | あり |
意思決定者 | 本人 | 意思決定者本人か別の者か |
決断 | 本人 | 関係各位の意見・連携が必要 |
BtoCは分かりやすくていいですが、BtoBの場合は関係者が多かったり、最終的な意思決定者が違うことで、ペルソナを間違えやすい。
そのため、BtoBのペルソナ作りは気をつけるポイントがたくさんあるんです。
BtoBで気をつけるペルソナ作り
BtoBのペルソナ作りで気をつけるポイントは一つ。
キーマンをペルソナ化すること。
役職で考えた時(仮)
決裁権のある「役職」ではなく、継続して携わる人員をキーマンとする。
担当別で考えた時(仮)
継続して携わる担当者・部署が一番の「購入・導入」の推奨者になる。
発言権で考えた時(仮)
継続して携わる担当者よりも「発言権」が大きい人がキーマンとなる。
ペルソナにしたいのは、継続して携わる人か、もしくは発言権が大きくて意思決定に影響を及ぼす人か。
それ以外の人を想定しても、結果的に「購入・導入」は進まないので、ペルソナにする対象者の見極めが大事です。
見極めといっても、想定した人物が各社に存在するかは分からないので、今持っている情報だけではなく、お客様へヒアリングを行ったり追加情報も加えながら、キーマンに当たりを付けてペルソナ化。(参考:間違い:ペルソナさえあれば市場調査は不要)
③ キーマンの状況把握
キーマンを見つけて、その方を想定したペルソナを作る。
これでもいいですが、もしかしたらキーマンに該当する方、実際は「購入・導入」するのに社内障壁があって、なかなか進められない状況かもしれません。
ペルソナの作り手:ペルソナ対象だけを考える
ペルソナの対象 :当事者であるものの関係者が複数いる
もし、ペルソナを作る側が、ペルソナ個人だけを想定して作ってしまった場合、実際とは大きく乖離があって役に立たないペルソナになることもあります。
そのため、ペルソナを作る時は、当事者含めて関係者との相関図を作っておくのもオススメです。
ペルソナを中心とした関係者との相関図
描き方は上記のイメージでなくとも、決裁を取るまで関わる人達にペルソナを深く理解してもらい、伝わればどんな形でも大丈夫です。
なぜ、相関関係を知らせる必要があるかと言えば、ペルソナと言っても、実際にはペルソナを含む人間関係も把握しておく必要性があるから。
たとえキーマンだとしても、その人がどのような状況に置かれているのか、どんなアクションを社内でとればいいのか分からないと、本来の意味でペルソナ化はできません。
前後左右、ペルソナの動きも踏まえて、仮想のお客様像を作ることで、本物のお客様に近づいていきます。
④ 完璧を目指さない
ペルソナ作りでは「完璧を目指さない」ことが、すごく重要なんです。
ペルソナはどこまでいっても「仮想のお客様」であり、実際のお客様とは違う存在。
完璧を目指すなら、1人のお客様へ徹底的にヒアリングし、普段の行動を観察し、職場内の関係値を見極め、趣味嗜好などトコトン調べ尽くさなければいけませんが、そんな時間も、そんなことに付き合ってくれる方もいません。
そもそもペルソナで完璧を目指すことは難しいのです。(市場も変わればお客様もどんどん変わっていく)
最初は50~60%の出来を目指し、実際に商品・サービスを提供しながら、お客様解像度を高めて、ペルソナを調整していくのがオススメです。
⑤ ペルソナ化
情報を集めて、だんだんとお客様像が固まってきたら、ペルソナ化をしてみます。
例:web改善ツールを提供したい企業が作る導入者ペルソナ
▼STP分析
セグメンテーション
→都内、IT業界、従業員数100人以上、年間売上10億以上
ターゲティング
→ウェブサイトあり、デザインが古い、ウェブ担当者がいる、オンライン営業を始めた、web改善ツールは使ってない
ポジショニング
→カスタマーサクセスによる伴走力で成功を後押しできる企業
▼ターゲットとなる企業内情報
優良顧客の共通点として、オフラインからオンラインへ営業の仕方をシフトしている。ホワイトペーパーやウェビナーなど、積極的な取り組みを行っている。
▼属性情報
ファーモグラフィックス
→年間売上10億以上、ITサービス業、オンライン施策が弱い、リーダー職が導入推奨者
デモグラフィック
→30~40代、リーダー職、チームメンバーあり、既婚
サイコグラフィック
→理論より感情派、お客様目線を大事にしている
▼各種アンケート
企業のweb担当者に対してアンケートを実施。
・ホームページを使ったリード獲得に不安を感じている割合が6割。
・ホームページの改善PDCAが回せていない割合が7割。※ 上記の数値は例を出すための架空のものです。
▼キーマンの特定
ホームページの活用に対して課題を感じており、なおかつ自分でコトを起こすことができる決裁権持ちの人物。モチベーションも高く、自分事に感じているからこそ、自ら動いて改善を促したいと考えている。キーマンとして、web担当チームのリーダー職の人物。
▼キーマンの状況把握
リーダーとして社内の他部署にも影響力はあるが、社内として新しいツール導入に関する懸念を持たれている。SaaS系のツールをあまり導入してこなかったために、情報システム部からはセキュリティや情報漏えいが起きないか聞かれており、安全に使えるかどうかの情報も欲しいと思っている。
ペルソナまとめ
企業名 | 株式会社 田中コンテンツ | |
---|---|---|
業界 | コンテンツマーケティング | |
名前 | 田中 太郎さん | |
年齢 | 35歳 | |
役職 | 課長 | |
年収 | 500万円 | |
勤続 | 8年 | |
趣味 | インドアなので読書を主に。 | |
家族 | 妻、子供(1人) | |
住居 | 東京都渋谷区 | |
業務内容 | webデザイン・ライティングなどコンテンツ制作の管理進行。自らも自社媒体メディアで記事を投稿している。そのほかアクセス解析やちょっとしたデザイン業務も行い、チームメンバー5人を抱える組織で働いている。web担当としての社内認知を獲得しているため、自分の部署にホームページ改善の相談がよく入ってくる。 | |
課題 | 今までフィールドセールスを主軸に新規顧客を獲得してきたが、成果が悪くなってきた。また、広告費の増大なども社内問題になっており、インバウンドを強化するためにも、ホームページ回りの改善が急務になっている。また、普段からホームページの改善を受け持つ中で、もっとデータを使った改善でPDCAを早めたいと考えていた。 | |
社内状況 | ホームページ関連を良くしていきたいが、今までやってこなかったので、ツール導入に対して効果を疑う声が多く出ている。導入への意欲はあるものの、社内への説明説得に時間がかかりそう。ただ、今までの実績から部長や社長からは、信頼を勝ち得ているため承諾そのものはもらいやすそう。 | |
業務スタイル | まずは自分から行動して、現場を知ることから始める。部下への指示は少し大雑把な部分もあるが、フォローをしっかりすることで、上司部下間の関係値はよいものになっている。 |
ペルソナは、自分たちの都合のいいお客様像になりやすいため、ファーモグラフィックスなどを活用して、実際のお客様情報をなるべく入れ込み、リアルな人物像を作り上げていきます。
ペルソナを作るスキル
最初から情報を持っていればいいですが、ペルソナを作るために必要な情報は足りないことの方が多い。
一般的な企業だと、何かリサーチをしたり情報を集めるために、予算をかけてしっかり挑むことは少なく、インターネットで拾える無料情報や、手に入れられた情報で作ることが多いのかなと感じています。
そのため、
- 情報収集力
- 想像力
- 理解力
いかにして、少ない情報の中から、対象者のリアルを描けるか。
たとえば、ペルソナは仮想個人を作ることですが、その仮想個人だけではなく、回りの人間関係まで踏み込んで考えられているか。
そこまで考えられず、難しいと思われた場合、そのままペルソナ化を進めると全部が嘘くさくて、企業目線になってしまう可能性もあり、そんな時はペルソナを新たに作る発想ではなく、実際のお客様をペルソナ化する方がオススメです。
ペルソナは作ることが目的なのではなく、お客様を知り、行動を知り、思考を知ること。
ペルソナの活用
ペルソナを作れば、さまざまなシーンで活用できます。
活用シーンの例
対象:BtoC、BtoB
業務:採用、プロダクト開発(IT製品・サービスなど)、マーケティング、デザイン(UI)、体験(UX)、広告、コンテンツ(記事など)
主に、お客様へ向けた商品・サービスを提供する場合、または誰かを引き込みたい(採用など)、社内のスタッフさん以外を相手にしたい時、とても活躍してくれます。
しかし、実際にペルソナを作ったのはいいものの、活用しきれていない場合もあるかもしれません。
そんな時に、改めてどんなシーンで、どのような使い方をすればいいのか、活用の仕方を見てみましょう。
例1:採用ペルソナ
採用時に使うペルソナは、仮想で作り上げたイメージではなく、自社が欲しいと思っている人物像や、活躍している方の共通点をまとめて設計することが多いかもしれません。
しかし、決まりきった人物像ばかりを追い求めていると、多用な働き方の障害になったり、同じような思考の人材が増えてしまって、結果的にイノベーションが阻害されてしまう場合も。
お客様ペルソナと同じく、求職者ペルソナも自社都合の情報だけ入れて、作らないようにしましょう。
例2:プロダクト開発ペルソナ
新しい市場へ挑戦する、すでに競合他社がひしめき合っている市場へ乗り込んでいく。
他にも、既存事業から少し軸がズレた市場であっても、市場が少しでも違えば、お客様が求めていることはガラリと変わり、今までの顧客像が通用しないことは多い。
そのため、プロダクト開発(IT製品・サービス・商品など)をする場合は、改めてお客様を見極めるために、まずたたき台としてのペルソナを作ってみるのがオススメです。
たたき台から、実際にお客様の反応を見ながら調整して、現場で使えるペルソナに育てていく。
もちろん、一度作ったペルソナがずっと使えるわけではなく、ニーズの変化などによってペルソナを更新していく必要もあるため、プロダクト開発では常にペルソナ情報が変わっていくと考えておくといいかもしれません。
例3:デザインペルソナ
webや紙など、デザインが必要なシーンはたくさんあります。
デザインは特に、人の行動に大きな影響を与えるため、行動・感情を理解したデザインを作れれば、成果を高められる。
その逆で、間違った合わないデザインになってしまった場合、成果が無いか、人に間違えた行動を起こさせてしまう場合も。
誰がどんな時にデザインを見て使うのか、実際にデザインを見せながら検証できればいいですが、作る前から配慮したいことなので、ペルソナを活用します。
ペルソナを用いて、どんな反応を示すのか、どのような感情を抱くのか、細かく検証しながらデザイン調整を行ってみましょう。
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ペルソナは「なんとなく」で作れてしまえるため、たくさんの方に使われつつも、活用段階でも「なんとなく」になっている場合もありますよね。
まずは、どこの誰に何をしたくて作ったペルソナなのか、さらに背景(人間関係や感情など)も組み込んで作られているか。
意外と考えることが多かったり、仮想の人物像を作り上げるまで時間がかかったりもするので、改めて知っておきたい情報をまとめてみました。
ペルソナは一度作って終わりではなく、人間が成長するようにペルソナも成長させながら、よきパートナーになれるようアップデートしていくのがオススメです。