NPS導入によって得られた小さな成功事例~8桁利益まで成長~

  • | 公開 2020.09.02

NPSをサービス品質向上のために導入した経緯と、NPSによって生み出された結果などもまとめています。
著者:sugiyama(@osugi_39)

NPS(ネットプロモータースコア)が気になると言っても、最初からお金がかかることはしたくはないですよね。

それに、実際導入をした場合、どんな効果があるのか分からなければ、導入にも踏み切れません。

まずは試してみようかな?と思い、あなたもNPSを調べていると思いますが、私が携わっていたマッチングサービスにNPSを導入したことで、NPSと売上・利益の向上には相関関係があることが分かりました。

小さな成功事例ではありますが、2019年度は8桁の利益を出すことが出来たので、NPSの導入から活用方法をまとめています。

この情報が、あなたのお役に少しでも立てられれば嬉しいです。

NPSとは?

NPSを回答する際のアンケートサンプルの画面図

NPSとは、Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)の略で、お客様からの満足度(信頼・愛着・推奨など)を測る指標のことです。※ お客様からの満足度を、顧客ロイヤルティとも呼びます。

NPSはアンケート形式で回答されることが多いのですが、あなたも見慣れているアンケートは5段階のものが多くないですか?

  • 最悪
  • 悪い
  • 普通
  • 良い
  • 最高

この5段階だと大雑把な評価しかできないのですが、NPSでは0~10点の11段階で評価をしてもらうため、評価幅を広くすることで、アンケート回答者からの本音を引き出しやすく設計されています。

回答された点数にも意味が持たされており、

NPSの評価スコアによって違う意味付けが分かる図
  • 批判者:0–6 (悪い印象を持っている状態)
  • 中立者:7–8 (可もなく不可もない状態)
  • 推奨者:9–10(好感度が高くて信頼を感じている状態)

このように、回答者がどんな想いで回答しているのか意味付けをしており、NPSでは推奨者から批判者の数を引いた数を指標にしているんです。

上位の9点と10点しか良い評価として認めないため、かなり厳しい判定ですが、例として下記の数値を見てみましょう。※ 状況によっては推奨者に該当する評価を8点や7点まで下げる場合もあります。

NPS例批判者中立者推奨者数値
割合30%(30人)10%(10人)60%(60人)30pt

NPSの数値を出すためには、推奨者(%) – 批判者(%) = NPS(pt:ポイント) この計算を行います。

上記の表を使うと、

60% – 30% = 30pt(NPS)

このような計算となり、NPSは30ptとなります。

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社さんが行ってくれたNPSランキングによると、参考:NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社のNPSランキング2020(2020年9月3日時点)

銀行部門
→ ソニー銀行(-24.5pt)

航空会社部門
→ ANA(-6.6pt)

不動産情報サイト部門
→ SUUMO(-26.9pt)

動画配信サービス部門
→ Netflix(3.3pt)

大手携帯キャリア部門
→ NTTドコモ(-55.4pt)

他の部門ランキングもありましたが、結果としては大手だからこそ利用者も多く、プラスになっていることはあまり多くありませんでした。

NPSが唯一プラスになっていたのはNetflixのみ。

この結果から見ても、NPSを向上させることが、いかに難しいかが分かりますよね。

大手で利用者が多いからこそ、顧客満足度の向上が難しいと言えるのですが、逆に小さな事業や組織で運営している場合は、目も行き届きやすく、お客様との距離も近いため、NPS導入の効果が得やすいと言えます。

この記事のタイトルでも書かせてもらった「NPSによる小さな成功事例」を積み重ねるには、小さな事業や組織の方がやりやすいんです。

ただ注意しておきたいのが、NPSは全ての顧客満足を測ることはできないという事実。

NPSは指標としては優秀ですが、これ一つだけでは全ての計測を網羅することはできないため、定量と定性の両方のデータをとって、活用することに意味があります。

NPSのポイントは何点ならいいの?

NPSを取って集計しても、そのポイントが良いのか悪いのかは、なかなか判断できませんよね。

業界やサービス内容によってポイントがプラスになりやすかったり、マイナスになりやすい場合も。

そのため、上記でご紹介させて頂いた、業界NPSランキングなどを指標にして比較をして、あなたの事業のNPSが「良い」のか「悪い」のかを判断してほしいと思います。

マイナスになっていたとしても、単純に悪いとはいえないため、比較をするのがオススメです。

なんで11段階の評価なの?5段階じゃだめ?

お客様にアンケートを回答してもらってNPSを集めますが、日本人は主張が弱いと言われていたり、無意識のうちに争いやネガティブを避ける傾向があります。

さらに、匿名回答の場合もあれば、お客様が誰か分かる状態で回答することもありますが、お客様と企業の接点の多さや、アンケートを回答してもらうタイミングによっても、結果が変わってくることもある。

そのため、一つ一つのNPS精度が低ければ、収集したとしても使えないデータ、または改善の確信に迫れないデータになることもあるので、一つ一つの回答精度を高めるためにも、よりお客様が感じてることが分かりやすい0~10点で範囲を広げた評価にしているんです。

どちらに満足度が寄っているのか確認しやすいのが11段階(0~10の評価)。

なぜNPSが必要なのか?

NPSを使った成功事例や、活用方法に関する情報はたくさん出回っていますが、なんでみんなNPSを導入しようと思うのか。

例えばあなたが、コンビニエンスストアを経営したとします。※ 下記からは、コンビニエンスストアを「コンビニ」と略します。

運営の改善をしたく、お客様からコンビニを利用した際のフィードバックを求めた場合、どのような形でフィードバックをもらいますか?

例① 購入してもらった時の感想を頂く
例② コンビニに入る、商品を見回った、購入した各タイミングで感想を頂く

例①の場合は、コンビニを利用してもらった総合的なフィードバックを貰う形ですが、これだと結果に影響した範囲が広すぎて、何が良いのか悪いのか見当が付かず、改善のための打ち手を見つけにくい。

例②の場合は、コンビニを利用してもらうタッチポイントごとに感想を頂くことで、どこの何が悪いのかが分かりやすく、またそのポイントだけでなく前後関係など、何が影響しているのか見つけやすいです。※ タッチポイントとは、お客様と企業が接触するタイミング全てのこと。

このようにNPSは、提供しているサービスでお客様が感情・行動を動かすポイントごと計測をするため、お客様が何を感じているのか、どうしたいのか現場の温度を感じやすくなります。

しかし、当月の売上を作るには、受注を増やす必要があると思うので、最初のコンバージョン(CV)に関するポイントばかり意識が向けられやすく、後ろの工程になればなるほど熱が冷め、それに影響してサービス品質が下がりやすい。

1度きりの関係であればこれでもいいのですが、お客様と継続的な関わりのもとビジネスが成り立つサービスであれば、最初だけでなく終わりまで、または継続的にお客様との関係性を維持し向上し続けなくてはいけません。

『終わり良ければすべて良し』ということわざもありますが、企業からすれば受注(売上)のタイミングを終わりにしていることが多いですが、お客様との関係性を見直して継続的な関わりを望むのであれば、NPSなどタッチポイントごとで満足度を測る指標を用いて、細かい満足度向上施策をしていく必要があります。

さらに、ポイントごとではなく、NPSで全体を通して細かいタイミングごとに数値を出すと、部分最適化ではなく全体最適化で改善できるようになる。

サービスが改善し、それが売上や利益に変わるのであれば、NPSを導入することにメリットを感じますよね。

NPS導入をメインに取り扱っている企業さんもあるくらい、熱い視線が注がれているため、NPSの必要性が叫ばれていたりします。

メリットとデメリット

NPSを取得することで、売上や利益を増やすための情報にできますが、それでもNPSだけ取得していればいいわけではありません。

メリットとデメリットを十分理解した上での活用がオススメです。

メリット

  • 事業やサービスの課題発見に役立つ
  • 改善の打ち手が見つけやすい
  • 他社が真似できない独自データを取得し資産にできる
  • お客様の温度感が分かる
  • 現場に顧客志向が芽生える
  • 対応スタッフへのフィードバックに活用できる
  • コンテンツ制作などの情報源にできる
  • NPSを取得し続けることで自分達がサービスの推奨者(ファン)となっていく
  • 評価がスタッフのモチベーションとなる 

デメリット

  • 組織のトップや組織で重要視していないと後々陳腐化する
  • 数値を取得することが目的化しやすい
  • 成果が見えづらく比較できるデータが溜まる前に止めてしまいやすい
  • 目的を持ったNPSを取得できていないと改善に活かせない
  • お客様の状況や取得方法によっても回答内容が変わってくる
  • 複数回の回答を求めるため回答数が低くなる

このようなメリットとデメリットがあるため、あなたの事業や組織に合わなければ、導入しても活用できなかったり、無駄なデータを取るために工数もかかってしまう場合も。

NPSの導入をする検討材料と、メリット・デメリットは覚えて頂くのがいいかもしれません。

NPSの導入で得られた売上・利益について

私が携わっていたマッチングサービスへNPSを取り入れた場合、下記のような小さな成功を生み出すことができました。

まずは図と表で、2017年~2019年にかけてのNPSと売上の相関図を見てほしいです。

NPSとして複数のタッチポイントを計測してますが、その中でもお客様が私達に価値を感じてもらわなければ、サービスとして成り立たない重要なタッチポイントの集計結果を出しています。※ NPS以外の回答もお客さまにお願いしていたため、回答後にキャッシュバックを行っている影響で、NPSの数値が高くなっている可能性があります。

2017~2019年までのNPSの推移と売上の相関図
項目2017年2018年2019年
NPS38.7%(31人)9.7%(144人)16.4%(159人)
※ 2017年のNPSの高さは、温度感が高いお客様のみにアンケートを依頼していた影響で数値が高く、NPSの数値が高いわりに売上は低いです。
批判者9.7%(3人)23.6%(34人)23.9%(38人)
中立者41.9%(13人)43.1%(62人)35.8%(57人)
推奨者48.4%(15人)33.3%(48人)40.3%(64人)
※ 弊社保有のマッチングサービスをご利用頂いたお客様から頂いたNPSの回答334件の集計結果

2017年度のNPSは、温度感が高くてアンケートに回答してくれやすそうなお客様を厳選して取得していたので、異常に高いです。

このアンケートの取り方はダメな例なので、2017年度を出すか迷いましたが……やってはいけない例として、自戒を込めて書かせて頂きました。

そして、注目して欲しいのが2018年から2019年にかけて推奨者の割合が約7%もアップできたこと。

たった7%ですが、推奨者である9点と10点の評価を頂くことは難しく、改善度合いとしては大きいのかなと感じています。

実際の売り上げとしては約78%UPと、年間の総利益率は6%から25%へ改善。

NPSだけが要因ではありませんが、NPSを活用し、顧客志向を運営チームが手に入れたことで、売上も利益率も上がりました。

お客様の立場、思考、感情へより近づき、それがサービス品質を高めていく。

NPSを導入し活用できると、全体的なレベルアップに繋がり良い影響が広がっていくため、スモールスタートでNPS導入を検討して頂くのもオススメです。

NPSの「導入」と「活用」の方法

私自身、NPSの導入は初めてでしたが、実行したことをまとめてみました。

NPSの「導入編」と「活用編」の2つに分けています。

もちろん、私の状況とあなたの状況は違うため、書いた内容が完全に合うわけではないですが、参考として見て頂ければ嬉しいです。

導入方法(流れ)

NPSの導入に当たり、まずは進め方や流れを見ていきたいと思います。

  • 1. 責任者と現場がNPSを理解し重要な指標だと意識する
  • 2. アンケートの取得タイミングを考える(設計)
  • 3. アンケートの取得方法を考える
  • 4. アンケートの実装
  • 5. アンケートの集計
  • 6. アンケートの改善

特に数万人などが利用している大きな事業やサービスではなく、小さな事業または新規サービスであり、尚且つ、お客様に向き合った運営方針なら、トライ&エラーで進み改善しながら合わせていく形がいいかもしれません。

私の場合は、いきなりシステム化をしたのではなく、Googleフォームや手動でアンケートを送付したり、かなり人力でNPSの最適な取得方法を探しながら行ってきました。

1. 責任者と現場がNPSを理解し重要な指標だと意識する

NPSの導入でもっとも大切だと言えるのが、当事者がNPSの価値を理解し、事業にとって必要な存在だと認識することです。

NPSを正しく運用できれば、事業を好転させる大きな変革を生み出すことも可能。

しかし、NPSを入れるか検討、または初めて導入する場合は、その効果に対して半信半疑となり、うまく運用することができなくなる場合もあります。

NPSを取り込み、事業の大幅なレベルアップを望むなら、あなただけでなく、関わるメンバー全員がNPSへの意識をすることが必要です。

「NPSがもっとも売り上げに関与する数値だ」くらいの気持ちを持っていただくのでもいいかもしれません。

あなたがNPSを活用したいと考えているなら、

  • 責任者がNPSを重要視していることをメンバーに認知させる
  • NPSを文化として日常に取り入れる

この2つを意識して頂くのがオススメです。

注意事項

NPSを自分事として意識できなかった場合、NPSの運用やデータ取得も意味が無くなります。

NPSはお客様の「感動」「満足」「推奨」など様々な心理的感情を表すバロメーター。

もし、NPSを無視するということは、お客様の感情に寄り添わず、自分勝手な事業またはサービスになっていき、結果的な売上も利益も増やせなくなります。

事業やサービスの多くは、お客様から直接、またはお客様に関わる人からお金を頂くことになるので、NPSを見ないと、お金を払ってくださる方のことも見ないことに。

お客様を見ずに進んでいけば、どうなるかすぐ分かりますよね……結果的に事業撤退などが起こる場合だってあります。

NPSを導入することの意義は、ワンピース風に言えば「真の顧客志向に僕たち(私たち)はなる!」と、宣言するのと同じなんです。

それだけ大切な指標の一つなので、導入の前に、関わるメンバーが自分事として意識できるような体制を作って頂くのがオススメです。

私の場合は、ここがなかなかうまく行かず、苦労しました…。

2. アンケートの取得タイミングを考える(設計)

実際にNPSを導入しようと思った場合、どのタッチポイントでNPSを取得するのか、どんな文言を使うのか設計が大事。

回答をしてもらう方法、回答してもらうタイミングなど、予め決めてもらった方があとで楽になります。

まずは例として、インターネットサービスに申し込む場合のタッチポイントから、アンケート設計をしてみたいと思います。

アンケートの取得タイミングを考える(設計)が分かる図

この図を見てもらうと、企業とお客様が関わるポイントがいくつもあることが分かりますよね。

本当だったら、それぞれのポイントで集計をしたいですが、何回もアンケートに答えてもらうのはお客様の負担になる場合もあるため、必要なタイミングでのみ集計。※ 回答のしてもらい方や、インセンティブなどを用意することで、たくさんのタッチポイントでNPSを回収することもできます。

また、それぞれのタッチポイントで、プラス評価寄りなところもあれば、マイナス評価寄りの部分もある。

そのタッチポイントが影響してお客様体験の価値が低くなっていますが、意識しておきたいのは、そのタッチポイントだけが悪いのではなく、一つ前のタッチポイントが関係して、低評価になっている場合も。

例えば前のタッチポイントで「次回はこれができます!」と言われたのに、実際にはできなかった。

このように、前のタッチポイントの影響や、体験価値を損なうような運用または仕組みになっていた場合、マイナス寄りな評価になったりするんです。

もし、一つのタッチポイントしかNPSを取得していなかったら、この原因にも辿り着くのが遅くなった、またはたどり着けない場合だってあります。

そのため、因果関係が分かりやすいポイントを見定め、アンケートを回収できるように設計が必要。

部分的なNPSを取るより、一人の人が一貫して辿るフローの中にアンケートを盛り込み、一連の流れの中で回答を頂いた方が、より大事なデータが集まります。

注意事項

NPSを取得するため、お客様にアンケートをお願いしたいと考えるのは、正直言ってお客様にとっては負担でしかありません。

選択項目が少なかったとしても、お客様が望んでない「アンケート回答」という手間が発生するため、不利益と感じられてしまっても、仕方ありませんよね。

しかし、NPSは品質向上や改善をするためには、とても大事な指標です。

NPSは、他社が絶対に真似できない、あなただけのデータ(資産)となるため何としてもこのデータが欲しい……それならば、お客様に回答するメリットを感じてもらえるよう考えるのがオススメ。

例えば、

  • 無料ではなくキャッシュバック有り
  • お客様の回答内容が「こんなにも役立っている」と説明を入れる

このように、お客様が回答することに対して、何かしらのメリットを感じられる内容をつけてあげます。

また、キャッシュバック有りなどにすると「キャッシュバックがもらえるから」と思い、無意識に評価を高くするお客様も中にはいるかもしれません。

そのため、アンケート回答画面に記載する文言に気を配り、一定のNPSが取得できる形を考えておきましょう。

3. アンケートの取得方法を考える

アンケートの設計が終わったら、実際にどのような形でNPSをお客様から頂くのか考えていきます。

取得する内容は、

  • 定量:0〜10の評価
  • 定性:評価の理由

満足度を示す数字的な評価と、お客様の主観によるコメント情報の、最低限2つを頂けるような形にします。※ 定量とは、数字で表すことができる情報。
※ 定性とは、感情やその時感じたことを表した情報。

定量と定性の情報をセットにして頂くことで、評価した意図を探っていくことが大切。

アンケート項目は少ない方がいいのですが、お客様から頂ける情報は価値が高いため、キャッシュバック有りにして、その他の項目も聞き出すのもオススメです。(実際に私はこの方法で色々な情報をお客様から頂いてました。)

そして、どのような方法で取得するかと言えば、

  • フォームにアクセスしてもらって回答
  • 電話で回答してもらう

主にこの2つの方法で取得していきますが、例えばインターネットが不慣れたお客様に対してはFAXを使って頂いてもいいですし、ダイレクトメール(DM)を用意してQRコードを読み込んで、フォームの画面に遷移してもらう。

情報をいただければ何でもいいので、お客様に合う形で無理なくNPSを頂ける方法を考えていきましょう。※ お客様情報の一覧が見れるシステムを使っているならば、システム化する形でもいいと思います。

注意事項

方法は何でも良いとは言いましたが、NPSを事業成長のための大事な情報だと位置付けたのであれば、継続して何人にもNPSを取得していきますよね。

しかし、NPS取得に手間と時間が掛かりすぎるのもよくありません。

やり始めは勝手も分からないと思うので、かなり人力でアナログな形でも大丈夫なのですが、ずっとその形で進めていくと、お客様が多くなった時に対処しきれなくなります。

アンケートの取得方法は、状況に応じて変えていくことで、現場の負担も減っていくため、その意識を持ちながら考えて頂くのがオススメです。

4. アンケートの実装

NPSを回答してもらうためのアンケートを実装していきますが、出来るだけ初めは簡単な方法で取得するのがいいと思います。

いきなり大規模なシステム化をしたり、システムに組み込んで行うと、時間もかかりますし費用も必要です。

そのため、

  • Googleフォーム
  • 既存のアンケートシステムに項目を追加

このように、もしフォームが無ければGoogleフォームで行い、すでにお客様の管理システムやアンケート配信システムがあれば、NPSの項目がすぐに追加できる場合に限り、システムの調整で実装してもらうのがいいと思います。

私の場合は手動で、GoogleフォームのアンケートURLをお客様に送っていました。

小さい事業やサービス立ち上げの時期などは、他にお金もかけられないのと、効果も分からないのに予算もとれないので、現状出来ることを活用して実装するのがオススメ。

wordpressで作ったオウンドメディアを、事業・サービスの集客窓口にしている場合は「WP-Polls」などのwordpressプラグインでもアンケートは簡易実装できるので、試して頂くのもいいかもしれません。

5. アンケートの集計

アンケートで回答してもらったNPSを集計します。

Googleフォームを利用したのであれば、スプレットシートのグラフを使って集計結果をまとめるのも見やすいです。

集計内容は主に、

  • 批判者の割合は?
  • 中立者の割合は?
  • 推奨者の割合は?
  • コメントで言及されている内容をグルーピング

リアルタイムで集計するのが理想ですが、NPS導入したての時には、なかなか時間を確保するのも難しい…。

しかし、日別や週間でやっておきたいですが、難しいなら無理をせず、1ヶ月ごとでまとめていきます。

NPSなので、それぞれの割合を調べるのは通常のことだとして、入力形式のコメントでもらった回答に関しては、分解して集計をしておくのがオススメ。

コメントは、お客様の主観で書かれた情報なので、そこにはお客様の感情がより反映されています。

「何を感じたのか?」
「何を思ったのか?」

言われたことを、そのまま受け取るのではなく、その感情や言葉が出た背景・意図を考えるのが大事なポイント。

これはユーザーさんの検索意図の理解に努めてコンテンツを作ると、品質が高いコンテンツが出来上がるのと一緒の考え方ですね。

背景・意図を考えるためには、

  • 似ている言葉でグルーピングする
  • その言葉が出た前工程ではどんな評価だったのか確認
  • 文脈を把握して理解に努める

特に、どこが言及されているのか「言葉のグルーピング」が厄介なので、テキストマイニングと呼ばれる、単語や文節の区切りから情報を抽出する方法があり、私の場合はAIテキストマイニング(ユーザーローカルさん)のサービスを使わせてもらっています。(2020/9/4時点は無料で利用可能)

また、集計したタッチポイントで言及されているコメントが、該当のタッチポイントではなく、その前工程にあたる部分、または次のタッチポイントへ移行することに対して、お客様の感情や意識が向けられている場合もある。

そのため、NPSの集計は全体的に行い、部分的な思考に囚われないようにする必要があるんです。

NPS集計では「木を見て森を見ず」にならないよう、気を付けるのがオススメです。

6. アンケートの改善

アンケート回答をお客様にお願いしていくと、

  • 回答率が低い
  • 回答内容の精度が悪い

こんなことがよく起こります。

初めから何でもうまく進むことは少ないですよね…アンケートを使ったNPSの取得も同じことが言えます。

回答率が低い原因は?
→ アンケートが回答しにくい説明になっている
→ アンケートを回答したいと思えない(上から目線、無理やりなど)
→ 何にアンケートが使われるか分からないため回答控えがされている
→ そもそもアンケートに気づいてもらえていない
→ アンケート回収方法の運用がうまくいってない
→ アンケートの内容が多すぎる
→ いつまでに回答すればいいのか分からない(そのまま忘れる)

回答内容の精度が悪い原因は?
→ 何を回答してもらいたいのか意図が伝えられていない
→ 回答がしにくい形になっている
→ 誤解を生むような説明をしている
→ 専門用語だらけで理解されていない

お客様の時間をわざわざ使って頂き、回答を得ているため、まずは感謝の気持ちを持つことが大切。

その上で、お客様に気持ちよくアンケートを回答してもらえるよう、改善をしていくことで、NPSに必要なデータをより集めることができるようになります。

 

活用方法

NPSを導入する理由は、お客様からどのくらいの満足度(推奨度)を得られているのか確認すること。

しかし、NPSを測るため、お客様に回答頂くアンケートのデータは、さまざまな事に有効活用できます。

  • 事業またはサービスの改善
  • スタッフへの評価(モチベーションUPなども)
  • お客様状況の自分事化
  • コンテンツ作りの情報源(統計データやランキングなども)

そして何よりも、NPSのデータは他社が真似できない、あなただけの資産とすることができます。(かなりのポイント)

本来の目的はNPSを測ることですが、集めた情報は、事業そのものに対して、大きなインパクトを与える存在。

ぜひ活用して、どんどん活用していただくのがオススメです。

事業またはサービスの改善

NPSのデータは、お客様が辿る一連の各タッチポイントごとで集計されます。

始まりから終わりまでを通して、良いのか悪いのかを調べることができ、何が悪いのか一目瞭然に。

例えば何かを改善したい時、

  • 何を改善したらいいのか分からない
  • 原因が見つけられない

このように、気づくキッカケが無かったり、原因を探す時間を無駄に使ってしまうことも多いですよね。

NPSを各タッチポイントで測っておけば、何が悪くて、何が影響しているのか、比較的問題や課題にたどり着きやすくなります。

そして、お客様から頂く回答を読み解けば、何を改善すればいいのかも見えてくる。

NPSのデータだけを完全に信用してしまうのは危ないですが、それでも事業改善にとって、必要な情報になることは間違ありません。

スタッフへの評価

事業やサービスでは、多くのスタッフさんが関わっていますよね。

最初にお客様とお話しする営業さん、次にサポート役のスタッフさん、その後ろには経理や総務などスタッフさんを支えているスタッフさんもいる状態。

お客様があなたの事業と関わりを持つ時、表面的には営業さんやサポートスタッフさんが関わっていますが、見えない部分で助けてくれている人がたくさんいます。

NPSは、タッチポイントごとでアンケートをとるので、誰がどの部分で関わっているのかも分かりやすくなる。

そのため「この部分のお客様評価が高いのは〇〇さんのおかげだね」と、成果と評価を結び付けやすくなるんです。

例えば、お客様の支払いのタイミングで評価が高いと、総合的な事業への満足度の他に、経理の迅速な処理も、満足度の中に含まれてきますよね。

このように、実際の成果とスタッフさんの評価を結び付けやすくなることで、人事評価にも活用できますし、給料の査定にも反映できる。

これらがスタッフさんのモチベーションに繋がることもあるので、NPSの活用方法は色々あると言えます。

お客様状況の自分事化

お客様から頂く評価を、常に感じ続けられる状態に整えるのがオススメです。

直接お客様に関わる人もいれば、関わらない人もいる。

これだと、フロントに立つスタッフさんと、バックで動いてくれているスタッフさんの温度差もでてきます。

もし温度差に大きな違いがあると、

営業側「お客様がこんな事がしたいと言ってるんだけど…。」
制作側「それはルール上無理です。」

このように、一緒になってお客様に向き合うのではなく、自分の仕事の範囲を守ることに意識が向けられてしまい、結果的にお客様満足も低くなる。

しかし、お客様から頂くNPSの回答を常に受けとれる、または見れる状態を作っておくと、お客様状況や感情を身近な存在に捉えることができ、他人事ではなく自分事としてモノゴトを見れるように意識が変化していきます。

お客様の状況を自分事として考えられるようになると、

営業側「お客様がこんな事がしたいと言ってるんだけど…。」
制作側「そうですね、それならこんな方法はどうですか?」

建設的な会話に自然となり、状況を解決していける。

事業やサービスの品質を高めるためには、中で働くスタッフさんたちの意識が大きく関係してきます。

NPSのデータは「顧客志向の自分事化」という意識改革も起こせるんです。

コンテンツ作りの情報源

オウンドメディアの運営にとって、これほど貴重な情報はないかもしれません。

各タッチポイントごとでお客様の満足度を測り、一連の流れの中で、お客様の感情指数の変化を読み取れるようになります。

そうなると、キーワードマーケティングでコンテンツを作るのではなく、お客様が本当に求めている情報からコンテンツを作れるようにもなる。

他にもコンバージョンや成約に結び付く、お客様のキッカケなどにも見当が付くようになり、オウンドメディアの改善が早まります。

NPSのデータは、漏れなくコンテンツ作りに活かしてもらうのがオススメです。

NPSのよくある質問と回答

NPSに関して、私自身が感じた疑問や、よくある質問と回答も用意してみました。

NPSって本当に効果はあるの?

NPSは単純にお客様の満足度(推奨度)を測るためだけの情報ではありません。

取得したデータから、事業改善やスタッフさんの意識改革、またはコンテンツ制作など、さまざまな活用ができることで、さらに売上や利益を伸ばすこともできる。

事業の好転のキッカケを作り出してくれるため、NPSの導入がオススメです。

NPSを計測したらマイナスポイントだった、これは悪いの?

業界によっても、プラスになりやすかったり、マイナスが普通の場合もあります。

まずはあなたの事業でNPSを集計したあと、他社や業界ごとのNPSを確かめて比較するのがオススメです。

NPSの専門家がいなくても導入できる?

NPSを専門としている企業さんもいますが、スモールスタートするのであれば、専門家は必要ないと思っています。

その効果を実感できなければ、継続も実行していくための予算の確保もできない。

まずはあなた自身でNPSを理解し、試して頂くのがオススメです。

しかしながら、数万人など多くのお客様を対応するような大きな事業にNPSを取り入れるのであれば、また話が違ってくるため、スモールスタートができないのであれば、専門家をアドバイスを受けて頂き進める方がいいかもしれません。

NPSの回答が集まらないのはどうして?

あなたの事業や、あなた自身に対して、とても好感度を持ちファンとなってくれていれば別ですが、そもそもアンケートはお客様からしたら、余計な手間を増やす迷惑なお願いでしかありません。

そんな状況の中、回答してもらうのはハードルが高く難しいと言えます。

しかし、アンケートをしてもらう理由を分かりやすく伝えたり、お願いする際の文章の改善を行うことで、回答率を高められます。

今現在の回答率が低いからと言って諦める理由にはならないため、ぜひ色々なパターンでお客様にアンケート回答をお願いしてみましょう。

NPSの取得に特別なシステムは必要?

すでにシステムを組んで、お客様の対応をされているのであれば、その中にアンケート機能を追加していただく。

もしくは、テストとして導入を考えているのであれば、Googleフォームなどの簡易アンケートツールを使ってNPSを取得する形でも大丈夫です。

いきなり本格的なお金もかかるNPS運用などは難しいと思うので、できることから始めて頂くのがオススメです。

最後に。

私自身が実際にNPSを導入して感じたことや結果を踏まえて書いてみました。

少し、自分の理想論なども入っていますが、それだけNPSには事業の未来にインパクトを与えると思っています。

NPSの導入で不安を少しでも感じられていたら、まずはスモールスタートで始めてみるのがオススメですよ。
著者:sugiyama(@osugi_39

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