
いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。ホワイトペーパーをいざ作ろうと思った時、1本?2本?3本?どのくらいの量を作ればいいのか、考え方を確認していきましょう。
「ホワイトペーパーって、一体何本くらい持っていればいいんだろう?」
マーケティング活動でホワイトペーパーを活用しようと思ったら、当然この疑問が浮かんできますよね。
実はこの問いに対する「正解」や「平均的な本数」はありません。
なぜなら、会社・事業の状況によって全く違うからです。
「他の会社が何本持っているか」を気にする必要は全くありませんし、それよりも大切なのは「あなたの会社が、お客様のために何本のホワイトペーパーを用意すべきか」を考える思考と視点です。
この記事では、ホワイトペーパーの本数をどう考えるべきかをまとめているため、参考になれば幸いです。
- 目次
- ホワイトペーパーの「何本あればいいか」には決まった答えがない
- ホワイトペーパーの本数によるメリットとデメリット
- 生成AI時代だからこそホワイトペーパーが「リード獲得」のカギを握る
- 自社のマーケティング状況により重視すべきホワイトペーパーの「方向性」は変わる
- ホワイトペーパー制作の「費用」も会社の状況に合わせて考える
- まとめ
ホワイトペーパーの「何本あればいいか」には決まった答えがない
「ホワイトペーパーは、会社としてどのくらい持っているべきか?」
この議論には、そもそもあまり意味がありません。
例えば、お客様が抱えている課題がたった一つだとします。
その課題を解決するためのホワイトペーパーが1本あれば、それで十分ですよね。
しかし、もしお客様が3つの課題を抱えているのであれば、それぞれの課題に合わせたホワイトペーパーが3本あった方が、お客様にとっても分かりやすいはずです。
逆に、お客様方が10も20も課題を抱えているのに、たった1本のホワイトペーパーでそのすべてを解決しようとするのは非常に難しく、たとえ1本にたくさんの情報を詰め込んだとしても、すべてをじっくり読んでくれるとは限りません。
情報が多すぎると、「結局何が一番大事なの?」と混乱してしまい、内容を深く理解してもらえない可能性の方が高くなります。
結論を言えば、持っておくべきホワイトペーパーの本数に決まりきったものは存在しておらず、自社のお客様の課題数に合わせて増やしていくのが良いと私は考えています。
ただし、最低でも10本くらいは用意しておくと、色々な場面で役に立つことが多いです。
なぜ、最低10本くらいは必要と言えるのか?

「最低10本」と聞くと、「そんなにたくさん!?」と驚かれるかもしれませんね。
しかし、これにはちゃんとした理由があります。
ビジネスにおいてお客様がサービスを導入するまでには、いくつかの段階があります。
フェーズ① 課題に気づいていない、または無意識で感じている段階
フェーズ② 「何となく困っているな」と課題を感じ始める段階
フェーズ③ 「どんな解決策があるんだろう?」と情報を集める段階
フェーズ④ 「いくつか候補が見つかったけど、どれがいい?」と比較検討する段階
フェーズ⑤ 「よし、これに決めよう!」と最終的な判断をする段階
それぞれの段階で、お客様が知りたい情報は全く違いますよね。
例えば、まだ課題を感じ始めたばかりのお客様に、いきなり自社の製品の細かい機能説明をしても響きませんし、逆に比較検討段階のお客様は、他社製品との違いや導入事例を知りたいはずです。
このように、お客様の状況や興味の度合いに合わせて、様々な切り口のホワイトペーパーを用意しておくことで、より多くのお客様と接点を持つことができます。
一般的なBtoB(企業対企業)ビジネスにおいて、お客様がよく興味を持つテーマとしては、以下のようなものが挙げられます。
これらのテーマを参考に、まずは多様な切り口で10本程度のホワイトペーパーを制作することを目標にすると、マーケティング活動もしやすいです。
本数 | テーマ | 説明 |
---|---|---|
1つ目 | 課題解決型 | 「人手不足を解消するDX推進の具体策」「営業効率を劇的に上げる方法」など、お客様が抱える悩みに直接アプローチする解決策。 |
2つ目 | レポート型 | 「〇〇業界の最新動向と今後の展望」など、お客様が関心を持つ業界の全体像や将来性に関する情報。 |
3つ目 | 事例型 | 「〇〇を導入した企業の成功事例:売上20%アップの秘訣」など、実際にサービスを使ったお客様のリアルな声や成果。 |
4つ目 | 製品・サービス型 | 「他社比較!失敗しない〇〇選びのポイント」など、競合製品と自社製品の比較で、自社の強みをアピール。 |
5つ目 | データ型 | 「〇〇導入で年間100万円削減!具体的な試算」など、コスト削減や売上向上といった具体的な数字でメリットを示すもの。 |
6つ目 | 最新技術型 | 「今さら聞けないAIの基礎知識とビジネス活用法」など、新しい技術や概念を分かりやすく解説。 |
7つ目 | 料金型 | 「〇〇サービスの料金表」など、費用についてまとめられた資料。 |
8つ目 | よくある質問・回答型 | 「〇〇サービス導入に関するQ&A:費用から運用まで徹底解説」など、事前に疑問を解消しておくための資料。 |
9つ目 | キャンペーン型 | 「無料トライアルで〇〇を体験!導入効果を実感する方法」など、実際に試してもらうための誘導。 |
10つ目 | イベント案内型 | 過去に開催したオンラインセミナーの資料や動画など、見逃した方向けの情報提供。 |
ホワイトペーパーの本数によるメリットとデメリット
ホワイトペーパーの本数が多い・少ないによって、それぞれ良い面と悪い面があります。
どちらの状況でも困ることがあるので、あなたの会社にとっての最適な本数を考える上で、ぜひ参考にしてみてください。
本数が多いメリット
見込み顧客との接点が増えリード(見込み客)獲得につながりやすい
様々なテーマのホワイトペーパーがあれば、それだけ多くのお客様が興味を持ってダウンロードしてくれます。結果として、あなたの会社のサービスに興味を持つ「見込み客」の情報をたくさん集めることができます。
どのテーマが人気かデータが取りやすい
たくさんのホワイトペーパーを公開すれば、「このテーマはダウンロードが多いな」「こちらのテーマはあまりダウンロードされないな」ということがデータとして見えてきます。これは、今後どんなホワイトペーパーを作れば良いのか、どんな情報がお客様に求められているのかを知るための大切なヒントになります。
自社以外のメディアにも展開しやすい
作成したホワイトペーパーは、自社のウェブサイトだけでなく、外部のメディアや情報サイトにも掲載してもらいやすくなります。これにより、より幅広い層に情報を届けることができ、さらに多くのリード獲得につながります。
リスクを分散できる
もし1本のホワイトペーパーに力を入れて作ったとしても、それがお客様に響かなかった場合、時間も労力も無駄になってしまいます。しかし、何本か用意しておけば、たとえ1本がうまくいかなくても、他のホワイトペーパーで成果を上げることができます。
本数が多いデメリット
制作には専門的なスキルやノウハウが必要(リソースの問題)
ホワイトペーパーを作るには、お客様の課題を深く理解し、それに対する解決策を分かりやすく文章にまとめるスキル、そして見やすいデザインに落とし込むノウハウが必要です。これらを社内でまかなうには、時間や人材といった「リソース」が大きくかかります。
リソースがなければ増やせない外注するとコストがかかる
社内にホワイトペーパーを作るための人材や時間がない場合、外部の専門業者に依頼することになります。しかし、これを単なる「コスト(費用)」と考えてしまうと、必要な本数を増やしにくいという問題が出てきます。ホワイトペーパー制作は、未来の売上につながる「投資」と考えることが大切です。
社内での活用方法が理解されず機会を逃してしまう
せっかくホワイトペーパーを作っても、社内の営業担当者や他の部門が、それをどのように活用すれば良いのか理解していないと、宝の持ち腐れになってしまいます。結果として、お客様との接点を増やすチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。
生成AI時代だからこそホワイトペーパーが「リード獲得」のカギを握る
実際にホワイトペーパーを用意したと、お客様にはダウンロードを促していきます。
その方法として一般的なのは、ブログ記事で集客することですが、昨今の状況を考えると、非常に厳しいと言えます。
Googleなどの検索エンジンで情報を探すのが当たり前だったこれまでと違い、最近では「生成AI」の登場によって、情報の集め方が大きく変わってきています。
これまでは、お客様が何か情報を知りたいと思ったら、検索エンジンでキーワードを入力し、たくさんのブログ記事の中から自分で選んで読んでいました。
しかし、生成AIに質問すれば、その場で瞬時に答えが返ってくる時代、わざわざたくさんの記事の中から選ぶ手間がないのです。
こうなると、単にブログ記事を集客するだけの目的で考えていると、お客様の「知りたい」気持ちを満たして終わりで、せっかくのつながりをムダにしていることにも
お客様がウェブサイトに来てくれたとしても、そのまま何もせず立ち去ってしまったら、本当にもったいないことをしています。
このままの状況では、せっかく集客してもホワイトペーパーからの「リード(見込み客)獲得」にはつながりません。
知らない ⇒ 認知が取れる(記事) ⇒ 終わる
知らない ⇒ 認知が取れる(記事) ⇒ ホワイトペーパーの存在を知る ⇒ ダウンロード(リード獲得)
このように、ブログ記事で興味を持ってもらったお客様に対して、「もっと詳しく知りたい」と思わせるようなホワイトペーパーを提示することで、お客様の連絡先(リード情報)を獲得し、次のステップにつなげることができます。
特にBtoBビジネス(企業対企業)においては、この「リード獲得」が次の商談へと進むための非常に重要なステップとなっている。
だからこそ、生成AIの時代において、少ないアクセス数でも確実にリードを獲得できるように、「1つのブログ記事に対して1つのホワイトペーパーをセットで用意する」考え方が、これからの集客・リード獲得の常識になっていくと考えています。
自社のマーケティング状況により重視すべきホワイトペーパーの「方向性」は変わる

ホワイトペーパーの本数を考える上で最も大切なのは、あなたの会社のマーケティング状況を正確に把握すること。
なぜなら、会社・事業のフェーズ(段階)によって、ホワイトペーパーに求める「方向性」が変わってくるからです。
大きく分けて、以下の3つのフェーズが考えられます。
フェーズ①:ノウハウがない段階(量を重視)
フェーズ②:体制がある段階(データを重視)
フェーズ③:質を追求する段階(ブランド価値を重視)
それぞれのフェーズによって、求められるホワイトペーパー数の考え方も変わるので、確認していきましょう。
フェーズ①:ノウハウがない段階(量を重視)

状況:これからホワイトペーパー制作を始めたいけど全く分からない…
もしあなたの会社がこのような状況であれば、まずは「量」を重視してホワイトペーパーを制作することがおすすめ。
ノウハウがない状態で、いきなり完璧なホワイトペーパーを作ろうとすると、どうなるでしょうか?
- 「どんな内容がお客様に求められているんだろう?」と悩みすぎてなかなか制作が進まない
- 時間も費用もかけて作ったのにお客様のニーズからズレてほとんどダウンロードされない
- ダウンロードされないのでその後の営業活動(インサイドセールス)にもつながらない
- 結果としてデータが何も貯まらず成果が見えない
このような状況では、社内であなたの立場も悪くなり、マーケティング予算を減らされたり、厳しい追求を受けたりと、次のマーケティング活動に進めなくなってしまう可能性があります。(これはとっても大きなリスクです…)
だからこそ、このフェーズではまず「作る」ことを優先に考えましょう。
完璧でなくても構いません。
まずは量をこなすことで、お客様の反応を見ながら、どんなホワイトペーパーが求められているのか、どんな表現が響くのかといった「ノウハウ」を蓄積していくことが目的です。
この段階では、1本あたりの制作費用を抑え、数をたくさん作れる方法を検討するのがコストパフォーマンスが良いと言えます。
見た目よりも、誰に対してどのようなホワイトペーパーを提供すれば反応があるのか、テーマ性を重視します。
フェーズ②:体制がある段階(データを重視)

状況:ホワイトペーパーを活用してある程度の成果を出せてきた
いくつかホワイトペーパーを制作し、社内に制作のノウハウや流れ(フロー)が整ってきた段階。
このタイミングでは、単に量産するだけでなく、ホワイトペーパーがどれだけの成果を出しているのかを具体的に考えていく時期に入ります。
項目 | 説明 |
---|---|
ダウンロード率 | 資料掲載ページに対して何人のお客様がホワイトペーパーをダウンロードしてくれたか |
商談への転換率 | ダウンロードしてくれたお客様のうち、何人が商談につながったか |
契約への転換率 | 商談につながったお客様のうち、何人が実際に契約してくれたか |
これらのデータを細かく検証し、「どんな内容のホワイトペーパーが、最終的な契約につながりやすいのか」を突き詰めていくことが重要です。
また、ホワイトペーパーを公開するチャネル(場所)によっても、得られるデータや成果は変わってきます。
例えば、自社サイトからのダウンロードと、外部のメディアからのダウンロードでは、お客様の質やその後の反応が当然別ものになる。
そのため、最適なチャネルの選択も含めて、様々なデータを分析していきましょう。
このフェーズでは、量より質へと徐々にシフトし始め、一つ一つのホワイトペーパーがより効果的に機能するように改善を重ねていきます。
フェーズ③:質を追求する段階(ブランド価値を重視)

状況:どこの誰にどんなホワイトペーパーを提供すればいいか理解している
社内に十分なノウハウが蓄積され、ホワイトペーパー制作のためのしっかりとした体制も整った段階です。
ここまで来ると、むやみに量を増やす必要はなくなり、このフェーズで重視すべきは、「質」。
商談や契約に最も近い、つまり最終的な売上につながる可能性が高いホワイトペーパー作りを目指します。
単に情報を伝えるだけでなく、会社のブランド価値を正しくお客様に理解してもらうことが重要となり、伝えたいメッセージ(言語化)と、それを形にする(具現化)の精度をこれまで以上に高めていきます。
そして、このフェーズにきて初めて「見た目のデザインにも力を入れる」段階に入ります。
それまでのフェーズでは正直なところ、見た目にそこまでリソース(時間や費用)を割く必要はなく、内容がしっかりしていれば十分。
しかし、この最終フェーズでは、デザインの力で会社の信頼性・権威性・希少性を伝えることが、とても重要な要素となります。
ホワイトペーパー制作の「費用」も会社の状況に合わせて考える
社内でホワイトペーパーを制作できれば一番良いのですが、多くの会社ではなかなかそうはいきません。
なぜならば、ディレクション・戦略策定・調査・企画・構成・台割・文章・デザイン・改善など、ホワイトペーパー1つ作るにしても、さまざまなスキルを求められるからです。
そうなると、外部の専門業者に「制作代行」を依頼することを検討することも大事ですが、ここで注意したいのが「費用」の考え方。
例えば、単純に下記の選択したあったとします。
ホワイトペーパー1本50万円
ホワイトペーパー2本20万円(10万円×2)
もしあなたの会社が「質」を重視するフェーズにあるのであれば、1本50万円かけてでも、徹底的に作り込んだホワイトペーパーが価値を生むかもしれません。
しかし、「量」が必要な初期段階であれば、たとえ1本あたりのクオリティが完璧でなくても、2本を10万円ずつで作った方が、より多くの見込み客と接点を持てたり、データを早く集められたりして、結果的に良い投資になることがあります。
そして制作費用の中には、様々な要素が含まれています。
言語化(コンテンツの質)
- 戦略立案(誰に何を伝えたいか)
- 情報収集(お客様が知りたいことは何か)
- 企画(どんなテーマにするか)
- 構成(どういう流れで伝えるか)
- 文章作成(分かりやすく魅力的な文章)
具現化(見た目の質)
- 見やすさ
- 分かりやすさ
- 理解しやすさ
- 見た目の良さ
- ブランディングに沿っているか
もし「量」を作るべきフェーズであれば、実は「具現化(見た目)」よりも「言語化(ホワイトペーパーのテーマや内容)」の方がはるかに重要。
見た目が完璧でなくても、お客様の課題を解決するテーマや、役に立つ情報が詰まっていれば満足してもらえますし、その後の成果にもつながります。
そのため、「具現化」にかける費用は、この段階ではあまり回さなくても良いと考えることができます。
しかし、通常のホワイトペーパー制作代行会社の中には、この「言語化」と「具現化」のバランスをきちんと分けて考えられていないケースも少なく、結果として「量」が必要な段階なのに、1つ1つが過剰な品質で制作されてしまい、無駄に費用を払ってしまうことがあります。
過剰な品質のホワイトペーパーを時間をかけて作っていると、制作自体が遅れるだけでなく、市場で試すのも遅くなり、データを得るのも遅くなってしまいます。
これでは、あなたの会社のマーケティング活動全体が停滞してしまうことにもつながりかねません。
そもそも「質」のフェーズでなければ、見た目の良さばかりにこだわる必要はないので、ホワイトペーパーにおいては「完璧を求めない」を合言葉にしておきましょう。
まとめ
ホワイトペーパーの「最適な制作本数」を考える際は、まずあなたの会社が今、どのようなマーケティング状況にあるのかを正確に把握することが何よりも大切です。
- まだノウハウが少ない段階なのか?
- ある程度の体制が構築されデータをもとに改善できているか?
- すでにノウハウと体制があるからこそブランド価値を高めたいのか?
「今」の状況が分かっていないと、「量」と「質」のどちらを重視すべきか、制作にどれくらいの費用をかけるべきか判断を誤ってしまい、結果としてムダな投資になってしまうこともあります。
あなたの会社の状況をしっかりと見極めた上で、「どのようなホワイトペーパーの体制を構築するのが最適なのか」を考え、その上で必要な本数や制作の方向性を決めるようにしましょう。