
いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。リードが獲得できたからといって、ぬか喜びできない難しさが、ホワイトペーパーマーケティングにはあります。
「ホワイトペーパーでたくさんのリードが獲得できた!」
これはマーケティング担当者にとって嬉しい瞬間ですが、実際はこんなことが起きてませんか?
- せっかく獲得したリードが商談につながらない…
- フォローメールを送っても反応がない…
- コストをかけたのにすぐ活用できなくなる…
リード獲得後の壁にぶつかる機会は多いですよね。
実は、ホワイトペーパーマーケティングの真の成果は、ダウンロード数の多さだけでは決まりません。
獲得したリードをどう扱うか、つまりリード獲得後の対応がとても重要になるため、あなたが時間と労力をかけて獲得した大切なリードを無駄にしないよう、知っておきたい6つの注意点を分かりやすく解説していきます。
ホワイトペーパーによるリード獲得の価値を見直す
私たちは今、AIが発達した世界を生きており、情報も溢れかえった時代でビジネスをしています。
Googleで検索すれば、知りたいことはすぐ手に入りますし、生成AIに聞けば、まるで人間が答えてくれたかのように分かりやすい回答も返ってくる。
そんな状況なら、「わざわざ自分の名前や会社の情報を教えてまで、ホワイトペーパーを手に入れる必要はあるの?」と感じるかもしれませんね。
ホワイトペーパーの提供側がリード獲得を目的にしている場合は、氏名・連絡先など個人情報を頂く代わりに資料提供する仕組みを一般的にとります。
しかし、ホワイトペーパーの重要性は、むしろ高まっていると考えています。
なぜなら、生成AIが教えてくれる情報は、あくまで「世の中に出回っている情報」をまとめたものであり、企業の専門性や独自性のある情報、一次データ(独自に調査したデータなど)は、世の中には出回っていません。
たとえば、あなたが新しい商品やサービスを開発した場合、その商品がどんな問題を解決し、どんな独自技術を使っているのか、それはあなたの会社だけが持っている情報ですよね。
このような「文字だけでは伝えきれない価値ある情報」を、グラフィックや図解なども使い、分かりやすくまとめたものがホワイトペーパーです。
読者は、この「独自の情報」と「分かりやすさ」に価値を感じ、あなたの会社に個人情報(氏名・社名・連絡先など)を提供してくれるのです。
未来を見据えた動き方が求められる
今後はAIを使った検索体験が一般的になると考えれば、今までのように自社のウェブサイトに訪れてくれる人が減るのは目に見えています。
そんな時代に、今後アプローチできる見込み顧客の連絡先を確保しておくことは、企業にとって重要な資産にもなる。
だからこそ、ホワイトペーパー経由で獲得するリードには、細心の注意を払って扱わないと、せっかくのコストや労力が無駄になってしまうので、具体的にどのような点に注意すればよいのか、次の章で詳しく見ていきましょう。
ホワイトペーパー経由リードの6つの注意点
あなたが思っている以上に、ホワイトペーパー経由のリードには注意すべき点がたくさんあります。
特に重要な6つを抜き出したので、一つずつ解説していきます。
注意点① リード=お問い合わせではない
ホワイトペーパーの制作や、リード獲得を始めたばかりの頃に陥りがちなのが、以下のような誤った認識です。
リード=お問い合わせ
これは、ホワイトペーパーの性質を理解していないからこそ起こる間違いであり、そもそも、この二つは全くの別物だと考える必要があります。
項目 | 説明 |
---|---|
リード | 「まずは情報が知りたい」段階 |
お問い合わせ | 「相談前提」で専門家を頼りたい段階 |
それぞれの決定的な違いは、「話をしたい」「話を聞きたい」準備がお客様側で整っているかどうか。
例えるなら、リードは「家電量販店へ下見に来た人」で、具体的な商品名は決めておらず、漠然と「何か良さそうなものがあればいいな」と考えている状態です。
一方で、お問い合わせは「店員に話しかけて、商品の詳しい説明や見積もりを求めている人」のことを指します。
リードが獲得できたからと言って、お客様が「話を聞く準備(心構え)」ができていない段階で、いきなり電話営業をかけたらどうなるでしょうか?
せっかく興味を持ってくれたのに、「まだその段階じゃないのに…」と不快感を与え、すぐに電話を切られてしまうかもしれません。
電話営業だけはなく、メール営業によるアプローチも同じこと。
リードとお問い合わせは、似ているようでその性質は全くの別ものなので、この理解なしにリードを扱うと、痛い目を見ることになります。
注意点② リードの質は獲得チャネルによって大きく変わる
ホワイトペーパーを公開する場所は、自社のウェブサイトだけではありません。
資料ダウンロードサイトや製品比較サイトなど、外部媒体に掲載することもあります。
しかし、ホワイトペーパーを活用したマーケティングの実践経験がない状態だと、どこでダウンロードされリードが獲得できても、同じように考えてしまいがちですが、実際は全然別物。
同じホワイトペーパーでも、どこからダウンロードされたかによって、リードの見込み度は大きく変わってくるため、簡単に3つの媒体で比較をしてみましょう。
評価軸として以下の3つで表しています。
項目 | 説明 |
---|---|
見込度 | 商談や契約へ移行する確率の高さ |
難易度 | 見込みの引き上げの難しさ |
発展度 | アップセルやクロスセルへの発展のしやすさ |
対象:自社のウェブサイト
評価:見込度★★★ / 難易度☆☆☆ / 発展度★☆☆
すでにあなたの会社のことを知っていて、「この会社から情報をもらいたい」と、ブランドを認識した状態で前向きなダウンロードをしているため、非常に関心度は高い状態です。
対象:製品比較サイト
評価:見込み度★★☆ / 難易度★☆☆ / 発展度★☆☆
「どの製品にしようかな」と悩んでいる段階なので、具体的な課題意識が強く次のアクションへ進みやすい状態でもあるのですが、特定のブランドへのこだわりはなく、自社を選んでもらうために競合との真っ向勝負になるケースも多々あります。
対象:資料ダウンロードサイト
評価:見込み度★☆☆ / 難易度★★☆ / 発展度★★★
「この業界について何か情報がほしい」と、漠然とした課題から情報を探している段階なので、特定の会社や製品への関心はまだ薄く、単に情報収集をしているだけの可能性があります。しかし、この段階から深いつながりを作れれば、将来的に色々な提案へ発展する可能性が高まり、単価も上がりやすくなります。
さらに、掲載するホワイトペーパーのテーマであったり、それぞれの媒体が実施しているリードの取り方なども含めて、単純に考えられない難しさがあります。
この違いを理解せずに、一律で同じアプローチをしてしまうと、本来求めていないリードに時間と労力を費やしてしまい、貴重なリソースが無駄になってしまうことも。
チャネルの違いが大きくリードの状態に影響することは、ぜひ覚えておきましょう。
注意点③ お客様の状況により見込みが大きく変わる
「ホワイトペーパーをダウンロードする人」を漠然としたイメージだけではなく、状況まで想像することがとても大切です。
たとえば、マーケティング担当者向けのホワイトペーパーであっても、そのダウンロード者の中には、以下のような多様な状況の人が含まれています。
- マーケティング担当になったばかりで基礎知識を学びたい人
- 新しい施策を考えているが予算獲得に苦労している人
- 競合他社の動向を調べている人
掲載しているホワイトペーパーのテーマや、掲載ページの説明によって、ある程度対象者を絞り込むことはできますが完全ではないため、単純に「マーケティング担当者」のようなペルソナだけでは、この違いを掴みきれません。
そのため、リードがどのような状況にあるのかを理解するためには、以下の要素が手がかりになります。
- どのページからホワイトペーパーにたどり着いたか
- ダウンロードした人の役職は何か
- 他の資料や記事も読んでいるか
- 何度掲載ページを見たか
- どういった関連情報を見ているか
これらの要素から、そのリードが「ただ情報収集しているだけ」なのか、「具体的な課題を抱えて解決策を探している」のかを判断できます。
獲得したリードは、画一的なものではなく、一人ひとりの状況が異なるグラデーションになっていると考えておきましょう。
お客様の細かい行動履歴を確かめるには?
お客様の行動履歴を追うには、Adobe Marketo EngageやHubSpotなどのマーケティングツールを使うことで、ある程度掴むことができます。
注意点④ どんなにコストをかけてもお客様が理解できなければ無意味
ホワイトペーパーを用意する側は、時間や労力、そして場合によっては多額の費用をかけて制作します。
当然、「これだけのものを準備したんだから、きっと喜んでくれるはず!」と期待しますよね。
しかし、どんなにコストをかけても、企画やデザインに凝ったとしても、読み手であるお客様が「理解できるかどうか」が最も重要。
たとえば、情報量が多いと「満足度が高い」と感じてしまいがちですが、そのテーマに慣れ親しんでいない人にとっては、情報が多すぎると逆に混乱し、「結局何が言いたいの?」と理解できないまま終わってしまうこともある。
このような場合、お客様は「個人情報を渡したのに、よく分からなかったな…」と不快に感じ、あなたの会社に対してマイナスイメージを抱く可能性すらあります。
自己満足のホワイトペーパーにならないよう、常に読み手の視点に立ち、「この内容なら、専門知識がない人でも理解できるか?」を考えて制作しなければ、その後に獲得できるリードの質は大きく下がってしまいます。
「分かりやすく」「理解しやすい」の注意点
難しいことを、ただ単純に分かりやすくすればいいのではなく、理解してほしい人に理解してもらえる状態を作る必要があります。なんでもかんでも分かりやすくすることが求められているわけではないため、誰に対してかを念頭に置いた分かりやすさを追求することが大切です。
注意点⑤ リード獲得後の活用プロセスを構築しているか
ホワイトペーパーは、あくまで「リードを獲得するためのツール」にすぎません。
本来の目的は、獲得したリードを商談や契約へと引き上げ、ビジネスの成果につなげることです。
しかし、ホワイトペーパーの制作に満足してしまい、その後の活用プロセスが抜け落ちてしまうケースが非常に多いのではないでしょうか。
獲得したリードを、その後どうフォローしていくか。
その具体的な計画やイメージがないままでは、せっかくのリードもただの「リスト」として放置され、時間とともに熱が冷めてしまいます。
ホワイトペーパーを作ったら終わりではなく、そこからが本当のスタート。
獲得したリードを放置せず、適切なタイミングで次の情報を提供し、少しずつ商談へと近づけていく「活用プロセス」を事前に構築しておくことがとても重要です。
注意点⑥ マーケティング戦略に基づいてリードを獲得しているか
ホワイトペーパーを公開すれば、ある程度のリードは獲得できるかもしれません。
ただし、それがあなたの会社のマーケティング戦略に沿ったリードになっているかが重要です。
「今、商談につながる見込みの高いリードがほしい」
「将来の見込み顧客を増やすために、まずは接点を増やしたい」
会社が今、どのリードを必要としているかによって、取るべき施策は変わってきます。
たとえば、すでにリードは多いけれど商談率に問題がある会社が、量を優先して見込みの薄いリードを大量に獲得しても、営業やマーケティングチームの負担が増えるだけで、本質的な問題解決にはなりません。
マーケティング戦略上、どのようなリードが必要なのかを理解せずに施策を進めてしまうと、「ムダな手間が増えて、現場のリソースを圧迫してしまう」最悪の状況にもなりかねません。
個別で見るのではなく、全体を俯瞰して見た時に、「それならこのようなリードが必要だよね」と、社内の共通認識を作っておくことが大切です。
ホワイトペーパーでリードを獲得した後にすること
これまで見てきた注意点を踏まえ、ホワイトペーパーでリードを獲得した後、具体的に何をすればいいのか、2つの重要なポイントを解説します。
意外と抜け忘れてしまうため、リードを最大限活用できるよう確認していきましょう。
ポイント1. リードの質の見極めとグループ分け
リード獲得後はまず、獲得したリードを「一人の人間」だと考えてみることから始めていきます。
データや数字ではなく、その人がどんな状況で、どんなことに興味を持っているのかを想像する。
たとえば、ホワイトペーパーダウンロード用(リード獲得用)のフォームに入力された情報や、ホワイトペーパーをダウンロードした後のサイト内での行動を分析することで、リードの「熱意」や「関心度」を判断。
この見極めにはリードスコアリングと呼ばれる、特定の状況やアクションに対して点数を付けて、一定以上まで上がったタイミングでアプローチを行う手法が役立ちます。
具体的には、サイトの訪問回数や特定のページを見たかどうか、メールの開封率やクリック率などの行動に点数をつけ、リードの関心度を客観的に評価する仕組みです。
リードの質を見極めたら、その状況に合わせて「熱心な関心層」「情報収集層」などと分けて、その後は適切なアプローチを選んでいきます。
ポイント2. 獲得後は適切な距離感でアプローチを続ける
「鉄は熱いうちに打て」
このような言葉があるように、ホワイトペーパーをダウンロードした直後のお客様の関心は非常に高い状態ですが、このタイミングを逃してしまうと、一気に熱が冷めてしまいます。
だからといって、ダウンロード直後に電話やメールで激しいアプローチをかけるのはNG。
お客様は「まだ話を聞く準備ができていない」のに、営業をかけられると不快感を覚えます。
まずは感謝を伝え、その熱意を維持するような情報を提供することが大切。
たとえば、以下のようなアプローチを段階的に行うことで、お客様との関係を築いていきます。
項目 | 説明 |
---|---|
ダウンロード直後 | 感謝のメールと共に「このホワイトペーパーと合わせて読むと役立つ関連ブログ記事」などを紹介 |
数日後 | さらに関連する専門的な情報を提供 |
数週間後 | リードの行動(他の記事の閲覧状況など)に合わせて「類似の課題を解決したお客様の事例」や「製品・サービスの紹介資料」などを提供 |
このように、お客様の関心度や状況に合わせて、適切なタイミングで適切な情報を提供し続けることが大切です。
この「適切な距離感」でのコミュニケーションの積み重ねこそがお客様の信頼を勝ち取り、商談や契約へと進められる可能性の高い道となります。
まとめ
ホワイトペーパーによるリード獲得は、あくまでマーケティング活動のスタート地点。
大切なのは、獲得したリードを無駄にせず、適切な判断を繰り返していくこと。
今回ご紹介した6つの注意点を振り返り、リードの熱意や状況に合わせて丁寧なアプローチを続けていけば、きっとホワイトペーパーマーケティングは、あなたの会社の重要なマーケティングシステムになっていきます。