スルーされない「伝わった」を目指す資料の作り方

  • | 公開 2022年03月24日
資料ノウハウ
スルーされない「伝わった」を目指す資料の作り方

いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部です。「伝えた」で終わらない「伝わった」を目指すための、資料作りの方法をまとめています。

資料を作って一番辛いのが、頑張って用意したのに、見せても感想も何も言ってもらえないこと。(反応も何もなし…)

しかしそれは、自分では「伝えられた」と思っているけど、実は何も「伝わっていない」からこそ、素通り状態になっているかもしれません。

資料で「情報が伝わった」状態にするには、それなりのコツが必要。

一度でも資料作りに不安を感じた経験があれば、改めて作り方を見ておきませんか?

こんな方にオススメ!
・資料作りに苦手意識を持っている
・どう作ればいいかきちんと学んだことがない
・作れるけどいつも不安が残っている

やってはいけない資料デザイン100事例

スルーされない資料の作り方

資料の作り方(方法・手順・流れ)として覚えておきたいのは5つのステップ。

  1. 資料作りの目的を明確にする
  2. 見てもらいたい相手を明確にする
  3. 情報を集め整理し絞り込み翻訳する
  4. フォーマットを用意して情報を入れ込む
  5. 見た目を整える

もっと細かく分ければ色々出てきますが、この5ステップなら基本を抑えられます。

難しい作り方よりも、まずはすぐに理解できる簡単で分かりやすい作り方を見ていきましょう。

1. 資料作りの目的を明確にする

手順の1番目は、資料作りの目的を明確にすること。

一人で作るのであれば、わざわざ書き出したりする必要もありませんが、資料作りでは社内チームを組んで、複数人で作る機会も多いため、みんなが共通の目的・意識のもと行動や意思決定が行えるように、目的を明確に書き出しておきます。

目的例
・顧客の新規獲得のため
・リードを増やしてマーケティング活動を促進させるため
・社内マニュアルとして継続的に利用するため
・メルマガ用の情報共有のため

など、前提として「売上・利益」の向上ではありますが、そこを成すためにどのような資料が必要なのか。

資料作りの動機や目的をハッキリさせておきましょう。

目的の書き出しはコミュニケーションコストの削減になる

なぜ資料を必要としているのか、どうして作らないといけないのか。

何のために資料作りが行われるのか理解していないと、資料作りに関わる一人ひとりが、個別の目的を作ってしまい、作業や意思決定一つひとつの判断がズレていき、途中で直したり確認しあったり、無駄に時間を消費してしまう場合も。

最初から向かうべき場所が示してあると、行動や判断基準がズレなくなるため、軌道修正も減ってコミュニケーションコストが下がります。

使える時間が増え、それを品質向上のためにも使える。

結果として目的達成がより近づくので、意外と忘れやすい目的の明確化(書き出し・共有)は、最初から行っておくのがお勧めです。

2. 見てもらいたい相手を明確にする

あなたが作りたい資料、それは誰に見てもらう資料ですか?

最初は自分たちの目的を明確にしますが、その次は見てもらいたい相手を明確化します。

ここすごく大事なポイントで、自分たちの目的だけで資料作りを始めてしまった場合は、かなりの確率で失敗する資料が出来上がってしまう。

理由としては、見てもらいたい相手の欲しい情報が少なくなることで、見てもらえない・伝わらない資料になるからです。

伝わりやすい資料作りの前に解決すべき問題

誰が何のために見てくれる資料なのか理解せず、最初から見た目含む「伝わりやすい資料作り」を目指すと、自分たち視点の意識が大きすぎて、求められていない資料になる場合は多いです。

ポイントは、自分たちの目的を意識した上で、見てもらう相手の目的達成に意識をスイッチさせること。

× 自分たちの目的のためだけに資料を作る
◯ 見てもらう相手の目的達成によって初めて自分たちの目的達成に繋がる

まずはGIVEの意識です。

もし作り出す前に、この意識の転換ができていないと、相手からしたら「見たけど興味ないな」で終わってしまい、結果として自分たちの目的が達せられない。

相手の成功がまず先であり、次に自分たちの成功を目指す。

意識の切り替えが、資料作りではとっても重要です。

3. 情報を集め整理し絞り込み翻訳する

資料を作るために、情報を集めるのは必須のアクションですが、そこから整理整頓し、必要な情報だけ絞り込む作業まで進めるのは、時間もかかります。

そのため、多くの場合は情報を集めて少し整理しただけで、資料作りが始まってしまう。

あなたが今まで、資料作りに苦手意識を感じていたのは、ここのタイミングのせいかもしれません。

情報は集めて整理しただけでは使えない

情報を集めて、そのまま資料化しても、伝わらない資料にしかなりません。

情報を情報のままで使うのではなく、絞込んで見てほしい相手に伝わるよう翻訳も必要になってくる。

状況:資料を見てほしい相手がビジネス用語に不慣れ
×の例
このサービスは最先端のテクノロジーを使ってBtoBをマッチングさせる、業界の中でもっとも新しいプラットフォームとしてご提供しています。

◯の例
このサービスは企業様同士が繋がりやすい仕組みをご提供しています。

情報を絞り込み、伝わる内容へ翻訳していますが、伝わりやすさは全然違いますよね。

情報を資料へ落とし込む前の流れ

いきなり見た目から作り出す人が失敗しやすい原因として、情報の扱い方が不十分な場合は多いです。

資料化する前に必要な工程としては、
① 必要な情報を全て集める
② 情報をグループ分けして整理整頓する
③ 不要な情報は外して似ている情報は合算する
④ 読み手に伝わる言葉へ変換する(翻訳)
⑤ 見た目で表現する(資料へ落とし込む)

この工程を見ると、見た目作りから始めるのが、いかに難しいか分かりますよね。(スタートから全部をショートカットして、いきなりゴールへ行こうとしている状態)

伝わりやすい資料を作りたいのに、伝わらない資料になってしまっている。

もちろん、資料を作りながら整理できる方もいますが、作りながら整理して進めるのは、熟練の業も必要になるため、情報集めと制作は、一旦切り離して頂くのがお勧めです。

4. フォーマットを用意して情報を入れ込む(無い場合は用意する)

資料作りでは、フォーマット(型・テンプレート)を使って頂くのが、一番早くて良い見た目にもなります。

見た目を整えるのは最後だとして、まずは資料化していくために、情報を落とし込むことから。

フォーマットを作るために便利な情報
見やすいパワポとは?気づかずやってるNG・OK事例集
【無料】パワポの営業資料に今すぐ使えるアイコンサイト
【63選】パワポのデザインには型がある!レイアウト全集
パワーポイントのページ番号はどう付ける?表示方法を確認

フォーマット利用のメリット

フォーマットを持っておくのは、様々なメリットがあります。

① 余分な情報を入れなくなる
② 情報を入れるのと同時に見た目が整えられる
③ 無駄な時間を全てカットできる

すでに会社で用意されているフォーマットがあれば、それを活用して、なければ資料作りを進める前に用意しておく。

資料のフォーマットとは、色・図形・フォント・サイズなどにルールが付けられて、一定品質が生み出せる状態にしていること。決められたルールに沿って作ることで、悩む時間などを無くし、作成時間の短縮になります。

① 余分な情報を入れなくなる

決められた枠内(スライド内)に対して、見出しの数、文字のサイズなどを決めておけば、余分な情報を入れるすきが無くなります。

フォーマットにより自由度が低くなるデメリットはありますが、自由すぎて情報を入れすぎるよりも断然良い。

上手く作れない原因の一つに「情報入れすぎ問題」があるため、フォーマットを利用することで事前に防げます。

たくさんの情報が必要な資料ならまだしも、普段求められている資料は、いかにして重要な情報を端的かつ理解しやすい形でまとめられるかが重要なので、フォーマットの利用は資料作りですごく重要なポイント。

② 情報を入れるのと同時に見た目が整えられる

一定の枠内に、決められたルールのもと情報を入れていくと、入れていくのと同時に見た目が整っていきます。

資料の見栄えが悪いと感じるのは、全スライドを通して、バラバラな印象を受けることで発生。

ルールに沿って情報を入れると、全体を通して同じ見た目や印象になるため、資料品質がグッと高まりますし、整えられているため見る側としても情報が見やすい。

③ 無駄な時間を全てカットできる

フォーマットの利用は、結果的に無駄な時間を全てカットできます。

何色を使っていいか分からない
→色の選択に迷わない

見た目がなんか変
→整えなくても見た目が整う

この情報も入れておきたい
→入る情報量に限りがある

調整する人でデザインが変わってくる
→ルールがあるから大きなズレはない

これをやったらここを直して、こっちを直したらあっちも変えないと…このような出戻りも減り、無駄に消費する時間を少なくできます。

浮いた時間を、情報整理や説明の練習などに当てられて、より有意義な時間の使い方ができるため、非常に効率的な資料作りが可能です。

5. 見た目を整える

資料を作るには、デザイナーの力が必要だ、スキル・センスが必要だ。

たしかに見た目を整える部分に対して、デザイン的な要素は求められていますが、正しくないと思っています。

資料に求められているのは、見た目ではなく情報だからです。

スキルもセンスも不要で、情報がいかに見やすく・読みやすく・理解しやすく・自分事に感じてもらえるか。

そのため、最低限の見た目に関するポイントだけ抑えられれば乗り切れます。

見た目を整えるポイントはたった一つだけ

すでにフォーマットへ入れ込みながら資料を作っているなら、ある程度は見た目が整った状態になります。

そこからさらに良くするには「揃える」を意識するだけで、無駄な見た目へのこだわりも無くなってくる。

揃える

揃えるとは、以下を揃えること。

① 位置を揃える
② サイズを揃える
③ 色を揃える
④ 全体を揃える

ステップ5の「見た目を整える」状態まで来ているのであれば、中身に関しては問題ないと判断でき、あとは見た目の微調整だけ。

資料の見た目は、個別のスライドと、全体的なスライドの印象によって、良い悪いが決まってきます。

スライドをめくる際に、いつも同じ位置に見出しや情報の始まりがある、重要度によってサイズが違うから分かりやすい、色の使い方にルールがあって余計な理解をしなくていい、それが全体に反映されているため見やすいと感じる。

一つひとつは小さなことですが、それが資料全体になれば印象を大きく左右します。

見た目の派手さもいらない、カッコよさ可愛さもいらない、整っている情報を見せられるのが、一番シンプルでデザインとしても質が高いものになります。

作り方まとめ

5ステップの通り進めると、結果的に下記のような資料が作れます。(作り方を意識していない例と、意識している例の対比)

資料作りのステップをふむと伝わりやすい資料が比較的、簡単に作れる。

デザイン的に特別すぐれているわけではないですが、一定のルールに沿って、読み手が見やすく・読みやすく・理解しやすく・自分事で見てもらいやすい資料になっている。

つまり、伝わりやすい資料になります。

この流れも、私自身がデザインセンスの無さから、どうにかしたいと試行錯誤しながら、見てもらう方へ最大限の「よかった」を感じてもらうにはどうしたらいいのか考えた結果のもの。

資料の作り方では「見た目をどうすればいいのか」で語られがちですが、資料が何のために存在するのかを改めて考えると、作るより前の考える部分が大事だと気付かされます。

まずは、このページの流れを基本として、あなたなりの作り方を見つけるための参考情報になれれば嬉しいです。

事前準備の万全さがスピードを早くする

結果的に、事前準備の万全さがスピードを早くする

資料作りに慣れていないと、毎回大きな時間がかかって、どんどん納期が迫り中途半端にもなってしまう。

結果として、資料で得たかった成果が得られづらくなるのですが、作るより前に準備を万全にすることで、資料作りのスピードがグンと上がります。

目的が達せられない悪い例
時間がかかる
→時間に追われて作ることが目的化
→結果として伝わりづらい資料になる

目的が達せられる良い例
余計な時間がかからない
→時間にも気持ちにも余裕がある
→読み手のことを考えた資料になる

ちょっとしたことですが、作る手順によって心理的負担も、時間的負担も軽減できます。

基本は「考える」からの「作る」ですが、作り慣れていない場合は、作ることに時間がかかると思って、さきに作り出してしまったり、作ることに時間ばかりをかけてしまう。

結果として悪い方へ進んでしまうため、事前の準備をしっかり行ってから作る流れを身につけるのがオススメです。

もし、センスもない、作り慣れてもない、デザイナーでもない、そんな場合はテンプレートを使って作ることに意識が奪われない状態作りをしておきましょう。

伝わる資料作りを妨げている5つの誘惑

資料作りが苦手な人は、何がいけないのか?

色々ポイントはありますが、改めてあなた自身が下記に当てはまっていないかチェックしてみましょう。

  • 伝えたい情報がたくさん(情報過多の罠)
  • 自分の目的を最優先(優先度の罠)
  • まずは形にしたい(可視化の罠)
  • デザインはかっこよくしたい(デザインの罠)
  • 自分の状況しか想像してない(閲覧状況の罠)

もし、どれか一つでも当てはまっている場合、資料作りとしては間違っている可能性があります。

伝わる資料の作り方を学んでも、基本的な思考がズレていれば、結果的に悪い資料になってしまう。

まずは陥りやすい資料作りの罠にはまらないよう、それぞれを確認しておきましょう。

伝えたい情報がたくさん(情報過多の罠)

情報を資料へ落とし込む時に、あれも大事だ、これも言わなきゃと、必要だと思われる情報をどんどん詰め込んで、メタボ資料になっていませんか?

伝えたい情報、実は読み手側からしたら、不要な情報または過剰な情報になっているかもしれません。

たしかに丁寧な説明をするには、ちゃんと理解できる文脈を整えるためにそれなりの情報量が求められます。

しかしながら、渡しすぎる情報は時として、邪魔な情報になってしまうため、本当に伝えたい情報は何か?その情報を本当に求めているのか?を考えて、情報の引き算または合算の思考で減らす必要があります。

自分の目的を最優先(優先度の罠)

資料作りは自分のため、目的を達成したいため、常に自分視点が動機になると思います。

しかし、実際に見てもらう人は、作り手側の思惑は関係なく、もっとドライな目線で資料を見ており、自分には関係ない、または自慢やアピールばかりが入っていると無意識のうちに拒否反応を示して、読むのを止めてしまう。

目的達成のために資料を作りますが、そのまま最優先に目的達成を考えていると、伝わらない資料になってしまいます。

優先度を自分に向けるか、または読み手に向けるかで大きく変わってくる。

まずは形にしたい(可視化の罠)

たとえばパワーポイントを使えば、誰でも簡単に資料を作れますが、作ることから始めると失敗が増えます。

改めて資料作りを考えると、資料内へ入れ込む情報は何か?誰に向けての資料か?作り出すより前に、考えなければいけないことが多くある。

そこが曖昧だと、設計図がないのに家を建てるようなもので、グラグラとすぐ壊れてしまいます。

時間が迫っていたり、分からないから作り出す、こういった状況もあるかもしれませんが、作るより前に必要な工程があることを、覚えて頂くのがお勧めです。

デザインはかっこよくしたい(デザインの罠)

いざ資料を作り出すと、段々と見た目へ意識することが増えてしまって、どんどん見た目重視の資料作成になることも。

悪いことではなく、見た目も大事な要素の一つ。

しかしながら、資料を読む側はデザインを求めているのではなく、読みやすく・理解しやすい情報です。

もっと簡単に言えば、見た目よりも情報が大事。

見た目の優先度を下げて、情報の優先度を高めていきましょう。

自分の状況しか想像してない(閲覧状況の罠)

資料を作っている時に、誰が読むのか意識しますが、実際にどこで誰とどんな風に読まれるのか、そこまで意識が向いていないことも多いです。

プレゼンシーンであれば、時間が無い中、説明しながら資料を見てもらうため、大量の情報はかえって足かせになりますし、業界レポートなどを作る場合は逆に、情報量や根拠ある情報がなければ信頼感を感じません。

少しでも読み手の状況を考えておくと、求められている資料の違いに気づくキッカケにもなるため、作るより前に誰がどう見るのか、ここまで考えられると資料品質が格段にUPします。

最後に。

資料の作り方を、先輩や上司が一から十まで教えてくれれば楽ですが、そんな時間をとってもらえない状況は多いですよね。

それなら、何個も作って経験値を溜めていくか、初めから作り方を学んでおくかのどちらかしかない。

このページの内容は、誰でも資料作りの基本が学べる情報となっているため、この情報を活用しながらあなたなりの作りやすい方法を探すための情報になれれば嬉しいです。

著者:エンプレス編集部(運営会社ファングリー
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