いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。Googleが新たに追加した検索品質評価ガイドラインのExperience(経験)とは、何を指しているのか詳しくまとめていきます。
E-E-A-T(イーイーエーティー)とは、Googleの検索ランキングシステムにおける情報の評価指標であり、Experience(経験)・Expertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)・Trustworthiness(信頼性)の頭文字を取った呼び方。※ ダブルイーエーティーと呼んでもOK
実は、最初からE-E-A-Tではなく、2022年12月15日(木曜)以前はE-A-TとしてExperience(経験)が抜けた状態でした。※ 品質評価ガイドラインの最新情報: E-A-T に Experience の E を追加
Googleとしては、Experience(経験)はまったく新しい考え方ではなく、もともと大事にしていた指標の一つであるものの、生成AI(ChatGPTなど)や情報の飽和によって、さらに情報品質のレベルを、1段階高める必要があり基準として加えてきました。
Googleの思惑はもちろん、なぜ経験を含む情報の優先度をあげてきたのか、下記にまとめています。
この記事を読み終わったあとは…
・経験に該当する情報の大切さを理解できる
・経験に対する具体的なアウトプットイメージが固まる
・結果として検索順位が上がるコンテンツが作れるようになる
情報の飽和時代だからこそ経験が求められる
私たちの生活は、インターネットが使えるようになって、さまざまな情報を簡単に取得できるようになりました。
たとえばGoogleの検索エンジンで「SEO」と調べれば、一瞬のうちに1,480,000,000件(2023/8/25時点)以上もの情報が、ずらーっと順番が付けられ表示される。
瞬時に出てくるのは、今や当たり前になっていますが、冷静に考えればすごいことですよね。
1つのテーマで、14.8億件もの情報があるのであれば、何人の方がSEOに関して記事を作成してアップロードしたの?と、驚くばかりです。
なぜ情報は飽和するのか?
これだけの情報があるのなら、調べたいことは大抵すぐ調べられます。
テーマにも寄りますが、そう簡単に定義や意味が変わることはなく、すでに十分な量・質を担保している記事があれば、それを見れば済むこと。
たとえば検索順位の1~5番目くらいに出てくる情報さえあれば事足りてしまって、その他の情報は不要にもなってくる。
合理的に考えれば、必要な数ページ分だけあればいいのですが、情報とビジネスは切っても切れない関係のため、多くの企業・個人も含めて売上・利益のために新たな記事を日夜必死に作っている状態です。
しかも、検索の1~3位になればウェブサイトへのアクセス数が増えて、ビジネスを大きく動かしていけるなら、やらない方が損になりますし、当然競合も対策している。
今後もビジネスと競合の存在が無くならない限り、情報は増え続けるばかりです。
そうなれば、情報の量・質・鮮度などの差を見つけ出し、検索ユーザーに役立つ情報が掲載されている記事を、ランキング上位にしていくのは自然の流れだと思います。
Googleが今まで定めていたE-A-Tも機能はしていたものの、情報多すぎる問題がさらに深刻化してきたので、新たな指標を取り込んで再評価する形になってきました。
生成AIの急速な発展
生成AI(ジェネレーティブAI)とは、コンピューターに学習させた情報を、指示を元に組み合わせて新たな形でアウトプットさせる技術のこと。
今話題となっているChatGPTは、言語の生成AIであり、プロンプト(指示)に対して合いそうな言葉を組み合わせて返答してくれます。
そんな生成AIですが、1年間で150年間分の画像を生成していたというニュースがありました。
参考:わずか1年でAIは150年分の写真を超える画像を生成していたことが判明
たとえばChatGPTを使えば、文章を作るのは簡単なので、活用して記事を大量に生産することも可能。
今後は生成AIによる記事制作が一般的となり、今まで人が書いていた記事が生成AIで作られるようになると爆発的な情報量となり、Google側も現在の検索ランキングシステムで対応しきれなくなる。
Googleのミッションは、
Googleの使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです。引用元:Googleについて
なので、これを実現するためには、評価指標を変えなくては対応できません。
実は情報が飽和しやすい原因が身近にある
ビジネスで活用するために記事を書き、アップロードして、アクセスを集める。
この流れが基本になるのですが、自社のスタッフだけで記事を書こうと思っても、別の業務をメインにしている関係で、なかなか十分な時間は取れません。
記事を増やしてアクセスを…と考えれば、外部からリソースを調達すればいいと思うのも自然な流れ。
- 記事制作会社へ依頼する
- フリーランスへ依頼する
など、外部パートナーと連携して、お金をかけて記事を作る。
しかし、内製・外注含めて、時間のなさと、成果をすぐ求めるあまり、結果として多くの企業が悲惨な末路に陥っています。
悲惨な末路とは
まず、企業が費用をかけて記事制作を依頼する場合、かなり不都合なことが起きやすい。
依頼側が記事の質や効果を理解できていないケースもある
↓
成果が出るか分からないからコストは抑えたい
↓
だけど記事は量産したい
↓
外注先は低価格で記事を頼まれる
↓
専門性がない書き手が書いてコストを抑える
↓
ライターは専門性を補うためネットの情報を頼りに書く
↓
書き手は早く多く書くことに囚われる
↓
企業相手なので挑戦できず無難な仕上がりへ持っていく
↓
納品されても依頼側で品質基準がないため判断できない
↓
検索ユーザーに求められない記事が増える
この負の流れによって、すでに出回っている内容と、同じような記事がたくさん出来上がってしまいます。
外注に限らず内製にも言えるのですが、専門性・権威性・信頼性がある記事は検索ランキングの上位で埋め尽くされている状況の中、同じような情報を掲載しても成果を出すことは難しい。
負のループに気づかず、記事の発注・受注・制作・納品が続いてしまうため情報の飽和が加速していき、何か別の差が必要になってきたので経験を含んだ独自性・希少性のある情報が求められています。
経験(Experience)とは
Googleが新たに求める経験(Experience)とは、一体何を指しているのでしょうか。
経験とは、簡単に言えば「自分自身が見聞きした」こと。
- 見る
- 聞く
- 食べる
- 嗅ぐ
- 触る
五感を通して情報を取得した場合に経験となり、感覚的なことも含めて本人だけが感じたこと。
少し曖昧な感覚も含んだ全てが経験となり、本人だからこその情報なのでどこにも出回っておらず、ひとたび外に出せば独自性・希少性のある情報にもなります。
そう考えれば、Googleが経験を重要視している背景が少しずつ見えてきます。
経験「ある」「なし」の違い
経験のある・ないは、どのように見分けられるのか。
たとえば「結婚」に対する表現を例に出してみます。
経験なし:結婚とは好きな人と家庭を持つこと
経験あり:結婚とは苦しい時も嬉しい時も共にできる相手と家庭を持つこと
経験ありだと、語られる言葉からリアルなイメージが沸き、経験してきたからこその重みを感じませんか?
実際に苦楽を共にしているため、他人から聞いた事のようなきれいごとではない、本人の感情がこもった表現になっている。
つまり経験があるとは、経験してない人では語れない、細かな情報を持っていると言えます。
断片的か体系的か
経験あるなしは、情報が細切れになって断片的か、体系的に一連の流れで理解しているか。
もっと分かりやすく表現すれば、下記だと分かりやすいかもしれません。
経験なし:写真で伝える(一部分のみを切り取り)
経験あり:動画で伝える(流れで文脈が分かる)
たとえば単語として表現できないもの、または見逃してしまう小さなニュアンスなども広く表現する。
リンゴのおいしさを表現
断片的:甘酸っぱくてとてもおいしいです
体形的:噛んだ時の、あのジュワっとしたみずみずしさがたまらない
実際に経験していないと、ジュワっとした感覚・記憶もないため、すんなり出てきませんよね。
経験を表現するには、断片的に決まりきった情報で表現するのではなく、どこまで事細かく語れるのかが大事。
それを経験していなくても、情景が浮かんでくるような表現が求められます。
断片的になりやすい原因
情報をただ提供しても、理解できる土台がなければ、本当の意味で理解はできません。
つまり、私たちは保持している記憶を頼りに、今見ている情報を理解しようとしている。
補完している例
り〇ご
〇の部分に入るのは「ん」だと分かりますよね。
これは記憶からひっぱりだして、勝手に脳が補完してくれているから、一部情報が抜けても分かるようになっています。
断片的な情報でも、何となく理解してしまえるのは、記憶を頼りに穴埋めをしてくれるよう脳が錯覚・思い込んでいるから。
だから経験がなくても、ある程度の情報があれば過去の記憶から繋ぎ合わせて、分かったように思ってしまいます。
経験によって専門性・権威性・信頼性が作られる
Googleが以前発表していた旧検索品質評価はE-A-T。
専門性(Expertise)
あるテーマについて長い時間をかけたことで得られた情報
権威性(Authoritativeness)
憧れや他者からの認知度
信頼性(Trustworthiness)
情報の正確性・誠実性・安全性
しかし、これらの元を正せば、全て経験に行き着きます。
経験したから専門性が手に入った
経験があったから権威性が生まれた
経験をもとにしたから信頼性を出せた
結局は、経験によって全てが作られているため、大本の経験をなぜ重要指標に組み込んだのか理解できます。
逆に、経験がなければ全てを体現できないため、情報に経験を求める流れになるのは当然なのかもしれません。
経験を含めた記事はどう作ればいいのか
なぜGoogleが経験を求め、そして経験とは一体どのようなものかが分かったら、次気になるのは記事へどう活かせばいいのか。
断片的ではなく、体系的な情報を出せればいいのですが、そもそも経験していないことも記事として作っていくシーンも多いですよね。
そんな中でも、検索ユーザーに求められ、Googleにも認められる記事を作るコツをまとめてみました。
コツ1 情景を思い出す・思い浮かべる
経験しているなら、その都度情報を得るのと一緒に、感情も動いているはずです。
たとえば初めて記事を作った時、ぜんぜん書き方も分からず、誰にも聞けずにネットから情報を探し回ったり、何度も何度も何度も書いては消してを繰り返して、ようやく書き上がって見直してみたら、誤字脱字がたくさんあり、文脈も通っていないので意味が分からない…。
すごく悲しく・辛くて、そんな経験があれば感情も一緒に引き出して文章にしてみる。
「半泣きになって」のような表現があれば、情報を見る側も思わずイメージしてしまい、経験をもとに書いてあることが判断できますよね。
自分も相手も、情景が浮かぶと経験者としての表現もできます。
コツ2 思い込みを捨てる
経験の重要性が高くなっている今、思い込みが大きな足かせになります。
私たちは普段から、自分の当たり前を、相手の当たり前にもしてしまっているケースは多いですよね。
「〇〇なら〇〇だ」と、勝手に自分の記憶だけを頼りに断定してしまっている。
思い込みの例
× 女性はカワイイものが好き
〇 女性はカワイイのものだけでなくカッコいいのだって好きかもしれない
凝り固まった思考でいると、断片的な情報ばかりに頼りすぎたり、捏造してしまうことも。
思い込みを捨てる事は、経験を活かすうえで重要な準備になると言えます。
コツ3 分かっていない相手の視点で見る
情報を伝える時、相手によって話がしやすかったり、しにくい場合があります。
SEOについて話す時の例
話しにくい:相手がSEOについて何も知らない
話しやすい:相手がSEOについて知っている
話したいテーマについて、情報を持っている相手であれば、わざわざ説明せずとも前提知識により相手が脳内補完してくれるので、どんどん進んでいけます。
その逆で、持っていてほしい情報を持っていない相手と話すと、細かくさまざまなことを交えて話さないと通じない。
私たちは普段から、自分視点でコミュニケーションをとる習慣が多いためか、相手の前提を無視して自分が分かっている情報は伝えず、そのまま進めようとします。
相手の視点に立つと、初めてであれば、初めてだからこそ知っておきたい情報に気づけるため、どの視点でモノゴトが見れるのか、経験を活かした記事作りの際に重要となります。
最後に
Googleが検索品質評価の指標へ新たに追加したExperience(経験)をまとめてきましたが、背景を知れば自ずとどう活かせばいいのか見えてきます。
経験を重要視するのは、別の言い方をすれば「丁寧」に相手へ説明することだと言える。
今後も、人々が情報を探し続ける限り、Googleを利用した情報検索は消えることはなく、ビジネスでも活用し続けなければいけないため、経験を組み込んだ情報作りの難易度は増していきますが、今から対策していくことで、あとで慌てることが無いようにしておきましょう。