いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:エンプレス編集部です。事業計画書を書く時のコツを知っておくと、企画がスムーズに通ってあなたの目指す事業の成功へ近づきやすくなります。
事業の内容や戦略・収益見込みなどを記載する事業企画書は、ビジネスを成功させるうえで非常に重要な書類です。
本記事では事業企画書を書くときに役立つ、以下の項目について解説します。
- 事業企画書の書き方
- 事業企画書の内容例
- 事業企画書を書くポイント
ポイントをおさえることで、相手を納得させられる事業企画書を作成できます。
効果的な事業企画書の書き方のコツをぜひ参考にしてください。
事業企画書とは
事業企画書は事業の内容や戦略・収益見込みなど、事業の大まかな方向性がまとめられた提案書類です。
事業を運営していくなか、課題や見直すべき点が出てきた時に解決のヒントとなります。
また、企画書とともに実行済みおよび計画されている事業もまとめた「事業計画書」の作成も進めるのもおすすめです。
計画書もあることで、融資や出資を依頼する時にもスムーズな提出ができます。
新規事業企画書と既存事業企画書の違い
事業企画書には以下の2種類があります。
事業計画書の種類 | 違い |
---|---|
新規事業企画書 | 新規事業の立ち上げの前に作成 |
既存事業企画書 | 実績のある事業の見通し |
実行前の事業について記載する新規事業企画書は、客観的な根拠やデータが不足しています。
読み手に必要性が高い企画であると納得させるためには、リサーチの情報や分析結果をもとに将来性を可視化する必要があります。
一方、実績のある事業について記載する既存事業企画書は、実績データや客観的根拠をもとに中長期的な計画の具体的な記載が可能です。
事業企画書を書く目的とメリット
事業企画書には、以下4つの目的があります。
- 事業アイデアを客観視する
- 事業内容を可視化する
- 関係者に事業内容を示す
- 社内外の理解者を増やす
目的に沿って作成すると、事業にとってメリットにつながります。
より明確な視点で事業企画書を作成できるよう、参考にしてください。
事業アイデアを客観視する
事業アイデアを客観視できる事業企画書は企画の不足部分や行動の優先順位が把握でき、新たな発想を生み出すきっかけにもなります。
事業企画書は事業を開始したあとに、売上や収益・進行状況などで課題が見つかった時の振り返りにも役立ちます。
事業内容を可視化する
事業企画書を作成することで、事業内容のアイデアを可視化することも可能です。
可視化すると自分の思考が整理でき、理解が深められ事業内容をイメージしやすくなります。
新しいアイデアはメモを取らないと忘れるケースも多いため、事業企画書を活用して可視化しておきましょう。
関係者に事業内容を示す
関係者に対して正確に事業内容を示せる事業企画書は、今後の事業をスムーズに進めるために重要な書類です。
他者との連携が必要な事業では、従業員やチームメンバーの数により口頭での内容共有が難しくなります。
全員が同じ方向で作業を進めるためにも、事業企画書の内容を正確に共有する必要があります。
社内外の理解者を増やす
事業企画書は社内外の理解者を増やすことにも役立ちます。
事業を行ううえで大きな課題の1つである資金調達を成功させるには、より理解を深められる事業企画書で社外より信頼を得ることが必要です。
社内外の理解者を増やしてサポートしてもらえるよう、伝わりやすく納得できる事業企画書を作成しましょう。
事業企画書を書く際のポイント
事業企画書は、以下7つのポイントを押さえて書きます。
- 内容は簡潔にまとめる
- 5W1Hを押さえる
- ヒト・モノ・カネを押さえる
- 成功する根拠を示す
- 現実的なプランを示す
- フレームワークに当てはめて考えてみる
- 事業企画書のテンプレートを使う
大事なポイントを押さえ、より具体的で相手を納得させられる事業企画書を書きましょう。
内容は簡潔にまとめる
事業企画書の内容は、簡潔にまとめると要点が伝わり読みやすい文章になります。
逆に長々と書かれた文章は最後まで読んでもらえない可能性が高く、事業内容が正確に伝わりません。
簡潔に事業のメリットが提示できると、協力が得られやすく事業の成功にもつながります。
5W1Hを押さえる
事業企画書を書くときは以下の「5W1H」を押さえて情報を整理すると、具体的で過不足なく伝わる文章になります。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
5W1Hは情報を正しく伝えるためのフレームワークです。
事業計画書の内容が不十分で相手に必要な情報が伝わらないと再度説明する時間や手間を要するため、5W1Hを押さえてわかりやすい事業企画書を書きましょう。
ヒト・モノ・カネを押さえる
事業企画書を書くには「ヒト・モノ・カネ」も押さえるポイントです。
項目 | 記載内容 |
---|---|
ヒト | ・社内の人員:事業の業務量に必要な人数・スキル・経験 ・社外の関係者:公的機関や代理店・協力してくれる会社 など |
モノ | 一定額の投資が必要な設備投資・在庫・店舗 など |
カネ | ・初期投資やランニングコストなどの費用 ・事業売上の読み ・変動費 など |
「ヒト・モノ・カネ」をしっかり考えて作成すると項目が明確に分かり、読み手も捉えやすくなります。
成功する根拠を示す
新規事業企画書を書く時は説得力を増すために、成功する根拠を示すことが重要です。
新規事業を始める時は実際に得られる収益の程度が正確にわからず、十分なサポートを受けられない可能性もあります。
予想に反して成果が出ず収益が低くなると、マイナスも大きくなり事業の存続にかかわります。
成功するまでサポートしてもらえるように、企画の段階より具体的に根拠を用いて将来性を提示しましょう。
現実的なプランを示す
非現実的な事業企画書では「実現性が低い」と判断され資金調達が難航する可能性があり、作成時には現実的なプランを示すことが大切です。
相手の納得につなげるためにも、具体的な数値や根拠を用いて説得力ある企画内容を記載しましょう。
事業内容を他社と比較して、実現可能なプランか検討するのも1つの方法です。
融資を希望する際にも現実的なプランを示すと審査に通りやすくなるため、シビアな目線で作成する必要があります。
フレームワークに当てはめて考えてみる
わかりやすい事業企画書を作成するには、フレームワークを活用する方法もあります。
フレームワークは分析や課題の発見・戦略立案・業務改善などの枠組みを指し、事業計画を考えるうえで重宝します。
計画を立てるための思考整理・情報整理がしやすいフレームワークは多数存在しており、以下が一例です。
フレームワーク | 目的・方法 |
---|---|
3C分析 | 情報を漏れなく収集・整理 |
ファイブフォース | 脅威を5つに分類・分析、業界の収益構造を明らかにし、自社の競争優位性を探る |
ポジショニングマップ | 市場の全体像や参入各社の製品の立ち位置を図表にして可視化 |
ペルソナ | 代表的なユーザー人物像を担当者間で共有 |
カスタマージャーニーマップ | 顧客の行動と心の動き全体を可視化 |
ビジネスモデルキャンパス | ビジネスモデルを可視化して事業を客観視 |
事業内容に合ったフレームワークを活用すると、相手を納得させる事業企画書が作成できます。
事業企画書のテンプレートを使う
事業企画書のテンプレートは項目に沿って記載するため、書き方に不慣れな方も簡単に作成が可能です。
テンプレートには新規事業企画書用や既存事業企画書用など、さまざまな種類があります。
目的に合わせたテンプレートを使い、具体的で説得力のある事業企画書を完成させましょう。
事業企画書に必要な内容の例
読み手を納得させるために事業企画書に必要な内容は、以下のとおりです。
- 会社概要
- 事業概要
- 事業コンセプトとターゲット
- 外部環境(市場動向・競合)
- 自社の強み・弱み
- 商品・サービスの内容
- ビジネスモデルや戦略の見通し
- 生産・販売体制
- 財務計画
それぞれの項目で記載すべき内容をくわしく解説します。
今回紹介する内容はあくまでも一例であり、ほかにも必要な項目がある場合は、追記して充実させましょう。
会社概要
事業企画書には大元の会社情報が必須になるため、会社概要として以下の内容を記載する必要があります。
- 会社の商号・住所・連絡先・ホームページのURL
- 代表者名・役員名・従業員数
- 主力商品やサービス
創業前で未確定な情報は、予定の記載で問題ありません。
特に、代表者の経歴や実績・スキルはくわしく書くと評価にもつながります。
事業をサポートしてもらううえで代表者のアピールは必要不可欠であるため、信頼を獲得できる会社概要を書きましょう。
事業概要
事業概要では「何を・誰に・どのようにするか」を明確にすると、相手に伝わりやすい文章になります。
言葉のみで伝えるのが困難な場合は、写真や図・表などを用いて説明しましょう。
概要は事業全体について記載するため内容が膨らみやすくなりますが、簡潔にまとめて読み手が短時間で把握できる配慮も必要です。
事業コンセプトとターゲット
事業をスムーズに進めるには、コンセプトとターゲットを明確にする必要があります。
事業の目的や達成したいゴールを、簡潔かつ明確にまとめましょう。
コンセプトやターゲットが明確であるほど事業の開始後もぶれずに進められるうえ、共感が得られると今後の融資にも有利に働く可能性があります。
外部環境(市場動向・競合)
外部環境の項目では、取り扱うサービスや商品を競合他社と比較した市場規模や、自社のおかれている環境などを記載します。
企業はよりよいサービスや商品を提供する前提で企画しますが、消費者に利用してもらえなければ事業は成り立ちません。
事業を成立させるために「どれくらいの市場規模なのか」といった、競合の状況把握は重要なポイントです。
自社の強み・弱み
会社をアピールするには、自社の強み・弱みの記載も必要です。
自社の強みや弱みが明確に提示できない時には「SWOT(スウォット)分析」も活用してみてください。
SWOT分析とは「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」英単語4つの頭文字を取った言葉で、事業計画などの現状を分析できるフレームワークです。
SWOT分析を用いるときは、顧客にとっての価値や利便性・コミュニケーションなどを中心に分析しましょう。
商品・サービスの内容
事業企画書を作成するうえで、商品やサービスにおける生産方法や提供方法などをわかりやすく書くことも重要です。
どれほど優れた事業計画であっても、商品やサービスに魅力が感じられなければ事業は成功しません。
自社の商品やサービスの特徴・生産方法や提供方法・他社との違いなどを記載すると、より捉えやすくなり必要性を感じられます。
ビジネスモデルや戦略の見通し
事業企画書にはターゲット・市場規模などを踏まえたうえで、ビジネスモデルや戦略の見通しについての記載も必要です。
商品やサービスの認知方法や購入までの仕組みを可視化することで、社内での意識も統一され、社外関係者においても将来のビジョンが見えやすくなります。
ビジネスモデルや戦略の見通しは継続的に収益を得られる根拠となり、より現実的な事業企画書を作成できます。
生産・販売体制
具体的な事業企画書を作成するために、商品を生産・運搬・販売する体制や、安定して供給するための人員体制についても記載しましょう。
役割分担を明確にした組織図は、人員の配置や作業内容が一目でわかり効率的に業務を進められます。
また、今後事業を拡大した時の生産増加に伴う人員確保を予測しておくと、必要な費用も明確になります。
財務計画
財務計画には事業の利益予測など、資産に関する計画を記載します。
事業企画書に財務計画を記載する時は論理的な文章にするため「売上・利益・資金調達」の3項目にわけるのがおすすめです。
売上に関する計画は業種により計算方法が異なります。
たとえば、サービス業では客単価・席数・回転率を想定し、売上に原価や人件費・管理費・税金などを算出することで利益が予測可能です。
利益計画は原価や人件費などの詳細な費用を把握する必要がありますが、売上アップのポイントや費用削減のタイミングが明確になります。
事業を進めるうえで重要な資金調達は、売上計画と利益計画をもとに具体的な提示が可能です。
融資を受けるときにも重要なポイントになるため「売上・利益・資金調達」の3項目で詳細な数値を示しましょう。
事業企画書を書く流れ
事業企画書は以下の流れで書きましょう。
STEP1 | 概要をまとめる |
---|---|
STEP2 | 目標を定める |
STEP3 | 戦略を策定する |
STEP4 | 製品・サービスの説明 |
STEP5 | 市場・ターゲットの選定 |
STEP6 | 販売・マーケティング施策をまとめる |
STEP7 | 組織体制 |
STEP8 | 収益モデル(収益予想・コスト構造など) |
STEP9 | リスクと対策 |
STEP10 | スケジュール(WBS)を作る |
流れに沿って書くと効率的に事業企画書を作成できるため、参考にしてください。
1. 概要をまとめる
先に事業を企画したきっかけや発展計画など、大まかな内容や流れを記載します。
事業企画書は内容も膨大であるため、要点をまとめて書く必要があります。
また、事業の理念やビジョンを示しやすい概要は、代表者の熱意や想いも簡潔に伝えましょう。
2. 目標を定める
概要をまとめたあとは目標を定めて期限付きでゴールを設定します。
事業の目標を立てる時は以下の流れで決めると具体的な内容で作成可能です。
STEP1 | 全体的なビジョン |
---|---|
STEP2 | 数値化できない定性的な目標 |
STEP3 | 数値化できる定量的な目標 |
ビジョンは企業が目指したい姿であり、その将来像を実現するために数値化できない定性的な目標を立てます。
さらに目標を達成するために、期限や利益目標といった数値化できる定量的な目標を設定しましょう。
抽象的なビジョンより少しずつ具体化することで、より説得力のある目標が作れます。
3. 戦略を策定する
目標を設定したあとは、達成するための戦略を策定します。
商品やサービスがよくても戦略を間違えると事業の成功へはつながらないため、成功確度を高める綿密な計画が重要です。
より具体的な戦略を目指し、まずは自分が事業の内容を明確に把握して分析してください。
4. 製品・サービスの説明
目標や戦略を記載して明確にしたあとは、製品の機能や特長・サービスの使い方・顧客に対してのメリットなどをくわしく説明します。
自社ならではの価値についても伝え、優位性をアピールしましょう。
製品やサービスについて継続的に供給できる根拠を示すために、外注先や仕入れ先を記載しておくのもおすすめです。
5. 市場・ターゲットの選定
製品やサービスの特徴を明記したうえで、市場調査やターゲットの選定も重要です。
事業企画書では競合や市場規模・市場のニーズを分析し、事業の取り巻く環境を記載します。
顧客に独自のアンケートなどを行った場合は結果を分析し、あわせて記載しましょう。
また、ターゲットの選定では商品やサービスを利用する典型的なユーザー像「ペルソナ」を設定すると具体的な計画書が作成可能です。
年齢や性別・移住地・趣味嗜好・ライフスタイルなど、詳細に決めることで、ターゲットが明確に定められます。
6. 販売・マーケティング施策をまとめる
市場やターゲットが選定できたあとは、商品やサービスの存在を顧客に認知させる方法や購入してもらうまでの施策を考えます。
具体的には価格設定や販売する店舗・プロモーションの必要性などをまとめましょう。
マーケティング施策は短期的な売上や集客だけに目を向けるのではなく、長期的に事業を継続していける内容であることが重要です。
他社との差別化ポイントも記載しておくと、より将来性が期待できます。
7. 組織体制
組織体制の項目ではメンバーの経歴やスキルなどをまとめると、有利に事業を進められるアピールができます。
記載するメンバーは社内に限らず、社外の業者や業務委託先も含めてください。
経歴やスキルが不十分である場合には、あらかじめ外部よりメンバーを確保するなどの対策を取ると信頼度が上がります。
8. 収益モデル(収益予測、コスト構造など)
事業企画書には収入・支出・利益を示した収支計画の記載も必要です。
収支計画は売上に対してかかった費用や収益予測を、簡潔にまとめられます。
キャッシュの流れをわかりやすくしておくと、将来見込まれる収益を説明しやすく、融資の依頼時も説得力のある資料になります。
9. リスクと対策
事業の運営はリスクと隣り合わせであり、どんなに綿密な計画を立てても必ず成功するとは限りません。
もしもの時に備え、リスクや懸念点を事業計画書に記載しておきましょう。
具体的には、事業が失敗する可能性のある状況や許容できる損失の範囲を明確にします。
不安要素にも目を向けることで視野も広がり、内容をより具体的に考えられるため、さまざまな状況を想定することが必要です。
10. スケジュール(WBS)を作る
最後に、事業の進め方を共有するために具体的なスケジュールを作成します。
以下の2種類で作成しましょう。
作成するスケジュール | 内容 |
---|---|
ロードマップ | 事業のゴールまでを可視化 |
予定表 | 進捗状況を確認 |
ロードマップは事業の将来性が把握できます。
一方、予定表はロードマップを現実的に捉えるために、より詳細に「いつ・誰が・何をするか」をまとめます。
2つの視点でスケジュールを作成しておくと、事業を円滑に進めることが可能です。
まとめ
事業企画書はビジネスを成功させるうえで、非常に重要な書類です。
より具体的に根拠を示すことで、相手に納得してもらえる事業企画書を作成できます。
書く内容が明確でない場合は作成に時間がかかるため、本記事で紹介した7つのポイントを押さえて書いてみてください。
書き方の流れも参考に、効率的かつ説得力のある書類を書きましょう。