役職があがって「上司」となり「部下」を持った方の心構え

  • | 公開 2021年08月23日
役職があがって「上司」となり「部下」を持った方の心構え

エンプレス」の編集部:sugiyamaです。上司と部下の理想の関係に決まったものはないため、向き合い続けることが大切かなと感じています。

「部下との関係がうまくいかない…。」

役職があがった、上司が辞めて自分がその立場になった、現場では自分が一番年上など、状況の変化によって「上司」「部下」の関係性が作られる場合も多いですよね。

しかし、立場の上下を意識してしまうことで、関係性は簡単に壊れて、結果的に社会にも会社にも組織にも悪影響が発生してしまう。

上司部下の関係に不安を持つあなたに、この記事が少しでも解決に役立つ情報となれれば嬉しいです。

上司が部下を管理する意識は歪な関係性の元になりやすいと考えていますが、この記事は主観で語られた理想論だと思うので、一つの考え方として見て頂ければと思います。

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上司とは?部下とは?

会社に入社した、派遣として働き出した、アルバイトとして短期で働くことにした。

状況は色々ですが、働くことを決めたあなたの前には、決して逃げられない上下関係が待っていますよね。

  • 入社と同時に部下になる
  • 入社と同時に上司になる
  • 新しい人が入ってきて上司になる
  • 既存メンバーが退職して代わりに上司となる
  • 役職があがって上司になる
  • 役職が下がって部下になる

上司と部下、どちらにも状況次第でなりますが、上司とは?部下とは?一体どのような存在なのか、明確に回答できる方は少ないのかなと思っています。

まずはそれぞれがどのような存在なのか、改めて確認してみましょう。

上司と部下の違い

上司と部下の違いを、簡単な表にしてみました。

項目上司部下
スキル○ or △○ or △
知識○ or △○ or △
経験
権限
管理能力
人柄○ or △○ or △

完全実力主義の会社など、組織状況によって大きく変わると思いますが、上司だから部下だからと言って、そこまで能力値的には変わらないことも多いですよね。

むしろ、部下の方が優秀なんて状況はいくらでもあります。

それでも上下関係が会社の中で生まれるのは、下記3つがポイントになっている。

  • 仕事経験の有無
  • 権限の有無
  • 管理能力の有無

その仕事だからこそ活きる経験を持っており、会社経営にとって必要な判断をしてくれるからこそ上司として任命されている。

もし、まったく違う業種に進んだとしたら、今までの経験が役に立たないことも多くなり、上司だったものが役職が無くなり部下として始めることも。

役職や「上司」という存在は常に流動的で、状況が変われば一瞬でひっくり返るため、普段から上司としての立ち振舞が大切になるかと思います。

上司としての心構え
役職が付き上司になると、やはり誰でも偉い感覚が生まれてしまうものです。偉い感覚は人間関係に悪影響を及ぼすことも多いため、上司の立場のあなたは、常に意識から「偉い」感覚を取り除くことが大事だと思います。

悪い上司の例

上司だから「偉い」は間違いで、学校で言えば先にその部活へ所属していた人でしかない、または先に仕事で必要な経験を持っていただけに過ぎない。

しかし、上司・部下の関係性が作られると、教える(上司)・教わる(部下)が自然と作られてしまって、この状況が上司の傲慢を生み出しているかもしれません。

私自身が失敗した経験も踏まえて、悪い上司と言われる例を見ておきたいと思います。

話しかけづらい存在になっている

上司は下からは判断を仰がれ、上からは責任を追求され、心理的にもなかなか厳しい状況になっている中間管理職が一番多いですよね。

報連相を求めていたり「何でも聞いてね」と言いながら、

  • イライラしているから話しかけづらい
  • 忙しそうで連絡タイミングが掴みづらい
  • 怒鳴ることがあって話すのが怖い

上司として、部下を受け入れる心構えや環境が作れていないことも。

ダブルバインドと呼ばれる矛盾を感じるメッセージを出している場合も多いです。

部下のことを分かったつもりになっている

1on1で定期的に話せている=部下を理解していると思うのはまだ早いかもしれません。

上司側
・勝手に都合よく部下を分かったつもりになっている
・話しによく頷いているから理解していると思っている
・アドバイスをたくさんして関係構築できていると思っている

部下側
・言いたいことが言えていない
・信頼がないから頷いてやり過ごしている
・上司自身が納得したい返事しか求められないから表面上従っているだけ

このような状況だと、組織サーベイやアンケートを取った時に良い結果が出ると思っていても、実際は悪い評価が可視化されてしまう。

悪い結果が出たからと、部下に改善を求めたら「めんどくさい」と思われて、思ってもいない回答を機械的に行って、表面上は改善しているが本心が見えなくなっていることも。

仕事の話しばかり

誰かと何かを話す場合、共通の話題がないと会話を続けるのが難しいですよね。

これは上司・部下の関係においても同じで、共通の話題が仕事しかないと、話す内容全てが仕事になり、アドバイス・説教など小言が増えている場合も。

仕事に関係ない話は邪魔、プライベートは話したくない、とあなた自身も思っているかもしれませんね。

しかし、会社は仕事をする場所ではありますが、やはり「人」同士のことなので、感情への配慮は欠かせません。

雑談など仕事に関係ないことも、業務を円滑に進めるための潤滑剤となっています。

無理にプライベートを聞き出さなくても大丈夫です。また、お互いの関係値によって信頼がない状態で聞こうとすると、ハラスメントになる場合もあるため、デリケートな問題ですが、話せる仲になっていることで良い関係が築ける場合もあります。

ずっと上司の立場でしか仕事をしていない

上司の立場でずっと仕事を続けているのは、能力や人柄など認められていることが多いため、何も悪いことではありません。

しかし、上司役ばかりを続けていると、部下の立場や想いを理解できず、自分が「教える」側の意識でしか部下を見れなくなり、窮屈な関係性が生まれる可能性もあります。

自分が出来ることを部下も出来ると思ってしまう

自分が「出来る」ことを部下も同じように「出来る」と思ってしまうのは、よくある失敗事例かなと思っています。

上司が出来ること
・普段からしていることだからノウハウがある
・実行するための権限を持っている
・周りからの協力が得やすい立場である

部下の場合
・ノウハウが無いので何をどうすればいいか解像度も低い
・権限をもたされていないのでどこまでしていいか分からない
・周りから協力が得られない状況もある

上司の立場で考えれば楽なことも、部下の立場から見れば難しいことは山程ある。

そこに気づかずコミュニケーションを取っていると、どんどん歪みが大きくなって関係性が壊れてしまう場合も。

~べき論で正しさだけの説明をしてしまう

上司は自身の判断によって組織やプロジェクトを動かしていくため、なるべくなら判断を間違えたくないと考えます。

また、自分の判断の正当性を訴えるために「~するべき」や反論を受け付けずに正論で無理やり押し通そうとする場合も。(私自身は恥ずかしながらあります…)

どんなに正しくても、正しさだけでは人は動かないので、気をつけなければいけません。

「言われてないから大丈夫」は大間違い

結論として、部下が言えない状況になっているだけの可能性があります。

上司へ話しかけづらい雰囲気だったり、信頼関係がないと「言われていない」ではなくそもそも「言う必要もない」となり、大事な情報は上司まで上がってきません。

他にも中途採用で入った方などは、慣れない状況で言いたいことはあるけど場の雰囲気や、今後の上司との関係性を気にして、言いづらいこともたくさん。

何でも言い合える関係性は夢まぼろしですが、そこへ近づけられるよう意識していくことが大切だと思っています。

説明不足で無駄な作業を増やしている

上司としては『1を説明』して『10を理解』してくれると期待しますが、それは難しすぎ…私自身も前提の説明や目的が分からないと、無駄に考えて無駄に時間を使ってしまう場合もあります。

全てを説明してしまって、実行のみ部下に頼むのもいいですが、それだと考える力を養えないため、部下の自立・自責・自走が遠のいてしまう。

説明の塩梅は難しいですが、前提としてなぜ行うのか目的をすり合わせて、なるべく部下の自分事化を目指すのが大事。

「やってはいけない」と伝えたことを上司自身がやっている

プロジェクトを進めている時、部下は上司に進めていることの報告機会は多いと思いますが、上司が「ダメ」と言ったことを、上司自身がやってしまっていること、結構ありませんか?(私は多いです…)

部下は上司の背中を見ながら育つ部分もあるため、やってはいけことをやっている場合、矛盾が生じて信頼感も落とします。

上司は自分の言葉・行動に責任を持つことを、意識し続けなければいけません。

上司と部下の理想の関係性とは?

上司と部下の理想の関係を考えたくもありますが、やはり価値観の違いや企業文化なども違ってくるため、他社で成功している考え方や方法であっても、自社には当てはめられないことは多い。

そのため、下記に書いた理想の関係は私が今まで感じたこと、経験をもとにした一つの考え方のため「こういう考え方もあるのか~」くらいで見て頂ければ幸いです。

どんな関係性がいいのか?

一般的
上司 → 教える、管理する、導く
部下 → 教わる、管理される、導かれる

著者の考え
上司 → 教え教わる
部下 → 教わり教える

「管理」や「導く」こんな意識を持っていると、なんだか自分のことが偉いような考え方になりやすく、今までの上司部下の関係性から脱却できないと感じています。

上司になると役職が主任・課長・部長などが付き、自分たちが実績を残していることも相まって少なからずプライドも出てくる。

しかし、そのプライドが邪魔をして正論で推し進めようとしたり、部下の「心の動き」を考慮しないことで、不満が退職として可視化されることも多くなっている気がします。

お給料の関係もあるため、上司と部下がまったく同等の立ち位置でいることはできませんが、それでも基本思考としてはお互いが補完し合える関係性が理想ですよね。

部下のことを何でも分かっていると思うのは思い上がりかもしれません。関係性が壊れることを恐れて踏み込めない方もいると思います。しかし向き合い続けないと部下のことは分からないので、部下の「心の動き」にも意識を向ける必要があると感じています。

一度壊れた関係性を修復するのは難しい

上司にしてみれば、役職が上がるごとに対応範囲は広がり、責任が重くなり、身動きが取れなくなっていく。

マネジメントだけ出来れば楽ですが、実際はプレイヤーとしての活動も多いのかなと思っています。

そんな中、誰もが普段の業務でいっぱいいっぱいになり、上司は上司のことだけ、部下は部下のことだけしか見れていない場合も多くありませんか?

直接見る部下が7~8人を超えると、管理が難しくなると言われています。

部下との関係性が築けないまま過ごしていると、部下としては不満が溜まって、結果的に「上司が嫌いで辞めます」が発動される。

一度関係性が壊れると、修復する前に異動・転職して、本当の原因が分からないままになり、負のスパイラルが繰り返されていく。

上司と部下は親と子の関係に似ている

上司と部下の関係値が高まれば高まるほど、上司への信頼度もあがっていくため、一挙一動一言が部下の行動を変化させる。

例えば、上司としてはそんなつもりで言ってはないと思っても、言われた部下にしてみたら「言葉」として表現された時点で、現実として受け止めてしまうことも多いですよね。

また、1伝えて10理解できる人は多くないため、「伝えた」ではなく「伝わった」かを常に意識していく必要もある。

部下はもちろん、上司も間違いをおかすことを前提にして、お互いが依存ではなく補完し合える関係性になれれば素敵だと思います。

教育とは?

上司のノウハウを部下に教え込むのは基本的なことですが、会社としては部下だけに育ってもらうのではなく、上司自身のレベルアップも求めています。

もし、上司が単なる情報伝達係にしかなっていない場合、マニュアルを作ったりプロセスをまとめた資料を渡せば済んでしまう。

教えて教わる学び合う姿勢が上司と部下には必要であり、終わりの見えないゴールですが、二人三脚で進めていく意識が大事だと感じています。

最後に。

私の場合は20代後半まで部下の立場だったものが初めて上司となり、一番最初に面接して入ってくれたメンバーが5年目を迎えてもずっと共に事業を進めてくれています。

上司の立場を経験してから失敗も多くしてきましたが(今も)、やっと落ち着いて組織の関係性に目を向けられるようになりました。

どの企業さんも状況がまったく違っていて、それぞれ所属している方も違うので、色々な価値観がある中で上司・部下の関係性を作っていくのは大変だと思います。

世の中には「~べき論」や「これ効果あったよ!」がたくさんあって、だけど、どれだけテクニックや考え方があったとしても「人」を見ない関係性はよくないと思う自分がいるため、これからも同じ仲間として働いてくれるメンバーの「心の動き」に注意しながら関係性を作っていきたいと思います。

千差万別!上司と部下の関係性もそれぞれあっていいかと思うので、終わりのない旅のようなものですが、見つけていきたいです。
エンプレス編集部:sugiyama

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2012年よりwebデザイナーとしてデジタルマーケティングの支援を開始。その後はマッチングプラットフォームの立ち上げ、売上ゼロからグロースに携わり黒字化後に事業譲渡。現在は資料サービス「エンプレス」にてプロジェクトマネージャーを務め、コンテンツの制作から運用、100社以上のお客様支援を実施。そこで得たノウハウをコラムとして投稿中。
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