いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。提案書を作っても作っても、なかなか採用されない場合、見直したいポイントに気づいていないだけかもしれません。
「これだけ作り込んだから、次こそいける!」
そう思っても、実際には提案が採用されないことがあるかもしれません。
- 必要な情報を全部入れ込んだのに…
- 想いはしっかり伝えたのに…
- 聞きながら「うんうん」と頷いてたのに…
時間をかけ作った提案書が、ことごとく撃沈している場合に、改めて見直したいポイントからデザインテンプレートまで、提案書の採用率を高める話をまとめました。
提案書作りの注意事項
提案書を作るのは、あなたが考えた企画を、仕事として動かしていきたい時に作ることが多いですよね。
こっそり始めるなら、わざわざ提案書を作る必要はなく、社内外的に合意のうえで進めるための第一歩目が提案書作り。
自分以外の誰かを説得し、納得してもらい、許可をもらうために提案書を作りますが、提案書の前提が抜け落ちていると、採用されないケースが多くなっていきます。
もし、提案書を作っても、通らないことが多ければ、改めて注意事項を確認しておきましょう。
1. 伝えたい量と伝わる量は違う
提案書作りが初めて、または採用されないことが多い方ほど、この前提に気づいてない場合がとても多いです。
それが「伝えたい量」と「伝わる量」は違うこと。
伝えたい量:10伝えたい
伝わる量 :2~3しか伝わらない
なぜ、このような状態になるかと言えば、自分自身に置き換えてみれば分かりやすいかもしれません。
たとえば10ページの小説を1時間で読み切らないといけない場合、話の流れはなんとなく分かるものの、著者がもっとも伝えたかった肝心な情報を十分理解するには時間が足りません。
提案書も同じで、関係する全ての情報を入れ込んで文字数・枚数ともにボリューミーになれば、大枠は理解できるものの、情報が多すぎて全体が薄まってしまい、ところどころしか印象にも記憶にも残らない。
2. 伝えたい情報と知りたい情報は違う
提案書は、あなた自身が何かを推し進めたい、そのために誰かの気持ちを動かし、考えを変えてもらい、行動に起こしてもらうことが求められます。
提案書を読んでくれた相手の変化量を、どれだけ高く引き上げられるかが重要なので、気合を入れて作り込む場合が多いかもしれません。
しかし、その強い気持ちのままでは失敗するケースがとても多いです。
自分が伝えたい情報:A、B、C、D、E、F
相手が知りたい情報:B、H、M
このように、提案書の作り手側と読み手側で、情報ミスマッチが起きていると、せっかく作り込んだとしても提案書としては機能しない。
3. 伝えたい情報は相手が理解できるとは限らない
提案書は、自分自身の経験・知識や、直近で収集したデータなどを加えて作っていきますよね。
しかし、そこに落とし穴が潜んでいます。
作り手側:そもそも情報を理解したうえで作っている
読み手側:事前理解の機会がない
これが何を指しているのかと言えば、「自分の当たり前」が「相手も当たり前」になっている可能性がある。
同じ社内だとしても、社外のお客様相手だとしても、作り手側と完全に同じ解釈・理解をしてもらえるかは分かりません。
それぞれ微妙に違っていますし、まったく同じにはならないからこそ、どんどん違う解釈・理解をされてしまう場合もあります。
4. 言語・非言語コミュニケーションが求められる
提案書を使った情報伝達の大半は、文章(テキスト)を用いた言語コミュニケーション。
そこに写真・動画などや、説明時の声の大きさ、一生懸命さ、身振り手振りなどの非言語コミュニケーションが加わってきます。
しかし、情報を理解できるスピードには大きな違いがあります。
言語 :空の説明を1,000文字を読んで理解
非言語:空の写真を見て瞬時に理解
非言語コミュニケーションには情報が詰まっており、伝えられる情報量が多い。
もし、言語コミュニケーションに頼り切った提案書になっていると、読み解くのに時間もかかり、読み手はストレスから理解度が下がる可能性もあります。
5. そもそも相手は乗り気ではない(可能性もある)
提案の機会がもらえた場合、提案書を作っている最中は、その提案が通る前提で考えてしまいがちですよね。
しかし、機会をもらえただけで決定ではありませんし、逆に提案しなければ先に進めないのなら、相手としてはあまり気乗りしていないことも考えられます。
- まぁ聞くだけ聞いてみよう
- 熱心にこられたから聞いてみてもいいかな
- この前から約束していたから聞いてみよう
この他にも、提案書を見てくれる立場の方であれば、普段から忙しくされていると思うので、時間もムダにできない。
そのような状態なのに、ダラダラと要点が分からない、分量だけが多い提案書を見せられたら、嫌気がさして提案書を見てくれない、または説明も聞いてもらえない場合も。
あまり乗り気でない方に対して、どうやれば見てもらえるか考える必要があります。
提案書の書き方
社内外に向けて、せっかく作るのであれば採用してもらえる提案書を作りたい。
そう思われているなら、下記の情報がお役に立てそうです。
STEP1 情報収集
STEP2 情報精査
STEP3 提案書作りのツールを選ぶ
STEP4 情報を可視化していく
STEP5 提示用と自分用で分ける(余裕があれば)
STEP1 情報収集
提案書作るには、下記2つの情報が必要です。
自分:提案内容に関するあらゆる情報
相手:提案を理解承諾してくれる情報
提案は、相手が納得しなければゴールにならず、逆に相手ばかりを考え本来やりたいことができなければ、せっかく採用されたとしても気持ちがのりません。
そのため、両者が求める中から、重なるポイントを見つけ出すのが情報収集。
そもそも何が必要で、どんな情報を伝えればいいか分かっていないと、ここが合わずどちらか片一方にもなりやすい。
「書きたいことだけを書く」や「伝えたいことだけを伝える」などから脱却するには、事前の情報収集がとても大事です。
情報収集の方法
ある一定の範囲だけで調べようとすれば、情報の偏り(バイアス)がかかってしまうため、さまざまな観点から情報を集めていきます。
- インターネット検索
- 上司や同僚へヒアリング
- 提案相手にヒアリング
- SNS
- 書籍
- 調査を実施
他にも、ChatGPTなどの生成AIによる情報収集によっても、新たな視点や多くの情報を集められます。
無いところから探すより、有るところから減らす方が時間がかからないため、提案書作りのスピードを上げるためにも、途中途中の追加調査で時間を使うのではなく、最初からある程度集めた状態で作るのがオススメです。
STEP2 情報精査
多角的な視点で集めた情報を、今度は必要な分のみに絞り込んでいきます。
- 情報を分類ごとにまとめる
- 似ている情報は合算させる
- 優先度を付けていく
- もっとも重要な情報に絞り込む
情報をどんどん整理整頓・合算・削除していき、提案相手に"伝わる"量へ整えていく。
たとえば提案でもらえた時間が30分であれば、どんなに良い情報がたくさんあったとしても、短時間で理解してもらえる量へ落とし込まないといけません。
時間によって、提案書に入れられる情報量には限度がありますし、何より集中して提案を聞きずけるには体力もいるため、相手に無理をさせないよう絞り込んだうえで伝える必要があります。
情報精査のタイミングで、どこまで伝えるべきか把握し、さらに相手の知りたい情報だけに絞り込めるかが重要です。
何かの情報分析が必要であれば、まずは情報収集をしてからでないと、必要な情報が足りないケースも出てくるため、調査後に分析がオススメです。
STEP3 提案書作りのツールを選ぶ
提案書の鉄板はパワーポイントですが、状況によってはそれ以外がいい場合もあります。
深い理解が必要
→テキストベースで作れるワード(word)など
短時間で多くの情報提供が必要
→情報のイメージ化をしやすいパワーポイント(PowerPoint)など
提案する側と受けてくれる側に、前提知識で大きく差がある場合などは、写真や動画など含めて非言語コミュニケーションが取り入れやすいパワーポイントを選択したり、状況によって選ぶべきツールが変わってきます。
たとえば有名な話で、Amazonなどはパワーポイントが禁止で、文章ベースの書類が基本になっているようです。
このように状況へ合わせて、提案書作りのツールを選びましょう。
STEP4 情報を可視化していく
提案書を作る時に悩むのが、何をどう書いていけばいいか、構成どうしよう問題です。
一度でも「何を入れればいいか…」と、悩んだことがおありなら、下記の構成を試してみませんか?
順番 | 構成 | 概要 |
---|---|---|
1 | 表紙 | キャッチコピー(タイトル) |
2 | 結論 | この提案を受けてくれた場合はどうなるのかワクワクする未来 |
3 | 紹介 | 自己紹介(会社またはご自身のこと)※社外へ提案する場合 |
4 | 目次 | 提案書の内容全体をイメージできる項目一覧 |
5 | 課題 | 提案相手が抱える課題・問題・不安を可視化 |
6 | 提案 | 改題を解決するための具体的な提案または解説(メリットなども) |
7 | 証拠 | なぜ解決できるのか証拠を見せていく(成功事例など) |
8 | スケジュール | 期待する未来に至るまでは誰が何をしてどう進むのか仮でスケジューリング |
9 | 費用 | 社内なら発生しそうな費用、社外であればご発注頂くための費用 |
10 | CTA | 最終的なクロージングを兼ねたオファー情報(特典など) |
その他の構成については「何度も使える資料の構成と組み立て方」の記事で書いていますが、提案したい内容が変わらなければ、構成も大きくは変わらないと思います。
しかし、提案相手によっては状況が変わるので、合わせて微調整していきましょう。
松竹梅で用意する
最高の提案ができるよう、可能な限りのことを提案書として可視化していきますが、提案プランやパターンが1つしかないと、提案を受ける側としては「選ばされている」という感覚があり、なかなか承諾しにくいものです。
そのため、可能であれば松竹梅のように3つ、または2つを作り、相手に選ぶ権利がある状態を作っておきましょう。
選択肢があるだけで、その中から選ぼうとしてくれるため、提案相手も選びやすくなります。
STEP5 提示用と自分用で分ける(余裕があれば)
提案書は基本的に、解説用・提出用の2つが一緒になっていることが多いかと思います。
作ったものをそのまま見せる・渡す・解説時に使いますが、たとえばせっかくもらえた30分で、びっしり何十枚にもわたって説明が書いてある提案書を使い、時間内に全てを説明するのはかなり難しいかもしれません。
そのため、見てもらう用は情報を限りなく絞り込み枚数と情報量を減らして、解説用に自分だけが見る説明びっしりの提案書を使う。
余裕があれば、用途が違う2つの提案書を作っておくのもオススメです。
採用されない提案書の特徴
なかなか相手の気持ち・行動も動かせないのであれば、提案書の見直したいポイントがいくつかあります。
細かいデザインではなく、もっと作る前の前段に踏み込んで5つにまとめてみました。
提案前の関係値が高められていない
提案書を作り提出、提案・説明する前に、勝負が始まっています。
まず、提案書を読んでくれる・内容を聞いてくれる機会をもらえてから、実際に提案書を活用する機会まで、多くの方は作ることに集中しますよね。
その間、提案書を見せたい相手は、セッティングした機会を待つだけになっている状態。
しかし、人は時間が経てばたつほど、感情も記憶も薄れていきますので、提案機会を出してくれたタイミングから提案に対する期待度も関係値も落ち続けています。
提案日には、落ちた状態から改めて上げていかないといけないので、どれだけ提案書がよくても効果が発揮しづらいことがあります。
自分の気持ちばかりが先走っている
提案はまさに、自分の時間と気持ちをぶつける機会でもあるので、提案書作りに熱が入るのも分かります。
その状態だと「あれを伝えたい」「これも必要かも」と、どんどん情報はボリュームを増していき、過剰になり過ぎていることも。
提案書はもちろん、作り手側が求める結果を得るために作っている情報伝達媒体なので、入れたい情報は多いかと思いますが、結果として理解・納得・承認するのは、提案を受ける側。
提案を受ける側から「これが欲しかった!」と言われる内容が入っていなければ、提案は採用されないため、自分の気持ちは落ち着かせつつ、相手が何を求めているのか慎重に考えていきましょう。
作ることから始めている
失敗する提案書のパターンに多いのが、まず最初に提案書作りを行い、作り込むことに時間をかけてしまうこと。
たとえば、提案書に入っている内容が、提案相手に刺さらない内容だったら、いくら作り込んでも、採用してもらえないのは当然ですよね。
作ることを先に行ってしまうと、本当に求められている情報の精査があまく、提案が刺さりにくくなります。
作るよりも、相手が何を求めているのかを、先に考えることが大事だと言えます。
論理だけ、感情だけ、どちらかに偏っている
「どうしてもこれがやりたいんです!」
「これは御社に絶対メリットがあります!」
とても熱い気持ちで説明してくれると、気持ちが動かされやすいですが、提案書の内容に矛盾があったり足りない情報が多ければ、どうも信じきれません。
その逆に、論理的で合理的で効率的で、ロジックが通った提案書の場合は、理解はできたものの、ワクワク感がなかったり決め手が見えないので、承諾しにくい。
論理と感情のどちらかだけ、ではなく、両方を入れた内容にすると、提案書の強さが何倍にも高まります。
期待値がコントロールできていない
「なんでもできます!」
「効果100倍です!」
「絶対に成功させます!」
気持ちを高ぶらせる提案書になっていると、相手としても承諾してくれる可能性が高くなっていきます。
しかし、大げさに伝えてしまったり、具体的なイメージのすり合わせが出来ていないと、提案書と実際にミスマッチが起きて、後々クレームになることも。
期待値をしっかりコントロールして、適正な高さにすることが大事です。
提案書のデザインをよくするコツ
提案書は文章が9割ほどになるので、文章を整えるだけでも、見栄えが全然変わってきます。
今までに提案が採用されなかったり、社外向けの提案書で失注する機会が多いなら、少し変えるだけで見た目がガラリと変わるコツを見てみましょう。
もう「文字だらけ」と言わせない!
① 文章を見やすく読みやすく整える
② 相手が理解しやすい表現へ翻訳する
③ 重要な情報がもっとも映える状態にする
④ 補足を加えて理解度を早める
⑤ 参考デザインを見つけて真似る
① 文章を見やすく読みやすく整える
文章が多くを占める提案書、文章自体の見やすさ・読みやすさを整えれば、一気に提案書自体のランクがアップします。
見やすさ(視認性)※見た目の見やすさ
・フォントのサイズを16pt以上にする
・フォントの種類はメイリオ or 游ゴシックで統一
・文字のジャンプ率(大小)を使いメリハリを付ける
・コントラスト(明暗)をはっきりさせる
読みやすさ(可読性)※情報の読み取りやすさ
・声に出しても読みやすい文章にする
・漢字を減らしてひらがなを多目にする
この2つが最低限整えられるだけで、相手にとっても受け入れやすい提案書になります。
② 相手が理解しやすい表現へ翻訳する
少しカッコいい風にするため、あえて横文字(英語・カタカナ)を増やしたり、専門用語を多用すると、相手の理解が遅くなって本来の目的である合意形成までたどり着けなくなります。
そのため、どれだけ相手が理解できる情報へ変換できるか、その翻訳力を試されているのが提案書作り。
理解のしやすさ(判読性)※相手に理解してもらえるか
・相手の知識レベルに合わせた言葉使いにする
・数字を使って具体性を高める
・専門用語はかみ砕いで表現しなおす
・相手が使っている日常会話のレベル感にする
とにかく、難しい表現は注意が必要です。
自分では当たり前だと思っていても、相手にとっては当たり前ではないため、知らなかったり解釈に違いがあることも。
誤解釈されたまま提案が終わってしまうと、提案が採用される確率を落としてしまうため、表現の翻訳がとても大事です。
③ 重要な情報がもっとも映える状態にする
パワーポイントであれば、文章も入れられて、図形も使えて、画像も音楽も動画も、大抵の情報が入れられます。
しかし、1スライドの中へどれだけの情報を詰め込んでも、全てを一語一句漏らさず読み込んでくれる方など1人もおらず、流し読みや半分理解のまま、提案書の最後へたどり着く状態。
一度見たものの、説明を聞いたものの、記憶に残っているのは、その中の数個のフレーズのみ。
だからこそ、重要な情報がきちんと伝え伝わるように、1スライド1メッセージ(+補足情報)のレベルまで絞り込み、1度に多くの情報を与えすぎない提案書にしましょう。
④ 補足を加えて理解度を早める
文章は手軽にできる情報伝達の方法ですが、文字を一つ一つ読み、前後の文脈を把握し、繋げることでやっと理解が深まっていきます。
ある情報を伝えたい時に、1,000文字必要だったら、1スライドでは収まらず数枚のスライドで説明が必要にもなってしまう。
枚数が増えるだけ、読み手の負担にもなり、時間もかかるので、無理して文章で全てつたえようとせず、画像・動画・図解など、情報をイメージ化(可視化)していきましょう。
他にも、イイ事ばかり伝えていると、人間誰もが疑いの目を持ち始めるため、イイ事ワルイ事の両面提示をしたり、きちんと情報の裏表で補足していくのがオススメです。
⑤ 参考デザインを見つけて真似る
提案書の見た目の基本は、文章を整えること。
それがある程度出来てくると、やはり実際の提案シーンを考えて、見栄えを整える考えになってきます。※ 最初から見栄え作りから入ると、大抵の方が失敗します。
しかし非デザイナーであれば、そもそも「デザインとは?」「センスがない…」など、見た目作りに不安を感じる方も多いはず。
そんな時は、すでにたくさんの資料デザインが見れるサイトがあるので、それを活用し尽くすのがもっともゴール達成までの道のりは短いです。
700件以上の資料デザインが無料で見れる
→エンプレス
海外デザインが大量に見れる
→スピーカーデック
日本系資料デザイン
→ドクセル
最後に
提案書を作り慣れていない方ほど、書きたい・知ってほしい情報を、どれだけ届けられるかで勝負しがちかもしれません。
提案は1人では完結できず、必ず相手の存在があります。
相手が乗り気になって、ワクワクする、一緒に何かができそうな期待がなければ、提案書の内容には納得してもらえない。
このページに書いてあるポイントを参考にしながら、提案書を作って頂けると徐々に改善ができると思うので、ぜひ活用頂けるとうれしいです。