いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。目的を達成させるためには、単なる資料ではなく、伝わる資料作りが必要です。
伝わる資料とは
「伝わる資料」とは、作り手が資料へ込めたメッセージを、読み手が正確に受け取れる状態へするだけでなく、読み手が資料から求めていた情報を十分に得られる状態のこと。
それに加え、資料を通じたコミュニケーションで期待以上の価値を提供できると、読み手の満足度も高まっていく。
このような資料は、作り手が求めていた読み手の行動を促し、信頼関係や価値あるつながりを生み出します。
資料の品質を高めるためには、作り手が伝えたいことと読み手が求めることをバランスよく考慮し、双方にとって有益な情報を提供することが重要です。
伝わらない資料だと何が起きるのか?
伝わらない資料になってしまうと、いくら時間をかけ作成したとしても、目的達成の確率は下がっていきます。
ビジネスシーンに置き換えてみると、
シーン例 | 伝わらない資料で起きること |
---|---|
プレゼンテーション | 価値が伝わらず失注確率が高まる |
マーケティング | 見込み顧客が増えない |
マニュアル | 正しい手順が伝わらずミスが多発する |
良いことは一つもありません…。
たとえば、これが1日だけの話ならいいですが、週・月・年と期間が増えていけば、大きな損失になってしまう。
パワーポイント・Googleスライドなどの作成ツール、または資料を自動生成してくれるAIも含めて、作ることは簡単な世の中になりましたが、伝わるかどうかはまったく別の話なので資料作成は奥が深いと言えるかもしれません。
なぜ伝わる資料が必要なのか
作ることは比較的簡単な資料ですが、なぜ伝わることに拘る必要があるのか。
そこには覚えておきたい3つの前提が存在しています。
前提① 比較されている
前提② じっくり読まれない
前提③ 何人もの手に渡っていく
資料の作成をするなら、何か成し遂げたい成果があるはずです。
しかし、自己満足の状態で作り終わってしまった資料では伝わらず、結果的に求めた成果を得るのは難しくなってしまう。
まずはこれら前提理解がとても大切なので、それぞれを詳しく確認していきましょう。
前提① 比較されている
資料を活用しながら対面で説明をする、またはそのまま資料を渡して情報を見てもらう。
状況によって、資料の使われ方は様々ですが、ビジネスシーンにおける資料であれば、読み手は競合他社(他者)との比較を前提にして受け取っています。
見た目や内容なども含めて、そのすべてが見比べられているため、何か他社(他者)よりも不十分なら検討候補からも外れて優先度が下げられてしまう場合も。
前提② じっくり読まれない
どれだけ丁寧に時間をかけて作成した資料でも、読み手は一字一句隅々までじっくりと読んではくれません。
むしろ、パっと見・流し読みなど、目についた情報だけをピックアップしたり、気になる部分だけをなんとなく眺めているケースが大半です。
作成に苦労すればするほど「この資料なら大丈夫!」「きっと想いは伝わるはずだ!」と思ってしまいがちですが、現実はその反対をいっています。
前提③ 何人もの手に渡っていく
決裁者本人に直接資料を見てもらえれば理想的ですが、ビジネスコミュニケーションの最初の段階では、一般的に情報収集の窓口担当者が受け取ります。
つまり、担当者だけではなく、他の関係者にも資料が読まれていくことになる。
たとえば、プレゼン時には身振り手振りを交え熱い想いを伝えられたとしても、その後は担当者の上長、さらにその上の決裁者へと資料が流れていく過程で、プレゼンした本人の影響力は薄れ、資料内容の重要度が逆に増していきます。
もし資料が「伝わらない」内容になっていたら、あとから細かく補足する機会も限られるため、結果として検討候補から外されてしまうリスクもあります。
なぜ伝わりづらい資料になってしまうのか
なんとか時間を捻り出して資料を作成したものの、読み手の反応が薄いと感じたことはありませんか?
その原因は明確であり、伝わらない資料には3つの問題が隠れています。
原因① 伝えたい情報の理解不足
原因② 伝えたい相手の理解不足
原因③ 言語化と具体化ができていない
「伝える」と「伝わる」は別物であり、作っただけの資料では良い反応は得られない。
たとえば、プレゼンや企画書を提出しなければならない状況は、作り手が目的達成のために資料を作るため、どうしても「伝える」意識が強くなりがちです。
しかし、その状態では読み手を置き去りにしてしまうことも。
資料作成において、これらの主要な3つの原因を理解し、事前に予防できれば、伝わる資料が作りやすくなるため、それぞれの原因を詳しく確認してみましょう。
原因① 伝えたい情報の理解不足
資料へ反映させたい情報を、作り手自身が十分に理解していなければ、伝えたいことも正確に伝わりません。
製品・サービスの魅力を伝える際、ただ機能を説明するだけでは不十分で、実際にご利用頂いているお客様のリアルな声を混ぜたり、蓄積してきたデータを活用して信頼性を打ち出すことが重要です。
これらの情報を効果的に伝えるためには、伝えたい情報を網羅的に集め、精査する必要があります。
伝わらない資料になっている原因の一つは、そもそも情報の収集不足や理解不足にあるのです。
原因② 伝えたい相手の理解不足
伝えたい情報を揃えられたら、さっそく資料作成へ取り掛かっていくと思いますが、その状態は伝えたい気持ちが強すぎて、自社(自分)のための資料になりかねません。
仮に十分な情報を集めたとしても、読み手が求めている情報が入っていなければ、興味も示されず記憶にも残らない。
資料を見て読んでもらう相手が「誰」なのか、そして「何」を求めているのか、伝えたい相手の理解不足によっては伝わらない資料になります。
どんなに優れた資料でも、読み手のニーズや背景が分からなければ、専門知識のない相手に渡してしまうと理解されず効果も半減し、逆に知識がある相手に対して基本的な情報ばかりを提供すると物足りなさを感じてしまう場合も。
読み手の状況・知識レベル・関心事など理解を怠ると、結果として伝わらない資料になります。
原因③ 言語化と具体化ができていない
「何」の情報を「誰」に対して届けたいのか分かっていたとしても、「どのように」伝えるのか言語化・具体化のスキルが不十分だと、伝わるものも伝わりません。
項目 | 説明 |
---|---|
言語化 | 相手の状況や背景に合わせた、的確でわかりやすい表現 |
具体化 | 情報の見やすさ、読みやすさ、理解しやすさを高めて表現 |
ただ情報を資料へ反映させるだけでは、言語化・具体化としては不十分になりがちです。
分かりやすい表現へ直すライティングスキル、その情報を正しく受け取れる形で具現化するデザインスキルの2つが重要な要素となり、伝える資料を作るには熟練したノウハウが求められます。
伝わる資料作成のコツ
実際に伝わる資料を作成するには、どのようなポイントに気を付ければいいのか。
資料の基本的な作成手順に沿って、それぞれコツを確認していきましょう。
STEP1:事前準備
STEP2:企画構成
STEP3:ライティング
STEP4:デザイン
STEP5:作成後
STEP6:提出後
STEP1:事前準備
資料の作成では事前準備が必要で、最初が躓くと資料全体に悪影響を与えてしまうため、少し時間をかけてでも実行していきます。
目的の明確化
なぜ資料を作成するのか。
売上を増やすため?商談機会をものにするため?目的は状況により様々あると思います。
資料を作ろうと思った時、まずは手から動かしてしまいがちですが、目的や最終的なゴールが曖昧になっていると、その後の全ての判断基準がブレて、余計に時間がかかったり求めた資料にならないケースも出てくる。
必ず、目的を明確にしてから資料の作成へ進んでいきましょう。
提供情報の収集と精査
資料へ反映させる情報を、社内のあらゆる場所から集め精査を行っていきます。
最初に情報収集をしておくと、
- 抜け漏れ発覚後に追加で情報を探す手間が省ける
- 追加情報によるライティングやデザインの戻りを防げる
- 伝えたい情報の理解度が高まり正確に伝えられる
どの情報を誰にどうやって伝えればいいのか判断できれば、その後の作業自体もスムーズに進むため、情報収集と精査は必須の工程です。
読み手の明確化
読み手の状況や興味と紐づかないのであれば、いくら魅力的な情報だったとしても、見向きもされません。
資料の作成では、何をどう伝えるかへ意識は寄りがちですが、大事なのは誰に見せたい情報なのか。
相手を無視した内容であれば、心も体も動かせられず、資料作成の手間だけが残ってしまいます。
読み手はどんな状況にあり、何を求めているのか、限りなく把握に努めましょう。
競合分析
ビジネスシーンで使う資料であれば、競合の存在を忘れてはいけません。
それは、資料の読み手としては比較を前提にしているからです。
比べる意識を最初から持っている相手に対して、競合と似たような提案や情報提供をしても、こちらへ引き込むことはできない。
可能な限り、読み手が接触しそうな競合他社の分析を行ったうえで、資料作成へ進んでいきましょう。
STEP2:企画構成
資料の骨組みとなる企画と構成を進めていきます。
活用シーンを想定しながら資料内容を調整する
読み手に合わせて、どのような状況で見せるのか、具体的にイメージしていきます。
シーン別 | 説明 |
---|---|
プレゼンテーション | オフライン・オンラインの対面が入るプレゼンテーションであれば、身振り手振り・会話による補足を前提とするため、資料自体にはあまり情報を詰め込まないようにする。 |
マニュアル | 誰が見ても間違わずに理解できるよう細かく手順を記載しながら、手順を正しく伝える情報を入れ込む。動画を取り資料内へ貼り付けまたはURLを記載するなど、実際の作業時に手順を見返せる状態を作る。 |
ホワイトペーパー | 見込み顧客獲得のためターゲットごとテーマを細分化して作成したり、初心者・中級者・上級者とレベル感を分けたりする。 |
調査レポート | 具体的な細かい数値や、データごとのトピックスなど、裏打ちされた情報だと理解してもらえるよう、必要な情報は反映させておきたいが、読み手のレベル感に合わせて情報量は調整する。 |
セミナー | 会議室や講演会場など多くの人に見てもらう、読み手のレベル感がバラバラ、時間にも制限があることから、伝えるべき情報を絞り込んで重要な情報だけでまとめていく。 |
誰にどんな状況で見せる資料なのか具体的になっていないと、資料の作り方が的外れになるため注意が必要です。
型にはめる
情報をどのような順番で見せていくか、構成は資料作成で悩みのタネですよね。
論理的または情緒的に見せたい時もあるため、どんな順番で見せればいいのか判断を付けづらいですし、失敗はしたくないので正解をなるべくなら選びたい。
そんな時は、課題→解決→証拠→クロージングの型にはめれば、全体的な構成を整えやすくなります。
論理的に説明したい | 情緒的に説明したい | |
---|---|---|
① 課題 or 主張 | 問題を客観的に伝えて自分事化してもらう | 感情に訴えかけるストーリーや印象的なエピソードを見せる |
② 解決 | 解決に至る方法やプロセスを見せる | 解決することで将来への期待を感じてもらう |
③ 証拠 | データや事例など具体的な証拠を示す | 成功事例や感想などで共感を呼び起こす |
④ クロージング | 次の行動を促す情報を提供 | 感動や感謝など心を動かす情報を提供 |
具体例を入れる
製品・サービスを実際に体験頂いている方からの声や、実績を掲載することで信頼性を高めます。
数字データがあれば開示しますが「約〇〇〇件」など濁した形ではなく「〇〇〇件」など、ハッキリ見せた方が隠しごとを疑われなくなります。
段階的な情報提供
伝えておきたい情報がたくさんある場合は、1度のタイミングで全てを見てもらえないため、あえて資料を分けておきます。
また、今の段階で伝えても読み手に届かないのであれば、求められていない情報をいくら提供しても興味は向けてもらえないので、違う機会に見せたり段階的な情報提供をしていきます。
説明用と提出用で分ける
事前に考えておきたいのが、説明用と提出用で分けた方がいいのか。
特に、プレゼンテーションの場合は、資料に書かれている内容を、そのまま読み上げるのはせっかくの説明機会をムダにしてしまいます。
会話で補足できるならプレゼンテーション時の資料には入れず、あとで渡す資料へ入れておくなど、状況に合わせた資料作りが求められます。
注意を引く
だらだらと情報を入れた資料を見せても、読んでもらえない可能性があるため、資料の中には読み手の意識をグッと引き寄せる情報を入れておきます。
たとえばクイズであったり、新事実(逆説)など驚きや危機感を感じる内容があることで、自分事として捉え資料へ意識を寄せてもらえます。
反対意見や疑問を先回りして回答
資料を提出した後は、追加で説明機会を頂けない場合もあるため、読み進めてもらえた際に疑問点があっても回答できないことが多々あります。
そのため、反対意見や疑問が出てきそうなスライドでは、先回りして解決できる情報を入れておきます。
情報の信頼性を担保(出典など)
信頼性を高めるため数字データを入れるケースは多いですが、その情報の出所が分からないと逆に不信感を与えてしまう場合も。
信頼性を担保するためにも、出典などを用いて情報元はしっかりと開示しましょう。
プロットの用意
誰に何をどう見せればいいのか、話の流れがイメージできたら、一旦プロットと呼ばれる資料の構成案を作ります。
まずは手書きで書き始め、デザインしない状態でスライドへ情報を入れ込んでみる。
いきなりデザインし出すより、前もってプロットの状態から始めた方が、全体感も理解でき調整すべき点も見えやすくなります。
複数の視点から検証
資料は現場の担当者だけではなく、そのあと上長や決裁者まで渡っていく可能性が高いため、複数の視点から検証しておくことも大事です。
プロットの状態で、誰にどのような見え方になるのか確認しておきましょう。
作成前にプロットのフィードバックを受ける
プロットを一旦整えた状態で、複数人からフィードバックを受けておきます。
自分視点ではなく、他人視点を入れることで、抜け漏れや不必要な情報にも気づけるため大事な工程。
STEP3:ライティング
資料におけるライティングの役割は、伝えたい情報を読み手に合わせて翻訳するための言語化です。
キャッチコピーで引き寄せる
表紙のタイトルとなるキャッチコピー(サブコピーも含む)は、読み手のワクワクを増加させ、これから見る情報に対しての期待感を高めるため重要です。
単なる製品・サービス名ではなく、読み手に前のめりで資料を読み始めてもらうためにも、心を動かす情報を言葉として表現します。
魅力的な表現が見つからなければ、数字を使い期待感を高めるのもオススメ。
1スライド1メッセージ
資料を読む状況にもよりますが、伝えたいことを絞り込み、基本的には1スライド1メッセージで整えていきます。
たとえば、1スライドに5つも6つも伝えたいことが入っていると、結局何が大事なの?言いたいことは何?と、作り手の意図を読み手は理解しきれなくなる。
「伝わらない」資料は、なんでもかんでも伝えようとして、不要な情報まで伝えていることが原因でもあります。
1スライド1メッセージの例
× 1スライドでSEOもコンテンツマーケティングにも話題を触れる
〇 1スライドでSEOだけに話題を触れる
※ 1スライド1メッセージとは、スライド上に1つの言葉を入れるという意味ではなく、言いたい事を1つに絞って伝えるということ。補足の文章は入ります。
文章量を適切に保つ
資料に書かれたすべての内容が読まれるのではなく、読み手は自身が気になるポイントだけを見ていきます。
そのため、情報量が多すぎると知りたい部分が見つけられず、すぐに読むのを止めてしまうかもしれません。
パワーポイントで資料を作る場合、文章として読みやすいフォントサイズを12~18ptで考えると、見やすさ読みやすさを担保するなら、入ったとしても300~500文字程度。
マーケティング用のホワイトペーパーや調査レポートなど、情報量の多さが価値になる場合は、フォントサイズを下げて文字量を増やします。
びっしりとスライドへ文字が入ると見づらいため、余白を十分保ったうえで文章を入れていくのが伝わる資料のコツです。
トーン&マナーの統一
文章に統一感がないと、全体を通して資料を見た時に、印象がブレてしまいます。
その小さな違和感や不快感が、結果として資料の評価を分ける場合もあり、文章のトーン&マナー(略してトンマナ)を整えることで読み手へ伝わる資料にもなる。
トーン&マナーの例
・ですます調を整える
・てにをはを意識する
・句読点の付け方にルール付けする
・表記を統一する(例:貴社、御社などを同じ表現を混ぜない)
・接続詞を乱発しない(例:しかし、だから、その、あれ…etc)
・テイストを統一する(口調を整える)
・段落や改行を統一する(ルール付けすることで読みやすさを担保)
トーン&マナーをしっかり意識していると、書き手の意図や想いが明確に伝わり、資料自体の品質が高まります。
CTA
CTAとはコールトゥアクションの略語で、資料の作り手が読み手に求める心情の変化や行動変容を促すための情報を指します。
具体的には、電話番号・メールアドレス・問い合わせ担当者・キャンペーン・フォロー文章などが含まれ、CTAは資料を通したコミュニケーションの最後の一押し、つまり「着地点」とも言える部分です。
状況に応じた適切なCTAが作れれば、資料の目的達成に大きく貢献し、読み手とって「伝わった」価値のある資料となります。
STEP4:デザイン
資料におけるデザインとは、単にインパクトを与えたり目立たせることではなく、読み手にとって理解しやすい形で情報を具体化することを指します。
具体化がうまくいかないと、正しく情報が伝わらず、意図しない誤解や混乱を生んだり、重要なチャンスを逃すことも。
さらに、資料の基本的価値である「見やすさ」「読みやすさ」「理解しやすさ」を確保するには、デザインが大きな役割を果たします。
そのため、デザインは伝わる資料作りで欠かせない工程です。
ブランドの一貫性
デザインのコツは様々ありますが、もっとも意識したいのはブランドの一貫性です。
特にビジネスシーンでは、自社の「ブランド」や「らしさ」が一貫していないと、せっかくの情報も正しく評価されず、場合によっては信頼を損ねることもあります。
たとえばブランドカラーが青なら、デザインも青を基調とするのが良いですし、会社(ブランド)の印象が対外的に優しく温かいものであれば、角ばっているより丸みを活用したデザインがいい。
フォントの種類もブランドに合わせるべきで、まずは個々のデザインではなく、全体としてのデザインをイメージして、自社のブランドから外れないよう注意が必要です。
表紙から期待感を作っていく
資料を手に取ってもらえるか、または期待をもってページをめくってもらえるかは、表紙のデザイン性に掛かっています。
伝わらない資料は、表紙の段階から情報をデザイン的に訴求できていないケースであり、読み進めてもらえない状況へ陥っている場合も。
中身を見たいと思わせられなければ、伝えたい情報も伝わりません。
過剰に目立たせる必要はありませんが、タイトル・写真・イラスト・色合いなどうまく活用して、読みたいと思わせるデザインにしましょう。
十分な余白による見やすさの担保
伝えたい情報がありすぎると、フォントサイズを小さくしたり、すきまなく詰め込んでしまうケースがあります。
または、伝えたい情報が絞り込めていない、読み手を理解できていないからこそ、余計な情報を入れてしまっているのは、見やすさを犠牲にしてる典型的な伝わらない資料のパターン。
見せたい情報と、その他の情報が近すぎることで、本来見せたかった情報の見づらさを発生させるため、適度なスペースが必要なのです。
作り手自身ではなく、読み手側からの視点で、正しく情報が見れるか意識しながら、情報間には十分な余白をもたせましょう。
伝わる最適なフォントを選ぶ
フォントとは、ある一定のルールに沿って作成された文字のこと。
角ばったもの、丸みを帯びたもの、細くてシュッとしたイメージのものなど、それぞれ特徴があります。
資料を活用するシーンによって選ぶべきフォントは変わるのですが、シンプルで直線的なデザインの「ゴシック体」を基本的に選びましょう。
ゴシック体の例
・メイリオ
・游ゴシック
・ヒラギノ角ゴ
文字の線が均一であるため、ハッキリと視認がしやすく、たとえ長文だとしても読み疲れがしません。
特にビジネスシーンでは、限られた時間の中で資料から情報を取り込まないといけないため、瞬時に判別できるゴシック体が伝わる資料を作るコツになります。
色は3~4色へ抑える
パワーポイントやGoogleスライドなどの資料作成ツールでは、さまざまな色を自由に選んで使うことができます。
色選びの自由度は高いものの、色数が多すぎると、どの情報に注目すべきか分かりにくくなり、結果として資料で伝えたかったメッセージが伝わりにくくなることも。
それだけ色は、人間の注意・興味を引きやすい要素であるため、スライド全体を通して使用する色は3~4色に抑え、色を使う際にはその意図を明確にして、戦略的に色を選んでいきましょう。
色は3~4色で考える
・メインカラー
・サブカラー
・アクセントカラー
・その他
情報を構造化して見せる
資料内の情報は基本的に文章による説明がメインとなりますが、たとえ魅力的な情報であっても、文章だからこそ時間をかけ読まないといけないので、読み手が理解するための十分な時間を確保できないことがあります。
しかし、情報を短くまとめたり、伝えたいポイントを絞り情報量を減らすことは可能ですが、関連情報を複数示さなければ理解が進まない情報もある。
つまり、文章だけに頼らず情報を構造化して、分かりやすく表現することが重要です。
代表的な方法として、箇条書きや図解を用いて情報を視覚的に整理し、パッと見でも視認・理解できる状態にすることが挙げられます。
他にも3~4行分の情報を写真1枚で表現するなど、分かりやすく表現し直すことが伝わる資料を作るコツの一つです。
ストレスなく読み進められる目線の誘導
スライド内の文章を読む時に「Z型」か「F型」に沿って、目線を誘導したデザインにしましょう。
Z型:左から右、そして左下へ戻り繰り返し目線を誘導して読み進めていく型
F型:左上から目線が入り左側を軸にして重要な部分にだけ目線が流れる型
読み進めやすいのは「Z型」になるため、左から右へ目線が進む流れを崩さないデザインにするのがポイント。
変化を持たせようと、スライド内に情報をバラバラに散りばめることは、目線のストレスを生むため基本の型に沿って文章を配置します。
データを可視化するなら重要なポイントのみを強調
論理的に説明を行うためには、信頼性のあるデータを根拠として示すことが重要です。
データを提示する際に、表全体に数字を並べるケースもありますが、大量の数字情報を細かく一つ一つ見ている余裕は読み手にありません。
そのため、グラフなどを使い視覚的に整理して、もっとも重要なデータのみ強調することで、読み手の目に止まりやすくなります。
具体的には、印象付けたいデータ(数字)を他の要素よりも大きくして、色や形状を変え目立たせることで、一番重要なポイントだと分かるようにする。
その他のデータは補足情報として扱い、資料全体のメッセージが明確になるようにしましょう。
読みやすい文章の行間と文字の字間を適切に保つ
スライド内に文章を配置すると、デフォルトの状態では行間と字間が適切ではないことが多く、読みにくい資料になってしまうことがあります。
これを避けるためには、行間・字間の再調整がカギ。
行間とは:行の前後の間隔のこと
字間とは:文字と文字の間の間隔のこと
たとえばパワーポイントを使用した資料作成なら、行間や字間はフォントサイズや使用状況によって調整が可能です。
行間
フォントサイズが小さい:行間が狭くなりがちなので広げて読みやすくする
フォントサイズが大きい:行間が広がりやすいので狭めて視覚的にまとめる
字間
フォントによっては字間が空きすぎることがあり、文字の間隔を狭めて引き締め読みやすさを向上させる
このように、フォントやサイズに合わせた行間・字間の調整は、伝わる資料作りに欠かせない工程です。
読み手にとっての読みやすさを考えたうえで、少しでも違和感が残るようなら調整を入れていきましょう。
フォーマット化された状態から作り始める
伝わる資料作りには、それなりの時間がかかるため、十分な余裕を確保したうえで作成しなければいけません。
しかし、そのような時間を日常から捻出することは難しいので、少しでも時短になるよう予めデザインルールを統一した資料フォーマットを用意して、誰が使っても同等のデザインになる状態を作りましょう。
フォーマット化に必要な要素例
・フォントの指定(例:ゴシック体)
・サイズの指定(例:文章が16pt、見出しが20pt)
・色数の指定(例:メインが青、サブがグレー、アクセントが赤)
・レイアウトの指定
・素材の用意(図解、写真、アイコンなど)
これらをスライドマスターへ設定したり、または事前に情報の配置などは済ませておき、必要な情報を入れ込むだけでいい状態にしておくだけで、伝わる資料が高確率で作成可能。
浮いた時間は調査・企画・構成などに回せるので、品質をさらに高められます。
色のコントラストで視認性を高める
資料内には、さまざまな色が入ることで、デザイン性が高められます。
ただ、強い色同士を隣り合わせで配置したり、どの情報も大事だからと強調させすぎている場合は、かえって見づらさを生んでしまう。
伝えたいメッセージを読み手に正しく届けるには、色のコントラストを意識して、情報が目に入りやすい状態にします。
コントラストの例
× 背景:グレー 文字色:グレー
〇 背景:グレー 文字色:ブラック
特に、背景とテキストのコントラストが重要になるので、明確な違いを作りましょう。
情報のグループ化と整列で整った印象を与える
人間は不規則で不揃いよりも、整理されている方が、キレイだと感じる傾向があります。※ 部屋や身なりがキレイだと清潔に感じられるのと同じ
資料でも同じことが言えて、要素が左右に散らばっていたり、文字の文頭が揃っていないと、それだけで信用が落ちてしまうことも。
情報整理の基本
グループ化:似ている情報は近づける、似ていない情報は離す
整列 :要素を揃える(上下左右)
ほんの小さな違和感かもしれませんが、整っていないデザインに読み手の目線や意識が向いてしまうだけで、伝わる資料にはならないため、グループ化と整列でスライド内の要素を整えておきましょう。
STEP5:作成後
資料の作成が終わったとしても、まだその段階では未完成であり、自分都合になっていないか?実際に資料を使う・渡す時に問題ないか?など、細かく確認しながら伝わる資料へブラッシュアップを重ねて完成度を高めていきます。
シミュレーションを繰り返しブラッシュアップする
プレゼンテーション・企画提案・セミナーなど、誰かに対して見せる・渡す場合には、一連の流れを通して資料が十分活用できるかシミュレーションをします。
たとえば、作成段階ではいいと思っていた構成や内容が、実際にシミュレーションをすることで問題に気づき、調整が必要になることも。
何度かシミュレーションを繰り返し、実際の使用シーンをできるだけ再現しながら調整することで、伝わりやすさは向上できます。
フィードバックを受けて抜け漏れを防ぐ
資料の作成が終わると一息つきたいですが、集中しているとかえって視野が狭まったり、自分都合で作ってしまっている場合もあり、作り手の希望を叶えるために用意する情報媒体でもあるため、「受注したい!」「企画を通したい!」「承認をもらいたい!」と、読み手のことよりも作り手である自社(自分)の都合に合わせてしまっていることも。
そのため、資料の作成後には必ず複数人からフィードバックをもらい、自分以外の視点を取り入れることで、抜け漏れなどを防いでいきます。
STEP6:提出後
資料の公開後または提出後も、まだやることは残っています。
フォローアップ資料の準備
段階的に知識を提供することで理解を深めてもらいたいのであれば、初級編・中級編・上級編と分けて作成する。
読み手と継続的なコミュニケーションを前提としているなら、フォローアップ用の資料作成も行っていきましょう。
反応の分析
資料を見てもらい、その反応を直接見聞きできる場合は、読み手の反応を一旦収集して分析を行い、改善に役立てていきます。
作りっぱなしにせず、改善を繰り返すことで、伝わる資料として磨かれていきます。