いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:fukuyamaです。資料にはどんな内容を入れて流れを作ればいいのか。そんな疑問を解消するための情報をまとめました。
プロダクト・サービス資料を作っている時、これでいいのかな?と不安になること、ありますよね。
作りたい内容は決まっている、情報も揃っている、だけど自信が持てない…。
他の資料作成者はどう作っているのか知りたい時、社内の誰かが作った資料だとテンプレートが同じだったり、作る思考が似てたりして参考にならないこともあります。
そのため、他社さんの資料を学べるデータとして、エンプレスに資料掲載されている人気プロダクト・サービスの資料を調査して、レポートを作りました。
資料作りの不安、少しでも和らげたら嬉しいです。
こんな方にお勧めのデータ
・資料を作るけど自信がない…
・どんな構成で作ればいいか不安がある…
・他の人がどう作っているのか知りたい…
調査概要
プロダクト・サービスに関する資料は、私たちが運営している資料ダウンロードプラットフォームに掲載頂いている、パートナー様の資料になります。
42件の資料を元に、それぞれ情報をグルーピングして、数値をまとめています。
これらの情報から、資料のスライド内容・構成の最適解を見つけ出し、公開前に確認しておきたいチェック項目も用意。
みんなが気になる他社さんの資料、どのように作られているのか見ていきましょう。
調査内容
調査は大きく分けて、下記4つを対象にしています。
・資料の種類
・スライド枚数
・資料サイズ(比率)
・スライドテーマ
資料の種類
種類 | 件数 | 割合 |
---|---|---|
プロダクト・サービス紹介 | 36 | 86% |
会社紹介 | 2 | 5% |
ノウハウ | 3 | 7% |
調査レポート | 1 | 2% |
もっとも多いのがプロダクト・サービスに関する資料です。
その他、会社紹介・ノウハウ・調査レポートなどもありますが、一番お客様に見てほしい資料として、プロダクト・サービス資料の意識が高いことが分かります。
スライド枚数
枚数 | 件数 | 割合 |
---|---|---|
1~4 | 3 | 7% |
5~10 | 5 | 12% |
11~20 | 19 | 45% |
21~30 | 6 | 14% |
31~40 | 2 | 5% |
41~50 | 3 | 7% |
51~60 | 1 | 2% |
61~70 | 1 | 2% |
71~80 | 0 | 0% |
81~90 | 0 | 0% |
91~100 | 0 | 0% |
100以上 | 2 | 5% |
ノウハウ系の資料に100枚超えがあり、これを加えると平均値が大きく変わってしまうため、枚数のボリュームを合わせるために外すと、平均して15枚前後になります。
このぐらいのスライドがあれば見劣りせず、比較されてもボリューム的には問題ないと、各社さんで考えられていることが分かります。
ただし、15枚といっても、作成するにはそれなりの時間がかかる枚数のため、テンプレートを使ったり、無料・有料イラストを使って工数削減は必要。
スライド数別の資料種類
枚数 | プロダクト・サービス資料 | 会社紹介 | ノウハウ | 調査レポート |
---|---|---|---|---|
1~4 | 3 | 0 | 0 | 0 |
5~10 | 4 | 0 | 1 | 0 |
11~20 | 18 | 1 | 0 | 0 |
21~30 | 6 | 0 | 0 | 0 |
31~40 | 2 | 0 | 0 | 0 |
41~50 | 2 | 1 | 0 | 0 |
51~60 | 1 | 0 | 0 | 0 |
61~70 | 0 | 0 | 0 | 1 |
71~80 | 0 | 0 | 0 | 0 |
81~90 | 0 | 0 | 0 | 0 |
91~100 | 0 | 0 | 0 | 0 |
100以上 | 0 | 0 | 2 | 0 |
11~20枚の間で、プロダクト・サービス資料が作られていることが分かります。
多ければいいわけではありませんが、資料の作り手としては、このぐらいのスライド数を目安に考えていることが分かりました。
資料サイズ(比率)
サイズ | 件数 | 割合 |
---|---|---|
標準(4:3) | 18 | 43% |
ワイド(16:9) | 21 | 50% |
縦 | 3 | 7% |
今はパワーポイントを使って資料作成を始めると、デフォルトで16:9のサイズが選択されています。
しかし、調査したところ標準サイズも多いことが分かりました。
サイズ別の種類
サイズ別の種類 | プロダクト・サービス資料 | 会社紹介 | ノウハウ | 調査レポート |
---|---|---|---|---|
標準 | 17 | 1 | 0 | 0 |
ワイド | 17 | 1 | 2 | 1 |
縦 | 2 | 0 | 1 | 0 |
種類によるサイズ違いに大きな差はありませんでした。
会社さんごとで、違いがあるのかもう少し詳しく見ていきます。
設立年数による違い
設立年数 | 標準 | ワイド | 縦 |
---|---|---|---|
1年未満 | 0 | 1 | 0 |
1~5年 | 6 | 10 | 1 |
6~10年 | 1 | 4 | 2 |
11~20年 | 3 | 2 | 0 |
21~30年 | 5 | 0 | 0 |
31~40年 | 2 | 3 | 0 |
41年以上 | 1 | 1 | 0 |
設立年数の違いによって、資料サイズは変わるのか?この疑問が生じたので確認してみましたが、結果として大きな差はないものの、割合的には設立年数が若い会社さんの場合に、ワイドサイズが多いと分かりました。
しかし、資料の用途や実際に使うシーンが違ければ、求められるサイズが変わってくるため、どの会社さんも調整しながら選択している様子。
スライドテーマ
42件の人気資料で使われているスライド一つずつのテーマを抜き出した件数
テーマ | 内容 | 件数 |
---|---|---|
表紙 | 資料の顔になる存在。キャッチコピー・ロゴ・画像・イラスト・プロダクトまたはサービス名などが入ります。 | 41 |
特徴 | プロダクト・サービスなどの特徴を伝えて興味関心を高めていくスライド。 | 29 |
料金 | プラン別の費用・費用対効果(シミュレーション)・他社との料金比較など。 | 28 |
概要 | 会社概要・サービス概要など、要点のみを端的に伝えるためのスライド。 | 28 |
CTA | CTA(コールトゥーアクション)とは、電話番号・メールアドレス・問い合わせページへのリンクやボタン・誘導テキストなどを指します。 | 20 |
とは | 説明対象に対して簡易的に説明するためのスライド。 | 18 |
流れ | 利用の流れ・支払いの流れなど、フローがある場合にまとめられたスライド。 | 16 |
課題 | プロダクト・サービスの利用を検討してもらうために、今現在抱えている課題(問題や不安)を可視化させて自分事になってもらうためのスライド。 | 14 |
事例 | 導入事例・インタビュー(お客様の声を含む)など実際に利用する際のイメージを高めるためのスライド。 | 14 |
裏表紙 | 資料の最後に表示させる〆のスライド。挨拶・キャッチコピー・ロゴなど入っていることが多い。(CTAとして問い合わせ先が掲載されている場合もある) | 13 |
紹介 | プロダクト・サービス・代表者(または担当者)などの簡易紹介スライド。 | 11 |
ルール | 利用規約や条件の提示。 | 11 |
実績 | 導入企業のロゴを一覧で掲載したり、数値を元にした成果の可視化によって、信頼感を与えるスライド。 | 10 |
機能 | プロダクト・サービスの機能やできること。アイコンを使って機能の一覧表示など。 | 10 |
よくあるご質問 | 質問を受けやすい内容に対して予め回答を示しておくことで、不安解消や質問回避などの効果があるスライド。 | 9 |
メリット | 利用することで得られる効果や成功のアピールスライド。 | 7 |
目次 | 資料にどんな内容が含まれているのか示す目次。 | 6 |
解決 | 課題スライドとセットで使われることが多いスライド。課題に対してどのように解決できるのか示す。 | 6 |
基礎知識 | 補足情報を入れておくことで、資料への理解度が高まる。 | 5 |
比較 | 他社との比較を行いメリット・違いを感じてもらうためのスライド。 | 5 |
市場 | 市場の大きさや動きを図解・グラフ・数値を用いて説明するスライド。 | 5 |
使い方 | プロダクト・サービスの使い方を示すスライド。 | 4 |
利用者データ | 実際に利用している方の属性・効果などの数値データ。 | 4 |
強み | プロダクト・サービスで特にアピールしたい、または利用者様側が特にメリットだと感じてもらえるポイント。 | 4 |
ミッション | 何を成し遂げていきたいのか、将来の展望など含めて、将来像を語るスライド。 | 3 |
仕組み | プロダクト・サービスの仕組みまたはビジネスモデルなどを可視化したスライド。 | 3 |
利用シーン | 実際にどのような使い方をすればいいのか、利用状況を解説したスライド。 | 3 |
安さの理由 | 単純に安くすると不安に思われてしまうため理由を説明するスライド。 | 3 |
意図 | なぜ提供しようと思ったのか、背景や意図を説明するためのスライド。 | 3 |
本文 | 主に文章で構成される説明スライド。 | 3 |
キャンペーン・特典 | 期間限定のキャンペーン、または値引きや追加オプションなどの特典情報を示すスライド。 | 3 |
問いかけ | 資料ユーザー側に対して問題提起を行い意識を資料へ引き込むためのスライド。 | 2 |
戦略 | サービスを利用頂く際の全体的な流れや効果を示したスライド。 | 2 |
歴史 | プロダクト・サービスがどのような成長を遂げてきたのか歴史を辿って説明するスライド。 | 2 |
画面 | プロダクト・サービス利用時に使うツールの説明スライド。 | 2 |
総括 | 資料内容を端的にまとめた情報。 | 2 |
選ばれる理由 | プロダクト・サービスがなぜ顧客に選ばれ使われるのか、理由を示すスライド。 | 2 |
体制図 | プロダクト・サービスを提供するにあたってどのような組織で対応するのか示した図解。 | 2 |
オプション | 通常サービスの他にオプションによる特別サービスの紹介スライド。 | 1 |
この他にも、使われていたスライドテーマが以下。
キッカケ・サポート・サービス一覧・チェックシート・ポイント・ポジション・出版・動作環境・商品・図解・安心材料・展開エリア・想い・支払い・活用方法・相談会・考察・運営代行・集計データ
使われているスライドが多いテーマほど、資料内に組み込まれていますが、このデータから分かることがあります。
① 説明・紹介で終わりになっていることが多い
② CTAが付けられていないことが多い
この2つは大事な気付きなので、もう少し詳しく解説していきます。
① 説明・紹介で終わりになっていることが多い
プロダクト・サービスの資料であれば、説明情報だけが入っていればいいと感じるかもしれません。(前まで私もそう思っていました)
しかし、以前行った「業務へ感じる負の意識・行動調査」によれば、導入までのハードルが非常に高く、ここで躓く可能性が高い結果が分かっています。
初めに知ってもらうための資料であれば、機能を中心とした情報だけで済みますが、実際に問題となる導入部分の不安解消ができなければ、選ぶ理由としては弱い。
資料を届けたい相手にもよりますが、機能→金額→導入までのトータルで見せられる資料だと、見てもらったあとの見込み度が高まる可能性が大いにあります。
② CTAが付けられていないことが多い
ウェブサイトでは、お客様から連絡をもらいやすいように、電話番号を載せたり、お問い合わせフォームへのリンク・ボタンを設置すると思います。
これらをまとめてCTA(コールトゥーアクション)と呼びますが、資料においては約半数の方が、CTAを付けていない状況でした。
インターネットで調べれば連絡先などすぐ探せるものの、やはり「問い合わせ」という行為は心理的ハードルが高く、なかなか進められない行動の一つ。
もし、資料内にお問い合わせ先(電話番号・メールアドレス)・連絡先の担当者名・安心して問い合わせてもらうための文章などが入っていたら、それだけで連絡を貰える可能性が高まります。
資料は誰の手に渡るか分かりませんし、ダウンロードした人はあくまで資料を手に入れるだけの人で、決済権を持っている方は別にいるかもしれない。
資料の使われ方、渡る先のことを考えると、資料にもCTAが必須だと言えます。
プロダクト・サービス資料構成の最適解
誰もが工夫して資料制作を行っていますが、どの資料も状況によって求められる構成が変わってくると思います。
認知が低い場合にいくらアピールしても通じないですし、すでに実績を積んでいるのにその情報を十分活用できていなかったり。
本件の調査によって定番スライドを把握すると同時に、現場のリアルな声を踏まえて、構成案を考えてみました。現場のリアルな声:業務へ感じる負の意識・行動調査
① リリース前後
状況:まだ認知が広まっていない状態
構成:表紙→とは→課題→解決→特徴→流れ→料金→想い→紹介→CTA→裏表紙
枚数:10~15枚
意図:見せられる数値や情報が少ないため想いを伝えてCTAへ持っていく(代表者や担当者など人を見せて安心してもらう)
② リリースから数カ月後~数年後
状況:認知は広まるが他社との違いが曖昧で決め手が分かってもらえてない
構成:表紙→とは→実績→課題→解決→特徴→事例→流れ→料金→サポート→CTA→裏表紙
枚数:15~20枚
意図:実績によって信頼感を見せつつサポートによる安心感のあとにCTAへ持っていく
資料は見てもらうのが目的ではなく、読み手の心理・行動変容を起こさせることが求められているコンテンツであるため、読み進めていくうちに気持ちを高めて、意思決定を促していく構成が必要です。
今ある情報をどのように翻訳すれば、読み手が理解し納得してもらえるか。
構成次第で効果が大きく変わると言えます。
資料公開前のチェック項目
資料を公開する前に、読み手に対して情報が最適化されているか、下記資料チェックの活用もオススメです。
文章チェック
項目 | 内容 |
---|---|
文字は小さすぎないか? | 情報をたくさん入れようとすると、1スライドに収まらないため、文字サイズを小さくして入れることもあります。しかし、資料は流し読みされるのが前提の媒体であるため、余程興味がなければ読んでもらえません。12pt以下にしないこと、そして文字を絞り込んで必要な情報のみにすることで、文字サイズを大きくできます。読み手に対して「読みやすさ」が担保されているかを改めて確認しましょう。 |
読み手が分かる言葉や内容で情報がまとめられているか? | 専門用語のオンパレードでは、読めない・読みづらい、結果としてすぐにゴミ箱行きになる可能性も。資料は読んでもらった相手の理解度を高め、行動変容を起こさせるための媒体の一つなので、理解できない言葉は入れてはいけない。どれだけ配慮した言葉選びがされているかが重要です。 |
基本的な文章チェックとなります。
誤字脱字はもちろんのこと、視認性(見やすさ)・可読性(読みやすさ)・判読性(理解しやすさ)が保たれているかを確認します。
また、作り手の「当たり前」と読み手の「当たり前」が違うことを認識し、専門用語を減らして理解を妨げない文章になっているかを確認しておきましょう。
文脈チェック
項目 | 内容 |
---|---|
重複した説明をしていないか? | 1スライド1テーマを意識して同じ説明を無駄に複数回していないか確認。繰り返し伝えることで重要性はアピールできますが、資料閲覧の前提として、じっくり読んでもらえることがない状況を考えると、無駄な情報は省きたい。伝えられる量が限られているからこそ、重複説明は極力排除しておきましょう。 |
タイトルと本文の内容に相違はないか? | タイトルの意味(言葉の意味)と本文の内容に違いがある場合はスライドの理解度を下げます。それは言葉からイメージする内容、そして実際に見ている内容に違いがあると、無駄に考えさせてしまうから。考えさせてしまうと資料を見るのを止めて、結局見られない資料にもなります。タイトルと本文は一致していることが望ましいです。 |
文脈のチェックでは、資料のストーリーにズレがないかを確認します。
内容が行ったり来たりしてないか、スライドテーマと実際の内容に相違がないか。
文脈ズレを起こして違和感を感じさせてしまうと、内容への理解度が下がり、資料本来の目的が達せられなくなるので、文脈チェックは大事なポイントです。
情報チェック
項目 | 内容 |
---|---|
読み手が求めている内容が入っているか? | 機能・金額・特徴は一般的な説明資料のスライドテーマですが、本当に求められている内容か、今一度考える必要があります。結果的に導入まで進める場合は、現場への説得材料だったり稟議を通すための情報も必要です。お客様の流れに沿って考えられた構成か確認しましょう。 |
類似プロダクトまたはサービスとの違いが出せているか? | 自分たちのプロダクト・サービスは他社と比較されている。この前提で全て考えていきます。今はどこも違いが分からないくらい、機能やサービスレベルが高まってきているため、その中で当たり障りない説明だけでは決め手に欠けてしまう。機能・金額では違いが出しづらいので、ミッションや体制など内面を表す情報などを加えて、独自性を出していきましょう。 |
情報チェックでは、情報そのものを確認していきます。
前提として他社と比較されているため、単に機能・金額・特徴を載せただけでは、決め手に欠けてしまう。
独自性・有益性のある情報が入っているのかを確認しつつ、読み手が何を求めているのか?顧客理解を深めて解像度を高めることが、重要かもしれません。
構成チェック
項目 | 内容 |
---|---|
自社アピールから始めていないか? | 誰に読んでもらいたいか、どう見せたいか。スライド構成は状況によって変わりますが、まず読み手が知りたいことから始めるのが基本。それがあって初めて、資料提供側の内面に興味関心が出てくる。知りたいことを見せてあげた後、自社に興味を感じてもらったタイミングでアピールする流れがオススメです。 |
CTAは設置してあるか? | 誰がどのように読むのか、資料は読み手によって扱われ方はバラバラです。自分で読む・上司に渡すなど、どんな状況でも問い合わせが可能な状態にするため、電話番号・メールアドレス・問い合わせフォームへのリンク(またはボタン)・連絡先担当者名など入れて、連絡がしやすいスライドを入れておきましょう。 |
構成チェックでは、1スライド1テーマを基本として、ストーリーを作り出し理解度を高められているか確認します。
また、読み手が「聞きたい」「行動したい」と、心も体も能動的なスイッチが入った際、すぐにアクションがとれるようCTAをチェック。
CTAが入っていないのであれば組み込み、最終的な後押しする文章なども加えて、行動変容が起きた際に一連の行動が繋げられているか確認しておきましょう。
最後に。
PowerPointやkeynoteがあれば、資料が誰でも簡単に作れてしまう。
しかし、作るのは簡単ですが、どのような構成で作ればいいのか、どんな情報を入れればいいのか不安になることも多いですよね。
このページは、人気プロダクト・サービス資料を調査して、資料構成の最適解を探るための記事でしたが、少しでもあなたのお役に立てられれば嬉しいです。
これだけは言っておきたいことがあります。それは「CTAは忘れずに!」です。