いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:fukuyamaです。現場で働く方々が、どんなことに困って、どう解決しようと行動を起こしているのか。意識と行動の調査を行いました。
時代の流れや世界的なパンデミックによってビジネスの仕方が大きく変わり、働き方改革・業務効率化・生産性向上のためのITツールやサービスが、より強く求められる時代となりました。
しかし、現場を変える必要性はあるものの何も変化が起きず、まだまだ日常業務に対して「不便」「不満」「不安」を感じている方は多い。
現場は何を思い、どのような行動を起こしているのか、業務へ感じる「負」と改善へと至る行動・意識を順を追って調査しました。
SaaSの必要性や意識は高まりつつあるものの、未だに導入できない・変われない原因は何なのか?何が障害となっているのか?資料ダウンロードプラットフォーム『エンプレス』が調査を通じて様々な視点から調べています。
こんな方にお勧めのデータ
・SaaSの開発・セールス・マーケ関係の方
・現場がどんな行動を起こしているのか知りたい方
・現場がどんな意思決定を行っているのか知りたい方
- 目次
- 調査対象者の属性
- 調査内容
- 質問1. 業務に感じる「不便」さはありますか?
- 質問2. 不便を感じている人は誰ですか?
- 質問3. 不便を解消するため最初にとる行動は?
- 質問4. 不便を解消するための進め方は?
- 質問5. 行動を起こした結果、どうなりましたか?
- 質問6. 行動を起こす時、何が障害だと感じましたか?
- 業務に感じる「負」の調査結果
- 人・コミュニティの課題を解決するには?
- 最後に。
調査対象者の属性
項目 | 説明 |
---|---|
調査方法 | インターネット調査サービス |
調査期間 | 2022年2月15日~2022年2月18日 |
調査内容 | 業務で感じる「不便」の調査アンケート |
調査人数 | 2,967名 |
対象者項目 | 性別・年齢・役職・部署・部署人数・従業員数・業界・入社年数など |
調査は基本的に「会社員」の方を条件にして絞り込んでいます。
結果として、有効な回答1,098名分でレポートを作成。
調査内容
調査としてメインの質問である6つをそれぞれご紹介していきます。
質問1. 業務に感じる「不便」さはありますか?
質問2. 不便を感じている人は誰ですか?
質問3. 不便を解消するため最初にとる行動は?
質問4. 不便を解消するための進め方は?
質問5. 行動を起こした結果、どうなりましたか?
質問6. 行動を起こす時、何が障害だと感じましたか?
業務に感じる「負」の調査結果
質問1. 業務に感じる「不便」さはありますか?
記述式のため言及された内容に対して6つに分類しています。
仕事環境 :距離、場所など
仕事内容 :業務の量・内容など
業務プロセス:仕事の流れ・仕組みなど
人(単数) :特定の対象者に対して
コミュニティ:文化、組織、資金など会社に対して
不便なし :不便は特に感じていない
下記の表は、不便なりを除外した611名分の回答。
集計データ
下記の各種データは、2つの項目に該当するクロス集計による表です。
回答者からのコメント(一部)
業務効率化ができておらず、毎日忙しい。(30~39歳/リーダー・主任/金融・保険/営業)
出社がしずらい環境なので、色々な人に話をしたり、お願いしずらい。(30~39歳/一般社員/タバコ/サポート)
リモートなので後輩の作業の様子を確認できない。(20~29歳/一般/ソフトウェア/サポート)
情報の共有がされていないところ。 グループウェアを使った情報共有が必要。(40~49歳/マネージャー・課長/医療/福祉/総務)
紙の書類、押印手続きが多すぎる。(30~39歳/リーダー・主任/建設/不動産/営業)
効率重視で人を人とみていない。(40~49歳/一般社員/物流/運送/販売)
歴の長い人が電子化を拒み、未だに紙でデータ保管。 謎に二重作成。(20~29歳/一般社員/サービス/総務)
パソコンを共同で使用しているので、間に合わない。(50~59歳/一般社員/食品/営業)
回答からキーワード抽出
キーワード | 頻度 | キーワード | 頻度 |
---|---|---|---|
業務 | 48回 | 勤務 | 20回 |
仕事 | 45回 | リモートワーク | 18回 |
上司 | 42回 | リモート | 17回 |
テレワーク | 32回 | アナログ | 17回 |
不便 | 29回 | 在宅 | 16回 |
コミュニケーション | 22回 | 書類 | 14回 |
紙 | 22回 | 無駄 | 14回 |
言及されていたキーワードとして、リモートワークまたはテレワークなど在宅勤務が「できている」「できていない」別々の状況での不便さが多かった。
「できている」方々は遠隔だからこその不便さを感じており、「できていない」方々は規則や経営陣の判断によって「できない」ことへの不便さを感じています。
仕事の仕方が強制的に変えられてしまった、または変えないといけない状況の中、なかなか変化に対応できずに不便を抱えてしまっている様子。
その他、上司に対して「決裁や確認が遅い」「上層部の判断が悪い」など、特定の役職者の行動による「不便」を感じている方が多かったです。
質問2. 不便を感じている人は誰ですか?
自分だけ、または会社全体で不便を感じていると回答された方がそれぞれ約3割ほど。
しかし、少し部署が離れれば、不便への意識が薄くなるようです。
自分の仕事に関係すればするほど、より不便さを感じるため、身近な業務か、業務内容は分からずとも会社内で共通した不便に関しては意識が向けられている様子が伺えます。
集計データ
下記の各種データは、2つの項目に該当するクロス集計による表です。
個人(自分自身)に対して、業務への不便さを感じている方の割合も多いですが、部署別で見ると視点の違いが不便への気付きに変化を与えていました。
たとえば「販売」「経理」「財務」などは、周りとチームを組んで動くより、個人で動くことが多いため、不便さも自分自身が感じるもので意識している。
その逆で「広報」「人事」「労務」「情報システム」など、個人ではあるものの社内全体への意識が向けられやすい職種に関しては、会社全体の不便さとして意識。
業務内容や他部署との関わり方によって、不便さを感じる視点が異なっています。
質問3. 不便を解消するため最初にとる行動は?
業務への不便さに気づいたら、まず自分自身で解決しようと動くのではなく、周りや近しい同僚に解消方法を聞くことが、もっとも一般的な行動でした。
それに続いて上司へ聞くことも約3割の方が回答として選んでいるため、同僚・上司に聞くことが、業務の不便を解消する最初の一歩目であると分かりました。
集計データ
下記の各種データは、2つの項目に該当するクロス集計による表です。
リモートワーク・テレワーク、または働き方改革などで現場が変化したとしても、基本は同僚・上司に不便さを解消するための方法を聞くのは、共通した行動のようです。
しかし、質問1つ目の「業務に感じる不便さはありますか?」に対して、上司・経営陣など役職者への不満を漏らす声が多数確認できているため、最初の一歩目で上司に聞くことが、不便さの未解決であったり不満を発生させる原因になっている可能性も。
上司は経験も知識も持っていることが前提とされ、聞く相手として選択肢にはあがるものの、上司の対応によって不便を感じている方も多くいるのが実情です。
質問4. 不便を解消するための進め方は?
不便さを意識したことで、解消するための行動へ移す方が全体として約7割。
しかし、約2割の方は解消しない、またはできない状態であることが分かりました。
集計データ
下記の各種データは、2つの項目に該当するクロス集計による表です。
不便さの解消では「解消しようと思わなかった」と回答された方が選択肢の中で23%ともっとも多く、「一人で進める」場合が19%、「所属する部署で進める」場合が15%と低くなり、自身との関係が遠くなればなるほど、数値が低くなる傾向となりました。
また、入社0~3年目までの方は、一人で解消しようとするか、諦めて解消しない選択を選ぶ割合が多い。
2つ目の質問である「不便を感じている人は誰ですか? 」に対して自身・会社全体を選んだ割合が多かったのに、解消の進め方として会社全体で進めようとする割合が圧倒的に少ない。
解消したくとも権限がなかったり、障害になっている上司の存在が不便さ解消を阻んでいると推測できます。
質問5. 行動を起こした結果、どうなりましたか?
記述式のため言及された内容に対して4つに分類しています。
改善 :成功した、改善できたなど
どちらとも言えない:成功・失敗半々
失敗 :失敗した
これから :これから結果が出る
集計データ
下記の各種データは、2つの項目に該当するクロス集計による表です。
回答者からのコメント(一部)
みんなが業務効率化に前向きになった。(30~39歳/リーダー・主任/金融・保険/営業)
出社によりコネクションができ、テレワーク中でも話しかけやすくなった。 (30~39歳/一般社員/タバコ/サポート)
後輩に指摘し、行動に改善が見られた。 しかし一部改善しない点もある。 (20~29歳/一般/ソフトウェア/サポート)
メールは活発な意見交換ができない。(40~49歳/マネージャー・課長/医療/福祉/総務)
特に変化なし。(30~39歳/リーダー・主任/建設/不動産/営業)
休職。(40~49歳/一般社員/物流/運送/販売)
電子化し、テレワークでも仕事ができるようになった。(20~29歳/一般社員/サービス/総務)
納得してもらった。(50~59歳/一般社員/食品/営業)
圧倒的な失敗の多さ
改善するための行動を起こし、成功している方はいるものの、「失敗した」と回答された方が圧倒的に多いため、現場での成功体験が少なく、失敗が失敗のままで終わってしまっている傾向が見て取れます。
一度失敗すれば、再度挑戦する機会を与えてもらえない、または挑戦する気持ちそのものが抑圧されてしまう状況が多い可能性があります。
質問6. 行動を起こす時、何が障害だと感じましたか?
記述式のため言及された内容に対して6つに分類しています。
仕事環境 :距離、場所など
仕事内容 :仕事内容など
業務プロセス:仕事の流れなど
人(単数) :特定の対象者に対して
コミュニティ:文化、組織、資金など会社に対して
特になし :障害は特に感じていない
集計データ
下記の各種データは、2つの項目に該当するクロス集計による表です。障害があると回答した方のみ。
回答者からのコメント(一部)
意思統一が難しい。(30~39歳/リーダー・主任/金融・保険/営業)
会社内の内規というか感染症予防対策があり、不必要な出社が出来ないこと。 (30~39歳/一般社員/タバコ/サポート)
コミュニケーションの少なさ。 (20~29歳/一般/ソフトウェア/サポート)
OA化への理解。管理職のリテラシー不足。(40~49歳/マネージャー・課長/医療/福祉/総務)
社風、文化。(30~39歳/リーダー・主任/建設/不動産/営業)
お役所体質。(40~49歳/一般社員/物流/運送/販売)
社歴や昔からのやり方、ルールがあること。(20~29歳/一般社員/サービス/総務)
必要性を理解してもらうこと。(50~59歳/一般社員/食品/営業)
回答からキーワード抽出
キーワード | 頻度 | キーワード | 頻度 |
---|---|---|---|
上司 | 52回 | 問題 | 13回 |
会社 | 38回 | コミュニケーション | 12回 |
システム | 20回 | 体質 | 12回 |
社内 | 19回 | 予算 | 12回 |
改善 | 16回 | 社長 | 12回 |
仕事 | 16回 | 不足 | 12回 |
部署 | 14回 | 職場 | 12回 |
言及されていたキーワードとして、上司(特定の対象者)・会社(風土・ルール・組織など)が、障害だと認識されていました。
「人」や「コミュニティ」に分類される障害が多く、進めたくても進められない、モチベーション低下や失敗の負のサイクルが発生している。
障害が取り除けない現場の「負のループ」
1つ目の質問である業務への不便さについては「業務プロセス」や「人」に対して言及されていましたが、いざ解消しようと行動した際には、「人」「コミュニティ」など、特定の対象者や会社そのものの文化やルールが障害だと感じている結果に。
特に、上司に対して障害だと感じている方が多く、3つ目の質問である何か不便が起きた際に聞く相手も約4割が上司となっているため、負のスパイラルが現場で発生している状態に。
悪循環により、結果として4つ目の質問である不便解消の進め方で、そもそも「解消しようと思わない」回答の多さに繋がってくる。
不便を解消するためIT製品・サービスを導入する意識よりも、上司に対する信頼欠如や、言っても何もしてくれない会社への不信感によって、現場の活力を奪っている傾向があり、これらを取り除かないことにはSaaS導入が難しいと考えられます。
業務に感じる「負」の調査結果
調査の結果、業務への「負」は認識するものの、結果的に行動へ起こして失敗を経験されている割合が多い。
一度、失敗を経験したことで障害を強く意識して、継続した改善が行なえずにいる。
総括
業務へ感じる「負」は、実際に解消行動へ移した時の障害によって、さらに高いレベルの「負」へと昇華してしまっている状況。現場で発生している「負のループ」が解消できなければ、個人・組織、そして会社全体の成長は高めていけない。
改善するためには、現場の意見や意思を真摯に受け止め尊重する役職者・会社の存在が必要である。
役職者・会社全体の意識改革だけでなく、直属の上司以外にも話を聞いたり、相談できる新たなコミュニケーション経路も求められており、社内の風通しをさらに良くする必要性も高い。
人材の流動性も高くなっている昨今、現場の「負」を取り除く体制が作れなければ、会社の成長性を加速していけないと言える。
補足
業界・従業員規模・部署・入社年数・部署の人数など、多角的な視点から調査を行いましたが、有効回答を得られた1098名の中から、DX(デジタルトランスフォーメーション)の言葉が出てきたのは、たったの5名のみ。
部分的な「デジタル化」には言及されていましたが、いかに「DX」への意識が広まっていないか、気付かされる調査結果にもなりました。
DXは誰か一人だけが頑張って出来ることではなく、社内の意識改革や広範囲な協力体制を築けないと進めていけないため、経営陣や役職者からのDXに対する重要性や効果を、継続して発信し続けることが必要そうです。
人・コミュニティの課題を解決するには?
現場としては解決したい、だけど上司や会社の文化などが障害となって、進められない状況が調査によって分かりました。
この状態で、業務効率化・生産性向上など行おうとしても、なかなか浸透しないのは目に見えています。
もし、あなたの会社でも似たような状況が起きているのであれば、下記のITツール・サービスを活用頂くのもお勧めです。
業務プロセスの可視化
・業務の可視化・改善・共有ツールRanabase(ラーナベース)
社内データの可視化
・カスタマーサポートセンター向けリアルタイムCSダッシュボード
クラウド商談ツール
・クラウド商談どこでもSHOWBY
最後に。
現場では業務に感じている「不便」「不満」「不安」を解消する行動は起こすものの、障害によって抑制されてしまっている状況。
もっとも障害だと認定されているのが、直属の上司や経営陣、または会社の文化そのものなので、まずは社内改革から検討頂くのもお勧めです。
他人事のやらされ仕事ほどパフォーマンスが低くなる仕事はないので、自分事になれるよう意識を変えていくことが大切そうです。
効率化・生産性UPの前に、まずはみんなの考えや普段の思考を変えることが、求められる時代となっています。