いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。資料を作る人が多い組織ほど、統一化が必須だと言えます。
社内資料の統一化とは、社内の誰もが一定品質を保てるフォーマットを決めて、テンプレート化すること。
資料におけるフォーマットとテンプレートの違い
フォーマット:文章、表、グラフ、図形など使い方のルールを決めたもの
テンプレート:複数のフォーマットが合わさり設定されているもの
資料作りは、社内メンバーの多くが携わるため、個人個人で作ってしまうと不都合なことが増えてきます。
しかし、統一化することで資料の準備がラクに早くでき、尚且つ社内外どこから見ても、一定のイメージが保てる。
なぜ統一化が必要なのか、メリット・デメリットや実際の方法まで解説していきます。
社内資料の統一化、なぜした方がいいの?
数人のチームならまだいいですが、数十人・数百人と組織が大きくなるにつれて、社内資料のフォーマットが統一されていない場合の不都合が増えていきます。
たとえば、こんな状況になっていませんか?
同じチームのAさん、Bさん、Cさんがそれぞれ個別で資料を作っている。
これだと、何か成功要因があったとしても、それぞれ別のデザインや思考で作られた資料なので、思った以上に取り入れずらい。
個人間はもちろん、チーム・組織・会社全体としての財産が、誰か1人の中だけにしまい込まれた状態にもなります。
組織として力を発揮し、勝ち続けるためには、社内資料の統一化は、経営視点から見ても重要な対策と言えます。
社内資料を統一化しないメリット・デメリット
あなたも社内資料のフォーマット統一を、した方がいいイメージはお持ちだと思いますが、実際にご自身で進めようと思ったら、手間の方が勝ってなかなか動けないですよね…。
もちろん”しない”ことも選択の一つですが、それにはメリット・デメリットがあります。
統一化しないメリット
個人のスキルが高まる
資料は調査・ヒアリング・構成・ライティング・デザインと、さまざまな工程を得て、自身で作り上げていきますよね。
顧客やモノゴトを深く理解し、表現として資料化していくのは簡単ではないため、ビジネススキルの底上げに役立ちます。
新しい発想が生まれやすい
自由すぎると動けない方もいますが、自由だからこそ、想像を働かせて創造できる方もいます。
会社としては凝り固まった思考だったものが、誰か1人のおかげで飛躍的な進歩を遂げる場合もある。
統一化しないと、飛びぬけた資料が出来上がることだってあります。
顧客のニーズに合わせやすい
会社からルールやガイドラインがあると「これは難しい…」「あれは無理だ…」と、自分の枠に閉じこもった思考になりやすい。
しかし、フォーマットの統一化をしないと、お客様の求めに応じた、お客様だからこそ合う資料に、自らカスタマイズできるので、フィットしやすい資料が作れます。
統一化しないデメリット
個人のクセが付く
資料作成の自由度が高いと、作り手自身の使い勝手がいいように、資料はどんどんアップデートされていきます。
それは、他の人が扱いづらい資料になることと同じ。
デザインのクセは真似しづらいですし、何かルールがあるなら学習も必要になってくる。
つまり、横展開がしづらい資料になるわけです。
関わる人数が多いほど時間をムダにする
個人のクセが付いた資料を、誰か1人が真似る分にはいい。
しかし、真似る・取り入れることに関わる一人ずつの時間が使われていきます。
それが数人から数十人と増えていけば、余計な学習時間をさらに要してしまうため、リソースの無駄が発生しやすい。
基準がないから迷い作業時間ばかり増える
フォーマットがあれば、どのように作ればいいのか、基準や目安があるため、作成中の判断が早くなります。
その逆で、基準やルールがないと、良い時は問題ありませんが、悪くなった時に、何を指針にして思考・行動すればいいのか迷うことで、余計な時間を使うようになります。
ブランド(信頼)を損なう
資料は、たとえば資料ダウンロードした、営業から受け取った、知人から共有されたなど、ビジネスのあらゆるシーンで活用されます。
もし、ブランドの印象がバラバラで、それぞれに一貫性がなければ、会社としての信頼も生まれづらくなる。
一つ一つは小さいですが、総合した時に「会社」としてのブランドがブレるのは、マイナスでしかありません。
担当者のスキルに依存する
担当者のスキルが高ければ、イイ資料にできますが、デザイン要素も入ってくるので、苦手にしている方も多い。
もし、個々で作ってしまうと、品質にばらつきが出て、結果として成果・労力・効率性が安定せず、負担になってしまいます。
社内資料を統一化するメリット・デメリット
面倒だな…と思っても、社内資料のフォーマット統一化には、思わぬ恩恵もあります。
「たかが資料でしょ?」と甘く見てると、大きな損失にも繋がってくるので、実際に社内資料のフォーマットを統一した場合の、メリット・デメリットを見てみましょう。
統一化するメリット
社内全体で資料作りがラクになり早くなる
資料作りで時間がかかる原因の一つに、判断できず何度も調整して、時間を奪われてしまうことがあり、統一化によってこれらがスパッと解決される。
それは、フォーマットを統一化すると、ある一定の基準やルールが作られるため、進む手が止まらず作業が早く終わるようになるからです。
顧客中心で動ける
今までは、資料を作ることに時間がかかっていました。
しかし、統一化によって作業自体は早く終わるため、時間的な余裕が生まれてきます。
作業に時間を使うのではなく、お客様や資料を見せたい相手に使えるため、顧客に向き合いながら資料を活用できます。
成功要因の横展開が簡単
同じフォーマットだと、チーム・組織で生まれた成功要因を、すぐに取り入れられます。
時間短縮だけでなく、知の共有もラクになるため、組織としての力も高まっていく。
統一化するデメリット
時間とコストがかかる
社内資料のフォーマット統一を推し進めていくには、ある程度の時間とコストは覚悟する必要があります。
単純にデザインだけの話ならいいですが、誰もが使いやすく、それでいて会社の「らしさ」を表現し、ブランドも保たなくてはいけない。
簡単ではないので、プロのデザイナーに入ってもらうケースもありますが、外部パートナーに頼むなら、それなりの金額にもなってくる。
社内の要件をすり合わせなくてはいけない
資料は社内のあらやる場所で使われています。
誰に意見を聞けばいいのか、何に注意してフォーマットを決めればいいのか。
社内的な要望の吸い上げから、誰の何の意見を取り入れればいいのか。
統一化の前には、果てしないすり合わせ業務もあるので、ある程度の手間は覚悟しなくてはいけません。
フォーマットの統一化には終わりがない
一度ちゃんとフォーマット化を行ったとしても、使う人数が多いまたは時間が経つごとに、誰かがガイドラインを無視する場合もあるので、管理しなくてはいけない。
また、統一したからといって、ずっと使い続けるのではなく、時代や会社の成長に合わせて、さらにフォーマットを調整していく必要もあるので、社内資料のフォーマット化には終わりがありません。
社内資料を統一化する方法
社内資料のフォーマットを統一化するには、どうしたらいいのか。
必要なことをまとめたので、見てみましょう。
統一化が必要な範囲を決める
社内で資料を扱うメンバーが多くても、統一化を必要としないケースもあるかと思います。
- チーム
- 部署
- 全体
など、統一されたフォーマットが必要とする範囲を予め確認して、社内の共通認識を合わせておく必要もあります。
旗振り役を決める
とても根気のいる仕事になりますが、社内資料のフォーマット統一プロジェクトを立ち上げ、推し進めてくれる人を抜擢します。
前提としては、デザインが分かっていなくても問題はなく、手を挙げてくれた方に任せてもいいですし、社内のコミュニケーションがうまい方でもいい。
設立・創業からすでに何年も経っていたり、従業員数が50名を超えるレベルになってくると社内調整が大変…。
そのため、とにかく前に進んでくれる方がお勧めです。
ブランディングなどを行い、新たなスタートを切れるタイミングであれば、社内資料のフォーマット統一も、同じタイミングにするのがいいと思います。
ガイドラインを策定する(各フォーマットを用意)
何の情報を、どう扱うのか、それぞれの要素に対してフォーマットを定めていきます。
- ロゴ(サイズ)
- カラー(ブランドカラー、メインカラー、サブカラー、アクセントカラー)
- デザインのスタイル
- フォント(サイズ、種類)
- 配置(各情報の位置)
- 図形
- 画像
- 構成(全体の流れ)
- 文字(表現)のガイドライン・ルール
など、使い方のガイドライン(ルール)を策定。
情報の扱い方さえ決めてしまえば、次へ進めます。
テンプレート化する
情報の使い方ガイドラインを決めたら、それらを一つの資料へ盛り込んで、テンプレートとして扱える状態にします。
テンプレート化さえすれば、個人のスキルに頼らずとも、一定品質の資料が作りやすくなり、組織として使うなら効率化・生産性向上にも繋がってくる。
組織全体に資料作成のプロセス標準化を盛り込めれば、骨太の組織にもなります。
作成ツールは、社内で共通して扱えるPowerPoint・Googleスライドを使い、テンプレート化すればプレゼンテーション・マニュアル・報告書・企画書・トレーニング用資料・レポートなど、用途問わずに活用ができます。
フィードバック文化を作る
一度テンプレート化しても、市場や組織の変化によって、調整を余儀なくされる場合も。
作って終わりにしていると、いざ変えようと思った時、なかなか動き出しづらく、結局何もできない…。
資料はビジネスのあらゆるシーンに登場する必須のアイテムなので、フィードバック文化を作り、テンプレートの改善サイクルが回せる状態にしておくのもお勧めです。
社内資料の統一化が進まない原因3選
いざ社内資料のフォーマット統一を進めようと思っても、なかなか進まない現実があります。
その間も、組織全体から見ればリソースの無駄に繋がっている。
統一化が進まない原因を予め把握しておくと、事前に準備や対策ができるため、確認しておきましょう。
旗振り役がいない
資料作成の得意な方や社内デザイナーに、率先して進めてもらえればいいですが、そんな状況はなかなか作れませんよね。
必要性を分かっていても、旗振り役が出てこないと進めません。
みんな大変だと分かってるから名乗り出ない場合もありますが、会社として重要事項であることを認識してもらうコミュニケーションが必要です。
必要性が理解されづらい
資料はツールさえ使えば、誰でも作れるため、何かうまくいかない事があっても、個人の問題で片付けられてしまうことも。
また、実際にフォーマットの統一をした場合の、費用対効果も数字として出しづらいので、意思決定者からの決裁も降りづらい。
社内問題によって、進められないケースもあるので、事前に社内へヒアリングを行い、どのくらいの効果になりそうか出せる数字(費用対効果等)を算出しておきましょう。
資料に関わる業務は時間を消費しやすい
資料作成は、日常業務の中に溶け込んでおり、使う頻度も作成回数も多いためか、ゆっくりと考える時間さえも取れない場合もあります。
なぜだかデザインに凝りたくなってしまったり、苦手だと必要以上に時間をかけてしまいますし、お客様ごとに調整も必要なので、その度に時間が奪われていく。
何か大きいことを考える前に、目の前の業務で頭がいっぱいになりやすいため、協力もしづらく自ら大変なことも首を突っ込みたくない。
そんな方から協力してもらうには、日常業務の負担を軽くするのにどれだけ効果があるか、継続して伝えていく必要があります。