合同会社ベステンダンクの大浦さんへ「体温ある縁」についてインタビューさせて頂きました。
エンプレス編集部:fukuyama(@pl_enpreth)
プロダクト・サービスの背景には、必ずと言っていいほど人と人、企業と企業、あるいは人と企業のつながりがあります。「体温ある縁」がどのようにして魅力的なプロダクト・サービスを生み出し、世に浸透させているのかーー企業さんへのインタビューを通して一緒に見てもらえると嬉しいです。
インタビュー企画第3弾は、合同会社ベステンダンク代表の大浦勝也さんにご協力いただきました。
ベステンダンクは、昨今益々注目を集めているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を事業の柱として、お客様の業務自動化・効率化を実現するサービスを提供。
さらにアーティスト向けのファンクラブプラットフォーム事業も展開するなど、IT技術を駆使して多様なニーズに応えている企業でもあります。
ベステンダンクの代表である大浦さんは元々音楽活動に専念されていた方で、エンジニアに転身したきっかけのひとつに、人や企業との出会いがあったそうです。
そして現在も、たくさんのつながりに支えられながら「より便利な、より幸せな世界」を目指して日々活動されています。
それではベステンダンク、そして大浦さんはこれまでどのような出会いやご縁に恵まれてきたのか、今回はそのストーリーを見ていきましょう。
[インタビュー・執筆:ツガネ(ライター)]
企業プロフィール | |
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合同会社ベステンダンク 「ITの力で世界をより楽しく、より便利に、より幸せにしたい」という目的を実現するため、ITによる業務自動化事業およびアーティスト向けファンクラブプラットフォーム事業『unitive』を展開。業務自動化事業において、お客様が小規模・低価格からでも導入できること、親身なサポートなどが特長・強みとしてある。 |
- 目次
- ITによる業務自動化(RPA)で企業の業務効率化に貢献する
- 会社や人との出会いによってエンジニアの道が拓かれた
- 「音楽が好き」という共通点によって広がる人とのつながり
- 良い関係性を築くうえで「GIVEを振り撒く」姿勢を大切にしている
- エンプレスのインタビュー後記
ITによる業務自動化(RPA)で企業の業務効率化に貢献する
ツガネ:
本日はよろしくお願いいたします。
早速ではあるのですが、まずはベステンダンクさんの事業内容をおうかがいできればと思っています。
大浦さん:
こちらこそよろしくお願いします。
ベステンダンクで現在一番推し出している事業としては、ITによる業務自動化事業があります。
お客様の課題に合わせて、RPAを提供するような事業ですね。
あとはミュージシャンのファンクラブプラットフォーム事業を展開しているほか、WEBの受託開発や、私が品質保証のQAエンジニア出身なので、品質保証案件を担ったりもしています。
ツガネ:
近年耳にすることが増えてきたRPAですが、これはどのようなものなのでしょうか?
大浦さん:
ロボティック・プロセス・オートメーションの略で、簡単に言ってしまうと「機械が人の作業を代わりにやってくれる」というテクノロジーですね。
例えば毎日Excelにデータを打ち込んでいる方がいたとして、その作業を高速かつ正確にロボットが代行してくれますし、仮にその方が退職することになっても別の人にやり方を教える手間も省けます。
そのように業務効率化につながったり、教育コストが削減できたりなどたくさんのメリットがあるんです。
ツガネ:
主にどんな企業がこのサービスをご利用になるのでしょうか?
大浦さん:
このサービスを提供し始めたときは、ECサイトを運営している企業さんに導入いただくケースが多かったです。
大量の注文処理や競合調査などを効率化できてミスも減りますし、結果として謝罪オペレーションみたいなことも少なくなるので。
しかし、最近はRPAの認知度が高まっていることもあって、水産加工会社や金属加工会社、不動産関係の会社、自動車部品の販売店など、本当に幅広くたくさんの企業さんにご利用いただいています。
ツガネ:
確かに多くのデータを扱う場合や決まった作業を繰り返す場合など、その恩恵をすごく受けられそうですよね。
これはあくまで私の主観なのですが、RPAの認知度が高まってきている一方で、やはりまだ一定数の人は「詳しくは知らない」という状況なのかなと思いました。
それを感じるときはありますか?
大浦さん:
そうですね。
数年前に「RPA」というワードがすごく流行ったんですが、それでもまだ知らない人は知らない、というのが現状だと思います。
あるいは「RPAというのを聞いたことはあるけど、コストが掛かって難しいんじゃないか」ととらえている方も多いと思います。
ツガネ:
便利だとわかっていても、ハードルが高く感じられて二の足を踏んでしまう方も多いかもしれませんね。
大浦さん:
RPAの場合、ツールの導入支援をしてくれる会社は多くあるんです。
ただ、実際に運用していくのはお客様のほうで、ツールを扱う専門の人を社内でアサインしなければなりません。
上手く運用できるのか、ということや、業務フローも変えざるを得ないので、ストレスを感じてしまうのかなと思います。
それに、導入コストも決して安くはないので。
ツガネ:
なるほど。
そういった背景も踏まえて、ベステンダンクさんの強みや特長を改めて教えてください。
大浦さん:
まず、当社のRPAであれば導入・運用コストを大幅に抑えられます。
運用費は必要な分だけですし、ライセンス料も掛かりません。
それにスクラッチ開発(フルカスタマイズ)でお客様に合ったソリューションを提供しているので、使いやすさやを感じていただいていますね。
あとは、なるべくお客様側で新たなスキルを習得しなければならない状況はつくらないようにしています。
簡単に操作できるよう開発しますし、もちろん運用開始後のサポートも丁寧に行なっています。
会社や人との出会いによってエンジニアの道が拓かれた
ツガネ:
「ファンクラブプラットフォーム事業」も展開されているとのことで、この事業を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
大浦さん:
私が以前プロミュージシャンでバンド活動をしていたんです。
ただ、売れていなくてお金がなくて……「ファンクラブがあって少しでも収入が増えれば、電車賃も払えない生活から脱せられるかもしれない」と当時は考えていました。
そういうサービスをつくりたいと思って始めたのが、ファンクラブプラットフォーム事業です。
RPAとDX事業で個人事業主として独立していましたが、このサービスを始めるために法人化しました。
ツガネ:
元々はミュージシャンだったんですね!
大浦さんの経歴もぜひお聞きしたいと思っているのですが、音楽活動は学生時代からずっとやっていたのでしょうか?
大浦さん:
はい。学生時代からやっていて、デビューも在学中でした。
大学卒業後も続けていましたが、音楽一本では食べられなかったので、アルバイトと並行して活動していたんです。
最初は某大手IT企業に入って、その後も何社かアルバイトや派遣社員として渡り歩いていました。
ツガネ:
IT業界を選んだのは、やはりエンジニアに興味があったからですか?
大浦さん:
エンジニアに興味があったからというよりは、「とにかくIT業界で働きたい!」というのが動機だったんです(笑)。
ツガネ:
なるほど(笑)。ただ、「本格的にエンジニアとしてやっていこう」と決めたタイミングもあったんですよね。
大浦さん:
はい、ありました。
最後にアルバイトをしていた会社がすごく魅力的で、エンジニアとしてがんばっていこうと思って「社員にしてください」とお願いしました。
ツガネ:
その会社に惹かれた理由は何だったのでしょうか?
大浦さん:
QA(品質保証)エンジニアとして働いていたのですが、その仕事にやりがいを感じていましたし、会社の人たちに惹かれたというのも大きいです。
ツガネ:
素敵な出会いがあったんですね。
大浦さん:
そうですね。
アルバイトとして入社する前に面接をCTOの方にしていただいたのですが、そのとき「この人と一緒に働きたい」と強く感じました。
話す内容は理路整然としていてわかりやすいですし、こちらの経験や状況もしっかり見て知ろうとしてくれているのが伝わってきたんです。
服装もラフで、「この会社ならリラックスして仕事ができるだろうな」という印象も受けましたね。
ツガネ:
実際働いてみても、やはり魅力を感じる部分がたくさんあったのでしょうか?
大浦さん:
会社って堅いイメージが強かったのですが、その会社は型がないというか自由で、やりたいことに全力で取り組める雰囲気がありました。
自分の価値観ともマッチしていたんですね。
あと、当時「QAエンジニア」という言葉が世に浸透し始めた時期で、QAエンジニア向けカンファレンスも頻繁に行われていたのですが、上司がそういう場によく連れて行ってくれました。
「こういう世界なんだよ」というのを見せてくれて、そのときに「あぁ、エンジニアとしてがんばっていきたいな」と思うようになりましたね。
ツガネ:
人や会社とのご縁で、大浦さんが目指したい道がどんどん拓かれていったんですね。
大浦さん:
上司の方からの影響は大きかったです。
しっかりしていて頭の回転も早く、仕事ができるというのはもちろん、とにかく好きにやらせてくれるというか(笑)。
例えば「プロジェクトの管理ツールでこういうのがリリースされましたよ!」と見せに行ったら、「おお、これいいじゃん!」と言って使わせてくれたりして。
慣習にとらわれず、本当に自由にやらせてくれました。
「音楽が好き」という共通点によって広がる人とのつながり
ツガネ:
会社勤めの後はフリーランスになられていますが、独立しようと思った経緯もぜひ教えてください。
大浦さん:
会社に勤務しながら、副業でRPAの案件を受け始めていたんですね。
当時はRPAという言葉もほとんど聞かず、私自身知らなかった分野だったのですが、挑戦してみたら軌道に乗っていきました。
それで「これは独立してもやっていけるな」と考えたんです。
ツガネ:
そして実際に独立して、その後ファンクラブプラットフォーム事業のために法人化したんですよね。
大浦さん:
はい。独立してフリーランスとして受託開発をやっていたのですが、「自分でプロダクトをつくって誰かのためになるといいな、喜んでもらえるといいな」と次第に思うようになりました。
それで自分が一番熱をもってつくれるプロダクトは何だろうと考えたときに、音楽やアーティストの力になりたいな、という想いが強くなってきたんです。
そして「こういうのやりたいんだ」と元同僚たちに話したら何人かが協力してくれることになって、「お金借りてくるわ!」と言って法人化した形です(笑)。
ツガネ:
それでは、元同僚の方々とも現在一緒にお仕事されているんですね。
大浦さん:
そうなんです。実は一緒にバンドもやっています(笑)。
前の会社ではバンドサークルみたいなのがあって、そこで仲良くなりました。
ツガネ:
音楽がきっかけでつながって、現在一緒に仕事をしているという人は結構いるんですか?
大浦さん:
たくさんいますね。
前職のバンドサークル仲間もそうですし、対バンした後輩がベステンダンクで働いていたこともありました。
もちろんクラウドソーシングなどで出会った人もいますけど、ベステンダンクで働くディレクター、エンジニア、デザイナーなど、音楽がきっかけで繋がった人たちが多いです。
ツガネ:
音楽を中心につながりが広がっていくというのも素敵ですよね。
大浦さん:
好きなものが共通していると話が盛り上がりやすいというのはありますよね。
それにファンクラブプラットフォームをつくろうとするとき、ファンとアーティスト両方の心理を汲み取れるというか、何が本当に喜ばれるのか議論がしやすいです。
ツガネ:
エンジニアの仕事を本格的にやっていこうと決めた頃、現在のように音楽がきっかけで人とつながる機会が多くあると想像していましたか?
大浦さん:
正直、それは特に考えていませんでした。
昔組んでいたバンドが解散した際、そのとき関わっていた人たちとはもう会わないのかなと思っていたんですよ。
しかし実際は今でもよく会っていますし、音楽をやっていた経験や「音楽が好き」ということが出会いのきっかけになることがたくさんありました。
本当に、ものすごく仲良くなれるんですよね。
プロとしてやっていたときはとても苦労していましたが、音楽をやっていて良かったなと心から思います。
良い関係性を築くうえで「GIVEを振り撒く」姿勢を大切にしている
ツガネ:
音楽を通じて仲間になった人たちがたくさんいるかと思いますが、みなさんとの思い出で特に印象に残っていることはありますか?
大浦さん:
現在、私とディレクターとエンジニアでファンクラブプラットフォームをつくっているのですが、私自身はプロダクト開発やサービスをゼロから立ち上げることについては素人同然です。
そのため、その仲間の一人がディレクターを担ってくれたり、ゼロからプロダクトをつくったことがあるエンジニアの人が積極的に動いてくれたりしたのはとても印象に残っています。
しかも本業と並行しながら、こちらの仕事は報酬がないのにも関わらず……。
それに、多少なりとも彼らは生活を犠牲にしている部分もあったと思います。
ツガネ:
なぜ、そこまで積極的に動いてくれたのでしょうか?
大浦さん:
そうですね……。ひとつに、良いサービスにしたいと思ったからかもしれません。
「音楽に恩返しをしたい。だからやりたいんだ」という私の気持ちを汲み取って、一緒にやってくれているのだと思います。
それに、“ユニティ”を感じながらがむしゃらに走るのを楽しんでいる、というのもあるのではないでしょうか。
「乗るしかないな」「面白いじゃん」と感じてくれていたらうれしいですね。
でも、本当に何でやってくれているんだろうと、ふと不思議に感じることもあります。
ツガネ:
大浦さんの熱意が伝わったということに加えて、音楽をやっている人だからこそ「音楽に恩返ししたい」という大浦さんの想いに共感できたというのも大きいのかなと僕は感じました。
そういう仲間と一緒に仕事ができるって、本当に幸せなことだと思います!
大浦さん:
そうですね。
もちろん、それに伴って責任もやはり強く感じるところではありますが。
ツガネ:
ちなみにRPAの事業においては、どんな場面で「つながりに支えられているな」と感じますか?
大浦さん:
やはりお客様から喜びの声をいただいたときはうれしいですし、モチベーションも上がりますよね。
今はそのためにがんばっているみたいなところもあります。
会社員としてQAエンジニアをやっていたときはお客様と話す機会がほぼなかったので、それを考えると人とのつながり方が大きく変わった部分もあったということですね。
ツガネ:
人と関係性を築くうえで大切にしていることはありますか?
というのも、大浦さんが数年前に書かれたnote記事を拝見したときに「無償の愛を振りまくことが大事」と書かれていたので、そのこともお聞きしたいなと思いまして(笑)。
大浦さん:
私は「無償の愛」なんて言葉を使っていたんですね(笑)。
それはつまり「GIVEしまくる」ということで、その人が喜んでくれるだろうなということをやりまくるんです。
利害など関係なくGIVEを撒き散らすことで、良い関係性が築けると思っています。
もちろん搾取される場合もあるかもしれませんが、特に見返りを求めずにその人のためになることをやるんです、無償で。「無償の愛」で(笑)。
ツガネ:
確かに見返りを求めず与え続ける人ってかっこよくて、信頼感があって、人として強く惹かれます。
反対にその人に対して無償の愛を贈りたくなるというか……。そうやって良い関係性が築かれていくのかもしれないですね。
大浦さん、ここまでたくさんのお話ありがとうございました。
最後に、今後の展望を教えてください。
大浦さん:
ベステンダンクのRPAはフルスクラッチ・フルカスタマイズで提供しているところが強みなのですが、お試しですぐに使い始められる汎用的なプロダクトもつくれたらいいなと考えています。
そうすれば、RPA導入に二の足を踏んでいる方にも、その便利さやコストパフォーマンスの高さを実感いただけるのかなと思っています。
ファンクラブプラットフォーム事業のほうでは、ミュージシャンと別業種の方をつなぐような形もつくりたいですね。
エンプレスのインタビュー後記
会社員時代に大浦さんをカンファレンスに連れて行ってくれた上司の方、そして現在ファンクラブプラットフォーム事業に協力してくれている仲間の方々など、大浦さんの周りには「GIVEしまくる人」が自然と集まってきているのかなと感じました。
あるいは、そういう人たちが周りにいるからこそ、大浦さんも「GIVEしまくる」という姿勢を大切にしたいと考えるようになったのかもしれません。
そしてその姿勢が、ベステンダンク様のサービスの随所にも散りばめられているのではないかと強く感じました。
「見返りを求めず人のために何かをする」というのは、一見簡単なようで実は難しいことです。
しかし、だからこそそこに体温が生まれ、信頼関係が築かれていくのかなとも思います。
ベステンダンク様の益々のご活躍を、エンプレスも応援しています!