
いつも見て頂きありがとうございます!「エンプレス」の編集部:sugiyamaです。ホワイトペーパーを制作する時に、依頼主側へ確認しておきたいことを、関係者で共有できるようヒアリングシートのような形で残しておくことが大切です。
ホワイトペーパー制作を請け負っている企業側が依頼を受ける際に、最低限引き出しておきたい情報があります。
この情報があることで、制作進行をスムーズに進めながら、お客様の目的達成の確率を上げることができるので、どのような項目を確認して、情報として持っておく方がいいのか、ヒアリングシートの形にしてまとめました。
>> ヒアリングシートをダウンロードする(Excel)
>> このページの情報をまとめたホワイトペーパーを見る(PDF)※ リンクをクリックすると資料がダウンロードされます
なぜヒアリングシートが必要なのかまとめていくので、参考になれば幸いです。
この記事が役立つ方
・ホワイトペーパー制作を請け負っている企業さま
・資料に関わるクリエイティブを受注したい企業さま
・コミュニケーションロスを無くして品質を安定させたい企業さま
もし、明日Googleがなくなったら?
それでも顧客と繋がれる「備え」を。
極端な例えですが生成AIの発展により検索エンジン主導の情報収集が終わりを迎えているため、これからはいかにして見込み顧客との接点を作れるか難易度が高まっています。そこで役立つのがホワイトペーパーですが、すでに準備はできていますか?
ホワイトペーパー制作時にヒアリングシートが必要な理由
ホワイトペーパーの制作をお客様から請け負う時、なぜヒアリングシートを活用した方がいいのか。
色々理由はありますが、必要な視点は3つ。
① コミュニケーションロスを無くすため
② ホワイトペーパーに関わる全体像を把握するため
③ 顧客が間違った課題で認識している場合があるため
それぞれを詳しく解説していきます。
① コミュニケーションロスを無くすため
ホワイトペーパー制作は「情報収集 → 企画設計 → 制作 → 公開 → 分析・改善」のような工程で進行しますが、初期の情報収集=ヒアリングの質が全体の成否を左右します。
この段階で顧客の意図や目的、背景事情(言語化されていないニーズや制約)を十分に把握できていないと、後工程へ進むにつれて関係者間での認識ズレが広がり、特に営業・ディレクター・ライター・デザイナーなど複数人が関与する場合、共有不足が引き起こす「判断のブレ」が致命的になることも。
結果として、顧客からの「これじゃない」感や、手戻り・修正が増え、余計なコストと不満足を生むことになるだけでなく、ホワイトペーパーの品質が高くても、プロジェクト運営への不信感から継続的な取引に繋がらないケースもある。
そのため、制作前のヒアリングは、情報取得のためだけでなく、関係者間の認識統一と信頼形成の起点として重要な意味を持つため、コミュニケーションロスを発生させない意識は常に持っておく必要があります。
② ホワイトペーパーに関わる全体像を把握するため
たとえ「ホワイトペーパーの制作だけ」を依頼されたとしても、請け負う側が成果に責任を持つのであれば、単なる制作作業ではなく、そのホワイトペーパーがビジネス全体の中で果たす役割を理解する必要があります。
全体像とは
- ビジネスモデル/提供価値
- マーケティング戦略とファネル設計
- ホワイトペーパーの活用目的(認知拡大・リード獲得・育成など)
- チーム体制・リソース状況
- 目標指標(KGI/KPI)および投資判断の考え方
仮に「とりあえず制作して」などの依頼に対して、与えられた要件だけで形にしてしまうと、本質的な課題にアプローチできない見た目だけのコンテンツになってしまう場合も。
また、戦略背景を把握せずに提案を行うと、的外れになりやすく、結果として手戻りや認識ズレが頻発し、顧客・制作側の双方に負荷が増加。
ヒアリングシートは、単なる確認リストではなく、全体の文脈を把握するための設計図であり、これがあることで、ホワイトペーパーの構成・トーン・訴求ポイントを最適化し、成果に直結する提案が可能になります。
③ 顧客が間違った課題で認識している場合があるため
ホワイトペーパー制作を依頼する背景には、何らかのマーケティング課題やビジネス課題があることがほとんどです。
しかし、顧客自身が認識している課題が、必ずしも本質的な課題であるとは限りません。
たとえば
・本来改善すべきは「導線設計」や「ターゲティング」なのに「コンテンツの質が悪い」と捉えている
・インサイドセールスとの連携不足が原因なのにホワイトペーパーのダウンロード数だけを問題視している
こうした誤認識がある状態で制作を進めると、せっかく時間と費用をかけても的外れなアウトプットとなり、期待した成果には結びつきません。
そのため、ヒアリングでは顧客の課題認識を鵜呑みにせず、なぜそう感じているのか、何が背景にあるのかを丁寧に掘り下げていく姿勢が不可欠です。
ヒアリングを通じて会話が深まり、制作側の質問や問題提起によって、顧客自身が本当の課題に気づくこともあり、これは単なる制作ではなく、コンサルティング的な価値の提供とも言えます。
ヒアリングシートは、このプロセスを可視化・構造化し、課題の真因を特定するためのツールです。
単に「作る」だけでなく、「何を、なぜ作るのか」をクリアにすることで、ホワイトペーパーが正しい成果につながる確率を高めてくれます。
ホワイトぺーパー制作前にヒアリングしたい各項目
ホワイトペーパー制作のご相談をお客様から頂き、提案または制作へ着手する前に、色々と確認しておきたいことがあります。
特に複数社比較されている状態で、提案の中身が意思決定に大きく作用する場合は、お客様の状況把握は必須。
一問一答ですべて回答してもらえるならいいですが、打合せ機会を頂き、その中でしか質問できない場合もあるので、最低限確認しておきたい項目を挙げていきます。
顧客情報

分類 | 項目 | ヒアリング例 |
---|---|---|
顧客情報 | お客様名 | 山田 太郎さま |
所属部署 | マーケティング部 | |
担当部署の役割 | コンテンツ施策の企画と実行 | |
現在の取り組み | 月1本ペースでWP制作・配信。DL数は平均100件/月。 | |
関連部門 | 見込みを判断して営業部へリード引き渡し連携あり |
顧客情報では、依頼主側であるお客様の状況を把握していきます。担当者の役割や関与度、また社内でホワイトペーパーがどのように活用されているかを把握することで、制作後の運用イメージまでを含めた提案が可能になり、依頼主だけでなく、関係部門の温度感や協力度も確認しておくと、進行上のリスクを減らせます。
概要・目的

分類 | 項目 | ヒアリング例 |
---|---|---|
概要・目的 | 課題・背景 | 営業へ渡せるリード数が減少しておりホットリードの獲得を強化したい |
概要 | 新規リード獲得を目的にテーマ別WPを3本制作したい | |
期日・納期 | 〇月末までに第一弾をリリース希望 | |
成果目標(定量) | 3本でDL数月間300件、商談化率5% | |
成果目標(定性) | 自社ブランドの印象を高めたい |
概要・目的では、ホワイトペーパーの制作後に、どのような成果をイメージしているのか具体的にしていきます。定量目標(例:リード件数)や定性目標(例:認知拡大、営業支援)を具体化することで、制作側が共通のゴールを持ち、効果的なクリエイティブ設計に集中できる。曖昧な目的は手戻りや方向性のズレの原因になるため、初期段階で明確化が不可欠です。
プロセス・体制

分類 | 項目 | ヒアリング例 |
---|---|---|
プロセス・体制 | マーケ・営業連携 | MAでスコアリング→商談化スコア到達後に営業へ通知 |
ボトルネック | 営業がWPの内容を把握していない/使いこなせていない | |
決裁者 | 本部長(自部署) | |
決裁プロセス | 部内稟議→決定(最短2週間) |
プロセス・体制では、ホワイトペーパー活用の具体的な流れや現状の業務フローに加えて、社内の決裁プロセスや承認フローも確認しておくと、スムーズな進行につながります。また、過去に制作したコンテンツのボトルネックや、プロセス上の障害(例:営業部との連携ミス)がないかを掘り下げることで、より有効な提案が可能です。
リソース・予算

分類 | 項目 | ヒアリング例 |
---|---|---|
リソース・予算 | 予算上限 | 3本で100万円以内 |
現状の制作体制 | ディレクション担当者1名、校正担当者1名、デザイナー1名 | |
使用ツール | Marketo、HubSpot、Salesforce使用中 | |
投資効果の考え方 | CPA10,000円以内を目指したいがダウンロードよりも商談化率重視 |
リソース・予算では、ホワイトペーパー制作に関するリソース周りを確認していきます。使用目的やターゲットによって求められるホワイトペーパーの質は大きく変わるため、予算や内部リソース(担当者の稼働、制作経験の有無)を把握することで、実現可能なプランを提示でき、期待とのギャップを防げます。
WPの内容・希望

分類 | 項目 | ヒアリング例 |
---|---|---|
WPの内容・希望 | テーマ案 | 「〇〇業界の最新トレンド」「事例で学ぶ業務改善」 |
トーン&デザイン | 信頼感あるトーン、図解多め、BtoBプロフェッショナル寄り | |
参考資料 | △△社のPDF資料/note記事/業界紙など | |
活用方法 | メルマガ、LP、セミナー配布資料としても使用予定 | |
利用者の声 | 事例コンテンツはDL率が高かった/抽象的な内容は反応薄い |
WPの内容・希望では、実際にホワイトペーパーを制作するに当たり、イメージを具体的にするための情報を確認していきます。ホワイトペーパー自体の内容はもちろんですが、テーマ・構成・ページ数・デザイントーンなどの希望に加えて、「いつ・誰に・どう使うか」といった利用シーンを確認することで、内容の適合性を高められます。参考資料や他社事例があれば、それも引き出しておくのがオススメです。
ターゲット

分類 | 項目 | ヒアリング例 |
---|---|---|
ターゲット | 業種・業界 | 製造業、主に中小企業 |
企業規模 | 従業員100~500名 | |
部署・職種 | 経営層、情報システム部 | |
ペルソナ課題 | 業務効率化を進めたいが、情報収集の時間がない | |
意思決定の関与 | 情報収集と社内説明を担うポジション |
ターゲットでは、ホワイトペーパーを制作(または依頼)する側ではなく、お客様のお客様(または見込み顧客)がどのような人物なのか具体的にしていきます。誰に読まれるのかを明確にすることで、トーン・構成・伝え方が決まり、「業界・職種・役職・関心事・課題感」などを深掘りすることで、より刺さるコンテンツ設計が可能になります。場合によってはペルソナ設定まで行うと有効です。
戦略・KPI

分類 | 項目 | ヒアリング例 |
---|---|---|
戦略・KPI | コンテンツ戦略全体像 | ナーチャリング施策の第1接点として位置づけ |
KPI指標 | DL数、ページからDLへの転換率、商談化率 | |
リード獲得施後の施策 | ステップメール+Webセミナー誘導 | |
過去データ | 過去WPのCVR2%、商談化率4.5% |
戦略・KPIでは、ホワイトペーパー制作後にどのような指標を追いながら活用していくのかを確認。「成果指標(KPI)は何か」「どのチャネルで配信するのか」「その後のナーチャリング導線は整備されているか」など、ホワイトペーパーを単体で捉えず、マーケティング全体とのつながりをヒアリングします。過去施策の結果があれば、改善提案のヒントにもなります。